コングレス未来学会議
原題:The Congress
2013/イスラエル、ドイツ、ポーランド、ルクセンブルク、フランス、ベルギー 上映時間120分
監督・製作・脚本:アリ・フォルマン
製作:ラインハルト・ブルンディヒ、ロビン・ライト
原作:スタニスワフ・レム
アニメーション監督:ヨニ・グッドマン
撮影:ミハウ・エングレルト
編集:ニリ・フェレー
音楽:マックス・リヒター
出演:ロビン・ライト、ハーベイ・カイテル、ポール・ジアマッティ、ダニー・ヒューストン、ジョン・ハム(声)、コディ・スミット=マクフィー、サミ・ゲイル、マイケル・スタール=デビッド、マイケル・ランデス、サラ・シャヒ
パンフレット:★★★☆(600円/コラムやインタビューが載っていて、映画の補完に良し)
(あらすじ)
俳優が自らの一番輝いている姿をスキャンし、デジタルデータとして保存することが可能になった未来世界。40歳を超えて女優としての旬を過ぎたロビン・ライトは、難病を抱えた息子のためにも、巨額の報酬と引き換えに、それまで出演を拒んできた売れ筋の映画を含むあらゆるジャンルの作品に彼女のデータを提供するという契約を結ぶ。映画会社のミラマウント社にデータを提供したロビンは演技をすることもなくなり、表舞台から退く。そして20年後、ミラマウント社が開く未来学会議に招かれたロビンは、人々が化学薬品を使った新たな娯楽に没頭している世の中を目の当たりにする。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
60点
都内での公開は終了しちゃったんですが(汗)、一応、感想をアップしておきますね。「映画秘宝」のいつの号で何の記事だったか忘れたんですけど(かなり前)、大好きな映画評論家の柳下毅一郎さんが「将来は実物と変わらないCGのブルース・リーの主演作を見られるかもしれないが、それはブルース・リー映画と言えるのか?」みたいな話を書かれていたのが印象深かったので、今作の「俳優がデータ化される」という内容に興味を持ちまして。さらに、尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」で紹介されていたのを聴いたら面白そうだったのもあって、7月の公開終了日、新宿シネマカリテで300円の割引クーポンを利用して観てきました。「よくわからないけど、母さーん!ヽ(TДT)ノ」と思ったり。
劇場の階段を降りてすぐのところに記事の切り抜きがありまして。
自動ドアの側にはこんな展示が!
「3Dフィギュアプレゼント」なんてキャンペーンをやってたのね。
そしてこれが完成したフィギュアか!? ううむ、僕もこの格好をしてフィギュア化されたかった…。
観たのは2番スクリーン。半分ぐらいは埋まってましたよ、確か。
最近、当ブログのお馴染みのパターンとして、あらすじを雑に書いておくと、すっかり売れなくなった女優ロビン・ライト(40歳・本人)は、映画会社のミラマウント・ナガサキ社に「30代のロビン・ライトを3DCGキャラクターとして所有させてくれないか?(`∀´) ドウヨ!」というオファーを受けまして。公の場での演技を一切禁じられることもあり、最初は迷うものの、徐々に視覚と聴覚を失う難病”アッシャー症候群”に罹った息子のアーロン(コディ・スミット=マクフィー)のために承諾するんですね(ここまで45分ぐらい)。
で、その契約が終わる20年後、ミラマウント・ナガサキ社で行われる未来学会議に参加するため、ロビンがアブラハマシティに向かうと、詰め所でもらった薬品によってロビン・アニメ体になりまして(「エレン巨人体」っぽい表現)。ミラマウント・ナガサキ社に到着してみれば、今度は「薬品化することで、観客はいつでもロビン・ライトを楽しめる!(`∀´) ドウヨ!」という契約を結ばされそうになり、あーだこーだしているうちに、謎の武装集団による革命が勃発! ロビンは強力な幻覚ガスを吸ったせいで凍結されてしまうのです。
