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砕け散るところを見せてあげる(ネタバレ)

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砕け散るところを見せてあげる

 

2020/日本 上映時間127分

監督・脚本・編集:SABU

原作:竹宮ゆゆこ

エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO

ゼネラルプロデューサー:井上鉄大

企画・プロデュース:八木佑介

プロデューサー:清水洋一、梶原富治

アソシエイトプロデューサー:中林千賀子、広瀬基樹

ラインプロデューサー:江良圭

撮影:江崎朋生

照明:三善章誉

録音:横澤匡広

美術:林チナ

装飾:天野竜哉

衣装:小磯和代

ヘアメイク:橋本申二

音響効果:渋谷圭介

音楽:松本淳一

主題歌:琉衣

スクリプター:西岡智子

VFXプロデューサー:谷内正樹

キャスティングプロデューサー:高柳亮博

助監督:川井隼人

制作担当:長谷山慎治、田野真憲 

出演:中川大志、石井杏奈、井之脇海、清原果耶、松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、木野花、原田知世、堤真一

パンフレット:★★★☆(850円/関係者インタビューが充実。SABU監督の絵コンテが載っているのもいいですな)

(あらすじ)
平凡な日々を送る高校生の濱田清澄(中川大志)は、ある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃(石井杏奈)に出会う。正義感の強い清澄は玻璃に救いの手を差し伸べ、玻璃はそんな清澄に対して徐々に心を開いていく。しかし、玻璃には誰にも言えない秘密があった。その秘密に気づき始めた清澄に、恐るべき危険が迫り……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


70点

 

※今回の記事は、原作小説のネタバレにも触れているんですが、原作小説はネタバレを知らないで読んだ方が絶対面白いと思うので、未読の方はここから読まない方が良いザンス(たぶん小説→映画の流れがベスト)。

※今回の記事は、「アクロイド殺し」「慟哭」「ハサミ男」のネタバレに触れているんですけど、3作品ともネタバレを知らないで読んだ方が絶対面白いミステリー小説なので、未読の方はここから読まない方が良いザンス。

※今回の記事は「半分の月がのぼる空」ネタバレに触れているものの、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白い映画なのでね、観てから読んでッ!

 

映画鑑賞が趣味になってから早や幾年。最近はすっかり「なるべく事前情報を入れないで観る」ようになりましてね(微笑)。本作については、2月に観た「名も無き世界のエンドロール」がそれなりに面白くて、その影響で「青春ムードの意味深ミステリー」っぽい邦画が気になるようになってしまって、なんとなく前売り券を購入。4月28日(水)、埼玉県新座市にあるユナイテッド・シネマ新座にて、「ドリームランド」「AVA エヴァ」とハシゴ鑑賞いたしました。「後悔先に立たず!Σ(゚д゚ ) クワッ!」と思ったり。

 

 

前売り特典はオリジナルポストカード。前売り券もポストカードと同じ大きさだったのは珍しい。

 

4月28日のgif。観客は10人ぐらいだった記憶。映画館の応援として、ポテトセットを摂取しながら観ました。

 

 

まず、すでに映画を観た人が怒りそうなレベルで、若干の嘘を交えながら雑にあらすじを垂れ流しておきますと。夜、受験生(北村匠海)が自室で「ヒーローだった父(水没した車から人を助けたものの、自分は溺死)」を思い出しながら「ヒーローの変身ポーズをする」という自慰行為に励んでいたところ、夜食を運んで来た美人の母(原田知世)に目撃されてしまったので、「ババァ、ノックしろよ!(;`Д´)」と激昂するところから話はスタート。場面変わって、高校3年生だった父・濱田清澄(中川大志)ったら、ひょんなことから、いじめられていた高校1年生の蔵本玻璃(石井杏奈)を助けるようになりましてね。で、少しずついじめが沈静化してきて、お互いに恋心を抱きはじめるも、今度は「父親(堤真一)に虐待されている」っぽいことが判明するのです。

 

 

映画は北村匠海さん演じる若者のモノローグから始まるんですけれども。

 

主役は中川大志さんが演じる父・濱田清澄でして。

 

真っ直ぐな性格の清澄は、玻璃をいじめや父親から救うことになるのです。


 

 

