ダークホース ~リア獣エイブの恋~
原題:Dark Horse
2011/アメリカ 上映時間84分
監督・脚本:トッド・ソロンズ
製作:テッド・ホープ、デリック・ツェン
製作総指揮:ニック・クエステッド
撮影:アンドリー・パレーク
編集:ケビン・メスマン
出演:ジョーダン・ゲルバー、セルマ・ブレア、ジャスティン・バーサ、ミア・ファロー、クリストファー・ウォーケン、ドナ・マーフィ、ザカリー・ブース、アーシフ・マンドビ
パンフレット:600円(★★★/町山広美さんのコラムが好き。音楽についてのコラムがあれば良かったな~)
(あらすじ)
父親が経営する会社で働く30代の独身男エイブ(ジョーダン・ゲルバー)は、フィギュア収集が趣味のマザコンオタク。そんなエイブが、友人の結婚式で出会った女性ミランダ(セルマ・ブレア)に一目ぼれし、猛烈なアタックを開始。念願かなって付きあうことになるが、ミランダはある重要な秘密を隠していた。不安にかられたエイブは次第に妄想に襲われ、現実との境界線を見失っていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
80点
※今回の記事は、「ハピネス」と「ウェルカム・ドールハウス」
のネタバレにも触れているので気をつけて!
残念ながら都内の公開は先週で終わっちゃってたみたいなんですけど、遅ればせながら感想をアップしておきますね。予告編を観て、「それなりに面白そうだな~」と思って、ヒューマントラストシネマ渋谷で観てきました。苦かったです… ('A`)
「未体験ゾーンの映画たち2013」は料金が1200円均一な上に、映画祭上映作品の半券を提示すれば200円割引というオトク仕様。
展示とかはなかったですが、まぁ、仕方ありませんな。
17アイスの自販機はマジで危険。ふと我に返るとチョコナッツクランチを食べていたという恐怖!Σ(゚д゚;) イツノマニ!?
トッド・ソロンズ監督の作品って2本しか観てないんですけど(どっちもレンタル)、超意地悪なブラックコメディというイメージでして。登場人物の“痛い”ところばかり積極的に見せてくるので、観ている間は笑いながらも「あいたたたた… (´Д`;)」&「あたたたた!ヽ(`Д´)ノ」って気分なんですよ(1つウソ)。しかも誰も幸せにならないで終わるから、何とも言えない苦い味が口に残るというか。
まぁ、そのセンスは素晴らしくて。特に「ハピネス」の“連続レイプ魔である父親と息子の最後の会話シーン”は、最悪すぎて笑いつつも“そのどうしようもなさ”に胸を打たれて泣けてしまう名場面であり(「オナニーでガマンする」は名言!)、そこだけは本当に好きなんですけど…。その次に借りて観た「ウェルカム・ドールハウス」
がまた地味に痛すぎて、「もうこの監督の映画は当分観なくていいかな… (´∀`;) エヘヘ」と思って、それ以来、監督作をチェックしてなかったんですね。
一応、「ハピネス」の予告編を貼っておきますね↓
ただ、今回の「ダークホース ~リア獣エイブの恋~」は、予告編を観る限り、「好ミノタイプダ」とカタカナで思って(なんだそれ)。要は、アレですよ、「ダメなオタク野郎が恋をして、あーだこーだと周囲と揉めつつも成長→一人前の男になってヒロインと結ばれる」という、僕好みのありがちな展開ですよ。「あらあら、トッド・ソロンズ監督ったら、珍しくベタな映画を撮ったのね (´∀`) キライジャナイワ」とすっかり油断して観てみたら! 「主人公エイブはミランダに恋をするものの、どうにも大人になりきれず、あーだこーだと揉めた挙げ句、事故を起こして両脚を切断→ミランダに伝染されたB型肝炎を発症して死亡(ミランダは完治)」というね… ('A`) ナニコノエイガ
役者さんたちはかなり魅力的。ジョーダン・ゲルバー、一切成長せずに死んで後悔する主人公を好演してました。
実は結構面倒くさい上に非道い女ミランダ。セルマ・ブレア、「ヘルボーイ」では発火系女子でしたな。
もう苦いにも程があるというか、トッド・ソロンズ監督らしいなぁと。パンフレットのコラムで放送作家の町山広美さんが「テッド」を引き合いに出してて「なるほどなぁ」と頷かされたんですけど、確かに最近の映画は“オタクのオッサンを保護しがち”かもしれませぬ。この映画は“反「テッド」”というか(「ハンテッド」とか「ハンテッド」
のことじゃないヨ (o^-')b キヲツケテ!)、「もう大人なんだから、ちゃんと現実を見ろよ ( ´,_ゝ` )」という至極真っ当な意見を描いてて、40歳にもなってこんなくだらない記事を書いて喜んでいたりする僕的には「そ、そりゃそうですヨネ… (・ε・;)」という心境に。エイブがB型肝炎を伝染されちゃう展開も、「愛があるんだから」という浅薄な判断で無防備にセックスしたツケって感じがして、相変わらず意地悪だなぁと思ったり。
父親役のクリストファー・ウォーケンは、ヅラを頭に乗せたビジュアルだけで100点。
母親役はミア・ファロー。良い感じにダメ親を演じてましたね~。
エイブに好意を持つ同僚マリーを演じたドナ・マーフィ。地味に愛らしくて、また僕のストライクゾーンが広がりました。
とは言いつつも、単にオタクを叩いているワケでもなく、目線自体は結構優しくて、「戦わなきゃ、現実と」という励まし感があって。原題の「Dark Horse」とは、日本風に言うと「やればできる子」みたいなモンなんですけど、死んだ後のエイブが壁紙を剥がして、背比べの傷のところに父親が書いた「この子はパパのダークホースだ!ヘ(゚∀゚*)ノ」なんて文章を見てションボリするシーンは、「生きているうちに頑張っていれば… (ノω・、)」ってことだろうしね(その“父親の想い”が壁紙に覆われてしまっていたのも暗示的)。なんとなく僕も「ああん、やらなきゃ!ヽ(`Д´;)ノ」と思わされましたよ。
なんとなくRHYMESTERの「Just Do It!」を貼っておきますね↓ やろうと思っていたのになぁ。
ポジティブな曲を皮肉っぽく流す演出は好きだったし、現実と幻想が交錯しまくる展開とか非常にユニークで面白かったし、「実は職場の同僚のマリーが彼のことを想ってくれていた→彼女にとってエイブはダークホースだった」というちょっとした救いがあるラストもグッときたし…。なんかね、全体を振り返るとあんまりな話なんですけど、役者さんたちの好演もあって、時間に余裕があったら、もう一回観に行きたかったくらい不思議と心に残った映画でしたよ。かなり好き嫌いが分かれる気がしますが、気になる人はDVDが出たら借りて観てみてくださいな。
トッド・ソロンズ監督作。何とも言えないけど、あの親子の会話シーンが大好きです。
ハピネス [DVD]
トッド・ソロンズ監督のデビュー作。救いのない現実的なラストにはビックリしました。
ウェルカム・ドールハウス [DVD]
青野春秋先生の漫画作品。映画化したみたいだけど、主人公を堤真一さんがやる時点でちょっとなぁ。
俺はまだ本気出してないだけ 1 (IKKI COMICS)
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ダークホース ~リア獣エイブの恋~(ネタバレ)
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