ディストラクション・ベイビーズ
2016/日本 上映時間108分
監督・脚本:真利子哲也
脚本:喜安浩平
製作:椎木隆太、森口和則、太田和宏、大和田廣樹、王毓雅、阿南雅浩
企画プロデュース:朱永菁
プロデューサー:西ヶ谷寿一、西宮由貴、小田切乾、石塚慶生
ラインプロデューサー:金森保
撮影:佐々木靖之
録音:高田伸也
美術:岩本浩典
衣装:小里幸子
ヘアメイク:宮本真奈美
特殊メイク:JIRO
アクションコーディネーター:園村健介
VFX:オダイッセイ
編集:李英美
音楽:向井秀徳
助監督:茂木克仁
制作担当:柴野淳
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、岩瀬亮、キャンディ・ワン、テイ龍進、岡山天音、吉村界人、三浦誠己、でんでん
パンフレット:★★★★☆(800円/しっかりした作りでシナリオも載ってる!)
(あらすじ)
愛媛の小さな港町・三津浜の造船所で暮らす泰良(柳楽優弥)と弟の将太(村上虹郎)。いつもケンカばかりしている泰良は、ある日突然、町から姿を消し、松山の中心街で強そうな相手を見つけてはケンカを売るようになる。そんなある日、裕也(菅田将暉)という青年から声を掛けられた泰良は、裕也と一緒に通行人に無差別に暴行を加え、車を強奪。その車に乗りあわせていた少女・那奈(小松菜奈)も巻き込んで松山市外へと向かう。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
70点
※今回は、「デス・プルーフ」のネタバレに触れているので、知りたくない人は気をつけて!
「SHARING」を観た時に予告編が流れたんですが、「ケンカ少年の暴力連鎖映画」ってムードがプンプン臭っててね。少年たちが酷い目に遭う作品を観たい気分じゃないなぁと、「観たい映画の覚え書き」では「△」を付けつつも観ない予定だったんですけれども。今週のムービーウォッチメンの課題映画になったので、テアトル新宿で鑑賞して来ました。好きな雰囲気でしたヨ (´∀`) ウフフ
劇場入口には記事の切り抜きが飾ってありまして。
テアトル系列恒例のオリジナルドリンクも販売中の様子。
地下に降りれば、豪華な展示が!
「5人の拳」なんてオブジェがあったりしたんですが…。
やはり一番気になるのは小松菜奈さんが着た衣装、ですな。ガラスが邪魔だな…(不穏な文章)。
ちなみにTCGメンバーズカードの会員がチャレンジできるスクラッチではドリンクが当たってました。劇場でこすれば良かった… (ノω・、) クヤシイ
「destruction=破壊」という意味なのは、「破壊兄弟(The Brothers of Destruction)」のおかげで知っていたーーなんて文章はどうでも良いといて。最初にウソを交えながら簡単なあらすじを書くと、愛媛の港町・三津浜でケンカに明け暮れる日々を送っていた泰良(柳楽優弥)は、ある日、“ぶらりケンカ旅”をスタート。松山の繁華街で強そうな奴を見つけてはケンカを売りまくりましてね。ヒーリングファクターを持っているだけでなく、「半殺しから復活すると戦闘力がアップする」というサイヤ人ライクな性質も備えていたため、やられるたびにグングン強くなって、バンドマンや不良高校生、ヤクザなどを倒しまくっていたところ! ちゃらい高校生の裕也(菅田将暉)が泰良の“折れない暴力性”に感動して、「スッゴイデッカイことをやりたいんYO!ヽ(`Д´)ノ」と接触してきまして。ファングメモリのCMのように「ゾックゾクするわい!(`∀´)」なんて言いながら、”ノックアウトゲーム”と称して「裕也が道行く女子高生や女性(a.k.a.自分が勝てそうな人たち)に暴行→それを止めようとする男たちを泰良がボコボコにする」なんて凶行に及んでしまうのです。
いきなりバンドマンを襲ったりと、とんでもない行動を繰り返す泰良でしたが…。
ヘタレだった裕也はそんな彼に興味を抱きまして。
一緒に“ノックアウトゲーム”を始めるのでした。
で、ケンカの場所を変えようと、2人がキャバクラの送迎車を襲撃したら、中にいた“恐ろしく性格の悪い万引きキャバ嬢”那奈(小松菜奈)が乗っていたので、なんとなく拉致しまして。性的暴行をされたり、炎天下のトランクに押し込められたり、運転させられて“半殺しにされてた農夫”を轢いてしまう→つい絞め殺したりと、散々な体験をする那奈でしたが…。車のスピードを一気に上げて事故を起こし、半死半生となった裕也を「ドアで何度も挟む攻撃(like a Mel Gibson)」で殺害! 泰良はいつの間にか現場から失踪し、那奈は警察に保護されて被害者っぽく扱われまして。ラストは、祭りの日、ずっと泰良を探していた弟の将太(村上虹郎)が兄貴の事件のせいで起きたイジメやら何やらで鬱屈しながら喧嘩御輿を眺めたりしていると、地元に帰ってきた泰良が警官に見つかって発砲されるも返り討ち→そして伝説へ…ってムードで終わってましたよ、確か。
いくら性格が悪いとしても、あんまりすぎる目に遭うキャバ嬢の那奈。
だがしかし、わざと事故ってクソ野郎に反撃だッ! ドアで挟む力が弱いのが女の子らしくてまた愉快。
最後は“神話になった男”が警官を倒して終わってました。
