2021/日本 上映時間114分
監督・脚本:渡部亮平
製作:中西一雄
共同製作:藤本款、小泉裕幸、根本浩史、久保田修、吉川英作
プロデューサー:浅野由香、涌田秀幸
協力プロデューサー:山本晃久
撮影監督:吉田明義
照明:浦田寛幸
録音:根本飛鳥
美術:矢内京子
装飾:岩本智弘
衣装:境野未希
へアメイク:外丸愛
小道具:鶴岡久美
編集:岩間徳裕
音楽:フジモトヨシタカ
VFXスーパーバイザー:小坂一順
リレコーディングミキサー:浅梨なおこ
サウンドデザイン:大保達哉
カラリスト:石山将弘、芳賀脩
助監督:水波圭太、川井隼人
アソシエイトプロデュ一サー:遠藤里紗
制作担当:阿部史嗣
出演:土屋太鳳、田中圭、COCO、山田杏奈、ティーチャ、安藤輪子、金澤美穂、中村靖日、正名僕蔵、銀粉蝶、阿久津慶人、野澤しおり、石橋凌
パンフレット:★★★☆(820円/監督のネタバレ解説がオススメ! 衣装担当の境野未希さんの衣装解説もタメになる)
(あらすじ)
市役所に勤める小春は平凡な毎日を送っていたが、ある夜、不幸に見舞われ全てを失ってしまう。人生を諦めかけた彼女の前に、8歳の娘を男手ひとつで育てる開業医・大悟が現れる。優しく裕福で王子様のような大悟に惹かれた小春は、彼のプロポーズを受け入れ、不幸のどん底から一気に幸せの絶頂へと駆け上がるが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
70点
※本作については、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、この手のサスペンススリラー映画が好きな方は観てから読んでッ!
※今回の記事は、「アナと雪の女王」のネタバレに触れているので、気をつけて!
基本的にこの手の映画にはそれほど興味がないんですけど、かつて通勤に使う西武線で流れまくっていた「ちちんぶいぶいッ!ヘ(゚∀゚*(゚∀゚*(゚∀゚*しブイブイッ」のCMが超可愛くて、すっかり土屋太鳳さんが好きになっているため、なんとなく前売り券を購入しましてね(微笑)。さらに愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題映画になったので、この記事をアップした2月19日(金)=本日、新宿バルト9で観てきました(その後、渋谷で「本気のしるし 劇場版」と「シャドー・ディール 武器ビジネスの闇」をハシゴ)。「やるじゃないか… (;`∀´) フフ...」と思ったり。
前売り特典は「幸せのウェディングポストカード」でした。
朝食を食べそびれていたので、三元豚ロースカツサンドとケイジャンチキンを摂取しながら鑑賞。
シアター7、平日の朝イチというのもあるのか、観客は僕を含めて3人だったり。
まず、あらすじを超雑かつ適当に書いておきますと、映画は主人公の小春(土屋太鳳)が小学校で踊りながら「割烹着からドレス姿になる」シーンからスタート。タイトルが出て場面が変わると、10歳の時に母親に捨てられた過去を持つ小春(26歳設定)は、児童相談所で働いてまして。残念なムードの母親を見るたびに「クソ親が!川 ゚д゚) シネヨ」と蔑視全開のエブリデイを送ってたんですけれども。ある日、「祖父が倒れる→車で運ぼうとした父が飲酒運転の挙げ句に事故る→家(自転車屋)が火事に→彼氏の浮気が発覚する」という不幸の連続コンボを食らいまして。ゲンナリムードで歩いていたら、踏切で酔っ払った大悟(田中圭/41歳設定)が倒れていたので、なんとなく救助してみれば。そいつは「8歳の娘を男手ひとつで育てる開業医(a.k.a.金持ち)」であり、娘のヒカリ(COCO)も良い感じで懐いてくれたから、チャンス到来!Σ(°д° しクワッ! 相手がプロポーズしてくれたので、交際1カ月ながらも結婚しちゃうのです。
ヒカリの誕生日、3人で婚姻届を出しに行くんですが、役所の人の死んだ目が良かったですな。
ところが。一緒に暮らしてみれば、夫は飼っていたウサギが死んだら剥製にしたり、自分の全裸自画像を10歳から描き続けていたり、患者に鹿のペニスの粉末を勧めたり、妹の家庭教師振りも「偏差値65未満はクソ大学!」とか言い出したりと、どことなく“アレな人”であり、娘も好きな男子である渉(阿久津慶人)の気を引くために「筆箱を盗まれた!m9`Д´し ビシッ」と濡れ衣を着せたり(しかもその筆箱は小春の誕生日プレゼントにもかかわらずトイレに流してた)、弁当を食べずに捨てていたり、転落死した同級生・来実ちゃん(野澤しおり)の葬式では頑なに拒否して赤い靴を履いたりと、なんとなく“アレな子”だということが発覚していきまして。精神的に追い詰められていく中、小春はつい手をあげてしまって、ひかりに「パパには内緒にして!(´Д`;し」なんてお願いするも、キッチリとバラされるという自業自得な着地。激怒した大悟に散々罵られた挙げ句に「母親失格!( ゚д゚) デテケ!」と言われてしまい、家を出ることになるというね… (ノω・、し アタシッテホントバカ
