原題:Line of Duty
2019/イギリス、アメリカ 上映時間99分
出演:アーロン・エッカート、コートニー・イートン、ジェシカ・ルー、ベン・マッケンジー、ディナ・メイヤー、ジャンカルロ・エスポジート
(あらすじ)
警察のもとに透明の箱に閉じ込められて泣き叫ぶ少女の映像が届いた。少女の命が64分しかないことを知った警官のペニーは、誘拐捜査の協力を申し出たネット配信リポーターのエイヴァとともに捜査を開始する。レポーターによる映像はSNSで拡散され、視聴者からも情報が寄せられるが、正しい情報と誤った情報が錯綜する。タイムリミットは刻一刻と迫っていく中、ペニーが関わったある事件が発覚する。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
50点
最近は「新作映画を観たらすぐに感想をアップする」という主義になっているので、本日は6月18日(木)に観た映画の感想を更新しておきますよ。もともとは全然チェックしてない作品だったんですが、たまたまTwitterのタイムラインに本作を褒めているツイートを見つけて、「『エンド・オブ・ウォッチ』みたいな警察官ムービーなのかな?」と興味が湧きましてね。仕事帰り、新宿三丁目の「フレッシュバーガー」で適当なバーガーを食べてから、新宿バルト9に行きまして。カフェオアゼでオレンジジュースを飲みつつ軽く仕事をしてから、復活した飲食物(「劇場版 SHIROBAKO」を観た時はホットドッグなどはまだ売ってなかった)を購入して鑑賞いたしました(「バルト9の夕方割」を利用したので1300円)。「なんてこった…ッッ (`Δ´;)」と思ったり。まぁ、あまり思い入れがないので、サックリした感想を書いておきますよ。
当日のgif。6番スクリーン、17人ぐらいはいたような。
僕の気持ちを代弁する米国FBI局長バート・アレンを貼っておきますね(「バキ」より)。
原題は「LINE of Duty」(「職務中の行動」とかそんな意味みたい)という本作のあらすじを簡単に書くと「“64分以内に助けないと水攻めで死んでしまう少女”(署長の娘)を助けるべく、誘拐犯を射殺して停職になった警官ペニー(アーロン・エッカート)と、ネット配信リポーターのエイヴァ(コートニー・イートン)が手を組んで、ネットで配信しながらオレ流捜査を繰り広げる」という感じなんですけれども。正直、期待しすぎちゃったなぁ… (`Δ´;) ウーン 僕が勝手に期待していた「エンド・オブ・ウォッチ」みたいなリアル寄りの警察映画(でも車載カメラなどで行動が記録される)的な話ではなくて、もっともっとフィクション感が強くて大雑把な「バディ系タイムリミットサスペンスアクション」であり、ううむ、ハッキリ言って、かなり乗れない部分が多かったです。
なんて言うんですかね、「警察の捜査をリアルタイムでネット配信したら面白くね?」とか「少女が死ぬまでのリミットを64分にしたらハラハラするんじゃね?」とか「昔ながらの頑固な警官と今どきの若い女性とのバディモノにしたら良いんじゃね?」とか「警官には子どもを射殺したトラウマがあったりすると良くね?」とか「犯人の動機に警察への復讐要素とか貧困要素とか加えたら社会派ムードじゃね?」とか「最後は配信を観ていた人たちの力で少女を救い出したら感動するんじゃね?」といった思いつきを実現させた結果、作品内リアリティがゼロになっている印象。僕も別に「リアルじゃないとダメ」だなんて思いませんけど、「自分たちがやりたいこと」のために犠牲にしている要素が多すぎて、映画として相当バカバカしくなっているんですよ。まず、根本的な話として、犯罪捜査をネットでリアルタイム中継したら、捜査の邪魔になる上に犯人がそれを見て行動する可能性が出てくるし、特に本作の場合は「リミット前に殺される可能性が高まるから絶対やっちゃダメ」ってことぐらいは製作者も分かっていると思うんですが…。面倒くさいので、本作のイラッとした部分を個条書きにしておきますね↓
① 誘拐犯制圧現場に登場して邪魔をする「仲の良い黒人の少年」(偶然にしてもさぁ…)
② 拳銃を抜いた犯人を射殺したペニーの唐突な停職処分(主人公たちが警察の助力を得られなくするためだと思うけど、現場でやらないでしょ)
③「娘への水責めシーン」を署長のPCに中継してたけど、彼女を映すカメラを設置するのは相当大変では(wifi環境とか照明とか)
④ 拳銃をエイヴァに突き付けるペニー(弾倉が空になっているにせよ、さすがに拘束されるレベルの問題行動では)
⑤ 犯人の逃走用車両に“自分たちのパスポート用写真”が入った住所付きの封筒がある(信じられない間抜けさ!)
