原題:Monster Hunter
2020/アメリカ 上映時間104分
監督・製作・脚本:ポール・W・S・アンダーソン
製作:ジェレミー・ボルト、デニス・ベラルディ、ロバート・クルツァー、マーティン・モスコウィック
製作総指揮:エドワード・チェン、ハワード・チェン、松岡宏泰
撮影:グレン・マクファーソン
美術:エドワード・トーマス
衣装:ダニエル・ノックス
編集:ドゥービー・ホワイト
音楽:ポール・ハスリンジャー
出演:ミラ・ジョボビッチ、トニー・ジャー、ティップ・“T.I.”・ハリス、ミーガン・グッド、ディエゴ・ボニータ、ジョシュ・ヘルマン、オウヤン・ジン、ロン・パールマン、山崎紘菜
パンフレット:★★★☆(880円/武器&モンスター紹介をする観音開きページが好き。黒い表紙デザインもカッコイイ)
(あらすじ)
エリート特殊部隊を率いる軍人アルテミスは砂漠を偵察中、突如発生した超巨大な砂嵐に襲われ、必死に逃げるものの一瞬にして巻き込まれてしまう。強烈な突風と激しい稲光の中で気を失ったアルテミスが目を覚ますと、そこは元いた場所とは違う見知らぬ異世界だった。その世界には近代兵器の通用しない巨大なモンスターが跋扈(ばっこ)し、そんなモンスターの狩猟を生業とするハンターがいた。アルテミスは元の世界に戻るため、次々と迫りくる巨大モンスターと激闘を繰り広げていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
65点
世間では、名匠ポール・トーマス・アンダーソンと比較されて、「ポール“ダメな方”アンダーソン」と揶揄されがちなポール・W・S・アンダーソン監督ですけれども。まぁ、ハリウッドデビュー作の「モータル・コンバット」に激怒して以来、彼のフィルモグラフィのほとんどを意識せずに鑑賞してきた僕からしても、「そう呼ばれても仕方ないかな… (`Δ´;)」と思っちゃいつつも、彼の「アクション映画を愛する姿勢」だけは嫌いになれないし、それなりに信用していたりもするのです(カート・ラッセル主演の「ソルジャー」はオールタイムベスト10に入れたいぐらい好き)。
正直なところ、カプコン製作の大ヒットゲーム「モンスターハンター(略称:モンハン)」の映画化作品なのに「現代の兵士が怪物がはびこる世界に転移してしまう」という設定の時点で「観る気ゲージ」が一気に減少していたものの、あの傑作「マッハ!!!!!!!!」の主演で知られるトニー・ジャーが大活躍するとなれば、やはり観るのは国民の義務レベル…ということで。4月9日(金)の仕事帰り、ユナイテッド・シネマとしまえんにて、会員デー割引を利用して2000円でIMAX3D・字幕版を鑑賞いたしました。「ダメな方…アンダーソン… (`Δ´;) ヌゥ」と思ったり。
8番スクリーン、観客は8人ぐらいでしたよ。
最初にあらすじをザッと適当に書いておきますと。異世界にて、砂丘を進む調査団の船がディアブロス(亜種)に襲撃されて、ハンター(トニー・ジャー)が船から投げ出されてしまうところからスタート。で、場面が変わって現実世界。失踪した部隊を探すために、アルテミス(ミラ・ジョボビッチ)率いる特殊部隊が砂漠を捜索していたら、突然、砂嵐に巻き込まれる→巨大モンスターが跋扈する異世界に転移しましてね。失踪した部隊の残骸を発見して、「何に襲われたの!? (゚д゚;し」なんてドキドキしていたら、ディアブロス(亜種)に襲撃されたり、ネルスキュラの群れに襲われて卵を植え付けられたりと、散々な目に遭って部隊は壊滅するのです。
唯一生き残ったアルテミスは、仲間からはぐれたハンターと遭遇し、言葉が通じないゆえのハードな仲違いの末に相棒になりまして。ネルスキュラを狩ったり、その毒針を使ってディアブロス(亜種)を狩ったり、死にかけたハンターを助けたり、ガレオスの肉を焼いて食ったり、アプケロスの群れをやり過ごしたりしつつ、調査団と合流。英語が話せる大団長(ロン・パールマン)いわく、「次元間の門が開いたのは古代人が作ったスカイタワーのせい」「そこに行けば元の世界に帰れるけど、リオレウスを倒さないと無理だから手伝え」的なことになって。みんなで戦いに挑んでみれば、なんと次元間の門が開いて現実世界に戻る→一緒に来たリオレウスが現実世界の近代兵器を蹂躙しちゃうから、さぁ大変!(´Д`;し タイヘーン 結局はアルテミスとハンターがなんとか倒すも、次元間の門は開きっぱなしであり、スカイタワーには黒幕ムード全開な男がいて、さらにゴア・マガラも狩らなくちゃいけない…ということで。大団長を含む3人が「オレたちの戦いはこれからだッ!川`Д´)`Д´)`Д´)ノ」ってな調子で終わってましたよ、確か、きっと。