ストレスを抱えている中、ヒカリに煽られまくって、小春はついビンタしちゃうのです。
だがしかし。実家は自分がいなくても楽しそうだし、今さら戻る場所もなく。死のうかと思って踏切で寝ていたら、言い過ぎたと感じた大悟が助けてくれたから、今こそリザレクション!Σ(°д° しクワッ! もうね、小春は「毒を食らわば皿まで」ムードで、妻&母親として、とことん大悟&ヒカリに付き合う覚悟を決めまして。ヒカリの靴が盗まれたので、大悟と一緒に学校に乗り込むと、勝手に校内放送するわ、教室に乗り込むわとやりたい放題。「ヒカリちゃんが来実ちゃんを殺した!m9`Д´) ビシッ」と言い出した渉を「うちの子がそんなことやるわけないでしょ!川`Д´) コロスゾ」と怒鳴り飛ばすほどのモンスターペアレントにフォームチェンジするのです。で、世間から「人殺し認定」されてしまったので、インフルエンザの予防接種を利用した「小学生の大量殺人計画」を発案→大悟と一緒に実行しまして。校内に小学生の死体がゴロゴロと転がる中、親子3人は幸せムードなのでしたーー (´∀`(´∀`(´∀`し メデタシメデタシ
死のうとしていたら、大悟が助けに来てくれましてね。
小春はカイジのように「毒皿でいくか…」と覚悟を決めるのです(「賭博黙示録 カイジ」第3巻より)。
で、結局は小学生を大量殺害しちゃうから、人間とは恐ろしい生き物、ですな(知った風な口で)。
いや〜、面白かったですね〜 (´∀`) タノシー タイトルが示す通り、モチーフが「シンデレラ」なだけに、非常に寓話感が強い内容であり、リアリティ的にどうかと思う部分は多々あるんですが、僕的には「コメディ風味のスリラー映画」として普通に楽しめましたよ。全体的にテンポが良いし(序盤の「不幸の連続コンボ」は笑った)、演出もわかりやすくて丁寧だし(時計や靴などの小道具を使った「シンデレラ」引用とか、入籍直後のシーンでBGMは優雅ながらも曇り空で「3人の行く末に暗雲が立ちこめている」ことを示唆してたりとか)、笑えるシーンも多かったし(シリアス展開多めの後半でも、大悟が「娘を大事にする覚悟」を決めるために自分の宝物を燃やす極端な行動には笑った)、役者さんたちも本当に良かった。土屋太鳳さんが素晴らしいのはもちろんのこと、田中圭さんは安定した仕事振りだし、COCOさんもあえてオーバー気味に「子どもらしさ」を体現されていて。この「寓話」にはそのテンションがピッタリだった印象。
土屋太鳳さん、パンフ情報によると「三顧の礼」どころか3回断って4回目で出演を承諾したそうな (゚⊿゚) ヘー
田中圭さん、さすがでしたな〜。雪若丸も食べたくなりましたよ (´∀`) トウトツニ
COCOさん、これが演技初挑戦だそうで…恐ろしい子!(ベタな文章)
テーマも良かったです。無闇に「型にハマッた“幸せ”」を求めることの愚かさと、他者への想像力の欠如…ってところでしょうか。まぁ、最近は「何かあると即モンスターペアレント扱いする風潮」があるワケですが、実際に子どもが出来て小学校やら地域社会やらと関わってみると、そんな簡単な話ではなく。離婚しようと、何しようと、人にはそれぞれ事情がある…って、当たり前のことなんですけど、そこら辺の問題をエンタメにくるんでポップかつ不穏に描いていたのが実に良い感じだったというか(ちょっと中島哲也監督作っぽい)。それと「白馬に乗った王子様より外車に乗ったお医者様」とか「足のサイズしか知らないのに大丈夫?」とか「切るならオチンチンだろ!」といった「シンデレラ」絡みの台詞も気が利いてたと思ったり(1つ関係ない台詞)。
あと、パンフで渡部亮平監督が「ボタンの掛け違い」というネタばらしをされてましたが、確かに大悟は「怪物」に、ヒカリは「魔少女」に見えるけど、とはいえ、色眼鏡を外せば「そうじゃなくも見えた」ワケで(結局、大悟は他者への蔑視と家族想いが行きすぎているだけだし、ヒカリは渉に好かれるためにウソをついただけで、同級生を殺すほどの邪悪さはなかった)。そういった「こちらの勝手な思い込み」で他者を悪人認定するってのは現実でもあるワケで、そのバランスが良かったなぁと。つーか、たまたま監督の前作となる自主映画「かしこい狗は、吠えずに笑う」を観てたんですが、前半はコメディ風味で登場人物が仲良しに→後半に悪意がスパークするあたりは結構似てたんじゃないかしらん。そして、前作を観た時点で「この監督は才能がある!Σ(°д° ) クワッ!」と見抜いていたのでね(どことなく後付け感が漂う文章)、「やるじゃないか… (;`∀´) フフ...」と感心した次第。
