サーミの血
原題:Sameblod
2017/スウェーデン、デンマーク、ノルウェー 上映時間108分
監督・脚本:アマンダ・ケンネル
製作:ラーシュ・G・リンドストロム
製作総指揮:ヘンリック・セイン、レーナ・ハウゴード
撮影:ソフィーア・オルソン、ペトルゥス・シェービーク
音楽:クリスティアン・エイドネス・アナスン
出演:レーネ=セシリア・スパルロク、ミーア=エリーカ・スパルロク、マイ=ドリス・リンピ、ユリウス・フレイシャンデル、オッレ・サッリ、ハンナ・アルストロム、マーリン・クレーピン、アンドレアス・クンドレル、イルバ・グスタフソン
パンフレット:★★★★(700円/ちゃんと作られた超タメになるパンフ。ただ、「族」を訂正する必要はあったんでしょうか)
(あらすじ)
1930年代、スウェーデン北部の山間部に居住する少数民族サーミ族は、支配勢力のスウェーデン人によって劣等民族として差別を受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通うエレ・マリャ(レーネ=セシリア・スパルロク)は、成績も良く進学を望んだが、教師からは「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げられてしまう。ある時、スウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで、エレは都会的な少年ニクラス(ユリウス・フレイシャンデル)と出会い恋に落ちる。スウェーデン人から奇異の目で見られ、トナカイを飼育しテントで暮らす生活から抜け出したいと思っていたエレは、ニクラスを頼って街に出る。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
75点
確かアップリンク渋谷で「イップマン 継承」を観た時に予告編が流れて、人種差別を描いた内容っぽい→なかなか重そうなのでスルー予定だったんですけれども。10月の映画駄話会に遅れて行った時、ちょうど帰るところだった映画仲間のスケルティアさん(ケイズシネマ派)が「僕は2つの“血”の映画について話しました ( ´_ゝ`)」とか仰ってて。そりゃあ、「観たい映画の覚え書き」を書くために新作映画の公開予定を毎月チェックしてますから、「スケルティアさんは『リベリアの白い血』と『サーミの血』について語ったんだな」と察したりもして、いつの間にか本作は「気になるアイツ (・ε・)」的存在になっていた…って、ここまでほぼ「リベリアの白い血」の時のコピペ (ノ∀`) テヘ
あと、タイトルから「巨凶 範馬の血」を連想した…という、どうでも良い1ページ(「グラップラー刃牙」)。
で、先々週の話。愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」のオープニングトークにて、宇多丸師匠が「サーミの血」について「めちゃめちゃ面白かった!m9▼Д▼) ビシッ」と語っていたので、急遽、観ることにした…という、ここまでの文章もまたほぼKO-PI-PE!m9`Д´) ビシッ そんなワケで、先週金曜日=映画の日、アップリンク渋谷にて、「ソニータ」と連続で鑑賞いたしました(「リベリアの白い血」もなんとなく前の日に観た)。「根性、見届けたーッ!ヽ(TДT)ノ ガンバッタ!」と思ったり。
9月公開作ながらも、アップリンク渋谷ではまだ上映されていたのです。席は8割ぐらいは埋まってた印象。
2階の受付前には、記事の切り抜きがありましたよ。
鑑賞後の僕の気持ちを代弁する柴千春の子分を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
最初に若干のウソを交えたあらすじを書いておくと、サーミ人の老婆クリスティーナ(a.k.a.エレ・マリャ)がスゲー嫌々ながら、妹ニェンナの葬式に参加するため、息子&孫娘と一緒にスウェーデン北部のラップランドに帰郷しまして。祭司から「妹は死ぬまであなたのためにトナカイのマーキングをしていたよ (´・ω・`)」みたいなことを伝えられながらも、誰とも話そうとしなくて。親戚の家に泊めてもらおうと提案する息子を振り切って、単身ホテルに泊まるという頑なさ。しかも、他の宿泊客とサーミ人の話題になれば、「サーミ人はマジ“おさみー”人、泥棒だらけで生き方も粗暴!川;`∀´) フン!」とディスるありさまですよ。
映画序盤の主人公は、この老婆なのです。
そんなエレ・マリャが1930年代の「14歳だったころ」を回想してみれば、妹にトナカイのマーキングを伝授するところからスタート。姉妹で親元を離れて“サーミ語禁止”の移牧学校に行くと、エレ・マリャったら優等生でしてね。先生から特別に本をもらったり、コーヒーを飲ませてもらったりして鼻高々だったものの、村の若者たちからは「あいつら、クセーよな (`∀´) ケケッ」なんて嘲笑されるわ、学校でも見世物のような検査を強いられるわと苦渋を舐めさせられまして。さらに、差別的な言葉を投げかける若者にキレたエレ・マリャはマーキングナイフで襲いかかるものの、反撃に遭って、トナカイのように耳を傷つけられてしまうわ、優しい先生に進学を相談したら「サーミ人の脳は文明が理解できないから無理よ 川`∀´) カエレ!」とアッサリ却下されるわと、超やるせないのです (ノω・、し クヤシイ
妹と一緒に移牧学校で学ぶエレ・マリャ(中央)。優秀だったんですが…。
あからさまに差別されたり…。
屈辱的な身体検査をされたりするから、ゲンナリですよ。
