※すみません、僕は本作のパンフは大好きで2冊買ったものの、映画的にはまったく乗れない部分があったため、今回の記事はなかなか心の狭い内容になっております。よって、本作が好きな人は高確率で厭な気持ちになると思うので、読まない方が良いです。
原題:Booksmart
2019/アメリカ 上映時間102分
出演:ケイトリン・デバー、ビーニー・フェルドスタイン、ジェシカ・ウィリアムズ、リサ・クドロー、ウィル・フォーテ、ジェイソン・サダイキス、ビリー・ロード、ダイアナ・シルバーズ、スカイラー・ギソンド、モリー・ゴードン、ノア・ガルビン、オースティン・クルート、ビクトリア・ルエスガ、エドゥアルド・フランコ、ニコ・ヒラガ、メイソン・グッディング
パンフレット:★★★★★(800円×2/表紙周りのデザイン違いで2種類売っていたので、2冊とも購入。企画ページの面白さ、コラムの人選の確かさ、ノートを模した素敵なデザイン、写真の見せ方などなど、素晴らしい出来!)
(あらすじ)
高校卒業を目前にしたエイミーと親友モリーは成績優秀な優等生であることを誇りに思っていたが、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知り、自信を失ってしまう。勉強のために犠牲にしてきた時間を一気に取り戻すべく、卒業パーティへ繰り出すことを決意する2人だったが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
50点
僕もすっかりマーク47(a.k.a.47歳)のオッサンなので、今さら「高校生の卒業前夜云々」の映画を観ても仕方ないというか(苦笑)、だったら「命がけで碁を打つ映画」でも観ますよって話なんですけれども。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の「映画パンフ特集」で紹介されていた“大島依提亜さんが携わったパンフレット”については興味しんしん丸だったし、さらに「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、観ることに決定。8月26日(水)、サービスデー割引を利用して、渋谷のシネクイントで鑑賞したんですが(その後、新宿で「鬼手」をハシゴ)、何とも言えない気持ちになりました… (´・ω・`) ウーン
まぁ、“女性版「スーパーバッド 童貞ウォーズ」”という評判がスゲーうなずけるというか(しかも主演のビーニー・フェルドスタインはジョナ・ヒルの妹!)。お話を驚くほど雑に書いておきますと、卒業式の前日、遊んでばかりに見えた同級生たちが一流大学に進学&一流企業に就職することを知った優等生モリー(ビーニー・フェルドスタイン)が親友エイミー(ケイトリン・デバー)と「青春を取り戻す!川`Д´)人(`Д´し ウォォォォッ!」と、イケてる奴らのパーティーに参加しようとする…という予告編通りの内容(そりゃそーだ)。で、バタバタと愉快な展開が連発された後、敵視してた同級生たちも普通に良い奴らだったことが分かったり、「ケンカからの和解」があったりしてから、卒業式にギリギリ到着して、モリーが「大学でもダサくならないでね!ヘ(゚∀゚*し アバヨ!」なんてスピーチをしたりしましてね。アフリカに旅立つエイミーをモリーが空港に送って映画が終わってましたよ。
なんとなくキャストやスタッフたちのインタビュー動画を貼っておきますね。
本作は、自分たちを特別だと思うことで疎外感から目を逸らしていたモリーが、臆病から人を遠ざけていたエイミーと一緒に成長する「一夜モノ」青春コメディで、スゲー良く出来てました。いくら「book smart=学識はあるが常識がない=ガリ勉」という意味だとしても、あまりにも主人公たちの行動がアホすぎるし(髪の毛を覆面代わりにしてピザ屋を脅すくだりはさすがにバカバカしかった)、ビリー・ロード演じる変人キャラのジジが大暴れしたりと、リアリティ・ラインはかなりコメディ寄りなんですが、それはそれで楽しくはあって。特に本作の白眉はモリーとエイミーのバディ感で、一応、終盤に“盛り上がり要素”として仲違い展開が用意されてはいますけど、基本的には超仲良しであり、この2人がキャッキャしているところを観るだけで微笑ましくなるんですよね。お互いをいちいち褒め合うくだりとか最高だったし(エイミーがモリーを褒める「あんたは強くて美しくてクールで賢い」というフレーズにグッときた!)、早速、夫婦生活に導入しようと思っております (`∀´) フハハハハハハ
もうね、映画序盤のこのシーンだけで、この2人が好きになること間違いなしなのです。
あと、いわゆる“アップデート振り”に驚きました。近年、「ポリティカル・コレクトネス」という概念が重視されるようになってきましたが、本作はかなり隙がなかった印象。主人公の1人であるエイミーはレズだけど誰もそれを否定しないし、同級生にはゲイのカップルが普通に堂々としているし、登場人物の人種も多用だし(まぁ、主人公は白人2人組ですが)、高校のトイレまで男女共有だったりしたから、ビックリしましたよ。しかも“行きすぎたリベラル的発想”を揶揄する視点まで入ってるし…。「“イケてる奴ら”だって“普通の人間”なのさ ( ´_ゝ`)」というのもスゲー今どきの青春映画っぽくて、「悪人が誰もいない優しい世界観」はそれなりに心地良かったです(って、殺人犯が登場しますが、あの人も改心してピザ屋にいたのかもしれないし)。それと、僕は1人だけリアリティ・ラインを無視して好き勝手に行動するジジがツボにハマッてしまって、彼女が出てくるたび、結構笑っちゃいましたね〜。
