PK
原題:PK
2014/インド 上映時間153分
監督・製作・脚本・編集:ラージクマール・ヒラーニ
製作:ビドゥ・ビノード・チョープラー
脚本:アビジャート・ジョーシー
撮影:C・K・ムラリーダラン
音楽:シャンタヌ・モイトラ、アジャイ=アトゥル、アンキト・ティワーリー
出演:アーミル・カーン、アヌシュカ・シャルマ、スシャント・シン・ラージプート、サンジャイ・ダット、ボーマン・イラニ、サウラブ・シュクラ、パリークシト・サーハニー、ランビール・カプール
パンフレット:★★(700円/三尾稔先生のコラムは面白かったけど、パンフ自体は薄め…)
(あらすじ)
留学先のベルギーで大きな失恋を経験したジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、いまは母国インドのテレビ局で働いている。そんなある日、ジャグーは、地下鉄で黄色いヘルメットを被って大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の装飾を身に付けてチラシを配る奇妙な男(アーミル・カーン)を見かける。男は「PK」と呼ばれ、神様を探しているということを知ったジャグーは、男になぜ神様を探しているのか話を聞くのだが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
85点
“今までは「年内に観た新作映画の感想は年内にアップする」という感じでやってきたものの、昨年はとうとう更新しきれなかったシリーズ”の第二弾として、今さらながら2016年10月公開作の感想を垂れ流しておきますよ(ちなみにはちごろうさんは10月末に感想をアップしております)。あの名作「きっと、うまくいく」の監督主演コンビの最新作だから観たかった…ということではなく。「全裸の男性が“何か”で股間を隠すギャグ」が大好きなので、そんなポスターのビジュアルに惹かれて前売り券を購入(前売り特典も少しほしかった)。なかなか足を運べなかったものの、評判が高くて上映期間が延長された12月下旬の最終公開週、恵比寿ガーデンシネマで鑑賞いたしました。「なんてマトモなことを…ッッ!(°д°;)」と感嘆しましたよ。
ロビーにはスタンディやら監督のサイン入りポスターが展示されてまして。
通路には記事の切り抜きもありました。
2番スクリーン、3割ぐらいは入ってたような。
一応、「弁護人」を観た時に撮ったシネマカリテの水槽の展示も貼っておきますね。インド産のフグが泳いでました。
「PK」と聞くと、サッカーやら超能力やらネトゲやらを連想しがちですけれども、インドでは「酔っ払い」のスラングだそうで。映画の内容を雑に書いておくと、インド人のジャグー(アヌシュカ・シャルマ)が留学先のベルギーでパキスタン人(イスラム教徒)のサルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)と恋に落ちて、父親の反対を押しきって結婚しようとするも、ヒンドゥー教の導師(ソウラブ・シュクラ)の預言通りに「約束をすっぽかされて失恋する」ところからスタート。その後、ジャグーはインドに戻ってレポーターになり、テレビのネタを捜していたら、奇妙な格好で「神様が行方不明!」なんてチラシを配りまくる男(アーミル・カーン)と出会うのです。
ジャグーはサルファラーズと恋仲になるも、教会で待っていたら別れの手紙が届いて失恋!