基本的には好きな映画でしたよ。「“モラルを超越した存在”の影響を受けた少年が一緒に暴走する」ってのは、新井英樹先生の傑作漫画「ザ・ワールド・イズ・マイン」っぽいなぁと思ったら、真利子哲也監督はかなり影響を受けているそうでして。とにかく素晴らしいと思ったのが作品全体の不穏な雰囲気で、特にチンピラやヤクザ役の人たちの“リアルなムード”は最高でしたね~。以前、同監督の「イエローキッド」を観た時にストライクだった玉井英棋さんとか、今回も悪そうなチンピラを好演してて、スゲーうれしかったです。
もちろん主演の人たちも良くて、柳楽優弥さんは超カッコ良かった!ヽ(`Д´)ノ “クズ野郎・岡田斗司夫が出てて不快なのでBlu-ray BOXの購入を泣く泣く断念したドラマ”「アオイホノオ」での主人公役が大好きで凄まじく好感度が上がっていたんですが、今作でさらに見直したというか。あの独特の色気はさすがだなぁと。菅田将暉さんが上手いのはもう普通として、小松菜奈さんも体を張って頑張ってたし、兄貴に散々振り回される弟を演じた村上虹郎さんも良かったですね~。
なんとなく「アオイホノオ」の素敵なオープニングを貼っておきますね↓ 岡田さえ出ていなければ…。
ケンカシーンも好みでした。ワンカット長回しが多いということで、当たってない風の場面もなくはなかったけど(汗)、あの間の取り方、揉みあい方などはなかなかリアルじゃないかと。ヘッドロックが出てくるあたりもありそうで好きだったなぁ。主人公は諦めないことで敵を倒していくワケですが、ケンカを重ねるごとに戦闘力が上がっていくのも面白かったです。それと、主人公以外のイヤな登場人物が軒並み“何らかの制裁”を受けているのも好感が持てましたな(那奈に関しては十分酷い目に遭ってると思えるし、検屍すれば農夫が彼女に絞殺されたのは一発でわかるし、監督インタビューによると裕也殺しも事故相手が目撃してたっぽい)。
この場面、三浦誠己さんの倒れ方といい、柳楽優弥さんの雄叫びといい(アドリブだそうな)、大好きでした (^ε^) ウッフン
ちょっと文句を書くと、この場面の小松菜奈さんの演技はわざとらしくなくて良かった気はします。
あと、唐突にプライベートのことを書きますけど(苦笑)、実は今、仕事があまり上手くいってなくて… (´・ω・`) 偉い人にグウの音も出ない説教を散々かまされて恐ろしくイライラした時に観たということでね、本作で描かれる“ふとした瞬間に暴力性が発露してしまう鬱屈した人々”には、あまりにクズ揃いだから共感はできませんが、ありそうだとは思ったし、心が折れることなく果敢にケンカをする泰良に憧れる部分もあったというね…(しみじみ)。特に、村上虹郎さんが演じた将太は、ストレスを抱えて暴力に憧れながらも暴れられない僕たちのような一般人を象徴したキャラクターだと思ったんですけど、違ったらゴーメンナサイヨ!( ゚д゚) ゴーメンナサイヨ!
この喧嘩御輿は、“疑似的な暴力でのストレス発散”の象徴だと思ったんですが、違ったら(ry
って、非常に褒めていますけど、実はダメージ描写が温いのがスゲー不満でして。まず、主人公の泰良の回復力&耐久力がさすがに超人過ぎるから、「そりゃ何度でもチャレンジできるよな (・ε・)」とも思っちゃう(骨折しないし)。監督のインタビューなどを読むと、実在の“喧嘩の達人”がモデルになっているそうですが、その人だってここまでの怪物じゃないでしょうよ。とは言え、まぁ、泰良は神話的存在だから「X-メン」級の能力者でもまだ許せるものの、一番ガッカリしたのが車が事故るシーンで、時速100キロぐらいの交通事故でシートベルトをしなかった裕也のダメージがあの程度かよと。あの場面、僕は「デス・プルーフ」並みの惨事が起きることを期待してドキドキしてたので、車内から“イケメンが維持できる程度の負傷をした裕也”が出てきた時は、かなり失望いたしました。暴力の神話を描くなら、その結果だってちゃんとおぞましく描かないとフェアじゃないと思うのです… (´・ω・`) ウーン その他、「田舎の警察は無線の使い方を知らないの?」とか「警棒より先に拳銃を抜く警官っているの?」とか思ったりしましたよ。
裕也はシートベルトをしてないんだから…。
せめて「デス・プルーフ」のこの女性のように飛び出してほしかった…というのは贅沢でしょうか。
ただ、好きなところの方が全然多かったので、観て良かったです (´∀`) ヨカッター もうね、僕の中で柳楽優弥さんの株がまた上がりましたよ。菅田将暉さんがあまりにゲスすぎて(誉め言葉)、万人にオススメできる感じはゼロの作品なんですが、暴力映画が好きな人はチェックしても良いんじゃないかしらん。
真利子哲也監督作。未見でございます。
本作のパンフはオフィシャルブックとして売られているのです。
新井英樹先生の傑作だけど、あまりにキツすぎて二度と読む気がしません… ('A`)
このドラマの柳楽優弥さんが大好きです。
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ディストラクション・ベイビーズ(ネタバレ)
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