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KCIA 南山の部長たち(ネタバレ)

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KCIA 南山の部長たち

 

原題:The Man Standing Next
2019/韓国映画 上映時間114分

監督・脚本:ウ・ミンホ

原作:キム・チュンシク

脚本:イ・ジミン

撮影:コ・ラクソン

美術:チョ・ファソン

音楽:チョ・ヨンウク

出演:イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン、イ・ヒジュン、キム・ソジン

パンフレット:★★★☆(880円/秋月望教授や岡本敦史さんのコラムが超タメになるので、本作が好きな人は必読!)

(あらすじ)
1979年10月26日、大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称KCIA)部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が大統領(イ・ソンミン)を射殺した。事件発生の40日前、KCIA元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)は亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で、韓国大統領の腐敗を告発した。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長はアメリカへ渡り、かつての友人でもあるヨンガクに接触を図るが……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


80点

 

※本作については、映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介が実にタメになるので、読んでみて!

※今回の記事は、「アイリッシュマン」「ミュンヘン」のネタバレに触れているので、気をつけて!

 

あの「インサイダーズ/内部者たち」のウ・ミンホ監督&イ・ビョンホンがタッグを組んだ“スパイっぽい映画”となれば、そりゃあ観る気マンマンでしてね(微笑)。で、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題映画になったということで、1月28日(木)、仕事帰りにアップリンク吉祥寺で観てきました。「身につまされるぅ!(´Д`;) イヤン」と思ったり。

 

 

スクリーン3、観客は15人ぐらいいた記憶。

 

 

まず、雑なあらすじを書いておきますと。開始早々、「朴正煕(パク・チョンヒ)暗殺事件」をベースにしたフィクションだなんだという親切なテロップが流れまして。1979年10月26日に起きた暗殺事件の40日前から物語はスタート。大統領直属の諜報機関「KCIA(大韓民国中央情報部)」の部長キム・ギュピョンは、昔、一緒に軍事クーデターを起こしたパク大統領に尽くすエブリデイだったものの、KCIA元部長パク・ヨンガクがアメリカで大統領の告発をしちゃったせいで、一気に肩身が狭くなりましてね…。ライバルの警護室長クァク・サンチョンが大統領と仲良くしているのもイラつくし、人権を蔑ろにするムードも許せない。クァクの意地悪や嫌がらせのせいもあって、失態を重ねて評価が下がる中、「君の側には私がついている。好きなようにしろ ( ´_ゝ`)」なんて言うから、泣く泣く友人だったパクを暗殺したんですが、しかし。大統領ったら飲み会にも誘ってくれないし、「友人を殺すような奴は信用できない!(`Д´)」なんて陰口を叩いてたから、あんまりだぁぁぁっ!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン! さらに「デモ隊なんて戦車で轢き殺せ!( ゚д゚)」なんて市民を蔑ろにする姿勢にもムカついたので、部下たちと共謀して大統領と警護部長を暗殺! とはいえ、一応は陸軍参謀総長を押さえていたものの、陸軍に向かう→スムースに逮捕→絞首刑にされちゃうから、人生とはうまくいかないもの、ですな(知った風な口で)。最後は本物のキム・ギュピョンの肉声が流れて、映画は終わったんじゃないかしらん。

 

 

一緒に“マッサ”を飲みながら思い出話に花を咲かすぐらいの仲だった大統領を射殺しちゃうというね…。

 


 

恥ずかしながら韓国の歴史にはまったく疎くて、全斗煥(チョン・ドゥファン)ぐらいからの出来事しか知らないのでね、まず「知らない歴史を知る」ことの楽しさがスゲーありました。特に「大統領暗殺」なんて「JFK!JFK!( ゚∀゚)o彡゚」とか「リンカーン!リンカーン!( ゚∀゚)o彡゚」ぐらいしか知らなかったから、まさかお隣の韓国でこんな大事件が起こっていたとはなぁと。しかも、その後のKCIA部長のアッサリと逮捕され具合がいろいろな意味でリアルだったのも良かったですねぇ…(しみじみ)。映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」の紹介の中で「アイリッシュマン」を引き合いに出されていましたが、僕もあの「上司と友人の間で板挟みになる」状況、そして「結局は自分で殺しちゃう」展開は、確かに連想いたしました。ただ、本作のタチが悪いのは、その命令を下す上司が2秒で手のひらを返すところであり、ああいう人って本当にいるからさ、過去の嫌な出来事とか思い出したりもして、ううむ、面白くも実に胃が痛い映画だったというね… ('A`) イタイヨウ 

 

 

本作の大統領を観ていると、ドン・フライ似のレスラー気分になりましたよ(「餓狼伝」第5巻より)。

 

 

