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パティ・ケイク$(ネタバレ)

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パティ・ケイク$



原題:Patti Cake$
2017/アメリカ 上映時間109分
監督・脚本・音楽:ジェレミー・ジャスパー
製作:マイケル・ゴットワルド、ノア・スタール、ホドリゴ・テイシェイラ、ダン・ジャンビー、ダニエラ・タップリン・ランドバーグ、クリス・コロンバス
製作総指揮:ロウレンソ・サンターナ、ソフィー・マス、エレノア・コロンバス、ジョシュ・ペン、ジョナサン・ブロンフマン、ロン・モルナー、フェルナンド・フライア、ビル・ベネンソン
撮影:フェデリコ・チェスカ
衣装:ミヤコ・ベリッツィ
編集:ブラッド・ターナー
出演:ダニエル・マクドナルド、ブリジット・エバレット、シッダルタ・ダナンジェイ、ママドゥ・アティエ、ワス・スティーブンス、サー・ンガウジャ、MCライト、キャシー・モリアーティ、マッコール・ロンバーディ
パンフレット:★★☆(650円/売ってくれただけありがたいけど、この内容でこの値段は少し高いような)
(あらすじ)
ニュージャージーで飲んだくれの母や車椅子の祖母と3人で暮らす23歳のパティ(ダニエル・マクドナルド)は、憧れのラップ歌手O-Zのように音楽で成功して地元から抜け出すことを夢見ていた。しかし現実は金も仕事もなく、周囲からは見た目を嘲笑されるつらい日々。ある日、駐車場で行われていたフリースタイルラップバトルに参加した彼女は、渾身のライムで対戦相手を破り、諦めかけていた夢に再び挑戦するべく立ち上がる。そんな彼女のもとに、正式なオーディションに出場するチャンスが舞い込んでくる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




97点


今年の4月28日に公開された本作については、それほど興味がなかったんですが、しかし。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」のリスナー推薦枠に選ばれましてね。昨年までは課題作品だけ足を運んでいたんですけど、今年からはリスナー推薦枠に選ばれた映画も観ることにしたということで! 上映スタートから1ヵ月以上経った6月上旬、「仕方ねぇな」顔でヒューマントラストシネマ渋谷での最終上映を観てみれば超ストライクな青春映画であり、サントラを即購入。2回目もまたなかなか観に行けなかったんですが(汗)、8月上旬、新たに公開が始まった厚木のアミューあつぎ映画.comシネマまで足を運んでみれば、やっぱり最高でしたYO!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!


ヒューマントラストシネマ渋谷には「劇場の人の映画紹介」が貼ってあるんですが…。


「金ナシ」「職ナシ」の人に熱心にオススメしていて笑ったり (´∀`) アラアラ


観客は半分ぐらい。この後、「モリーズ・ゲーム」「名もなき野良犬の輪舞」をハシゴしました。


こちらは厚木に行った日のGIF↓ 本作の後は新宿で「スウィンダラーズ」を観たのです。



お話を超ザックリ書くと、舞台はアメリカのニュージャージー。ホワイトトラッシュなムードが漂う23歳のパトリシア・ドンブロウスキー=パティ(ダニエル・マクドナルド)は、毒親バーブ(ブリジット・エバレット)と祖母ナナ(キャシー・モリアーティ)と3人で暮らしてまして。バーブがまったく頼りにならないので、場末のバーで働いて、家計&介護を一手に引き受けている超良い子なんですが、“太めのビジュアル”ということで、街の野郎どもにはダンボ!(`∀´)」とからかわれ、佐々木杏奈からは「ふとっちょブタ!川`∀´)」と罵られる日々ですよ(1つウソ)。ただ、ラップが大好きな上に才能もあるっぽいので、インド系の親友ジェリ(シッダルタ・ダナンジェイ)と仲良くラップをしたりしながら、スターを夢見ているのです。


パティとジェイがラップをするこのシーン、素敵すぎ!




