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Channel: 三角絞めでつかまえて2
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ザ・バニシンング 消失(ネタバレ)

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※本作はネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、未見の人は観てから読んで!




ザ・バニシンング 消失



原題:Spoorloos
1988/オランダ、フランス 上映時間106分
監督・製作・脚本:ジョルジュ・シュルイツァー
製作:アンヌ・ロルドン
原作・脚本:ティム・クラッベ
撮影:トニ・クーン
音楽:ヘンニ・ブリエンテン
出演:ベルナール=ピエール・ドナデュー、ジーン・ベルボーツ、ヨハンナ・テア・ステーゲ、グウェン・エックハウス
パンフレット:★★★(500円/薄いけど、安いし、高橋諭治さんのコラムが良かった)
(あらすじ)
オランダからフランスへ車で小旅行に出がけたレックスとサスキアだったが、立ち寄ったドライブインで、サスキアがこつ然と姿を消してしまう。レックスは必死に彼女を捜すが手がかりは得られず、3年の月日が流れる。それでもなお捜索を続けていたレックスのもとへ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始める。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※今回の記事は「イングロリアス・バスターズ」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「キル・ビル Vol.2」「失踪」のネタバレに触れているので、気をつけて!

僕には「観た気になっている映画」というのがよくあって、本作はその1本でして。たぶんこれとかこれとかこれとかこれあたりが勝手に一緒になっていて、本作をすっかり観た気分だったんですが…。1988年の作品ながらも「日本公開されるのは今回が初」ということで公式サイトをチェックしてみれば「観たことなかった!Σ(゚д゚ )」と今さら気付きましてね(微笑)。昨年公開された「恐怖の報酬」もそんな感じで観に行ってみたら「映画秘宝」の年間ベストに挙げる級だったのもあって、急遽観ることに決定。6月13日、横浜のシネマ・ジャック&ベティにて、「魂のゆくえ」とハシゴ鑑賞いたしました。「これは胸糞悪い!(°∀°)b オミゴト!」と感心しましたよ。


SCREENジャック、半分ぐらいは埋まってたような気がします。



驚くほどあらすじを雑に書いておくと、旅行中、サービスエリアで、レックス(ジーン・ベルボーツ)の恋人サスキア(ヨハンナ・テア・ステーゲ)が失踪しましてね。そのまま3年間が経過しつつも、レックスが諦めずにサスキアの行方を捜していたら、サスキアを拉致したという男、レイモン(ベルナール=ピエール・ドナデュー)が登場。「私についてくれば、彼女がどうなったかわかりますよ ( ´_ゝ`)」というから、レックスは渋々ついて行くと、サスキアの失踪現場に到着しまして。さらに「この睡眠薬入りのコーヒーを飲めば、彼女がどうなったかわかりますよ ( ´_ゝ`)」なんて言うから、悩んだ挙げ句にコーヒーを飲み干してみれば、棺桶に入れられて生き埋めにされたのでした ┐(´ー`)┌ ザンネーン


旅をしていたら、レックス(右)の恋人サスキアが失踪しましてね。


3年後、彼女を誘拐したというレイモン(右)が登場。言う通りにしたら生き埋めにされたというね… ('A`) イヤーン



いや〜、単なる「失踪モノ」かと思いきや、スゲーよくできた“底意地が悪い映画”でしたな。本作は、僕が書いた雑なあらすじだけでなく、それと同時に犯人レイモンの「どうやって拉致をするか?」を準備するトライ&エラーが描かれてまして。それらの描写がなかなか不気味ながらもユニークだったりするし、ちゃんと伏線になっていたりもするから、見事だなぁと。あと、宇多丸師匠が「誰にでも大なり小なり覚えがあるだろう『何気ない選択が招いた取り返しのつかない喪失と悔恨』を描いているからこそ、この映画はここまで忘れ難いのだと思う」なんてコメントをされていたんですが、「まさにその通り!m9`Д´) ビシッ」というか(尻馬に乗った文章)。レイモンも予期していなかった偶然に偶然が重なってサスキアが選ばれてしまう展開とか、好奇心に勝てずにレックスがコーヒーを飲んでしまうくだりとか、「人生が厭な方に転がっていくさま」を具体的に映像化した感があって。そしてもちろん、あの「生き埋めエンド」に関しては驚くほど厭な気分になったんですが、しかし。


面白かったものの、あまりに酷いラストなので、こんなグレート巽気分にもなりましたよ(「餓狼伝」より)。



それと同時に『キル・ビル Vol.2』の元ネタはこれか!Σ(゚д゚;)」と。クエンティン・タランティーノ監督作の中でも、「キル・ビル Vol.2」はかなり好きな方で、特に生き埋めにされた主人公がワンインチパンチ(寸勁)で脱出するシーンをこよなく愛していたんですが、どう考えても本作からの引用じゃないですか(たぶん当時、そこを指摘するレビューもあったんじゃないかしらん)。ただ、タランティーノ監督はシーンを再現するだけでなく「主人公が自力で脱出する」という改変を加えているワケで、「イングロリアス・バスターズ」の「ヒトラーを殺すラスト」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の「マンソン・ファミリーを殺すラスト」などの「歴史改変エンド」「キル・ビル Vol.2」から始まっていたのでは…なんて思ったり。ちなみにジョルジュ・シュルイツァー監督自身によるハリウッドリメイク「失踪」も鑑賞したんですけど、これがまた取って付けたようなハッピーエンドを迎えてましてね(主人公は生き埋めになるも、新しい恋人が助けてくれて、彼女と結ばれる)。ちょっとバカバカしいながらも、それなりには楽しかった次第。


「キル・ビル Vol.2」の脱出シーン↓ 大好きです (´∀`) アイシテル




なんて言うんですかね、いわゆる「失踪モノ」って、失踪した真相がわかってからエンタメ展開に入ると、ちょっと失速しちゃう感があるじゃないですか(例えば、僕はカート・ラッセル主演の「ブレーキ・ダウン」が大好きだけど、後半はやっぱりテンションが少し下がる)。でも、本作は「真相発覚とともに終了」なので、そこもまた衝撃を受ける理由なんだろうなぁと。何はともあれ、「絶賛されるだけのことはある」と感心しましたが、とは言え、レイモンの名前と住所を押さえた時点で警察に通報すれば良い気がしたし、そもそも本作のレイモンのような達観ヅラをした犯罪者は大嫌いなので、なんとなく80点という乱暴な着地。劇場公開が終わってしまった現在、なかなか観るのも大変かもしれませんが(汗)、気になる人はチェックしておくと良いザマス。




ジョルジュ・シュルイツァー監督によるハリウッドリメイク。それなりには楽しかったけど… (・ε・) ウーン



この手の「失踪モノ」で好きなカート・ラッセル主演作。



ジョルジュ・シュルイツァー監督の最後の作品であり、リヴァー・フェニックスの遺作だとか (゚⊿゚) ヘー



このライアン・レイノルズ主演の“ワン・シチュエーション・スリラー”も本作が元ネタだったのね。



低予算ながらも非常に頑張ってる三宅隆太監督作。観てみて!m9`Д´) ビシッ









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