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ホームレス理事長 退学球児再生計画(ネタバレ)

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ホームレス理事長 退学球児再生計画

ホームレス理事長

2013/日本 上映時間110分
監督:圡方宏史
プロデューサー:阿武野勝彦
音楽:村井秀清
音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:中根芳樹
音声:栗栖睦巳
効果:久保田吉根
TK:河合舞
編集:高見順
出演:山田豪、池村英樹、下川潤樹、大久保貴章
パンフレット:★★★(600円/読む記事が多くて好きだけど、公式サイトに同じコラムがあると萎える)
(あらすじ)
2010年2月、山田理事長は愛知県常滑市で、ドロップアウトした元球児たちのためのNPO法人ルーキーズを設立する。だが、2年後も生徒は思うように集まらず、常に赤字状態の中、理事長自ら金策に走り回っていた。自宅の電気やガスを止められ、家賃滞納でアパートを追い出されても彼は決してあきらめず、必死に資金を調達しようとするが……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




88点


※今年から、1年に観る新作映画は120本と決めているのですが、よくよく考えれば、今の生活においてまったく“勉強”という行為をしない僕にとって、ドキュメンタリー映画は“大切な学びの場”ということで、今後、ドキュメンタリー映画はカウントしないことをあらかじめ断っておきます(偉そうな口調で)。

暦はすっかり4月なのに、すみません、今さら2月に公開された作品の感想を書きますよ。「2月公開で観たいと思っている映画の覚え書き」では触れていなかったように、一応、「東海テレビ制作のドキュメンタリーがまたやるんだ」とは思いつつも、そんなに興味がなかったりして。というのは、タイトルに“あざとさ”を感じるというかさ(苦笑)。「おやおや、今さら映画化もした芸人さんの本に便乗ですか? (´,_ゝ`) プッ」と意地悪く思うところもあり、基本的には観ない予定だったんです。

だがしかし、アシパン「タマフル・トップ5オフ会」で知り合ってから、いろいろとやり取りをさせていただいているkimtakeさんから強くプッシュされまして。「まぁ、そこまで言うなら… (・ε・)」と観るつもりにはなったものの、なかなか時間が作れなくて、先週、やっとポレポレ東中野に行って来ました。非常に考えさせられるドキュメンタリーでしたね… (`Δ´;) ヌゥ ネタバレを知ってつまらなくなるような作品ではないと思うんですが、「平成ジレンマ」に衝撃を受けた人とかだったら、予備知識ナシで劇場に足を運んだ方が良いんじゃないかしらん。映画の内容から、将来、ソフト化されるか不明だし、パンフレットを読む限りは、たぶんテレビでは放送されない確率が高いので。


ポレポレ東中野で観る時は、なるべく大盛軒ビッグ鉄板麺(1380円/1700kcal)を食べる主義なのです。激旨!ヽ(`Д´)ノ ウマー
ビッグ鉄板麺


この映画、基本的には「NPO法人『ルーキーズ』を維持するための金策に走り回る山田豪理事長(当時44歳)」と、「高校を中退してルーキーズに入団したものの馴染めない小山雄嗣少年(当時17歳)」の2人を中心に撮っていて、最後は「雇っていた監督をリストラする」という、なかなか追い込まれた状況のまま終わっちゃうんですが…。出演者といい、劇中で起こってしまうことといい、扱っている題材といい、なんかすべてが上手く絡み合ってスパークしたような作品なんですよ、マジで。とにかく僕がグッときた要素を個条書きで書いておきますね↓



<理事長にグッときた!ヽ(`Д´)ノ>

何に驚いたって、山田豪理事長の愚直さ。非常に愚かなブログを書いている僕ですけれども(苦笑)、一応は社会人としての顔も持ち合わせているワケで。ハッキリ言って、こんなバカな理事長がいるのかと驚愕しましたよ。映画では、金策に走り回る彼を延々と映すんですが、その微妙な会話スキル&ノープランな飛び込み営業振りは、誰が観ても「もう少し考えて行動しなよ… ('A`)」と思うんじゃないでしょうか。しかも、タイトルで予想はしてましたけど、すべての金をNPO法人『ルーキーズ』に注ぎ込んでいるため、ガス代&水道代&電気代を払えなくなった挙げ句、本当に家を追い出されるからビックリというか。

山田豪理事長。元高校球児であり、高校で野球部の監督をしていた経験もあるんですが…。
この人が理事長だッ!