「エイミーが同性のライアンを好き」というのが普通の出来事として描かれるあたり、良い時代になったなぁと。
って、褒めまくっている割には50点なのは、どうしても不快な部分があったから…。でもね、それについて昨日、東中野の「BAR バレンタイン」で「映画野郎」に携わっている方々に話してみたら、店内に「この人の心は恐ろしく狭いな…まるで猫の額のように… (`Δ´;) ヌゥ」というムードが漂ってしまったのでね、もしかしたら僕以外の人類は、これ以上は読まない方が良いのかもしれません。ネガティブな文章というのは、大事なソウルジェムを濁らせる可能性もあって、短い人生、そんなものに関わっている暇はないのです。だから、本作を好きな人がもしここまで読んでいたら、この時点でそっ閉じすることを推奨いたします。
たぶんこんなグレート巽気分になるので、ここから先は読まない方が良いです(「餓狼伝」より)。
さて。なんて言うんですかね、ポリコレに配慮している割にはゲイの描き方がステレオタイプだったりとか、終盤でトリプルA(モリー・ゴードン)がモリーを助けるくだりが「登場人物全員を悪人にしないための展開」に見えちゃったりとか、みんなを助けるために警察に捕まったエイミーを解放するための手段がスゲー強引とか(ピザ屋が殺人犯だったとか「なんだそりゃ ( ゚д゚)、ペッ」って思った)、そういう部分はスルーするとして(って、結局、書いている意地悪なアタシ)。いや、本当に終盤までは「良い青春映画ダナー ( ;∀;) イイハナシダナー」って、ちょっと涙を浮かべてすらいたんですけど、ラスト、卒業式でのモリーの「大学でダサくならないでね」スピーチで一気に冷めたというか。まぁ、9割以上の生徒が大学に行ける公立の進学校という設定なのかもしれませんが、家庭の事情やら何やらで進学できない子だってゼロじゃないでしょうよ。それで最後に「大学で」って無神経にも程があるスピーチだな…なんてね。なんてね(薬師丸ひろ子さん風に)。
僕ももうマーク47ですから(苦笑)、さすがに学歴コンプとかどうでも良いですけど、取引先の人に「どこの大学ですか?(・∀・)」と話を振られて気まずかったことを思い出したりもしたし(「いや〜、警察学校しか出てないんですよ〜」と返答)、たぶん10代後半から20代あたりで本作を観てたら、もっと厭な気分になったろうなと。いや、本作は「自分の殻に閉じこもって他者をバカにしていた主人公が己の狭量さや傲慢さを反省して成長する」ことを主眼に置いた物語なのだから、こんな「些末なひと言」とか「登場人物のほとんどが裕福(金に困っているのは校長ぐらい)」といったあたりに突っ込んでも仕方ないとは思うんですよ(「それはそれ」ではある)。
ただ、ここまでチェックリストを埋めるかのように「ポリティカル・コレクトネス的にスゲー正しい映画」だったのに、最後の最後でこれかよと失望したというか。その無自覚な部分が「作ってる奴らには“大学に進学できない人間”がマジで眼中にないんだろうな」と逆に強く感じられて、ごめんなさい、本作の製作者たちは好きになれない…って思っちゃった!(*ノ▽ノ) キャッ あと、最近は「スクールカースト上位の人たちだって良い奴」的な展開をよく観ますが、「その時はわかり合えない奴がいる」のだって青春なんだし(だから僕的には同じ“パーティー殴り込み映画”でも「ロミー & ミッシェル」の方が好き)、本作はなんか強引に「優しい世界」に漂白するような感じがあって、その部分も好きじゃないなぁと思ったり、思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ
モリーのスピーチを聞いた僕の気持ちを代弁する範馬勇次郎を貼っておきますね(「刃牙道」より)。
その他、思ったことを書いておくと、「貝合わせはヘテロの妄想なの!? (´Д`;) ソウナノ?」とか「『マララ』の意味、検索してわかりました…」とか「ミステリーパーティー、スゲー面白そう!」とか「感傷的に別れる…と思わせて『一緒にパンケーキ食べよう!』という展開は微笑ましかったけど、そもそも普通は空港の中まで行って見送らない?」とか「エンドクレジット、登場人物の顔に水風船がぶつかって水浸しになるのが『ザ・ベスト』の表紙みたいだったな…」とか「校長役のジェイソン・サダイキス、オリヴィア・ワイルドと結婚してたのか!」とかとかとか。ハッキリ言って、本作が監督デビュー作であるオリヴィア・ワイルド監督は超才能があるし、基本的にはスゲー良く出来た青春コメディだとは思うんですが、僕の猫の額ライクに狭い心には合わなかったです (ΦωΦ) ニャー ううむ、先月観た「ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから」に感動しすぎて、比較しちゃったのもあるのかなぁ…。ただ、ちくしょう、パンフに関しては大島依提亜さんによるノートを模したデザイン&写真遣いに、グッチーズ・フリースクールによる愉快な企画ページ、劇中曲のプレイリスト、山崎まどかさん&高橋芳朗師匠&町山広美さんという適材適所のコラムなどなどが載っていて、思わず2種類とも買ってしまうほど出来が良かった…ということは書き残しておきますかな(偉そうに)。
パンフ、映画を観た方はマジで買った方が良いですぞ(表回りが違うだけで、中身は一緒)。
おしまい (ΦωΦ) ニャー