⑥ 犯人の遺留品を見つけたのに無線などで同僚に報告しないペニー(署長に電話をガチャ切りされた程度で諦めるなよ)
⑧ 脇見運転で大事故を発生させるも、現場は放置するペニー
⑨ 人の家に入る際も勝手に撮影&配信しているエイヴァ(自分が住人だったらキレてる)
⑩ ペニーとのタイマンで自室を破壊しても気にしない、クリシェ全開の“オカマのマッチョ”バニー(ゲイリー・ピーブルス)
⑪ 自分の拳銃を署長に取られるから「銃器なし」で進む話なのかと思いきや、警察車両からスムースにゲット
⑫ 配信していたせいで、射殺された犯人の兄弟ディーン・ケラー(ベン・マッケンジー)が襲撃してきて、大量の犠牲者が発生
⑬ ペニーとディーンの対決中、武器も持たずに助けに来るエイヴァの足手まとい感
⑭ いくら水が溜まっているように見えても、エレベーターの昇降路にダイブするのはリスキーすぎでは
⑮ ディーンの武装を外しもせずに救急搬送した挙げ句、皆殺しにされる警察&救急隊員たち
⑯ ディーン兄弟が実家を相続した事実が、ネットを使えばスムースに判明(アメリカはそんなに情報がオープンなの?)
⑰ エイヴァの配信パートナー、クローヴァー(ジェシカ・リュー)の「マルチディスプレイ」を使いこなしてなさそう感(一台、モロにログイン画面だったような)
⑱ 時間、まだ20分も残ってるの?
⑲「貧困層で薬物中毒の妹が生き埋めになるも64分間放置されて死んだ」という、取って付けた感の強い“社会派”な復讐の動機
⑳ 犯人たちの目的が復讐なら、わざわざ身代金を要求する必要はなかったのでは?(捕まるリスクを自分たちであげる意味、ないよね?)
㉑ 仕掛けられたトラップが発動して爆発が起きるも、火事になる程度で壊れない頑丈なディーンの実家
㉒ ヘリコプター絡みのシーンでの背景合成感
㉓ 時間、まだ5分も残ってるの?
㉔ みんなで手で掘るより、スコップを持っている人に任せた方が早いのでは?
