彼らは生きていた
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原題:They Shall Not Grow Old
2018/イギリス 上映時間99分
監督・製作:ピーター・ジャクソン
製作:クレア・オルセン
製作総指揮:ケン・カミンズ、テッサ・ロス、ジェニー・ウォルドマン
編集:ジャベツ・オルセン
音楽:デビッド・ドナルドソン、ジャネット・ロディック
出演:第一次世界大戦で戦った人たち
パンフレット:★★★★☆(400円/薄いけど安いのでノー問題。山崎貴監督というコラムの人選がイイ!)
(解説)
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー。第1次世界大戦の終戦から100年を迎えた2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と帝国戦争博物館の共同制作により、帝国戦争博物館に保存されていた記録映像を再構築して1本のドキュメンタリー映画として完成。2200時間以上あるモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の記録映像にを修復・着色するなどし、BBCが保有していた退役軍人たちのインタビューなどから、音声や効果音も追加した。過酷な戦場風景のほか、食事や休息などを取る日常の兵士たちの姿も写し出し、死と隣り合わせの戦場の中で生きた人々の人間性を浮かび上がらせていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
100点
そりゃあ、ピーター・ジャクソン監督作はいつもそれなりにチェックしているんですが、今回は「第一次世界大戦を扱ったドキュメンタリー」ということで、あまり興味がなくて(苦笑)。ブログの感想も溜まっているし、スルーしようと思っていたんですけれども。「アニエスによるヴァルダ」をシアター・イメージフォーラムで観た時に満員御礼になっていたのを目撃して、一気に「気になるアイツ (・ε・)」状態になってしまった…というミーハーなアタシ。まぁ、ちょうど同じ時代が舞台の「1917 命をかけた伝令」も公開されるということで、実家に泊まった翌日の2月27日(木)、シネマ・ジャック&ベティにて、メンズデー割引を利用して「イーディ、83歳 はじめての山登り」と連続鑑賞いたしました(その後、「ダゲール街の人々」と「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」と「チャーリーズ・エンジェル」をハシゴ)。凄まじかったです… (`Δ´;) ヌゥ
木曜日のgif。スクリーン・ベティ、観客は35人ぐらいでした。
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もうね、「スゴかった!ヽ(`Д´)ノ」なんて、小並感溢れる感想だけで終わっても十分な気がするんですが(汗)、とりあえず感想を書いておきますと。最初はいかにも昔っぽい映像からスタートするんですけど、開始20分過ぎにカラー化してから度胆を抜かれました。ううむ、なんて言うんですかね、今まで僕は「なぜ昔の映像は“昔っぽく”見えるのか?」ということを気にしたことがなくて。そこを突き詰めて考えてみると、たぶんモノクロなだけでなく、人間がシャカシャカと不自然な速さで動く様子をもって「昔の映像」と認定してたんだと思うんですよね。ただ、「マイナビウーマン」の「昔の映画は、ひとの動きが速いのはナゼ?」という記事を読めばわかるように、昔の人は現代人が使えていない脳の潜在能力を引き出して“神速”で動いていた…のではなく(不要なボケ)。1秒間に撮影できるのが16コマだったため、それを現在主流の「毎秒24フレーム」に当てはめるとギクシャクして見える→“妙な速さ”を感じさせられていたんですって (゚⊿゚) ヘー
で、本作ですよ。イギリスの帝国戦争博物館が保存する2200時間以上に及ぶ第一次世界大戦時の映像をピックアップして、傷や汚れを修復&カラー彩色しただけでなく。毎秒10〜18秒で撮影されていた映像に対して、デジタル技術で作り上げた「人工フレーム」を追加することによって、毎秒24フレームの映像に作り直したそうで。その結果、何が起こるのかというと、「最近、撮影した映画だよ (´∀`)」と言われても信じそうなレベルでリアルに見えるんですよ。ちょっとしたカルチャーショックというか、技術革新を目の当たりにした気分になったというか。もう僕はこの時点で「鞭打を食らった範馬刃牙」ライクなビックリ顔になったワケです。
念のため、「鞭打を食らった範馬刃牙」を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
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一応、ピーター・ジャクソン監督のインタビュー動画を貼っておきますね↓