鑑賞後の僕の気持ちを代弁する本部以蔵を貼っておきますね(「刃牙道」第9巻より)。
ただ、いくら寓話だといえど、リアリティの面で気になる部分はあったりもして。「家族が倒れてたら救急車を呼ぶだろ」とか「結婚した後に“入ってない部屋”があることに気付くって変だろ」とか「そもそも知り合って1ヵ月で結婚するって…」的なところは目をつむるとしても(そういう人もいなくはないし)。さすがに「娘の殺人容疑」を受けてからの「小学生大量殺人」までエスカレートするのは無理があるんじゃないかなぁ (・ε・) ウーン 僕は「ちゃんと捜査してもらえばいいじゃん」「とりあえず転校すればいいじゃん(金は余ってるんだから私立とか行けば?)」ぐらいに思っていただけに、そりゃあ「インスリンを打つと死にます (o^-')b シニマス」といった伏線はあったけど、実行するのも相当大変だし、あまりにも突飛な展開というか。
一応、パンフで監督は「最後の犯行に到る動機」について「父親は『娘は殺人犯かもしれない』という疑念から…」的なことを仰ってましたが、そうは言っても大量殺人に到る心理的なハードルは相当高いワケで。何よりも「両親が殺人罪で捕まったら娘はどうなるの?」的なことを一切考えてないのが頭悪すぎじゃないですか(いくら精神的に追いつめられていたとしても)。その飛躍が過ぎるから、犯行中にヒカリの同級生が渡してきた手紙に「ヒカリちゃんはやってない」的な文章が書かれていようとも、「だからなに?(゚Д゚)ハァ?」ぐらいの感想しか抱けなかった…ってのは意地悪ですかね。
まぁ、最後の犯行に関しては烈海王気分でしたよ(「範馬刃牙」第15巻より)。
つーか、皮肉じゃなく「寓話的なエンタメムービー」だから仕方ないとは思っているんですが…。「知り合ってすぐの恋人やら養子やらが実は…」って展開は、映画では「あるある」ですけど(「アナと雪の女王」とか「エスター」とか)、実際に結婚して子どもを育てるようになってみると、この手のお話ってどうしても心の中で「ちゃんと話し合えよ」といった無粋なツッコミを入れちゃったりする大人げないアタシ。まぁ、僕だってもちろんパートナーや子どものことをすべてを知っているワケではないし、そもそも家族への秘密が多い男だったりしますが(苦笑)、最低限、「何かあった時は腹を割って話す」ようにしないと他の人間と一緒に暮らすなんて無理なワケで(例えば、本当に「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」なんてことがあったら、ちゃんと話し合わないと相当マズイ状況だと思う)。特に小学二年生ごときを「魔少女」的に疑う小春はさすがにバカっぽく見えちゃいました(ラスト、「実はそこまで悪い子じゃなかった」という事実が明らかになるだけに)。ううむ、ある種のジャンル映画みたいなものなんだから、そこにツッコミを入れるのはナシだと思いつつも、どうしても気になっちゃったんですよね… (´・ω・`) ウーン
親は子に対してこういう姿勢であるべき…という伝わりにくい刃牙の例え(「グラップラー刃牙」第21巻より)。
って、ダラッと文句も書いちゃったものの、全体的には楽しかったし、衣裳や美術もリッチに見えて良かったし(パンフの解説がタメになった)、クライマックスの「大量殺人」も「到る理屈」にはイマイチ納得してないけど、あの残酷なビジュアルと終わり方は好きだったので、基本的には満足しましたヨ (´∀`) タノシー この手のサスペンススリラーが好きな人は観ると良いんじゃないかな。
サントラを貼っておきますね。
あの秋吉理香子先生による本作のノベライズ…というよりは、別のお話になっているっぽい。
渡部亮平監督が自主製作で作った前作。僕の感想はこんな感じ。
渡部亮平監督が脚本担当の1人として関わってた映画。僕の感想はこんな感じ。
土屋太鳳さんが結婚する繋がりで。僕の感想はこんな感じ。
ジェイソン・ステイサムがモンスターペアレントと戦う映画。僕の感想はこんな感じ。
シンデレラ繋がりで貼ってみたジャン=クロード・ヴァン・ダム出演作。DVDを出せ!ヽ(`Д´)ノ