予想してたほどスパイ映画っぽさはなくて。そういうシーンでも、拘束した相手に逃げられたり、死体の血で足を滑らせて転んだりと、そんなにスムースにいかないあたりが逆にリアルに感じられて愉快でした。つーか、内容は全然違うんですけど(汗)、「実話ベース」「作戦が意外とうまくいかない」「全体的な雰囲気は地味」「不幸な未来を予感させる余韻」というあたりは「ミュンヘン」を思い出したりもしましたね〜。劇中のディテールも良くて、KCIA本部での取り調べ中に別室から叫び声が聞こえるのはストライクすぎたし、日本語で「あの頃は良かった…」と語ったりとか、パク・ヨンガクの手記が載った雑誌が「サンデー毎日」だったりとか、アルジェリア人の殺し屋たちへの支払いが日本円っぽかったりとか、ところどころ「日本との関わり」が見え隠れするのは実に興味深かったです。

 

で、何よりグッときたのがクライマックスからラストにかけての展開ですよ。長回しでのドタバタ暗殺劇が最高すぎるし(さっきも書きましたが、血で足を滑らせるところが好き!)、「貴様も死ね」の台詞が超気持ち良かったのはもちろんのこと、車内で「南山に行くか陸軍本部に行くか」の2択を迫られた時のイ・ビョンホンの顔と言ったら!(*゚∀゚)=3 ムッハー なんて言うんですかね、車内で「大統領が担っていた重責」を突然チェストパスされて、その重さに戸惑いつつ、「あれ、オレとんでもないことをしちゃったんじゃ…?」的な後悔も入り交じっているようなムードで、あれほどまでに「観客の胃を痛くさせる顔」はなかなかできないんじゃないでしょうか。もうね、僕はイ・ビョンホンについて「戦闘していたらいつの間にか半裸になっていて『地獄へようこそ』って言ってほしい!(`Д´)」なんてことを書きがちでしたけど(汗)、スゴい役者さんだなとあらためて感心いたしました。つーか、劇中でもオーラを消していて良い意味で本当に冴えなかったし、本作はイ・ビョンホンのベストアクトでは…って、偉そうに書けるほど彼の出演作を観ているわけじゃないんですけどねー (ノ∀`) エヘヘ

 

 

役作りで25キロ増量したイ・ヒジュンとか、役者さんはみんな良かったけど、イ・ビョンホンがとにかく素晴らしかった印象。

 

 

あと、思ったのが「シェイクスピア」について。本作では「オセロ」の登場人物の「イアーゴ」についての言及があるんですけど、僕的にはサッパリだったというか、「ハッスル」の「タマアゴ」が脳裏に浮かんだレベルでしてね…(遠い目)。高校生の時、何冊か読んで挫折したんですけど、「シェイクスピアの戯曲」はさまざまな作品で普通に引用されるから、あらためて読んでおこうかなと。とはいえ、エンタメの雛形みたいなものだけに、そりゃあ“「シェイクスピアの戯曲」を元にした作品”がかなりある&それらは結構鑑賞しているから、やはり今さら感も否めない。例えば「ロミオとジュリエット」なんて「ロミオ・マスト・ダイ」を観れば十分ですよね…って、ごめんなさい、長々とどうでも良い文章を書きました (´・ω・`) スミマセン

 

 

本作には全然関係ありませんが、「ロミオ・マスト・ダイ」の予告編を貼っておきますね↓

 

 

 

まぁ、何はともあれ、「権力の座に長年いたら、誰だって腐るわな」とか「ああいう事件が起きる時って、動機は決して1つじゃないんだろうな〜」とか考えさせられたのも良かったし、とても面白かったです (°∀°)b ナイス! ウ・ミンホ監督、さすがでした。パンフで映画ライターの岡本敦史さんが紹介されていた韓国映画「ユゴ 大統領有故」も観たくなりましたよ(暗殺事件の前後24時間を描いているそうな)。地味に感じるかもしれませんなけど、非常に良く出来ていて面白い上に(特にクライマックスの暗殺シーンはイイ!)、社会人なら確実に「身につまされる」と思うのでね、興味がある方はぜひ劇場で観てみてくださいな。

 

 

もし上司に「右腕」だと頼られても、部下はこんな気持ちでいた方が良いのかも…というフォックス「北斗の拳」第3巻より)。

 

 

おしまい。
 

 

 

 

ウ・ミンホ監督×イ・ビョンホンといえば、この映画ですよねー。僕の感想はこんな感じ。

 

 

一応、ウ・ミンホ監督のデビュー作を貼っておきますね。

 

 

94年に出版された原作本。興味あるけど、高値になっております。KINDLEで出ないかな…。

 

 

朴正煕暗殺事件の前後24時間を描いた韓国映画。ううむ、ちょっと観てみたいです。

 

 

こちらもストーリーに朴正煕暗殺事件が取り入れられている作品だとか。ソン・ガンホ主演だし、観ようかなぁ。

 

 

本作の後の時代を描いた作品もなんとなく貼っておきますね(クァク・ドウォンも出てる)。僕の感想はこんな感じ

 

 

なんとなく思いだしたスティーブン・スピルバーグ監督作。面白いですぞ。

 

 

 

 

 


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