赤×ピンク
2014/日本 上映時間118分
監督:坂本浩一
編集:須永弘志
製作総指揮 :井上伸一郎
製作:安田猛、大森氏勝、千綿英久、丸田順悟
原作:桜庭一樹
脚本:港岳彦
撮影:百瀬修司
美術:丸尾知行、沖原正純
出演:芳賀優里亜、多田あさみ、水崎綾女、小池里奈、山口祥行、前山剛久、杉原勇武、桃瀬美咲、桜木梨奈、三田真央、西野翔、周防ゆきこ、大島遥、安田聖愛、人見早苗、榊英雄、品川祐
パンフレット:なし
(あらすじ)
六本木にある廃校になった小学校では毎夜、非合法な格闘イベント“ガールズブラッド“が開催されていた。女嫌いの空手家・皐月(芳賀優里亜)や、チャイナドレス姿の人妻・千夏(多田あさみ)、弱虫のまゆ(小池里奈)、SMクラブの女王様ミーコ(水崎綾女)らは、自分たちの生きる場所を求めて戦いを続ける。(以上、ぴあ映画生活より)
予告編はこんな感じ↓
60点
※今回の記事は、この映画が好きな人は不快になる怖れがあるので、読まない方が良いです。
木曜日は基本的に記事を更新しない予定なんですが、2月公開の映画の感想が溜まっているので、急遽アップしておきますね。「なるべく坂本浩一監督作は劇場に足を運びたい!」という純粋な気持ちと、「あの芳賀優里亜さんの“体当たり演技”が観たい!」という下世話な気持ちがあったので、前売り券を購入。角川シネマ新宿で観てきました。「スゲー惜しい!ヽ(´Д`;)ノ」と思ったり。というか、今回は文句の方が非常に多いので、この映画が好きな人は読まない方が良いかもしれません…。
角川シネマ新宿にやって来ました。「地球防衛未亡人」も上映中でしたよ。
劇場には出演者のサイン入りポスターや…。
パネル展示などがありまして。
写真集なども販売されていたんですが、パンフレットは作られてませんでした。残念!
褒めたいところを書くと、芳賀優里亜さんは100点でした (o^-')b ヨカッタ! ヌードになったこと自体を褒めたいのは当然なんですけど、それ以前に、その佇まいが素晴らしかったというか。実際にアクションが得意かどうかは別としても、全体的に凜とした雰囲気が漂っていて、空手の型のシーンとか、非常に素敵でしたよ。性同一性障害のキャラクターなんですが、少年っぽい演技も非常に良くて…。特に最後、空手団体・安藤一門との3vs3マッチに勝利した後、自分の実家に千夏と帰って、久しぶりに母親と会った時の表情とか、グッときました。彼女はスゲー頑張ったと思います。
芳賀優里亜さんが歌う主題歌「イチル」を貼っておきますね↓
その他、アクションもクオリティ自体は高いと思うし、ところどころ入る“エロ要素”もそれはそれは美味しゅうございました (´∀`) ウフフ その他、ガールズブラッドの社長役の山口祥行さんは相変わらず渋くてカッコ良かったし、安藤一門のボス・安藤乱丸を演じた榊英雄さんも良い感じにイヤな奴で良かったし(サザエさんみたいな髪型が愉快)、トレーナーの1人を演じた杉原勇武さんも良い動きを見せていて、非常に好感を持ちましたね~。
なんとなく榊英雄さん主演の「ALIVE」の予告編を貼っておきますね↓ そんなにオススメはしないです。
とは言え、かなり残念に思うところが多くて。ストーリー自体は「主人公がレズ」という設定以外は実によくある話というか、心が程よく燃えそうな内容なんですが、しかし! 原作小説の脚本化が上手くいかなかったのか(未読なので実際のところはわかりませんが)、アクションやエロシーンに時間を割きすぎたせいなのか、「安藤一門がやりたい放題すぎ」といった点には目をつむるとしても、各登場人物の描き方が超雑なんですよね…。
例えば、水崎綾女さんが演じた女王様ミーコのキャラとか、「ミルコ・クロコップに憧れてハイキックを決める!」という展開自体はスゲー良いんだけどさ、そもそもの格闘技歴とか、「一流の空手家相手にどうしてそのハイキックが決まるのか?」とかは一切描かれていないから、即物的にそのハイキックだけ見せられても、「あーそうですかー ( ゚д゚)」としか思えないじゃないですか。せめて「相手の気持ちがわかる」という設定を活かしたりとかすれば良かったんですが…。