シカモ! それによって何が起きたかって、今から100年以上前に生きた人々がスゲー身近に感じられたというか。第一次世界大戦のころなんてまったく想像できなくて、勝手に「あんなハードな戦争をするなんて、当時の人はよっぽど短絡的で粗野だったんでしょうな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」と思い込んでいたものの、「どこか牧歌的な訓練風景」とか「やたらと紅茶を飲む」とか「狙撃はできても人は殴れない」とか「『悪い兵隊さん!悪い兵隊さん!川`∀´)ノ』と娼婦にステッキで尻を打たれるプレイ」とか「ドイツ兵捕虜との交流」といった人間味溢れるエピソードの数々を目の当たりにすると、たぶん彼らも僕と全然変わらなかったんだなぁと。男同士の現場でキャッキャしているあたりは「ウチと同じね、仲良しね (´∀`) ウフフ」と機動隊にいたころを思い出したし、「私もサザエさん!ヘ(゚∀゚*し」「アナタもサザエさん!m9`Д´し ビシッ」気分になった…って、伝わりますかね(伝わりにくい文章)。
和気あいあいと演奏するシーンではホッコリさせられましたよ。
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となると、そんな「自分たちと変わらない人たち」が戦場で悲惨な目に遭う様子を見せられるのだから、本当にキツい。特に「生きている写真を見せた後にその人が無惨に死んだ写真を映す」という演出をバンバンやってくるのが大ダメージで(ここまで「本物の死体」を見せられた映画は初めてだったかも…)、結構ゲッソリいたしました。それと、そりゃあ昔の写真と映像、さらに音声も復員兵のインタビューなどから作り上げたドキュメンタリーなだけに、戦場描写のリアルさ&過酷さが半端ではなくて(西部戦線での戦闘だけでなく「丸太に座って大便をする→手で拭く」とか「寒さのせいで足が壊疽した(写真付き!)」といった生活面も超ハード)。「ねぇ、ダイアナは? ダイアナは助けにこないの!? (´Д`;) ネェ?」と、つい架空の世界
に思いを馳せたほど。ハッキリ言って、僕の中では「プライベート・ライアン」を越えて「戦争に行きたくなくなる映画」の1位にランクインしたし、「結局、戦場で生き残れるかどうかは運」ってことをあらためて感じた次第。
そして、素手で戦場を生き抜いた範馬勇次郎はスゴいなとも感じた…って、架空の世界でした(「グラップラー刃牙」より)。
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ただ、何よりも一番キツかったのは、兵役にまつわる男性社会の厭なムードですよ。まず、「戦争に行かないと臆病者と罵られる」ってのが「あるある〜 (・∀・)」というかさ。それなのに、映画のラストで描かれる「戦場から帰ってきたら冷たい目で見られた」とか「『ずっとどこへ行ってたんだ?』なんて言われて頭に来た」って話も男性社会のダメな部分がよく出ているなぁと(僕的には「戦争に行かなかった負い目」から、そういう対応をする人が出てくるんだと思う)。今の時代でも、自分の意に沿わない意見の人を「非国民」「売国奴」と罵る人がいたりするわけで、人間ってのは変わらないものなんでしょうかね…(それでも少しずつは良くなっていると思いたいけど)。一応、最後の展開を書いておくと、戦争が終わって地元に戻ってもあまり歓迎されなくて、みんなションボリした的なナレーションが流れてエンドクレジットに突入。テロップでピーター・ジャクソン監督の祖父が第一次世界大戦で従軍していたことが明かされて終わってましたよ、たぶん。
なんとなく尊敬する映画評論家の町山智浩さんの解説動画を貼っておきますね↓
その他、パンフのコラムに映像技術にこだわりのある山崎貴監督を起用したのは良い人選だと思った…というのはどうでも良いとして。そんなワケで、あまりの凄まじさにゲンナリしたものの、見事な戦争映画でしたよ。僕的にピーター・ジャクソン監督のベストは本作に塗り替えられたし、今年のベストムービーになりました。凄惨な写真が多いけど、ここまで戦争の凄惨さが伝わる作品もなかなかないと思うのでね、興味がある方は「1917 命をかけた伝令」とセットで観ると良いんじゃないかしらん(ちなみにanazonプライムビデオ
でも観られるヨ!(°∀°)b ヤッタネ!)。おしまい。
もうすでに配信されていたのでした。
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本作の舞台となる西部戦線を描いた名作。「就職戦線異状なし」
は観たことあるんだけどな…。
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ピーター・ジャクソン監督の前作。僕の感想はこんな感じ。
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第一次世界大戦が舞台となるアメコミ映画。僕の感想はこんな感じ。
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原題:They Shall Not Grow Old
2018/イギリス 上映時間99分
監督・製作:ピーター・ジャクソン
製作:クレア・オルセン
製作総指揮:ケン・カミンズ、テッサ・ロス、ジェニー・ウォルドマン
編集:ジャベツ・オルセン
音楽:デビッド・ドナルドソン、ジャネット・ロディック
出演:第一次世界大戦で戦った人たち
パンフレット:★★★★☆(400円/薄いけど安いのでノー問題。山崎貴監督というコラムの人選がイイ!)
