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死んだ目をした少年(ネタバレ)

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死んだ目をした少年

死んだ目をした少年

2015/日本 上映時間80分
監督・脚本:加納隼
原作:古泉智浩
脚本:三浦賢太郎
撮影:金芳明
照明:小林暁
録音:宋晋瑞
音楽:遠藤浩二
主題歌:Charisma.com
助監督:伊藤拓也
効果:小山秀雄
美術:山王堂史恵
衣装・ヘアメイク:平林純子
VFX技術:徳永修久
ラインプロデューサー:犬童一利
製作担当:山内遊
エグゼクティブプロデューサー:前田紘孝
企画プロデューサー:和田隆
プロデューサー:永田守
共同プロデューサー:川口真史、林修平、大澤渡、松尾大輔
アソシエイトプロデューサー:吉岡宏城、増田英明、遠藤学、小川貢一
出演:清水尚弥、紗都希、高樹マリア、福井成明、福田航也、西井雅、後藤和歌奈、櫻井圭登、尾形駿一、葉山奨之、野沢大悟、テイ・ウォン、松岡哲永、結城貴史
パンフレット:なし
(あらすじ)
田舎町で暮らす中学生の犬田は、学校ではいじめっ子の魔裟死や強美から目をつけられ、家では攻撃的な父親に悩まされる希望のない日々を送っていた。ある日、ひょんなことから謎の女性・笛子にボクシングを教わることになった犬田は、練習を続けるうちに少しずつ自信を持つようになっていく。そんな犬田の変化が、クラスの人間関係のバランスに思わぬ変化をもたらす。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




98点


※今回の感想は、いろいろと面倒くさくて吐きそうので、読まない方が良いけど、古泉智浩先生の原作漫画は買って読んであげて!
※今回の感想は、「桐島、部活やめるってよ」が好きな人は不快になる恐れがあるので、読まない方が良いけど、古泉智浩先生の原作漫画は買って読んであげて!
※今回の記事は、「みなさん、さようなら」のネタバレが書かれているので、気になる人は読んじゃダメだけど、古泉智浩先生の原作漫画は買って読んであげて!


今さら2月公開作の感想をアップしますが、大好きな映画でした ( ;∀;) イイエイガダナー


テアトル新宿でレイトショー公開されていたのです。
1階のポスター

ちょっとした展示がロビーの角の方に奥ゆかしく設置されていたりして。
展示は隅っこに

パンフはないものの、「アックス」の公開記念特集号と…。
パンフはなし!

サイン入りの原作漫画が売っていたので、両方とも購入。良い買い物をしたぜ!
サイン入り原作コミック

終映後は主演の清水尚弥さんと、父親役の結城貴史さんのトークショー(観客も撮影OK!)がありました。オトク!
トークショー付き!


観るつもりは全然なかったんですよ。今年から新作映画は年に120本しか観ない(特撮&ドキュメンタリーを除く)という自分ルールを徹底しようと思っているため、基本的にアクション映画以外はあまり観る気がしないというか。 古泉智浩先生の原作の映画化というのは興味が湧くけど、僕自身、青春時代はかなり“痛い人間”だったし、学校もなかなかバイオレントだったため、最近は学園モノを観て積極的には思い出したくないと思うところもあって。「幕が上がる」とかまったく別次元の学園モノだったらまだ良いんですけどねー。

ただ、3月下旬の水曜日、取引先との接待の飲みが予想以上に早く終わってしまって。相手と別れた後、なんとなく映画が観たくなっていたところ、たまたまテアトル新宿の前を通ったら、この作品が上映されていたので、それとなく劇場に入ってしまった…という次第。ところが、そんな気軽な感じで観たのに、自分にとって超ストライクな内容だったりするんだから、映画鑑賞とは不思議なもの、ですな(知った風な口調で)。見終わった後は、あまりに泣きすぎてヘロヘロになってしまったので、近くの家系ラーメン屋でチャーシュー麺大盛とチャーシュー丼を食べてしまうほどでしたよ。


