原題:TENET
2020/アメリカ 上映時間150分
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス
製作総指揮:トーマス・ヘイスリップ
撮影:ホイテ・バン・ホイテマ
美術:ネイサン・クロウリー
衣装:ジェフリー・カーランド
編集:ジェニファー・レイム
音楽:ルドウィグ・ゴランソン
視覚効果監修:アンドリュー・ジャクソン
出演:ジョン・デビッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、ヒメーシュ・パテル、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン
パンフレット:★★★★★(900円/本作のSF要素についての考察が非常に助かる一冊。よくわからなかった人はこれ読めば良いと思います。松竹事業部、良い仕事!)
(あらすじ)
ウクライナでテロ事件が勃発。出動した特殊部隊員の男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、捕らえられて毒を飲まされる。しかし、毒はなぜか鎮静剤にすり替えられていた。その後、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる。(以上、シネマトゥデイより)
予告編はこんな感じ↓
80点
別に「クリストファー・ノーラン監督作は絶対観る!」という主義ではありませんが、本作の予告編が近年稀に見る面白さというか。「なんじゃこりゃあっ!Σ(゚д゚;)」と、僕の拙い脳ではどんな話になるのかサッパリ予想がつかなかったので、スゲー観る気マンマンでして。さらには「通常スクリーンに比べると上下合わせて約40%も映像が広がる」ということになると、もし通常スクリーンで鑑賞した場合、意識の高い映画ファンから「IMAXと比べると約40%しか観られていないのだから、お前が観たのは『TENET』じゃなく『TEN』だ! 分かったら返事をするんだ、『TEN』!川`Δ´) テン!」と夏木マリさんの声で罵られそうで怖かったので、池袋のグランドシネマサンシャインのレーザーIMAXでの最速上映を購入。9月19日(金)の午前3時10分の回を観てきました。「内容良いな (´∀`) ヨイナ」と思ったり。
飲食物を購入して鑑賞。12番スクリーン、(コロナ対応で半分ながらも)満席でした。
最初に若干のウソと回文(パリンドローム)を交えながらあらすじを適当に書いておきますと。どこかのカッコイイ国家の特殊工作員“名もなき男”(ジョン・デビッド・ワシントン)は、キエフでの任務失敗でテロリストに拘束&拷問されちゃいまして。「くそう!これ拘束?(`Δ´;) ヌゥ」と自殺を図るも、ギリギリで謎の組織に救われまして(実は採用テストだった)。「『TENET(信条)』という言葉を覚えておくといいよ ( ´_ゝ`)」と伝えられて、研究所みたいなところに行くと、研究者のバーバラ(クレマンス・ポエジー)から「未来から送られてきた」という「時間に逆行する弾丸」を見せられるから、「まさか逆さま!? Σ(゚д゚;)」とビックリ。さらに「第三次世界大戦を防ぐための任務」を与えられると、いろ白い諜報員ニール(ロバート・パティンソン)と協力して、逆バンジーで「夜はみな見張るよ」と厳重に警備されているマンションに忍び込んだりしつつ、「たぶんブタ」と言っても差し支えない武器商人兼DVクソ野郎セイター(ケネス・ブラナー)が謎を握っていることが判明したので、彼に近付くべく妻のキャット(エリザベス・デビッキ)に接触するというね。
SFスパイ映画というだけでなく、“名もなき男”とニールによるバディモノ感もあるのです。
で、オスロ航空の保管庫に航空機を突っ込ませて「根気よく…あれ開くよ金庫!?」と美術品を探していたら謎の男たちに襲われたり、セイター夫妻と豪華なヨットに乗って「良いヨット強いよ」気分に浸っていたらキャットが夫を海に突き落として殺そうとしたので助けてみたりと、すったもんだがありました (´∀`) アラアラ 結局、セイターから情報を引き出すため、ニールが「わたしマイカー買いましたわ」と用意した車両を駆使して、高速道路を走る警察車両から「プルトニウム241」を盗もうとしたところ、セイター一味と謎の逆走カーも絡んできたから、スパイ爆走高速バイパス!m9`Д´) ビシッ その後、「用意いい?言うよ ( ゚д゚)」とニールからすべての事情を聞いてみると、「プルトニウム241」は「アルゴリズム」という「未来から来た“時間を逆行させる装置”の1つ」で、9つ集めると世界の全生命体を消滅できるということで。9つ揃えちゃった末期ガンのセイターは自殺すると同時に世界を道連れにする気マンマンであり、“名もなき男”はそれを止めなくてはならない使命を帯びていたから、ノルマ困るの!(´Д`;) コマルー