で、憧れていた地元ラッパー・ダニー(マッコール・ロンバーディ)をサイファーでやりこめてからキスをしたら頭突きをされたり(中尾芳広選手vsヒース・ヒーリング選手を思い出しました)、ラップを録音しようとしたら大麻を吸って具合が悪くなって失敗したり、アンチクライストのバスタード(ママドゥ・アティエ)に頼み込んでトラックを作ってもらう&祖母のナナも加えてPBNJを結成したり、紹介してもらったケータリングの仕事で認められたり、その仕事先で憧れの“ラップの神様”O-Z(サー・ンガウジャ)にフリースタイルをかましてCDを渡してみれば「お前は偽物だし、バーテンがお似合いだ ( ▼д▼) カエレ!」と塩対応された上にクビになったり、ストリップバーでのライブ中に逃げ出したり、バスタードと性的な一夜を過ごしたり、ナナが亡くなったりと、いろいろあった挙げ句にラッパーの道を諦めようかと思いきや! 仕事先でCDを渡したDJフレンチティップス(MCライト)の計らいで、新人コンテストに出場できることになって、母親がバンド時代に作ったデモ曲「Tuff Love」HIP-HOPにアレンジしてステージで披露してみれば、彼女たちを舐めていた観客にウケたので、母子ともに大満足 川´∀`)(´∀`し ヤッタネ! 優勝はできなかったものの、ラジオでPBNJの曲が流れたので、パティとジェリとバスタードったら大はしゃぎで映画は終わってましたよ、たぶん。


劇中で作られるPVを貼っておきますね↓




映画を観た多くの方が“女性版「8マイル」とか“アメリカ女性版「SR サイタマノラッパー」とか思っただろうし、そこに関しては僕も「ワシもじゃ、みんな!! (T∀T)」と徳川光成気分。要は、宇多丸師匠が言うところの「負け犬たちの『ONCE AGAIN』ムービー」だからさ、そりゃあハートに「直撃!地獄拳」ですよ。しかも、こういう話は主人公の設定が大変であれば大変であるほどグッとくるワケですが、パティが「ホワイトトラッシュ」なだけでなく「デブの女性」というあたり、“マッチョ寄りなHIP-HOPの世界”ではよりマイノリティっぽいしさぁ。さらに母親バーブが強烈で、「血は酒より濃い」とか「姉妹みたい」といった発言がとにかく気持ち悪いし、「バンドでデビューするはずだったのに、アンタの父親のせいで妊娠して人生がダメになった」みたいなことを娘に言うのが信じられないし(「アンタの父親のせいで〜」は僕も母親から何度も何度も言われましたが、マジで子どもには言っちゃダメ絶対!)、何よりも家計が娘頼りなのが最悪だしと、毒親の鑑みたいな女なのでね(暴力を振るわないのがマシ程度)、もうね、全編涙を流しながらパティを応援した次第。


家計を支えるため日々頑張るパティ(勤労の大切さは「8マイル」でも描かれてましたな)。


ところが、近所のクソ野郎に嘲られたり…。


母親にもいちいち文句をつけられたりと、あんまりなのでした (iДi) アンマリダー



役者さんは全員完璧でして。パティ役のダニエル・マクドナルドはラップとニュージャージー訛りを猛特訓したそうですが、本当にキュートでね…(しみじみ)。あの愛くるしさは、誰もが応援したくなるのではないでしょうか。毒親バーブ役のブリジット・エバレットも素晴らしかった! あの絶妙に荒んだビジュアルとパワフルな美声には「この人、確かに昔は美人歌手だったんだろうな…」と思わせる説得力があったし、弁明の余地がないクソ親なんだけど、「“成功”が目の前だったのに挫折したことから今も逃れられない」という苦悩を見事に体現していて、それほど憎めなかったりもするという不思議(そもそも「ナナの医療費」のために貧困に陥ったっぽいし)。その他、ナナ役のキャシー・モリアーティ、“超イイ奴”のジェリを演じたジッタルタ・ダナンジェイ、バスタード役のママドゥ・アティエなど、みんな良かったです。あと、劇中で使われるオリジナル楽曲がまた最高で、パティがラップする曲の数々が良いのはもちろんのこと、母親バーブが若いころに歌ったという設定の曲「Tuff Love」の“その時代っぽさ”が結構好きだったり。