(解説)
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー。第1次世界大戦の終戦から100年を迎えた2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と帝国戦争博物館の共同制作により、帝国戦争博物館に保存されていた記録映像を再構築して1本のドキュメンタリー映画として完成。2200時間以上あるモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の記録映像にを修復・着色するなどし、BBCが保有していた退役軍人たちのインタビューなどから、音声や効果音も追加した。過酷な戦場風景のほか、食事や休息などを取る日常の兵士たちの姿も写し出し、死と隣り合わせの戦場の中で生きた人々の人間性を浮かび上がらせていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
100点
そりゃあ、ピーター・ジャクソン監督作はいつもそれなりにチェックしているんですが、今回は「第一次世界大戦を扱ったドキュメンタリー」ということで、あまり興味がなくて(苦笑)。ブログの感想も溜まっているし、スルーしようと思っていたんですけれども。「アニエスによるヴァルダ」をシアター・イメージフォーラムで観た時に満員御礼になっていたのを目撃して、一気に「気になるアイツ (・ε・)」状態になってしまった…というミーハーなアタシ。まぁ、ちょうど同じ時代が舞台の「1917 命をかけた伝令」も公開されるということで、実家に泊まった翌日の2月27日(木)、シネマ・ジャック&ベティにて、メンズデー割引を利用して「イーディ、83歳 はじめての山登り」と連続鑑賞いたしました(その後、「ダゲール街の人々」と「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」と「チャーリーズ・エンジェル」をハシゴ)。凄まじかったです… (`Δ´;) ヌゥ
木曜日のgif。スクリーン・ベティ、観客は35人ぐらいでした。

もうね、「スゴかった!ヽ(`Д´)ノ」なんて、小並感溢れる感想だけで終わっても十分な気がするんですが(汗)、とりあえず感想を書いておきますと。最初はいかにも昔っぽい映像からスタートするんですけど、開始20分過ぎにカラー化してから度胆を抜かれました。ううむ、なんて言うんですかね、今まで僕は「なぜ昔の映像は“昔っぽく”見えるのか?」ということを気にしたことがなくて。そこを突き詰めて考えてみると、たぶんモノクロなだけでなく、人間がシャカシャカと不自然な速さで動く様子をもって「昔の映像」と認定してたんだと思うんですよね。ただ、「マイナビウーマン」の「昔の映画は、ひとの動きが速いのはナゼ?」という記事を読めばわかるように、昔の人は現代人が使えていない脳の潜在能力を引き出して“神速”で動いていた…のではなく(不要なボケ)。1秒間に撮影できるのが16コマだったため、それを現在主流の「毎秒24フレーム」に当てはめるとギクシャクして見える→“妙な速さ”を感じさせられていたんですって (゚⊿゚) ヘー
で、本作ですよ。イギリスの帝国戦争博物館が保存する2200時間以上に及ぶ第一次世界大戦時の映像をピックアップして、傷や汚れを修復&カラー彩色しただけでなく。毎秒10〜18秒で撮影されていた映像に対して、デジタル技術で作り上げた「人工フレーム」を追加することによって、毎秒24フレームの映像に作り直したそうで。その結果、何が起こるのかというと、「最近、撮影した映画だよ (´∀`)」と言われても信じそうなレベルでリアルに見えるんですよ。ちょっとしたカルチャーショックというか、技術革新を目の当たりにした気分になったというか。もう僕はこの時点で「鞭打を食らった範馬刃牙」ライクなビックリ顔になったワケです。
念のため、「鞭打を食らった範馬刃牙」を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。