23時以降にこの食事はアウトでしたな…。
チャーシュー麺大盛りにチャーシュー丼


一応、話を雑に書いておくと、中学生の犬田は、家庭では父親から虐待&学校では友人の数宮(福井成明)と一緒に“そこそこの暴力的なイジメ”を日常的に受けていて、“ブラックデスボーイというオリキャラがクソどもをぶち殺す妄想”に励むエブリデイ。そこに、犬田と数宮にボクササイズの技術を教えることになった“風俗嬢のお姉さん”笛子(高樹マリア)や、実は犬田のことが好きなのに素直になれずにいじめてしまう強美(紗都希)、不良軍団にいるものの実は弱い田中(櫻井圭登)、女子軍団でネタにされるキャラを担当しつつも実は忸怩たる思いを抱えている琢美(後藤和歌奈)たちのエピソードも描かれていく…って感じ。最後は、犬田がいじめっ子の魔裟死(福田航也)をタイマンでアッサリ倒して、イマジナリーフレンドに別れを告げて、笛子に勝利を報告。強美が自分の気持ちに正直になりそうな雰囲気で終わってましたよ、確か。


ブラックデスボーイと別れるラストシーン。ちょっと成長したってことなんですよね。
イマジナリーフレンドとの別れ


まず、面倒くさい文章を書きますね。「桐島、部活やめるってよ」は超素晴らしい青春映画であることは疑いようもないんですけれども。正直、微妙に乗れなかったのは、「あんな平和な学校にいたことがない」という個人的な事情。特に中学校は“メイクを落とさずに寝た四十路レディの翌日の肌”並みの荒れ具合で(上手くない例え)、「中学生が原付で登校してた」なんて書けば、どれだけマッドだったかわかっていただけるかと思います。だから、ごめんなさい、「暴力に怯えないだけマシですよね」的に思っちゃったりもしたワケです。

今作はそれと比べると“中学生ならではの暴力”感が超良い感じでして。そんなにハードではなくて、むしろ牧歌的ですらあって。あの“悪ぶっているけど、実際には殴ったことがない”的なムードがスゲー懐かしい(僕の学校ではスムースに殴る人ばかりでしたが)。観ていて面白かったのが、“ヘタレな不良”田中のエピソードで、数宮に負ける場面とか笑いながらも切なかったというか。ふと、中学二年の時、同じクラスに転校してきた棚橋くん(仮名)を思い出したのです。


数宮に負けてしまう田中。「体育の授業の柔道で~」という場面設定がリアル。
数宮に負ける田中!


中学は僕も転校生だったので(1年の2学期)、転校生繋がりで最初の方は棚橋くんと仲良くしていたんですが、彼はいつの間にやら不良にトランスフォーム。すっかり肉食獣の側に回って乱暴な態度をとるようになっていたんですけど、ある日、普通の生徒相手にケンカをすることになったんですよ。で、僕は草食獣の友人たちとダウトをしながら横目で見ていたら、一番最初に出した技がヘッドロック→そのまま膠着状態というね…。なんて言うんですかね、ちょっと“小学生の延長的なタイマン振り”に失笑ムードが流れちゃって、「不良も大変だなぁ」なんて思いながら、友人が出したハートの5に「ダウト!m9・∀・) ビシッ」なんて言ったりした秋の日なのでしたーー(なんだこれ)。


刃牙にヘッドロックをかけるアントニオ猪狩を貼っておきますね(「グラップラー刃牙完全版」第19巻より)。
猪狩のヘッドロック


閑話休DiE!ヽ(`Д´)ノ 一番心を掴まれたのは、やっぱりいじめられっ子の主人公・犬田。ハッキリ言って、「桐島」の宏樹の悩みなんてのはさ、悪いけど、実際にいじめられたり、「アイツって痛いよね」なんて陰で笑われたりしたことがある人にとっては、完璧超人が「キン肉マンに勝てないよぅ… (´・ω・`)」って嘆いているぐらいにしか見えないじゃないですか。いくら悩みは人それぞれとは言っても、「いや、お前は完璧超人になれているだけ、十分スゴくね!? (゚д゚;)」って思っちゃう…ってのは大人げないですかね。