パティ役のダニエル・マクドナルド、今後も頑張ってほしいですな。


ブリジット・エバレットもスゴかった。このシーン、パティがウットリしちゃうのが「歌う母親は好き」なのが伝わって大好き。



パティが妄想の中でラップする曲のPVを貼っておきますね↓




なんかね、本作にはいろいろと考えさせられました。パティはいつも鏡に向かって「私の人生は最高」とか「アンタはイイ女」とか自分に言い聞かせるんですが、それは逆境にいることを自覚しているからこそ己を日々鼓舞しているワケで。こういう心掛けって大事だよなぁと。それと、大麻を吸う=虚勢を張って失敗したりとか、O-Zに嫌われたりとか、「認められたかったのに、しくじった (ノω・、し グスン」というシーンはね、僕だって仕事やら何やらが重なって、胸が痛かったけれども。O-Zに対しては失敗でも、DJフレンチティップスにCDを渡したのは成功だったりと、ジェリが「自信を持て、マイナス思考は心の毒だ」と励ましたように、ネガティブになっていたら何も始まらないんですよね。あらためていろいろと頑張ろうと思った45歳の夏なのでしたーー(突然、「きょうのわんこ」風に)。


こうやって自分に言い聞かせるのって、地味に効いてくるような気がします。



ふと、映画仲間のarea49さんに教えていただいた動画を思い出したり↓ アタシ、もう一度頑張ってみる!




それ以外では「娘が落ち込んでいる時は、ナナのように『スーパースター、あんたならできるよ 川´∀`)ノ(ノω・、し グスン』と優しく励まそう」なんて夜空に誓ってみたりしたんですが、それはそれとして。唯一の不満点を書くと、娘が親の曲を使って「ドンブロウスキーは諦めない!川`Д´)ノ」とラップして励ますクライマックス自体は良いとしても、母親にマイクを差し出して歌わせるのは「ナシ」じゃないかなぁと。そりゃあ感動的ではあるものの、僕がもし観客としてあの場にいて“あの身内感”を目の当たりにしたら「何やってんの?(゚⊿゚) ダレ?」とスゲー萎える気がしたんですよね…(ステージに上がらないからよく見えないし、とは言え、ステージに上がられても意味不明だし)。


クライマックスのライブシーン、感動はしたんだけどなぁ… (・ε・) ウーン



って、些末な文句を書いちゃいましたが、ジェレミー・ジャスパー監督は、病気の祖父母の看病をしながらライブの営業で食いつないだりしていた自分の経験を脚本に反映させたそうで(パンフ情報によると、大学の同級生であるベン・ザイトリン監督に励まされて、19日間で脚本を書いたとか)。そういったエピソードも泣けてくるし、ううむ、「カメラを止めるな!」さえなければ、年間ベスト級に好きな作品なのは間違いないのです。これ、リスナー推薦枠に応募した方には感謝だし(名前が読まれなかった)、本職の宇多丸師匠の評も聞いてみたかったなぁ(ラップのスキルとかフィクション・ラインとか)。なんとまだ神奈川県逗子市にあるシネマアミーゴでは8月19日から上映されたりするし、宮崎の宮崎キネマ館では現在上映中だし、大分の日田リベルテでは9月8日から公開されるのでね、気になる人はぜひ観てみてくださいな (o^-')b オシマイ!




デジタル盤のサントラ。映画が好きな人はマストバイ!m9`Д´) ビシッ



連想した映画、その①。ドラマ版のBlu-rayを買うほどに好きです。



連想した映画、その②。あの“節操のない女”が死なないのが唯一の不満。



ジェレミー・ジャスパー監督の大学の同級生が撮った作品。僕の感想はこんな感じ








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