その後、インドでどうかしている内容のビラを撒く変な男を目撃するというね。
なんと男は宇宙人で、UFOを操縦するリモコンを盗まれてしまったため自分の星に戻れない→街の人に聞いたら「神様にお願いしろ」と言われた→お願いしてもリモコンが戻らない→「神様が行方不明!Σ(゚д゚)」と考えたそうで。で、その言動や行動があまりに変なので周囲から「PK(酔っ払い)」と呼ばれるようになったとのこと。最初はホラ話だと思っていたジャグーは、人の心を読む力を体感させられて、PKのことを信じるようになり、彼と一緒に行動していたところ! リモコンは前出の導師が持っていることが判明するも、「神からもらった聖なる石」ということになっていて、返してもらえないのでした。
なんだかんだあって、PKの身の上話を聞くことになりまして。
「神様に聞いてくれ」と言われたので、神様に固執するようになったワケです。
そこでPKは「神様にお願いしてもリモコンが戻ってこない→間違い電話のように、願いの“かけ間違い”が起こって、神様まで届いていないのだ!m9`Д´) ビシッ」と主張。集会に乗り込んで、導師の矛盾に純粋なツッコミを入れまくる様子をテレビで放送すると、大勢の人が影響を受けて、「願いを叶えるのに神様がお金を要求するのは“かけ間違い”だ!ヽ(`Д´)ノ」といった風に、ブームを巻き起こしまして。導師はすっかり儲からなくなったので、テレビでPKと直接対決! 「ジャグーがサルファラーズにフラれたのは誤解だった」ことが判明して導師が敗北し、リモコンがPKの元に戻ると、PKったらジャグーへの恋心を押し隠して星に帰るんですが、しかし。1年後、仲間を大量に引き連れて来て終わってましたよね、確か。
PKの「かけ間違い」の放送は大反響!
導師と直接対決すると、別れの手紙は別のカップルのものだと判明したのでした (゚⊿゚) ヘー
いや〜、ストレートに面白かったですよ。純粋無垢な宇宙人によるカルチャーギャップコメディがベタに繰り広げられるんですが、「常識や建前を斬る」という要素もあるので、笑いながらも考えさせられたりして。お話もこれまたベタな人情ドラマが展開されるんですけど、ジャグーと父親の関係が描かれるあたりは、やはり娘を持つ父親としてかなり感情移入しながら観ちゃいました(娘に指笛を吹くラストが泣ける!)。導師を追い詰めようとした兄貴分がテロで爆殺されたりと、容赦なく凄惨なことが起きたりするあたりは、インドの複雑かつ殺伐とした宗教事情を反映したと思うんですが、そういう要素をちゃんと描く姿勢も感心いたしました(「きっと、うまくいく」の自殺シーンを連想しました)。
「全裸だけど何かで股間が隠れている」という直球なギャグも大好物でしたヨ (〃∇〃) ウフフ
ただ、この映画が何よりも素晴らしいのは、宗教の欺瞞を突いたことでして。いや、僕だって、会社の業績が悪い時とか「神様、お願いだから何とかしてください… (ノω・、)」と涙目で願ったりしますし(苦笑)、神社へお参りするのは大好きですけれども(最低10個は願いごとを脳内で伝える派)。「○○をしないと地獄に堕ちる」とか「罰が当たる」とか「前世のカルマが…」といったことは心底くだらないと思っているので、“かけ間違い”として宗教が持つ欺瞞に次々とツッコミを入れていく終盤の展開はスゲー気持ち良かったし、マトモなことを言ってるなぁと。本作はヒンドゥー教の過激派にポスターを破かれたり、抗議デモが起きたりしたそうですが、最終的にはインドの歴代興行収入第1位だった「きっと、うまくいく」の記録を塗り替えるほど観客が足を運んだというのだから、多くの人が思っていることなんですよね、たぶん。そんな社会的主張を込めつつも笑って泣けるエンタメに仕上げたラージクマール・ヒラーニ監督は、つくづくスゴい人だと思ったり。
“かけ間違い”のくだりを観た僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね。
まぁ、純粋無垢な宇宙人キャラがやりすぎに見えたりもしたし(「そもそもあんな科学力があるなら、もっと頭良いんじゃないの?」って思っちゃう大人げのないアタシ)、ラストのカセットテープ&PKがウソをつくくだりとか長く感じちゃったりもしましたが、基本的には世間の評価が高いのも頷けるというか、スゲー良い作品だと思いました (´∀`=) ヨカッタワー 途中で歌や踊りが入ったりするインド映画ならではの要素が大丈夫な人なら、観ても損はしないんじゃないかしらん。
ラージクマール・ヒラーニ監督×アーミル・カーン主演作。僕の感想はこんな感じ。
デジタル盤のサントラがありました。ちょっとほしいな〜。
アーミル・カーン主演のアクション映画。はちごろうさんが絶賛されていたので、結構観たい気持ち。
↧
PK(ネタバレ)
↧