高速でのカーチェイス、情報量が多くて何が何やらでしたよ。
いろいろあって、“名もなき男”が簡易時間逆行装置「回転ドア」を使って時間を遡ってみれば、「逆走車両の運転手」や「倉庫で襲撃してきた男たち」が「わたしでしたわ!Σ(゚д゚;)」と気付いたりしましてね。結局、セイターが死ぬことでロシアの廃墟の町「スタルスク12」にて「アルゴリズム」を発動しようとしている…ということで。彼を自殺させないよう、キャットが「よく気がきくよ ( ´_ゝ`)」とDV夫のご機嫌取りに励む間、時間を順行する赤チームと時間を逆行する青チームが「時間挟撃作戦」を実行! 「耐えろ、ここは (゚⊿゚)」「心得た! (`・ω・´し」と了解していたハズのキャットがついムシャクシャしてセイターを射殺しちゃったので、「アルゴリズム」発動のカウントダウンが早まって「作戦、急くさ!(`Δ´;)」という状況に陥ったりしたものの、“なぜか現場で死んでた隊員”が逆行して蘇ったりしたことで、“名もなき男”たちは無事に任務を果たすのです。そして、この作戦を計画した黒幕は「未来の“名もなき男”」だったことや(自分で自分を導いていた)、ニールが“名もなき男”と友人だったことなどが明らかになる中、ニールが“なぜか現場で死んでた隊員”だった→これから死地に赴くことを知ってしまって、彼を止めたい気持ちになったのだけれども。運命を変えることはできないので、“名もなき男”は「言わないな、ワイ (´・ω・`)」(唐突に変わる一人称)としんみり。最後、街を歩くキャットを暗殺しようとする人たちから守って、映画は終わってましたよ、たぶん。
「回転ドア」はこんな感じ。この中を通過することで逆行の世界に入れるのです。
クライマックスはこんな戦闘が繰り広げられるというね。
ちなみに、あらすじで使った回文はこれらの本とこちらのサイトを参考にしました。だからなんだと言われても困ります。
ううむ、ただでさえ複雑でわかりにくいお話なのに、回文を混ぜたことで余計わかりにくくなった…という問題については、後で自分自身と向き合うとして。鑑賞前は勝手に「特殊能力を持つスパイが逆行弾丸などを駆使して戦うアクション映画」かと思っていたので、実際に観たら結構面食らったんですけど(汗)、とはいえ、スゲー面白かったですねぇ…(しみじみ)。本作は「タイムトラベル」ではなく「時間の逆行」を扱っているんですが、「1時間前に戻るには1時間逆行しなければならない」という理屈は、パンフのコラムで大森望さんが引き合いに出されていた難解タイムマシン映画「プライマー」を非常に思い出しましたよ(そして自分自身と接触すると対消滅するというのは「タイムコップ」を連想した)。ただ、「時間」にこだわるあたりはノーラン監督らしいと感心しつつも、正直なところ、「逆行の影響を受けるのは呼吸だけじゃ済まないだろ」とか「SF的な理屈」で飲み込みづらい部分はなかなか多かったです。
「酸素マスクをしてればOK」とか、理屈的に合ってるのかな…どうなのかな。
あと、登場人物の行動原理に疑問があって。まず、セイターの「自分がガンで死ぬから全人類道連れ」という動機には「マジで?(°д°;)」と。そんな破滅的な計画によく部下が従うというか、ケネス・ブラナーが熱演している分、余計にバカっぽさが際立ったというか。しかもあのタイミングで自殺しようとするってのも意味がわからないし…。それと、キャットが我慢できずに夫を殺しちゃうくだりにも口がアングリ状態になりましたね。それほどムカついたってことなんでしょうけど、作戦が失敗したら「大切な息子」だって消えちゃうのにさぁ…。彼女へのDV描写があまり上手くない上にしつこいから、よっぽど気分爽快なラストが待っているのかと思いきや、浅薄な行動を見せられてガッカリいたしました。その後の「オイルでセイターの死体を滑らせる」という手口とか「キャットが目撃した“海に飛び込む女”は自分だった!」という展開自体は嫌いじゃないけど、せめてもうちょっと「頭の良い女性」にすることはできなかったのかと思ったり。