㉕ 署長の娘、あそこまで水没してたら、かなり前に死んでるような…
㉖ 署長の娘を助けた2人はドーナツを食う気マンマンの会話をしてたけど、凄まじい量の事情聴取が待ってるだろ
前述の通り、さすがに製作者たちもバカじゃないだろうから、「『警察活動の進行状況を犯人に知られる』という凄まじいデメリットを覆すほどのメリットをちゃんと描くんだろうな」と思って観ていたら、映画終盤に「火に包まれた邸宅の屋根からマスコミのヘリが主人公たちを救助する」シーンがあったのと、最後の最後に「娘は墓地に埋められていることが判明→放送を観ていたたくさんの人たちがスコップなどを持って助けに来る」という展開がある程度だったから、「やっぱりバカなのかな… (´・ω・`)」と。確かにクライマックスは感動的ではあるけどさ、配信のせいで多くの人が銃撃戦で犠牲になっているし、そもそもペニーが「犯人が逃走車両を使おうとしていたこと」をすぐ同僚に報告すれば終わった話なんじゃないの?(ネットでディーンの実家がすぐ判明するぐらいなんだから、もっと早く捜査できたハズ)
それと、僕はちゃんと計っていないのでよくわかりませんが(汗)、本作は「64分リアルライブ」なんだそうで(こういう宣伝文句を聞くと「ニック・オブ・タイム」を思い出す)。ただ、結局、カット割りしまくったり、別の場面を映したりしているし、あまりにも多くの出来事が起こりすぎていて。よく考えれば、人間はちょっと考えてたらすぐに5分ぐらい経過するし、車の乗り降りや移動でかなり時間が経っちゃうし、いくら本作が「少女の水攻めスタートから64分」で終わっていたとしても、「編集でそうしました」程度にしか見えないから、心底どうでも良かったというか。公式サイトによると、プロデューサーのクレイグ・チャップマンは「彼ならこの作品を素晴らしい形にしてくれる。作品に内包させたいメッセージを説教くさくなく映画を見終った後に自然に感じられるようにしたかったんだ。彼に頼んで正解だったよ」と語っているそうですが、ごめんなさい、「そ…そ…なの?(°д°;)」としか思えなかったです。
プロデューサーの発言を知った時の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「刃牙道」より)。
とはいえ、ここまで文句を書きながらも50点なのは、ちくしょう、好きなところもあったからーー。まず、主演のアーロン・エッカートは、彼が「アイ・フランケンシュタイン」に主演した時の体作りの記事が載っている「マッスル・アンド・フィットネス」を読んでからずっと好感を抱いているし、本作の開始早々、出勤前にクラッピング・プッシュアップを見せたりしてくれるから、気分がホッコリ (´∀`=) ンモウ! タックル中心のファイトスタイルは好みだったし、彼が演じたペニーのメチャクチャな行動にイラッとすることも多々ありましたけど、「まぁ、アーロン・エッカートだしな (´∀`=) シカタナシ」と、全体的にかなり贔屓目だったのでした。それと、配信リポーターのエイヴァもマジでムカつくキャラでしたが、演じたのが「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の“5人の花嫁”の1人だったコートニー・イートンだったから、「まぁ、可愛いしな (´∀`=) シカタナシ」とスムースに許せたし、僕も一緒にドーナツを食べたかった…なんて文章を紡ぐたび、このブログの信用度がドンドン下がっている気がするよ(突然、タメ口で)。
アーロン・エッカートは「ビニー 信じる男」のこのシーンもキュートで好きよ。
その他、「誘拐犯兄弟がスゴ腕の兵士で戦闘力高め(序盤、プッシュダガーナイフで捜査官の腹を裂いた時はビックリ)」とか「無駄に凝ったMMA風格闘シーン」とか「多くの人を巻き込みまくる銃撃戦シーン(もう少しリアルな方が良いけど場面的に派手でイイ!)」とか「救急隊&警官皆殺しシーン」とか「ディーンの実家にいる猫」とかも、意外と好きだったし…。何よりもラストの墓地で「配信を観てスコップを持ってきた人」の演出がね、あまりにスティーブン・C・ミラー監督のドヤ顔が透けて見えて悔しいんだけど、ちくしょう、ちょっとグッと来ちゃったし、署長の娘が助けられた時はアーロン・エッカート力もあって「良かったねぇ… (iДi) ウェェェェ」と泣いちゃった…ということで(幼子が助けられるシーンには弱い!)。鑑賞中は「なんてこった…ッッ (`Δ´;)」と観に来たことを少なからず後悔したし、文句は多めながらも、トータルすると決して嫌いではない映画に落ち着いた次第。基本的には全然オススメしないけど、たぶん「午後のロードショー」とかで流れたのを観たら、それなりにウケると思ったり、思わなかったり (・ε・) オシマイ