ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!
原題:First Position
2011/アメリカ 上映時間94分
監督・製作・編集:ベス・カーグマン
製作総指揮:ローズ・カイオラ
撮影:ニック・ヒギンズ
編集:ケイト・アメンド
音楽:クリス・ハジアン
出演:アラン・ベル、ミケーラ・デ・プリンス、ジョアン・セバスチャン・ザモーラ、ミコ・フォーガティ、ジュールズ・ジャーヴィス・フォーガティ、レベッカ・ハウスネット、ガヤ・ボマー・イェミニ
(あらすじ)
ローザンヌ国際バレエコンクールと並ぶ世界最大級のバレエコンクール、ユース・アメリカ・グランプリに挑む若きダンサーたちにスポットを当てたドキュメンタリー。自身も幼少時代をバレエに捧げた経験を持つ女性ジャーナリストのベス・カーグマンが監督を務め、ニューヨークで開催される最終選考に出場する6人に密着。撮影・編集に2年の歳月を費やし、個性豊かな子どもたちの素顔や家族のドラマを浮き彫りにしていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
89点
確か「危険なメソッド」を観た時に予告編を見たら、非常に心を掴まれまして。「バレエに打ち込んできた若者たちが、コンクールを目指して努力するドキュメンタリー」なんですけど、なんとなく僕が大好きな「アメリカン・ティーン」のバレエ版みたいな感じがしたんですよね。あと、ウチの奥さん的には娘のマナ子(1歳5ヵ月)に「姿勢が良くなるからバレエを習わせたい!ヽ川`Д´)ノ」という欲求があるらしく、そういう視点からも気になりまして。そこそこの期待を抱いてBunkamura ル・シネマに行って来たんですが、僕にはスゲー眩しかったです… (ノД`)
こんな風に記事の切抜きが貼られていましてね。
この展示は何かと思いきや…。
なんと出演者への応援メッセージが貼れて、ホームページで紹介されるそうです。
観てみたら、結構期待通りというか。善良かつ情熱的な少年少女たちが、理解ある人たちに支えられて、ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)で①賞をゲット②奨学金をゲット③プロからスカウトといった栄光を獲得すべく、血が滲むような努力の日々を送り、いざ本番に臨むんですね。主要登場人物は下記の通り↓
米国海軍軍医の息子アラン(11歳)。父の転勤にもめげず、バレエ学校に片道2時間かけて通う頑張り屋さん。
イスラエルの少女ガヤ(11歳・左)。アランと仲良くなって、YAGPにチャレンジすることに。
西アフリカ出身のミケーラ(14歳)。内戦で孤児としてハードに生きてたところ、アメリカの夫婦の養子に。
南米コロンビア出身のジョアン(16歳)。家族の援助を受けながら、ニューヨークにバレエ留学中。
裕福なアメリカン女子高生レベッカ(17歳)。プロのバレエ団からスカウトされるのが夢の“プリンセス”。
イギリス人実業家と元ピアニストの日本人のハーフ少女ミコ(12歳)。彼女だけでなく、母親の熱意もスゴかったりする。
ちなみにその弟ジュールズ(10歳)もバレエをやってたものの、断念。「だったら、ハーバードかMITに入れ!ヽ川`Д´)ノ」と母に言われてました。
もうね、どの子たちも超魅力的に撮られてて、スムースに「頑張って!ヘ(゚∀゚*)ノ」と感情移入しちゃうんですけど、凄まじくグッときたのがミケーラのエピソード。西アフリカ・シエラレオネの孤児院出身の黒人少女ミケーラは、内戦で死体を見るのが日常茶飯事な生活をしており、孤児院が襲撃された際には両手足を切られた先生の姿を目撃したなど、とにかくヘビーな過去の持ち主。さらに肌に白斑があるのを疎まれて、養子の貰い手もいなかったところ、なんとその事情を聞いたアメリカのプリンス夫妻が引き取ってくれまして。夫妻ったら、彼女の肌に合わせるためにバレエの衣裳の白いヒモの部分を茶色く塗ったりとか、愛情たっぷりであり、その思いやり描写だけでも超泣けるんですよね…… ( ;∀;) イイハナシダナー
戦災孤児というバックボーンが凄まじすぎるミケーラ。そういう子どもを引き取って育ててるプリンス夫妻も偉い!ヽ(`Д´)ノ 100テン!