映画のビジュアルと役者さんの演技がしっかりしている分、この悪役の動機には呆れましたよ。
エリザベス・デビッキ演じるキャットも、可哀相なんだけど短絡的なバカに見えちゃうのがなぁ… (´・ω・`) ウーン
ただ、それらの不満を上回る魅力があったというか。僕的にクリストファー・ノーラン監督の映画って、おかしなところやわからない部分があっても、大抵はビジュアルの力と勢いでねじ伏せられてしまう印象。特に、高速道路のカーチェイスシーン」とか、順行チームと逆行チームが入り交じって戦うクライマックスとか、何が起きているのかサッパリだったし、理屈的に合っているのかも不明だったけど、全体的に「観たことがないものを観ている面白さ」が勝って「まぁ、こういうものなんだろうな (´∀`) タブン」とスムースに楽しめた…って、伝わりますかね。つーか、映画序盤、研究所の女性が“名もなき男”に語る「考えるな、感じろ!川 ゚д゚)」というブルース・リー的なメッセージが重要というか、これは間違いなく観客に向けたものでもあって。もちろん本作は「このシーンでは逆行だからこうなっていて〜」などとキッチリ分析&考察される強度を持つ作品だと思いますけど、僕のように知性が低いタイプの観客でも「なんだかスゴいや!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!」的に感じて楽しめるというのが、今までのノーラン監督作と同じで素晴らしいんじゃないかしらん。
僕はすっかり範海王気分でしたが、それでも面白かったのです(新装版「バキ」第15巻より)。
その他、好きだったところを書いておくと、「TENET」というタイトルが単に回文というだけでなく順行と逆行による「挟撃」を文字面で表してたのもグッときたし(ただ、もっと「TENET!m9`Д´) ビシッ」って感じでキーワード&決め台詞的に使われるのかと思ってた)、ジョン・デビッド・ワシントンを主人公に起用したのは「ジェームズ・ボンドを黒人に!」を先取りしたようで良かったし(ノーラン監督的には「スパイ映画というジャンルに時間の概念のコンセプトをプラスして、スパイ映画史に影響を与えようとしている」そうな)、懸垂シーンも好感が持てたし(できるなら半裸でやってほしかった)、ニールを演じたロバート・パティンソンは超カッコ良かったし、すっかりタフガイと化していたアーロン・テイラー=ジョンソンは好みだったし(全然気付かなかった…)、僕にもマイケル・ケインがクレジットカードをくれたりしないものかと妄想したし(たぶんスーツを買わずに美味しいものを食べる)、オスロ航空の保管庫の担当者が絵に描いたような担当者顔で面白かったし、微かにバキ要素が漂っていたのもうれしかったし、何よりもコロナ禍によって公開延期になる作品が多い中で上映してくれた&満席だったのもありがたかったし…。映画中盤、オスロ空港に逆行するあたりとかは、若干かったるくも感じましたが、トータルすると非常に満足した次第。
この言葉、もっと活躍するかと思ったらそうでもなかったですな。
そんなワケで、僕は料金分は十分満足できたというか、鑑賞後に「日本で作られてたら『トマト』とか『しんぶんし』といったタイトルになったのかな」なんて雑な妄想をするほど気に入ったというか。クリストファー・ノーラン監督にはすっかり「わたしまけましたわ (´∀`=) ウフフ」気分でしたよ。これからも大金をかけた「よくわからない(でも面白い)映画」を作ってほしいものです。以上、あらすじに回文を無理に混ぜたせいで書くのにスゲー時間がかかった感想文はこれで終わります。おしまい。
デジタル盤のサントラでございます。
本作のメイキング本。ファンなら必読の一冊なんでしょうけど、高い…。
クリストファー・ノーラン監督の前作。僕の感想はこんな感じ。
クリストファー・ノーラン監督作。こちらもよくわからなかったけど、好きです。
確か高橋ヨシキさんがオススメしていたので観たタイムマシン映画。いや〜、スゲー難しかったです… (`Δ´;) ヌゥ
「対消滅ってこういうことじゃないような…」と考えさせられるジャン=クロード・ヴァン・ダム主演作。みんな、観て!
本作を観る前になんとなく鑑賞した作品。ママに会いたい… (ノω・、し グスン