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ノマドランド(ネタバレ)

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※今回の記事は、かなり心の狭い文章が書かれており、本作が好きな人は高確率で不快になると思うので、読まない方が良いです。

 

 

 

 

ノマドランド

 


原題:Nomadland
2020/アメリカ 上映時間108分

監督・製作・脚本・編集:クロエ・ジャオ

製作:フランシス・マクドーマンド、ピーター・スピアーズ、モリー・アッシャー、ダン・ジャンビー

原作:ジェシカ・ブルーダー

撮影・美術:ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ

美術:ジョシュア・ジェ

音楽:ルドビコ・エイナウディ

出演:フランシス・マクドーマンド、デビッド・ストラザーン、リンダ・メイ、スワンキー、ボブ・ウェルズ

パンフレット:★★★★☆(840円/サーチライト系の読み物多め&クオリティ高めパンフ。本作が好きな人はマストバイ!)

(あらすじ)
ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


75点

 

※本作については、映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介映画その他ムダ話の解説(220円)が超タメになったので、本作が好きな人はチェックしてみて!

 

基本的にはあまり興味がないジャンルの映画なんですけど(汗)、一応、アカデミー賞作品賞の最有力候補であり、あのフランシス・マクドーマンド主演となれば、「それなりには面白いのかな」と。で、さらに愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題作品になったということで。4月19日(月)、新宿ピカデリー「太陽は動かない」を観てからTOHOシネマズ新宿に移動して、「ザ・スイッチ」「ミナリ」とハシゴ鑑賞いたしました。いろいろと考えさせられましたね… (´・ω・`) ウーン

 

 

月曜日のgif。8番スクリーン、客席は8割ぐらい埋まってました。

 

 

映画のあらすじを適当かつ雑に書いておきますと。「企業が撤退したせいでネバダ州の企業城下町が消滅しました」的なテロップが出た後、60代の女性であり元教師のファーン(フランシス・マクドーマンド)が荒野で放尿しつつも股間を拭かないシーンからスタート。ファーンったら、愛車の「ヴァンガード(先駆者)」を自宅代わりに、肉体労働系バイトをしながら生活する日々=ノマド生活を満喫してましてね。初心者なのでタイヤがパンクしたのにスペアを用意してなかった→他のノマドのスワンキーに怒られたり、教え子に「ホームレスなの?(´・ω・`し」と聞かれて「ハウスレスよ 川 ̄ー ̄) ニヤッ」なんて答えてみたり、大規模なノマド集会で他のノマドと交流したり、キャンプ場の用務員のバイトで友人ができたり、エンジンが壊れて直すお金がないので妹に借りたり、老齢のノマドの男デイブと知り合って良いムードになって一緒に暮らさないかと誘われたり、スワンキーがガンで死んだりと、すったもんだがありました (´∀`=し ウフフ 最後は、廃墟と化したマイホームに戻ってシンミリした後、またヴァンガードを走らせて終わってたと思います、たぶん。

 

 

なんとなく公式の本編映像を貼っておきますね↓

 

 

 

本作は、「車を住居として日雇い労働をしつつ旅をしながら生活する人々=ノマド(放浪の民)の等身大の姿を描いた…って感じの映画でしてね(日本の「ノマドワーカー」とはまったく別の話)。いきなりモヒカンのバイカー集団に囲まれてリンチされた挙げ句にバイクで引きずり回されたりとか、仲間の惨殺死体が発見されたりとか、他のノマドに金品を強奪されたりといったハードな展開があるワケではなく。逆に「メイプルタウンノマドランドにおいでよ!ヘ(゚∀゚*)ノ」的なお気楽アウトドアライフ推奨ムービーというワケでもなく。「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです (´∀`=し」ってな温度の作品でしたよ。なんて言うんですかね、本作に登場するノマドの大半が「追い込まれてノマドライフを送らざるを得なくなった」感じではあるものの、そんな困難な状況においても自己否定に陥らずに人生を楽しめる“人間の強さと可能性”を見せてくれるのです。

 

 

公式の特別映像を貼っておきますね↓

 

 

 

役者さんは主演のフランシス・マクドーマンドやデイブ役のデビッド・ストラザーンぐらいで、「他のノマドの役」は実際のノマドの人たちがそのまま演じているってのは、最近のクリント・イーストウッド監督作みたいだなと(というか、「アウトポスト」では本物の軍人が出ていたし、近頃はそういう映画が目に付くような)。で、劇中に出てくるノマドの人たちは素朴な善人感が全開なんですが、彼らと演技をするフランシス・マクドーマンドは、どことなく「田舎を探訪するバラエティ番組で地元の人と交流する芸能人」的に見えたりもして、妙な面白さがありました。さらに、クロエ・ジャオ監督と組むのは3度目というジョシュア・ジェームズ・リチャーズによる自然光を活かした撮影は美麗としか言いようがなくて、まさに映画館の大きいスクリーンで観る作品という印象。そして、原作のルポ「ノマド 漂流する高齢労働者たち」にはふんだんに書かれているという「労働搾取」などの世知辛い事情の方はそれほどクローズアップしないので、後味も悪くなかったです。鑑賞後、「ノマドライフも意外と悪くなさそうだな ( ´_ゝ`)」と憧れたりする人もいるんじゃないかしらん(それこそ映画がヒットしたら、それこそバラエティ番組が「100日間ノマド生活」とかやりそう…という勝手なイメージ)