無策すぎてNPOは破綻寸前で生活レベルも低め。40代の大人の夕食がバナナとポテトチップスってさぁ(夕食がほぼ「ペヤング 超大盛やきそば」な男の文章)。
夕食はバナナとポテトチップス

だから、途中まではイラッとしつつも、あまりにもバカすぎて笑っちゃうところが多くて。とうとうドキュメンタリーを撮影するスタッフたちにまで「金を貸してくれ」とか言い出して土下座する辺りは、地獄のような喜劇だなと爆笑したんですが…。その直後、「どうすれば良いんですかね?」と理事長が号泣する場面にはスゲー胸を打たれてしまって。よくよく考えれば、人間、“住む場所を失っても構わないほどの情熱”って、あり得ないじゃないですか。

最初は思わず笑っちゃったんですが…。
ザ・土下座

僕の夕飯が“ほぼペヤ「ほぼ日」っぽく省略)なのは、あくまで映画を観たりとか“自らの快楽のため”であって。この人は、自分の収入のほとんどをNPOに注ぎ込んで、さらには闇金にまで手を出しちゃうワケですよ。正直なところ、プロレスファンとしてはFMWの荒井昌一社長の顛末を連想して、その選択はアウトとしか思えない。凄まじいバカだとは思ったけど、でも、バカなりにも目的のためにすべてを投げ打つというその狂気のような熱意に感動してしまったのです。

闇金での借金シーン、ドン引きしました。
闇金で借金



<“映ってしまったシーン”にグッときた!ヽ(`Д´)ノ>

「優れたドキュメンタリーには(映す予定はなかったのに)奇跡的に“映ってしまったシーン”がある」と言われていますが、この映画にはそんな印象的な場面が結構あって。特に映画序盤、池村英樹監督(当時42歳)が小山少年を連続でビンタするシーンは凄まじい。彼が自殺しようとしたことに怒って手を出したんですけど、この監督、実は過去に体罰で逮捕歴があったりして。

池村英樹監督。ビジュアルだけでも怖い人ですが、この人も再チャレンジだったというね。
池村英樹監督(当時42歳)

だから、ずっと手を挙げたりはしてなかったそうなんですが、この時は思わずカメラの前でビンタしてしまったというね…。逮捕された過去があるのに、「やっぱり僕は間違っていない」と、映像を流す許可を出した池村監督の覚悟もスゴければ、その場面を作品に残しちゃう制作サイドもスゴいなぁと。案の定、このドキュメンタリーを東海テレビで放送した際はビンタシーンに抗議が殺到したため、もう地上波では流せないそうな。

なんとなく水木しげる先生が描くビンタを貼っておきますね(「総員玉砕せよ!」より)。
水木しげる先生が描くビンタ

前述した「理事長が撮影スタッフに借金をお願いしてくる場面」の何とも言えないムードもスゴかったですな。あれこそ予想外というか、「いろいろな人に借金を頼んでいた男が、とうとうカメラ(=観客)にも迫ってきた!Σ(゚д゚;)」ってインパクトがあって。圡方宏史監督は超同情しつつも「ドキュメンタリーのルールとして、自分が金を貸すことで状況を変えられない」と拒むんですが、しつこくすがる理事長がコントのようで。スゲー笑いつつも胃が痛いという不思議な名場面だと思ったり。

この借金申し込みシーンの微妙な空気、面白いけど結構キツいのです。
借金の申し込み

まぁ、パンフで阿武野勝彦プロデューサーも同じことを書いていましたけど、「お金を貸すシーン」を作品に入れるのなら、それもそれでアリなんじゃないかと思いましたがー(撮っている時点で影響を与えているんだし)。その後の闇金申し込みシーンの撮影も「こんな危険な行為を止めないで撮影しちゃって、もし大変なことになったらどうすんのよ!?」とハラハラしたし…。本当に刺激的なシーンが多い作品でしたね。



<“少年たち”にグッときた!ヽ(`Д´)ノ>

で、何よりも感動したのは、「ルーキーズ」に入団した少年たちの成長譚としても素晴らしかったということ。メインの小山少年のダメっぷりや、荒れたムードのチームメイトとか、これこそが“リアルな「ROOKIES」”だなと。あの序盤の雰囲気、荒れた学校にいた僕的には「桐島、部活やめるってよ」以上に自分の学生時代を思い出してビンビン来たというか(被害者側だけどネ (ノ∀`) テヘ)。映画開始早々、「撮るなYO!ヽ(`Д´)ノ」とカメラをイヤがる少年の“やさぐれたオーラ”はとにかく最高であり、「こりゃ、問題児だらけですなぁ ┐(´ー`)┌ マイッタネ」なんて、やる気のない教師目線で観てしまいがちなんですが、しかし!