このリオレウス、さらに軍隊とも戦ってましたよ。
いわゆる「モンハン」については、1作目をソロでクリアした程度であり(武器はハンマー)、他の人とやったことはなく。つーか、ゲーム自体は超面白かったものの、この頃から仕事が忙しくなって、なかなか家に帰れなくて。帰宅後も、せっかく家にいるんだから同棲中の恋人(後に結婚)との時間を優先すべきだと思って(まぁ、1人でプレイするのも気まずいし)、結局、「モンハン」だけでなく「ゲーム」そのものをガッツリやることがなくなったんですよね…。だから、内容的にはうろ覚えだし、「モンハン」に過剰な思い入れはないんですが、しかし。そんな僕的にも本作は「ゲームとは別物だな… (´・ω・`)」と思って、かなりガッカリしました。
僕の気持ちをカタカナで代弁するシコルスキーを貼っておきますね(新装版「バキ」第7巻より)。
ううむ、鑑賞前から予想していたことではありますけど(汗)、「現代の兵士が怪物がはびこる世界に転移してしまう」という設定がやっぱり好きじゃなかったです。監督インタビューによると「アルテミスはゲームを知らない観客のためのアバター的な存在」であり、「現代のテクノロジーでも通用しないことはある」ということを描きたかったみたいだけど…。前者については、「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」のように、異世界が舞台だろうと世界観をしっかり描けば、観客は勝手に「そういう世界なんだな (´∀`) ナルホド」とスムースに飲み込むものじゃないですか(見習い的立場のキャラを出せばいいのでは?)。「観客をバカにすんな」って思う。
後者に関しては「それを『モンハン』でやる必要があるの?」としか言いようがない。パンフには「軍の兵器が通用しないことを見せることでモンスターの強さを引き立たせられる」とも書いてあったけど、そんなの製作者の案配でどうにもなることじゃないですか。意地悪な文章を書くと、僕的に「軍の兵器が通用しないけどハンターたちの世界の武器で倒せる理由」については、単に「製作者がそういうことにしたいから」以上のものは感じられなかったです、申し訳ないけど(だって近代兵器って相当スゴいですよ)。
で、百歩譲って、じゃあ異世界転移要素は気にしないことにしても。映画開始から兵士たちが壊滅するまで30分って、長ぇよ。ミラ・ジョボビッチとトニー・ジャーが争う展開も意外と長いしさぁ(「アルテミスは結婚指輪を大事に持っている→夫を亡くした?→ハンターも妻子を亡くして祭壇に祀っている様子→共感する」というくだりになるのかと思いきや、祭壇を破壊して「ざまぁ!川 ゚∀゚)」って感じだったからビックリしたし、少し笑った。後でそういう展開にはなるけどさぁ)。もうね、「いつになったらゲームのようなモンスター狩りが観られるのか?」と。それに、ようやくモンスターを狩り始めたかと思いきや、スカイタワーだなんだと「モンハン」に求めていない要素が絡んできてね…。調査団の船は出てくるものの、街や村、ギルドや市井の人々とか全然登場しないの。
そもそも「『モンハン』の実写化」という状況に多くの人が期待することって、巨大モンスターとの対決だけでなく。あの世界の中で紡がれる文化の実写映像化も楽しみにしていた方は多いんじゃないでしょうか。僕的にはどんな街や村が出てくるのか、モンスターの素材を利用してどんな風に武器や鎧を作るのかとか(一応、ネルスキュラの毒針を利用して武器を作ったり、ディアブロスのウロコを使ってハンターを運んだりはしてましたがー)。別に特別な期待したつもりはなくて、その手の場面が普通に頻出すると思っていた分、拍子抜けいたしました。うーん、そういう部分を描くには予算が少なかったのかしらん。
