原題:21 Bridges
2019/中国、アメリカ 上映時間99分
監督:ブライアン・カーク
製作:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ、マイク・ラロッカ、ロバート・シモンズ、ジジ・プリッツカー、チャドウィック・ボーズマン、ローガン・コールズ
製作総指揮:レイチェル・シェーン、エイドリアン・アルペロビッチ、マーク・カミネ、トッド・マクラス、ワン・チョンジュン、ワン・チョンレイ、フェリス・ビー、アダム・フォーゲルソン
原案:アダム・マービス
脚本 アダム・マービス、マシュー・マイケル・カーナハン
撮影:ポール・キャメロン
美術:グレッグ・ベリー
衣装:デビッド・ロビンソン
編集:ティム・マレル
音楽:チャドウィック・ボーズマン、シエナ・ミラー、ステファン・ジェームズ、キース・デビッド、テイラー・キッチュ、J・K・シモンズ
パンフレット:★★★☆(880円/良いコラムを3本収録。関係者コメントなども適度に入ってて、良いです)
(あらすじ)
マンハッタン島で強盗事件が発生し、銃撃戦の末に警察官8人が殺害された。捜査に乗り出したのは、警察官だった父を殺された過去を持つデイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)。マンハッタンを全面封鎖して犯人の行方を追うが、事件の真相に迫るうちに思わぬ事実が浮かび上がる。孤立無援となったデイビス刑事は、事件の裏に潜むニューヨークの闇に立ち向かうが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
85点
※今回の記事に書かれている「刑事」は「デカ」と読んでいただけると幸いです。
基本的に「はみ出し刑事の一夜モノ」が好みな上に、昨年亡くなったチャドウィック・ボーズマンの主演作となれば、観るのは義務レベルなんですが、しかし。さらに、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評「ムービーウォッチメン」の課題映画にもなったということで! 4月13日(月)、渋谷で「狼をさがして」と「フィールズ・グッド・マン」と「AGANAI 地下鉄サリン事件と私」を観てから新宿に移動→TOHOシネマズ新宿で鑑賞いたしました。大好物でしたヨ (〃∇〃) オイシー
13日のgif。2月に誓ったので、飲食物を購入。観客は30人ぐらいでした。
鑑賞後の僕の気持ちを代弁する範馬勇次郎を貼っておきますね(「範馬刃牙」第19巻より)。
最初に「そんな話だっけ?Σ(゚д゚;)」と思われるほどに乱暴かつオレ流にあらすじを書いておきますよ。13歳の頃、警官だった父を悪党に殺されたデイビスは、19年後、すっかりNYPDで「噂の射殺刑事」として名を馳せてましてね。ついつい犯罪者を撃ち殺しちゃうようで、内務調査を受けたりする日々を送っていたところ、「ロシア系レストラン『モスト』にマイケル(ステファン・ジェームズ)とレイ(テイラー・キッチュ)の強盗2人組(元軍人で戦闘力高めで仲良さげで顔濃いめ)が押し入る→隠されていたコカインを大量ゲット→店に来た警官たちと銃撃戦→警官8人を皆殺しにして逃走!」なんて超凶悪事件が発生するのです。そりゃあ警察組織は仲間を殺されたらマジで激怒する集団なので、85分署の署長マッケナ警部(J・K・シモンズ)以下の署員たちは「射殺しようぜ!(`Д´)」と殺る気マンマン日曜日の中、デイビスはお目付役的なムード漂う「麻薬取り締まり刑事」バーンズ(シエナ・ミラー)と男女混合バディを組むことになると、「一晩で解決したいならマンハッタンを封鎖だッ!Σ(°д° ) クワッ!」と21の橋やらトンネルやらを封鎖するというね(ここまでで開始30分ぐらい)。
警官が殺される事件が発生しまして(搬送中に亡くなった人が加わって、殺された警官が8人になる)。
デイビスの発案により、マンハッタンを封鎖することに。
デイビスとバーンズは監視カメラの映像などを駆使しつつ、強盗2人組を追うのでした。