カメラに文句をつける少年! “ドロップアウトした若者モノ”に、こういうシーンは付きものですよね。
この少年が、良い子に...

映画のラスト、その1年後になると、すっかりみんな良い子なの (ノω・、) グスン グダグダしてた小山少年はそれなりに前向きになり、あのカメラをイヤがっていた少年も微笑みながら「ルーキーズ」への感謝の言葉を述べたりしてね…(しみじみ)。この場面を観る限りは「ドロップアウトした子どもたちに再チャレンジの場所を与えたい」という理事長の試み自体は成功していて。「なにこの見事な更生振り!Σ(゚д゚;)」と素直に驚くほかないというか、「いろいろと問題はあったものの、結果、少年たちが救われたのなら、これは正しいことではないのか」と思えて、恐ろしく泣けたんですよね…。

カメラをイヤがっていた少年は、1年後、“険がとれたサウザー”みたいになってましたよ。
険がとれたサウザー



そんなワケで、僕がグッときたポイントは以上でございます。正直、今は知らないけど(サイトブログを読む限りはうまく行ってるっぽい)、たぶん関係者とのミーティングや保護者たちへの説明振りを見る限りは、間違いなく問題が多い理事長だとは思う。例えば、あの給料が出なくなって、コーチの青年が退職する時の話し合いで、喫茶店のお茶代を払わせるくだりとか、「そこまで金がないんだ」というよりは、ごめんなさい、なんかタダ働きをさせた従業員に対して労いの気持ちすらないクズ野郎とも見えちゃったりもして。今も賃金未払い問題とか抱えているようだし、意地悪い文章を書くと、“「子どもたちのため」というオナニーを楽しむ怪物”って思えなくもないというかさ。


この場面とか、親御さんたちが悪く見えるかもしれないけど、言い分は至極真っ当だと思う。
家族から責められる理事長


ただ、それでも、ドロップアウトした子どもたちに、野球を通じてやりがいを見出させてあげて、高卒資格も取得させて、将来に希望が持てるようにしたのはやっぱりスゲー偉いし、感動してしまう。小山少年への体罰だって、僕は「別に口で厳しく言えばいいだけだろうが」って思うけど、あの現場で戦っている人間じゃないから何も言えないし、最終的に「ルーキーズ」のおかげで彼は変われたワケだし…(「平成ジレンマ」を観た時のことを強烈に思い出しました)。非常に複雑な気分に陥りつつも、絶望していた子どもたちにチャンスを与えたことは掛け値なしに素晴らしいのでね、なんとなく帰りは募金をしてみた次第。


1000円程度ですがー。
募金しました


ってことで、「笑って、泣いて、感動して、考えさせられた」という理想的な映画体験をしましたよ。こういう作品が地上派で流せないなんて、本当にバカバカしいというか、面倒くさい世の中ですな…。ポレポレ東中野での上映は今週金曜日(4/18)までですけど、興味がある人はぜひぜひ。そして最後に、この映画を薦めてくれたkimtakeさんと、唐突ですが鉄板麺の美味しさを教えてくれた古川耕さんへの感謝の言葉を残して、グダグダな感想文を終えたいと思います。ありがとうございました!ヽ(TДT)ノ ナニコノオチ




森田まさのり先生の原作コミックは大好きだったり。Kindle版で買い揃える予定。



非常に連想したドラマ。大好きです。



「平成ジレンマ」がソフト化されていないので、代わりに…って、これを貼るのも違う気がしますな。



ドキュメンタリーを観るガイドとして、なかなか良い本。宇多丸師匠も寄稿してますぞ。



一応、貼っておきますね。たぶん読むことはないし、映画版を観る可能性も低そう。








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