そして最後は「オレたた」エンドですよ。こういった続編を匂わせる作りってのは、今どきの大作映画は仕方ないのかもしれませんけど…。そんな色気を出す前に、そもそも1本の映画としてキッチリ作ってほしいというのは贅沢な要求なんですかね(この監督、「モータル・コンバット」からやってるし)。パンフによると、カプコンの人もしっかり脚本をチェックしてたみたいなのに、それでこんな内容になっているのが信じられない。僕は所詮、「1作目しかやっていない男」なので、もしかすると今まで「モンハン」シリーズをプレイしてきた人的には「これぞ『モンハン』だぜ!(*゚∀゚)=3 ムッハー!」って作品なのかもしれませんが、ごめんなさい、僕的には結構ダメな“ゲームの実写化作品”じゃないかなと思ったり。
映画とゲームのコラボなども行われているようですな。ゲームの方は面白そうだけど…。
って、文句ばかり書いている割に65点なのは、「ゲームとは別物だな… (´・ω・`)」と思って、かなりガッカリしたのは確かながらも、好きなところも多かったから (〃∇〃) エヘヘ そりゃあ、大きなスクリーンで観る巨大モンスターたちは迫力があったし、武器や衣裳のビジュアルも素晴らしかったですよ。それに、実は「モンハン」要素が薄めの部分でも、思い入れが少ない分、意外と楽しめたのです。特殊部隊vsディアブロス(亜種)とか、軍隊vsリオレウスとかは、普通に巨大モンスター映画的な面白さがあったし(「モンハン」っぽくはないけど)、ネルスキュラの群れが部隊を襲うシーンなんて、ホラー風に演出されていて。ティップ・“T.I.”・ハリス演じる兵士が植え付けられた卵から大量の小さいネルスキュラが出てくるシーンとか、おぞましくて最高でしたね(「モンハン」っぽくはないけど)。
ミラ・ジョボビッチとトニー・ジャーが争う展開も意外と長くてイラッとしつつも、主人公同士とは思えないほどに憎悪剥き出しのバトルを繰り広げるからちょっと笑っちゃったし、何よりもハリウッド大作で主役級の活躍を見せるトニー・ジャーが眩しくてね…(しみじみ)。ジャーが見せるアクションは悪くなかったし(「目だッ!m9`Д´) ビシッ」が大好きなので、モンスターの目を狙うシーンがあったのはありがたい限り)、ラストにリオレウスのトドメを刺す見せ場が用意されてたのもうれしくて。彼の過去の主演作とか今までの足跡とかも思い出したりして、ちょっとグッときちゃった次第。
なんとなく「トニー・ジャー ファイト集」を貼っておきますね↓ 超カッコイイ… (´Д`;) ハァハァ
その他、思ったことを書いておくと、「ミラ・ジョボビッチ、ところどころ無駄に演技が上手かったな…(怯えるシーンとかリアルすぎて怖かった)」とか「4tのハンヴィーを実際に吹き飛ばしたり、しっかりロケ撮影を行っているあたりは好感が持てるけど、その労力を別のところに注いだ方が良かったのでは…」とか「弾丸を火にくべて撃発しても、そこまで威力はないっぽいですよ」とか「チョコを食べて喜ぶトニー・ジャーが可愛い…可愛いよぅ… (´Д`;) ハァハァ」とか「山崎紘菜さんもアクションを頑張ってたけど、実際にあんな風にワイヤー1本で宙吊りになったら、腕が抜けそうだな」とか「久しぶりにIMAXの大スクリーンで体験する『3D』は悪くなかった」とかとかとか。
そんなワケで、なんだかんだと不満はありながらもプラスマイナスでプラスという着地になったし、続編が作られたら観に行くとは思いますが…。とはいえ、あまり良くない表現とは思いつつも、僕自身も悪い意味で「ダメな方…アンダーソン… (`Δ´;) ヌゥ」と感じちゃうような作品ではありましたよ。何はともあれ、所詮は「1作目しかやっていない男」なのでね(苦笑)、僕が気付かないだけで、もしかすると「モンハン」愛に満ちたシーンも多いのかもしれないし(実際、僕は大団長といったキャラは知りませんし)、気になる人は観ればいいんじゃないかしらん。おしまい。
とりあえず貼っておきますね。やりたいんですけど、時間が…。
サントラがありましたよ。
なんとオフィシャルガイドブックが出てました。好きな人も結構いるのかな。
ポール・W・S・アンダーソン監督作で一番好きな映画。「イベント・ホライゾン」も好き。
ポール・W・S・アンダーソン監督によるゲームの実写化作品は、これが一番出来が良いと思う。
近年のトニー・ジャー主演作で白眉の出来はこれ。僕の感想はこんな感じ。
ゲームのダメな実写化で思いだした作品。鑑賞後、トイレのドアをガンガン蹴ってた人を思い出します。
早速、便乗しているのがさすがなアサイラム作品。これは観ないなぁ。