そんなミケーラがハングリーに頂点を目指していたところ、YAGPのファイナルの直前にアキレス腱を痛めてしまって。歩くのもままならないというか、スゲー痛そうで、「ああん、アキレス腱が切れたら元も子もないんだから、今回は棄権した方がいいYO!ヽ(´Д`;)ノ デチャダメ!」なんて思ってたんですけど、本番ではダイナミックなダンスを披露しちゃうんだから、全僕が号泣しながらスタンディングオベーション!ヽ(TДT)ノ あの瞬間はね、世界中の人たちが何と言おうとも、お父さんの中では100点満点だったぞ!(o^-')b ナンダコレ
この見事なダンスシーンは涙ナシでは観られませぬ… (ノДT) ガンバッタネ-
ジョアンもね、良かった。雄度の高い国コロンビアでは「バレエをやるような女々しい男は舌を噛んで死ね!(`Δ´)」と蔑まれてバレエダンサーにはなれないと(誇張アリ)、単身ニューヨークに留学させられるものの、実家はあまり裕福じゃなくて。今回のYAGPで奨学金をゲットできないと、最悪、断念させられることもありうる状況なんですよ。というか、断念させられなくても、家族想いのジョアンはこれ以上の負担をかけたくないから、ホームシックに耐えながらも、夢と家族のために努力を続けるという美しさ!ヽ(`Д´)ノ エライ!
己の16歳当時を振り返ってみれば、単に受験勉強をしなかったために低レベルな私立高校に入ってしまい、母親に仕事を掛け持ちするほどハードな負担を強いてしまったにも関わらず、偉そうにクソババア呼ばわりしてたという醜悪さであり、できるのならあの頃の自分を呪殺したいのだけれども、そうすると可愛い娘マナ子が生まれないから(タイム・パラドックス!?)、せめて写経をしながら過ごす日々というね…(明らかなウソ)。このジョアンのパートはね、「僕もこんな16歳だったのなら!ヽ(TДT)ノ」と泣きながら観てましたよ…。
クライマックスでは、ジョアンも鮮やかな演技を見せてました (´∀`) ヨカッタネ
終盤の展開を簡単に書いておくと、全員がファイナルに進出しまして(工夫のない文章)。で、ほとんどが賞なり奨学金なりをゲットするというね (・∀・) オメデト! 特にミケーラとジョアンが奨学金を手にして、有名なバレエ学校に通えるようになったのは、心底ホッといたしました。唯一、レベッカだけは賞も獲れず、スカウトもされず、「苦いオチですな… (´・ω・`) カワイソウ」と思いきや! エンドクレジット中に「2ヵ月後、プロのバレエ団にスカウトされました」なんてテロップが出るんだから、「なにこの全員ハッピーエンド!∑(゚Д゚)」とビックリしたり。
ベス・カーグマン監督がバレエ経験者で、そのジャンルに対して深い愛情と理解があるからなのかもしれませんが、ダンスシーンが非常に魅力的に撮られていたのが印象的で。あと、ちゃんとダンサーたちの肉体的な強さや厳しさ、そして“バレエあるある”っぽい場面も映していて、そういう点も面白かったです。特にあの鍛え抜かれてボロボロになったツマ先を見せる場面では感じるところがあったというか、「あのツマ先で蹴りを入れたら…?」と考えると、極真空手の創始者・大山倍達先生が提唱されていたダンサー最強説もあながちオーバーな話ではなさそうな気がいたしました。
この過酷なトレーニングで鍛えられたツマ先を見て…。
愚地独歩が天内悠に足先蹴りを放ったシーンを思い出したのは僕だけじゃないハズ!
「鍛え抜いたツマ先は刃物と同じ効果を持つ」ということでね、バレエダンサー、侮れないかもしれませぬ… (゚д゚;) ゴクリ
それと、こういう移動シーンとか、“バレエあるある”って感じで良かったですな。
ちょっとだけ不満を書くのなら、こういうテーマの映画って「光と影」「明と暗」「北斗と南斗」がクッキリと分かれる“人生の苦さ”が良かったりもするじゃないですか(1つ間違い)。いや、ドキュメンタリーだし、仕方ないんですけど、しっかり努力する天才&善良にバックアップするその家族という、あまりに真っ当すぎる人たちが成功をゲットして行く様子だけだと、僕にはスゲー眩しいというか、あまりに眩しすぎて、最後の「全員ハッピーエンド」には「ああん、良かったじゃない!(T∀T)」と大泣きしつつも少し冷めたという面倒くさい心境(とは言いつつも、あくまで全員が過酷なバレエ人生のスタート=「ファースト・ポジション」にやっと立ったとも言えるワケですがー)。
でも、まぁ、それは僕がひねくれたクズ野郎なせいであり、とりあえず良いドキュメンタリーなのは間違いないので、興味がある方は劇場にぜひ! Bunkamura ル・シネマの場合、火曜日&“日曜日の最終回”は1000円で観られますぞ。ちなみに僕的には親も子も大変そうなので、あまりマナ子にバレエは習わせたくないなぁと思いました(ヌルい親)。
大好きな青春ドキュメンタリー。まぁ、この映画もある意味、「全員ハッピーエンド」なんだけどね。
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バレエ映画というと、やっぱりこれが有名なんでしょうかね。
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何でも思いつめすぎると危険だと教えてくれたバレエ映画も貼っておきますね。
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