シカモ、父親ったら「祖母を虐待の挙げ句に死なせていて、娘に手伝わせて森の沼に沈めていた」とか「家を出たと思っていた母親も実は沼に沈められていた」といった物騒な過去が次々と発覚! 警察に通報しようとした清澄と玻璃は、父親にゴルフクラブでボコボコにされて、家ごと燃やされる…かと思いきや。殺意の波動に目覚めた玻璃が父の隙をついて、逆にゴルフクラブで滅多打ちだッ!川`Д´)ノ ブッコロス! 正当防衛とはいえ、父親を殺してしまった玻璃は、名を変えて生活することになりまして。数年後に清澄と再会→結婚→妊娠するも、出産予定日に清澄は人助けをして死んでしまうんですが、しかし。清澄は死後も2人を見守っているのでしたーー。

 

 

そしてラストは、初めて清澄が玻璃を待っていたシーンが「玻璃側の視点」で映って終わるのです。

 

 

一応、琉衣さんによる主題歌「Day dream 〜白昼夢〜」を貼っておきますね↓

 

 

 

僕的に本作の気に入ったところは3つほどあって。1つ目は、ストレートに良い話だったこと。「いじめ、ダメ絶対!(・A・) イクナイ!」とか「虐待、良くない!(・A・) イクナイ!」なんてことは誰でも分かっていることなのに、残念ながら世の中にまん延している昨今、こういった「いじめ」や「虐待」を扱いつつもエンタメとして見応えのある青春映画にしたのは素晴らしいなと。ちゃんとクライマックスには怖い見せ場も用意されていたし、なんかね、赤川次郎先生が過去に量産していた「青春ミステリー小説」とか思い出しちゃいましたね。ラスト、臆病だった玻璃が他者を守るために父親に立ち向かうことで「ヒーローになる」展開もグッときたし(その心を息子につなぐ話でもある)、久しぶりに「こういう真っ当な話って良いなぁ (´∀`=)」とホッコリいたしました。

 

2つ目は、ところどころにユーモアが散りばめられていたこと。正直なところ、登場人物のステレオタイプ感は凄まじいし、ごめんなさい、台詞回しについても「いかにもフィクションの登場人物っぽい」と感じたりもしましたが(特に清澄は自分の内面を説明するための独り言が多すぎ。スパイダーマンかと思った)、とはいえ、登場人物たちの会話が結構笑えるから、「いじめ」「虐待」「父親が祖母と母を殺害」「主人公が溺死」といったヘビーな状況がつるべ打ちな話なのに意外と明るく楽しめるのです。例えば、僕が大好きだったのは、いじめ加害者が「おばちゃん(木野花)が作ってくれたおはぎ」を玻璃に向かって投げる→清澄の顔面に炸裂して鼻血が出るシーンでして。

 

 

暴走した人間のクズに清澄たちが立ち向かう、かなり緊迫した場面なのです。

 

 

流れ的には、清澄が「てめぇ、ブッ殺す!( ゚д゚)」と激怒してもノー問題な流れであり、観客的には「これからあの超ムカつく“坊主頭のいじめ加害者”(演じた子は超見事!)を拳で制裁するのだろう…ややもすると指の1本ぐらいは折るのかもしれぬな…」などとしたり顔で思っていたら。なんと清澄ったら「尾崎・妹(清原果耶)にティッシュを要求→ガムがついてた」といった愉快な展開に落とし込むから、「マジか!Σ(゚д゚;)」(劇場でも笑い声が起こった)。まぁ、それでも僕はあの坊主頭を血祭りにあげてほしかったけど、とはいえ、憎悪が憎悪を生む連鎖をユーモアで断ち切るスマートな姿勢にも見えてね、非常に感心した次第(まぁ、それでも僕はあの坊主頭を血祭りにあげてほしかった…というしつこい文章)

 

 

松井愛莉さんと清原果耶さんが演じる尾崎姉妹、「笑い要素」を結構担当していて、良いキャラでした。

 

 

3つ目は、堤真一さん。映画を観ていると、そりゃあ僕を含めた多くの観客は「玻璃はいじめられているだけでなく、父親に虐待されているのだろうな (`Δ´;)」と気づくワケですよ(そういう演出をしているし)。ただ、僕は事前情報を入れてなかったので、堤さんが出演されていることを知らなくて。もうね、満を持して父親役として登場した時は「キタ―――(゚∀゚)―――― !!」とテンションがガン上がり。案の定、厭なオーラ全開の父親を見事に演じてましてね…(しみじみ)。よく見ればポスターにもいるし、後からチェックしてみたら予告編にも出まくっていたのでね、あらためてなるべく情報を入れずに観て本当に良かったなぁと思ったり。

 

 

堤さんの登場シーン、ガチで鳥肌が立ちました。演技が上手い人の「厭な役」は最高!(o^-')b ナイス!