ただ、逃走のためにいろいろと画策する強盗2人組は「なんか…コカインの量が多かったし…いきなり警官が来てたし…話と違ってて不安だよぅ… (´Д`(´Д`;) ドキドキ」と「どきどきハートビート」状態であり、デイビスの方も“やたらと殺る気な警官たち”を不審に思っていたら! あーだこーだあって、なんと85分署の署長 with 腐れ警官たちが「警察の不正の証拠を消すために仕組んだ事件」であることが発覚。強盗2人組は射殺されたものの、デイビスはマイケルから証拠が入ったUSB(パスワードは「coolhand」)を託されたので、署長宅にてクズども相手に銃撃戦だッ!( ゚д゚) ブッコロス! 当然ながらバーンズもグルだったので銃を突き付けてくるんですが、「もう証拠は世に出たよ ( ´_ゝ`)」と言われる&パトカーのサイレンが聞こえてくると、「わたしまけましたわ (´・ω・`し ションボリ」とハンズアップですよ(微笑)。デイビスは事件を解決しつつも、アンニュイな顔で車を走らせるのでしたーー。
クライマックスは署長宅での銃撃戦なのです。
すみません、僕はこの表現をよく使いがちなんですが(汗)、まさに「ちょうどいい」作品というか。刑事を主人公にしたジャンル映画として、ドラマ、アクション、エンタメ、リアリティのバランスが僕的にかなりストライクでしたよ。特に「エンタメ感を損なわない“リアル寄り銃撃アクション”」のクオリティは、さすがは「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」や「タイラー・レイク 命の奪還」のルッソ兄弟が製作しただけのことはある…というだけでなく。そもそもは「マイケル・マン監督作大好き野郎」であり、ドラマ畑で活躍してきたブライアン・カーク監督の手腕によるところが大きいんだろうなと。撮影のポール・キャメロンは「コラテラル」に関わっていたそうですが(同じ「一夜モノ」でもある)、本作の「夜の都会」のビジュアルもまたカッコ良かったですねぇ…(しみじみ)。犯罪者側がアグレッシ部なのもあって銃撃戦が頻発するし、カーアクションも盛り込まれていて、マジで見どころのつるべ打ちながら、適度に「演技が上手い役者さんたちによるドラマ」が挟まっているから、観てて「アクション疲れ」がなくて。「緊張感溢れる刑事アクションムービー」として理想的な案配だと感心いたしました。僕的には、警察がマネーロンダリング屋を襲撃した時のドア越し銃撃戦と、デイビスとマイケルによる厨房チェイスが好みだったり (o^-')b ヨカッタ!
公式動画があったので、貼っておきますね↓
役者さんたちも素晴らしくて。主演のチャドウィック・ボーズマン、今まで刑事役をやってこなかったのが嘘のようなハマリ役ではないでしょうか。なんて言うんですかね、どことなく気品が漂っているからなのか、「自分が信じる正義」を背負う役が厭味にならないんですよね。彼の相棒となるシエナ・ミラーもタフで超好みだったし(ああいうシングルマザー刑事キャラは大好き)、「バトルシップ」や「ローン・サバイバー」で軍人役をやってたテイラー・キッチュが心を病んでる風の元軍人を演じるってのも良かった(負傷後、足でまといになることを危惧して、マイケルと別行動をとるくだりでは涙!)。環境のせいで人生を選べなかったマイケル(ある意味、デイビスとは鏡像的な関係といえる)を演じたステファン・ジェームズも、恥ずかしながら全然知らなかったですけど(汗)、見事な演技をするなぁと。この人、これからブレイクするんじゃないかしらん。
本作でのチャドウィック・ボーズマンの刑事振りは100点でしたねぇ (´∀`=) ホレボレ
シエナ・ミラーもクールでイイ! シングルマザー刑事が子育てするのは大変なのよ… (ノω・、) カワイソウ
「知的で優しいマイケル」と「すぐ殺すレイ」の元軍人タッグも、なかなか良かったですな(2人とも死ぬけど)。