ミルコ・クロコップのK.O.集を貼っておきますね↓ カッコ良いね~。
小池里奈さんが演じたまゆに関してはもっと酷い。「他のメンバーもいるのに、なんで戦闘力の低いお前が3vs3の代表に選ばれているのか」と。終盤、ロクな説明がないまま普通に戦うから、いくら善戦しても全然心が燃えてこない。このキャラ、ストーカー気味の男(前山剛久)とのやり取りも恐ろしいほど中途半端だったし、小池里奈さん自身はいろいろと頑張っていただけに、かなり不憫だったり。
というか、アクションの場面場面はカッコ良いんですけど、前述のミーコのように、格闘描写にロジックが全然ないから、イライラするところも多かったんですよね…。例えば、空手家=打撃主体であり、それに対抗する方が寝技を磨いたりするのが普通じゃないですか。でも、この映画の場合、空手団体・安藤一門の方が積極的に寝技を仕掛けてくるんですよ。
いや、今の時代、空手家も寝技云々的な話もありますし、一応、千夏は「総合でも活躍してた」設定でしたけど、具体的な理由も語られないまま、なし崩しにバックボーンが関係ないファイトスタイルを披露するから、少し萎えるというか。ガチの試合をコスプレのまま戦うのはビジュアル重視として許すとしても、全体的に製作者たちが格闘映画としては真剣に作ろうとしていないように見えて、結構失望しました。
あと、作品としてはエロ要素はもう少し抑えた方が良かったんじゃないかと。ごめんなさい、僕自身、それを期待していたところはあったし、劇場がサービスデーではないにも関わらずほぼ満員だったのはそういうニーズがあるからだし、興行として考えるなら1ミリも悪くないんですが、今作はさすがに露骨すぎ。あまりに唐突というか、「はい、ここからです!ヘ(゚∀゚*)ノ」ってムードがモロな感じで始まるし、見せ方も上手くないから逆に面白く見えちゃって、話の真剣なトーンが台無しなんです。特に皐月と千夏のレズシーンとか、生々しい割に多田あさみさんの乳首を隠す技術が凝っているから妙に笑えるというか。股間を白い光で処理するシーンとか、どんなギャグかと思いましたよ。
それと、心底イラッとしたのが、元空手家のトレーナー役として出演していた品川祐さん。彼が監督した映画「ドロップ」は大嫌いではあるものの、彼自身に悪感情は持っていなかったんですが、すみません、この役はスゲー微妙。お笑い芸人が“渋いキャラ”をやるのが悪いとは言いませんけど、“シリアスな影のある演技”を披露する品川祐さんを観ていると、「なぜこの役をこの人が?(゚д゚;)」という違和感がハンパじゃなくて。もしかしたらそういう違和感を楽しむギャグなのかもしれませんが、彼にとっても作品にとっても得がない配役じゃないでしょうか。
って、ダラダラと文句を書きましたが、僕的には「DVに遭っている人妻・千夏をレズの皐月が愛と拳で救う」というストーリーや、芳賀優里亜さんの演技、アクション演出自体は素晴らしかったと思ってて。キッチリ作れば和製「カリフォルニア・ドールズ」になったと思うだけに、スゲー惜しいなぁと。芳賀優里亜さんを始め出演キャストたちのDVDや写真集などが販売されている状況をみれば、今作のような作りが仕方ないのは十分わかっているんですが…。とりあえずこの作品に出た人たちには今後も頑張ってほしいなぁと思っております (´・ω・`) オシマイ
桜庭一樹先生による原作小説。kindle版もあります。
メイキングDVDです。多田あさみさんのと水崎綾女さん
のも出ております。
芳賀優里亜さんの写真集。こちらも多田あさみさんと水崎綾女さん
のが出ております。
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赤×ピンク(ネタバレ)
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