いじめられっ子が主役の映画といえば、近年では「カラフル」「パラノーマン ブライス・ホローの謎」あたりが地獄のように泣けたワケですけど、この手の話が珍しくないってのは十分承知しているんですよ。ただ、草食動物が一矢報いる作品ってスゲー好きになっちゃうのです、どうしても。最後、犬田が勇気を振り絞って魔裟死を倒すラスト、ちょっと「みなさん、さようなら」も思い出したというか。僕は「格闘技は弱者のためにある」と思いたいタイプなので、ああいうのって泣けて泣けて仕方がないのです…(もちろん「ホーリーランド」は大好物)。最後、ブラックデスボーイというイマジナリーフレンド=後ろ向きな自分と別れるシーンも素晴らしくて、心底良い映画だと思ったり。


蛍光灯のヒモにパンチを繰り出されたりしたら、そりゃあ、共感しちゃいますがな。演じた清水尚弥さん、最高でした。
蛍光灯のヒモにシャドー


あと、犬田と数宮にボクシングを教える笛子も超良かった! 高樹マリアさんが100点の演技を見せていて、どこかおかしくて気だるいムードがとにかく魅力的。公園でのトレーニングシーンは本当に楽しかったですね…(しみじみ)。“ヒザを立てた状態での腕立てふせ”とか、結構ちゃんと良いアドバイスをしているのも好感が持てました。唯一の不満は風俗嬢設定が少し安易に見えたことですが、それも予算の関係な気がするので仕方なし(弁当屋で撮るのが難しかったからでは…という勝手な憶測)。「僕の中学時代にもあんなお姉さんがいたのなら… (ノω・、) グスン」なんてどうでも良いことを思ったりしましたよ。


ワンツーを教える場面、最高でした。
ワンツーを特訓!


その他、役者さんはみんな良くて、強美役の紗都希さんの凶悪なツンデレ感は可愛かったし、散々弄られた挙げ句に牙をむく琢美や(彼女だけモノローグで語る演出は良いと思った)、その結果、泣き出してしまうさやか(西村雅)などもグッときましたよ(あれはウソ泣きの可能性もある気がする…)。数宮を演じた福井成明さんの“痛い”ムードも「あるある!」って感じだったし、悪役の魔裟死も含めて、“本当の悪人”はいない世界観も好きでしたね。


「ソロモンの偽証」の松子といい、今年は“太めキャラ”の当たり年かもしれませんな…(サンプル数の少ない予想)。
琢美(後藤和歌奈)


正直、凄まじい思い入れを持って観ていたので、「映画としてどこが優れていて~」的な部分はよくわからないものの(普段もよくわかってませんがー (ノ∀`) テヘ)、ネガティブなことを書くと、画面からは相当“安い雰囲気”が漂っているとは思う。でも、それ以上に役者さんたちを上手い具合に中学生っぽく撮っていたし、いかにも予算がなさそうな中、アニメ&CGで表現したブラックデスボーイはスゲー頑張ってたのではないでしょうか。恥ずかしながら原作漫画は未読だったんですが(汗)、上映後に読んだらこれまた絶妙に実写化しているのがわかって、さらに好感度がアップいたしました。加納隼監督、これが長編デビュー作みたいですけど、かなり才能がある人のような気がします、たぶん。


予算がないから着ぐるみは断念したそうですが、かえって良かったのでは。
ブラックデスボーイ


そんなワケで、「桐島」ほど上手くはないんだけど、主人公だけじゃなくて他のキャラの切ない事情も盛り込まれていたりして、なんて言うんだろう、「僕の『桐島』はこれだな」と(って、何度も引き合いに出しちゃってすみません…)。もう42歳にもなって中学生の話を読んで感情移入しすぎるのもどうかと思ったので、98点にしちゃったものの、大好きな映画でしたよ。テアトル新宿での上映はすっかり終わっちゃったんですが、どこかで上映する時は絶対観に行こうと思っております。

それと、原作漫画がまた実に面白い上に“あとがき”が死ぬかと思うくらいに超泣けるので、少しでも気になる人はぜひ読んで! そして、万が一でも微妙に感じたら、文句は古泉智浩先生まで!(o^-')b ヒドイオチ




古泉智浩先生による原作漫画。今年の僕のベストコミックは、これに決定いたしました。



公開記念特集号。古泉先生と加納監督のインタビューは読み応えがありましたぞ。



青春映画の傑作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく思い出した映画。僕の感想はこんな感じ









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