署長役のJ・K・シモンズもピッタリでした。本作で行われた警察の不正とは「命がけの仕事をしているのに給料が安い→みんな生活が大変(職場の近くで暮らせないから通勤に4時間かかる!)→決して贅沢をするワケではなく署員の暮らしを支えるために金が必要→みんなでコカインを売ってました (ノ∀`) テヘ」ってなことであり、文章にしてみると「いや、ダメだろ ( ゚д゚)、ペッ」とまったく同情できないんですけれども。J・K・シモンズに情感多め麺硬め味濃いめで語られると、「だったら仕方ないカナー (´・ω・`) ウーン」と思えたりもする不思議。「セッション」の時のように上腕二頭筋を隆起してくれないのは残念でしたが(不要な注文)、良いキャスティングだなぁと思ったり(とはいえ、それに「オレの父親は薬物中毒野郎に殺された (`・ω・´) キリッ」と、凜として迎合しないチャドウィック・ボーズマンもまた素敵…また素敵なのだッ!)。
J・K・シモンズ、こういう役が似合いますな。
ただ、若干の不満もありまして。デイビスの自室にボクシングのトロフィーが飾ってあったから、「ボクサー刑事」振りが発揮されるかと期待したらそうでもなかった…というのは置いとくとしても(あの美術は「デイビスがタフに生きてきた」ってことを表現したんでしょうな)。正直、「証拠を世に出した」なら、別に単身で署長宅に乗り込むというリスクを冒す必要はないですよね(デイビスが「射殺刑事」だとしても)。つーか、そもそも「マネーロンダリング屋を襲撃して不正の証拠を奪いたい」という警察側の犯行動機が乱暴だし…。犯罪者と警察相手に危険な商売をやっている用心深い奴がそんな重要証拠をUSBにだけしか残してないってこと、あります? ううむ、単なるマクガフィンだとしてもあまり上手くはないと思いましたよ。それと、どうせ最終的には「腐った警察官たち」が黒幕なんだろうとは思ってましたけど、この手の「不正警察云々ムービー」って「誰が信用できるのか?」とか「誰に証拠を渡すのか?」といった部分も大事じゃないですか。だからラスト、デイビスがサラッと「証拠は世に出た」みたいなことを言った時は「あ、そこは全然大丈夫なんだ!Σ(゚д゚;)」と結構驚いた次第(で、「じゃあ署長宅に乗り込む必要なくない?」と思った)。あと、本作の売りである「マンハッタン封鎖」も、強盗2人組が脱出しようとする以前の段階で警察に見つかりまくるので、それほど封鎖感がなかったような気がしないでもなかったです。
「証拠は世に出た」を聞いた時の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「刃牙道」第13巻より)。
その他、適当に思ったことを書いておくと、「チャドウィック・ボーズマンが撮影中に闘病してたことを知りながら観るのは切ないものですな…」とか「マイケルを車で殺そうとするバーンズの勢いがイイ!」とか「監視カメラを使った今どきの捜査はスゴいね!」とか「デイビス、目の前で撃たれた民間人を少しは気にしろよ」とか「中国合作要素はどこに?(資本だけ?)」とか「『HiGH&LOW THE MOVIE3 FINAL MISSION』のせいでUSBがマクガフィンになると、微妙な気分になるようになった」とかとかとか。多少の文句は書きましたが、基本的には大好物だったし、ブライアン・カーク監督はとても良いアクションを撮れる人じゃないでしょうか。そしてチャドウィック・ボーズマン、鑑賞後は「デイビス刑事を主役にしたシリーズにしてほしい」と思ったほどだっただけに、つくづく惜しい人を亡くしましたな…(なんとなくポール・ウォーカーの遺作「フルスロットル」を観た時のことを思いだした)。車で走り去るラストも深読みしちゃって、最後は少し涙が出ましたよ。もうね、未見だった彼の主演作や出演作をあらためて観たくなったというか。NETFLIXの「マ・レイニーのブラックボトム」や「ザ・ファイブ・ブラッズ」も気になるけど、とりあえずは数字が本作の倍になってる「42 世界を変えた男」でも観てみようかと。まぁ、何はともあれ、チャドウィック・ボーズマンのご冥福をお祈りします。おしまい。
サントラでございます。
チャドウィック・ボーズマン主演作ってこれしか観てなかったんですよね…。僕の感想はこんな感じ。
ルッソ兄弟監督作でアクション演出が一番好きな映画。僕の感想はこんな感じ。
「刑事の一夜モノ」つながりで連想したジェイミー・フォックス主演作。僕の感想はこんな感じ。
テイラー・キッチュが悪役…で思いだした映画。僕の感想はこんな感じ。