 

 

なんとなく公式の本編映像を貼っておきますね↓

 

 

 

ただ、正直なところ、乗れない部分もありました。物語的にかなり地味というか、「ドラマチックな事件はまったく起こらずに淡々と進む」といったところは別に大丈夫なんですが、しかし。パンフによるとクロエ・ジャオ監督は「政治について話すと、観客を共感で結びつけるよりも分裂させる可能性があるんじゃないかと思った」(要約)そうで。政府や企業を批判するといった要素がかなり薄めなんですよ。映画評論家の町山智浩さんの映画その他ムダ話の解説(220円)の受け売りですが(汗)、「ファーンが引用する『夫に贈った詩(ウィリアム・シェイクスピア『ソネット集』18番)』」から推察するに、「監督はノマドの人々を映画という“美しい詩”として残したかったんだな」とは思うし、確かにもっと政治やら何やらに触れたら作品内容自体がブレちゃう気もするんですけど…。一応、ファーンが不動産業のやり方を批判するシーンはあったものの、やっぱりノマドライフを存分に楽しめている人ばかり出てくるのは、ちょっとフェアじゃない気がしたんですよね…。

 

 

良い映画だとは思いつつも、こんな範馬刃牙気分にもなったのです(「グラップラー刃牙」第37巻より)。

 

 

劇中でスワンキーが「ノマドライフのおかげでいろいろな美しいものを見たわ (´∀`し」的な、モロに「ブレードランナー」のルトガー・ハウアーっぽい台詞を言った時はグッと来たけどさ、とは言え、あっちは「レプリカント」だからこそ目撃してきた光景であって。ごめんなさい、スゲー失礼な文章を書きますが、ノマドが見られるような風景って金持ちは週末に気軽に体験できるじゃないですか。もちろん「あえてノマド」という人もいるでしょうが、彼らは“そういった奴ら”に搾取されて「住宅ローンがパンクした」とか「奨学金が返せない」といった経済的理由で追い込まれてしまったのに、老人になっても肉体労働に従事せざるを得なくなっているのに、そんな人たちの生活を客観的視点で「美しい詩」とか評されても「てめぇ何様だ」感が否めない…なんて思っちゃうのは、僕の心が狭いからでございます… (ノω・、) スミマセン でも、「映画秘宝 2021年5月号」の森直人さんのコラムによると、原作には「黒人にノマドがいないのはマジで生命の危険があるから」といったことも書かれているみたいだし、やっぱり諸手を挙げては乗れないんだよなぁ。

 

 

あっちは物騒だし、黒人に限らず、ノマドの人たちはこんな目に遭う危険性があるのでは…という偏見まみれのアメリカ観(「北斗の拳」第10巻より)。

 

 

その他、思ったことを垂れ流しておくと、「放尿しても股間を拭かないオープニング、山本匠晃アナ風に『なにーッ!Σ(゚д゚;)』と思った」とか「急遽発売してくれたパンフレットは、サーチライト系の読み物多め&クオリティ高めで、特に宇野維正さんのアメリカ映画と乗り物考察が素晴らしかったけど、急ごしらえのせいか、ザッと読んだだけで誤字脱字を3カ所見つけましたよ…」とか「そもそも僕はインドア派であり、お風呂は毎日入らないと気持ち悪いし、痔主なのでトイレもウォシュレットを手放せないし、さらに対人コミュニケーションもそれほど得意ではないから、本作で描かれるノマドライフには1ミリも憧れなかった…」とかとかとか。まぁ、ついつい文句も書いちゃいましたが(苦笑)、「僕も職を失ったら…家族も失って… (´Д`;) イヤン」という不安は常に抱いているので、そういった部分では彼らの境遇に超共感しながら観たし、いろいろと考えさせられた次第。そんなワケで、基本的には僕の心が猫の額のように狭いだけというか、アカデミー賞作品賞最有力候補の素晴らしい作品だと思うので、興味がある方はぜひ劇場で観てみてくださいな。おしまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェシカ・ブルーダーによるノンフィクション。ヘビーそうだけど、読みます!ヽ(`Д´)ノ

 

 

サントラを貼っておきますね。

 

 

超評判の良いクロエ・ジャオ監督の前作。かなり観たいです。

 

 

フランシス・マクドーマンド主演作。僕の感想はこんな感じ。

 

 

内容は違うんだけど、非常に連想したケン・ローチ監督作。僕の感想はこんな感じ。

 

 

 

 


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