一応、ピーター・ジャクソン監督のインタビュー動画を貼っておきますね↓
シカモ! それによって何が起きたかって、今から100年以上前に生きた人々がスゲー身近に感じられたというか。第一次世界大戦のころなんてまったく想像できなくて、勝手に「あんなハードな戦争をするなんて、当時の人はよっぽど短絡的で粗野だったんでしょうな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」と思い込んでいたものの、「どこか牧歌的な訓練風景」とか「やたらと紅茶を飲む」とか「狙撃はできても人は殴れない」とか「『悪い兵隊さん!悪い兵隊さん!川`∀´)ノ』と娼婦にステッキで尻を打たれるプレイ」とか「ドイツ兵捕虜との交流」といった人間味溢れるエピソードの数々を目の当たりにすると、たぶん彼らも僕と全然変わらなかったんだなぁと。男同士の現場でキャッキャしているあたりは「ウチと同じね、仲良しね (´∀`) ウフフ」と機動隊にいたころを思い出したし、「私もサザエさん!ヘ(゚∀゚*し」「アナタもサザエさん!m9`Д´し ビシッ」気分になった…って、伝わりますかね(伝わりにくい文章)。
和気あいあいと演奏するシーンではホッコリさせられましたよ。

となると、そんな「自分たちと変わらない人たち」が戦場で悲惨な目に遭う様子を見せられるのだから、本当にキツい。特に「生きている写真を見せた後にその人が無惨に死んだ写真を映す」という演出をバンバンやってくるのが大ダメージで(ここまで「本物の死体」を見せられた映画は初めてだったかも…)、結構ゲッソリいたしました。それと、そりゃあ昔の写真と映像、さらに音声も復員兵のインタビューなどから作り上げたドキュメンタリーなだけに、戦場描写のリアルさ&過酷さが半端ではなくて(西部戦線での戦闘だけでなく「丸太に座って大便をする→手で拭く」とか「寒さのせいで足が壊疽した(写真付き!)」といった生活面も超ハード)。「ねぇ、ダイアナは? ダイアナは助けにこないの!? (´Д`;) ネェ?」と、つい架空の世界
そして、素手で戦場を生き抜いた範馬勇次郎はスゴいなとも感じた…って、架空の世界でした(「グラップラー刃牙」より)。

ただ、何よりも一番キツかったのは、兵役にまつわる男性社会の厭なムードですよ。まず、「戦争に行かないと臆病者と罵られる」ってのが「あるある〜 (・∀・)」というかさ。それなのに、映画のラストで描かれる「戦場から帰ってきたら冷たい目で見られた」とか「『ずっとどこへ行ってたんだ?』なんて言われて頭に来た」って話も男性社会のダメな部分がよく出ているなぁと(僕的には「戦争に行かなかった負い目」から、そういう対応をする人が出てくるんだと思う)。今の時代でも、自分の意に沿わない意見の人を「非国民」「売国奴」と罵る人がいたりするわけで、人間ってのは変わらないものなんでしょうかね…(それでも少しずつは良くなっていると思いたいけど)。一応、最後の展開を書いておくと、戦争が終わって地元に戻ってもあまり歓迎されなくて、みんなションボリした的なナレーションが流れてエンドクレジットに突入。テロップでピーター・ジャクソン監督の祖父が第一次世界大戦で従軍していたことが明かされて終わってましたよ、たぶん。
なんとなく尊敬する映画評論家の町山智浩さんの解説動画を貼っておきますね↓
その他、パンフのコラムに映像技術にこだわりのある山崎貴監督を起用したのは良い人選だと思った…というのはどうでも良いとして。そんなワケで、あまりの凄まじさにゲンナリしたものの、見事な戦争映画でしたよ。僕的にピーター・ジャクソン監督のベストは本作に塗り替えられたし、今年のベストムービーになりました。凄惨な写真が多いけど、ここまで戦争の凄惨さが伝わる作品もなかなかないと思うのでね、興味がある方は「1917 命をかけた伝令」とセットで観ると良いんじゃないかしらん(ちなみにanazonプライムビデオ
もうすでに配信されていたのでした。
本作の舞台となる西部戦線を描いた名作。「就職戦線異状なし」
ピーター・ジャクソン監督の前作。僕の感想はこんな感じ。
第一次世界大戦が舞台となるアメコミ映画。僕の感想はこんな感じ。