 

思わず「カウント2で起きた丹波文七を目撃した松尾象山」気分でしたよ(「餓狼伝」第11巻より)。

 

 

ただ、僕ももう48歳の初老男性なのでね(苦笑)、こういった「若者が主人公の青春ミステリー」にシンクロ率高めに感情移入する感じはなくて。あと、「いくらオレジナルな変身ポーズだとしてもアレはないなー」とか「玻璃の顔面がボコボコな時点で110番通報すれば終わった話では」(いくら昔の話&主人公たちが高校生だとしても!)とか「体が動かなくなるレベルで頭部をゴルフクラブで殴打されていたら死んでるだろ」とか「イメージ的な演出だとしても、あそこまで川の流れが激しかったら人助けどころじゃないよ」といった部分は気になりました。それと、最初は「おいおい、稲妻十字空裂刃を破られたダイアーさんじゃないんだから ( ´_ゝ`) ヤレヤレ」(伝わりにくい例え)と思っていた「砕け散るところを見せてあげる」という意味深なタイトル、要は「劇中に出てくる巨大なUFO(不安の象徴)が砕け散る」ってことみたいですが、すみません、あまりピンとこなかったというか。なんか…釈然としなかったです… (´・ω・`) ウーン

 

 

もっとこんな鎬紅葉風に何かを砕こうとするのかと思ってました(「グラップラー刃牙」第8巻より)。

 

 

その他、「ことわざ辞典はトイレに置いておこうと思った」なんてことはどうでも良いとして。鑑賞後、パンフを読んで知ったことですが、原作は「これは死んだ父親の話だったーッ!(°д°;) ゲェーッ!と読者を驚かせる叙述トリックでも話題になったそうで。もちろん「文章だからできること」であり、映画版では最初から「父親の話」として見せているから、「これ、原作ファンはどう思ったんだろうな」と(映画版の「ハサミ男」とか思い出しましたよ)。少し連想したのが、同じく小説を実写化した「半分の月がのぼる空」でして。僕的に映画自体は大好きだったものの、叙述トリックっぽい部分を映像化したところは微妙だな…と思ったりもしたので、やはり小説の映画化ってのは大変なんでしょうな(良い作品であればあるほど「小説だからこそ」の部分が大きいんだろうし)。つーか、僕は「アクロイド殺し」とか「慟哭」といった叙述トリックものは嫌いじゃないので、できればそれを知らずに原作小説を読みたかったな…でも映画を観るまで原作の存在すら知らなかったしな…などと悩んだりもした次第。まさに後悔先に立たず、ですな(唐突に偉そうな口調で)

 

 

念のため、「半分の月がのぼる空」の予告編を貼っておきますね↓ 超良い映画!

 

 

 

何はともあれ、少し文句も書いちゃいましたが、役者さんたちはみんな魅力的だったし、笑えたりホッコリするシーンも多かったし、最後は感動させられたということで、普通に良い映画でした (´∀`) ヨカッタワー 恥ずかしながらSABU監督の映画って初期の作品しか観てないんですけど(汗)、他の映画もチェックしてみようかなと思ったりもしましたよ。気になる人は観ても損はしないんじゃないかしらん。

 

 

 

 

竹宮ゆゆこ先生による原作。かなり評判は良かったみたいですな。

 


そういえば中川大志さんが出ていた作品。僕の感想はこんな感じ。

 

 

堤真一さん主演×SABU監督作。普通に面白かった記憶。

 

 

なんとなくタイトルで連想した佐藤祐市監督作。僕の感想はこんな感じ。

 

 

少し思いだした深川栄洋監督作。僕の感想はこんな感じ。

 

 

一応、貼っておきますよ。僕が久しぶりに読んだ時の状況はこんな感じ。

 

 

 

 

 

 


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