だがしかし! ふと、エレ・マリャが外に干してあった先生の服を着てみた時、通りすがりの若者たちがサーミ人だと知らずに「君もお祭りにおいでよ!ヘ(゚∀゚*)ノ」なんて誘ってくれたということで! エレ・マリャはスウェーデン人になりすましてお祭りに参加。イケメンのニクラスに接触すると、「クリスティーナ」という先生の名前を名乗りまして。そのまま「初めてのキス→初めてのセックス!(`Д´)人(`Д´し ウォォォォ!」に雪崩れ込むかと思いきや、妹と“先生の家政婦っぽい人”がやってきちゃって、つかの間の夢は終了。とは言え、エレ・マリャはサーミ人をやめる気マンマンであり、妹から「スウェーデン人を気取ってマジ、あんたサーミ人の恥、救えねぇアタシ、投げる匙 川 ゚д゚)、ペッ」と攻撃的に韻を踏まれると、「サーミ人の原始な生活、先見えなすぎてカツカツ、ウソつき泥棒との血縁、切ってつかむ人生の大団円!(`Д´;し アバヨ!」とアンサーを返し、寄宿学校を飛び出してニクラスの家に押しかけるから、行動力あるなぁと。
祭りでのニクラスとの出会いと別れは「シンデレラ」のようでありつつも、ハッピーエンドにはならないというね。
ところが、ニクラスはカラダ目当てであり、クリスティーナと名乗る彼女がサーミ人だと知るとアッサリ塩対応。エレ・マリャは単身でスウェーデン人の学校に潜入→ボンヤリと馴染んでみるも、今度は入学金が必要ということになって。お金を借りるべく、またニクラスの元を訪ねてみると、見世物にされた挙げ句、2回目の塩対応。仕方なく実家に帰って、学校に行くお金を無心してみれば、母親の猛反対にあうも、翌朝、自分のトナカイを殺すエレ・マリャを見て、母親は父親の形見である銀のベルトを渡した…と、ここまでが少女時代のKA-I-SO-U!m9`Д´し ビシッ いろいろと思い出してしんみりした老婆エレ・マリャは、妹の遺体に寄り添って、「ルーツを捨てたアタシ、間違ってなかったしかし、忌々しかったサーミの血、今振り返れば違う価値、あなたの優しい想い、応えられなかった罪重い… (ノω・、し ユルシテ...」とラッピン。ヒールを履いたまま、故郷の山を登ってみるのでしたーー。
最終的には、こんな感じで故郷を見つめてました。
「ラップランド」という言葉からの安易な思いつきで、あらすじにクオリティの低いラップを無理矢理絡めたことについては、「なんであんな文章書いちゃったんだろう… (ノω・、) アタシッテホントバカ」と後で悔やむとして(とは言え、宇多丸師匠もラップの映画だと勘違いして観た可能性も!?)。恥ずかしながら、僕はサーミ人のことをまったく知らなかったんですが…。本作で描かれる“優しさでコーティングされた蔑視”は本当に非道いなぁと。日本におけるアイヌ差別を連想したというか。エレ・マリャがニクラスの家でヨイクを歌わされる場面とか、キツすぎて劇場を出たかったです。
この女性、まったく悪気がない分、恐ろしくタチが悪かったですな… (`Δ´;) ウーム
ただ、本作の面白いところは、主人公エレ・マリャの心が折れないこと。彼女は“サーミ人としての自分”を捨てて「クリスティーナ」になるべく、周囲から笑われようと蔑まれようと、メソメソと泣いたりせず、次々と思いつくままに行動していきまして。なんて言うんですかね、僕的にはそのガッツに超グッときたんですよね… (ノДT) ガンバッタ そもそも「ルーツを捨てる」という行為は「悪いこと」と思われがちですけど、そんなの個人の自由であって。僕が「家業を継ぐ」といったことと無縁で生きているせいかもしれませんが、親や地域が押しつけてくるものなんて、捨てたければ捨てればいいじゃないですか。スウェーデン文化に単身で乗り込んで努力して教師になり、スウェーデン人と結婚して、性格が良さそうな息子を産み育てて、さらに可愛い孫までできたんだから、彼女の選択は正しかったワケで。むしろ、サーミ人をディスることで精神のバランスを保っていたことから顕著なように、あんな老婆になるまで“その人生”に負い目を感じてほしくなかったというか。「それはそれ!m9`Д´し ビシッ」と消化して、もっと若いころに里帰りすれば良かったのに…なんて感想はダメですカネー (´∀`;) ジシンナシ
なんとなく柴千春の名言を貼っておきますね。
ううむ、我ながら何を書いているのかサッパリになってきました。何はともあれ、アマンダ・ケンネル監督はサーミ人の血を引いているそうで、主演姉妹(ガチの姉妹だとか)他、出演者にちゃんとサーミ人を起用したりとか、かなりこだわって本作を作っていて。そういう姿勢は好感が持てるし、勉強になった上に考えさせられたし、実に良い映画体験でしたヨ (・∀・) ヨカッタ! なんか本作と『リベリアの白い血』は、同じ「血や過去から逃れようとする話」ながらも、違う味わいのある作品だったのでね、見比べてみるのも良いかもしれないし、良くないかもしれないな(突然、優柔不断な着地)。
サーミ人が出てくる感動のドラマっぽい。未見でございます。
サーミ人の歌手、マリヤ・モッテンソンのアルバムをなんとなく貼っておきますね。
スウェーデンと聞くと最初に連想する男、ドルフ・ラングレン主演作。僕の感想はこんな感じ。
ちょっと連想した入江悠監督作。僕の感想はこんな感じ。
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サーミの血(ネタバレ)
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