彼女が目覚めたのはまた20年後。革命時に出会ったディラン(ジョン・ハム)がずっと待ってくれたので事情を聞くと、世界は華やかにアニメ化していて、住人は薬を飲むことで自分の好きな姿になって生きているそうでして。ディラン的には一緒に過ごしてほしそうだったものの、ロビンは息子のアーロンが超心配。ディラン曰く、このアニメの世界は幻想であって、それを拒否した人たちが「向こう側の世界」にいるということで、現実に戻れる薬を飲んでみれば! なんと実際の世界はすっかり荒廃してまして。薬を飲んでアニメ化したハズの人たちは「ボーッとして突っ立っているだけ」というね… (`Δ´;) ウーム
そんな現実世界でアーロンの主治医(ポール・ジアマッティ)を見つけて、彼の居場所を訊ねたところ、半年前にアニメの世界に旅立ってしまったそうで。ガッカリしたロビンは、薬をもう一度摂取→息子の姿にトランスフォーム→その思考を辿ることでアーロンと再会して、映画は終わってましたよ、たぶん。
公式動画…だと思うんですが、ロビン・ライトが歌う「Forever Young」を貼っておきますね↓
アリ・フォルマン監督の前作「戦場でワルツを」は実に衝撃的な映画だったワケですが、その最新作もまた刺激的というか。基本的に“大筋の物語”自体は思ったよりわかりやすかったし、実写部分のドラマは超グッときたし(今さらながらロビン・ライトがあの「プリンセス・ブライド・ストーリー」
の子だと知って泣けたし、ハーベイ・カイテルが演じるマネージャーは100点だった!)、ハリウッドを揶揄するブラックジョークの数々は楽しめたんですが…(トム・クルーズのアニメ体が出てきたのは笑った)。アニメ世界に入ってからの抽象的な表現&展開は少し苦手だったんですよ。
まず、僕にフライシャー兄弟風のアニメ絵が予想以上に合わなくて、全体的にまどろっこしかったんですよね…。その上で、「どこまでが現実か?」とか「過酷な現実よりも幻想に浸っていた方が良いのでは?」的な問い掛けとか「自由に肉体を変容すること」(僕は生理的にアウト…)とか、いろいろなことを超考えさせられる作品でして。例えば、ラストだって、あれがロビンの脳内のことなのか、それとも息子の視点なのかとか、憶測の入る余地がたくさんありすぎて知恵熱になりそうだったというか。この手のSFが好きな人はストライクだと思うんですが、ごめんなさい、「僕は『マトリックス』でいいかな (´∀`;) エヘヘ」って思ったり。
なんとなく鑑賞中の僕の心境を代弁する松本梢江さんの画像を貼っておきますね。
あと、僕はもっと「“演じることの喜び”を金のために手放すということ」とか「それでも人間がCGキャラに勝てる“何か”」的な話になるかと思ってたので、そうならなかったことで勝手に拍子抜けした部分はありました。ただ、思考実験的に面白いテーマの作品だし、映像にハマる人は素敵な体験ができるだろうし(なかなかドラッギー)、誰かと内容を話し合いたい気持ちになるので、一応、話の種として時間とお金に余裕がある人は観てほしい感じ。それと、ロビンが息子化して本人を探すラストには、若干の気持ち悪さを感じたものの、最終的には「母さーん!ヽ(TДT)ノ」と泣けてしまった…ということも書き残しておきましょう(偉そうに)。
ということで、「不良少女とよばれて」第18話「グッバイ・ラブ」の一幕を貼っておきますね↓
最後に関係のない話を書くと、僕は映画を観ながら「ロビンが迫られた選択」を自分とブログに当てはめて考えてみたんですが…。これはカッコつけるワケじゃないんですけど(苦笑)、例え5億円もらえることになったとしても僕は文章を書く方を選ぶと自然に思ったんです。いや、自分でも意外だったんですが、なんて言うんですかね、もう文章を書いて不特定多数の人に読んでもらうことの喜びを知ってしまったから、数年とかは耐えられても、たぶんいつかガマンできなくなるんじゃないかと。そう考えると、備忘録的に始めたこのブログが、いつの間にか本当に大きくて大切な場所になったんだなって気付いて、涙が出てきてしまって…。という文章を読んだ邪悪な金持ちが僕を試すべく「それは本当カナー?(`∀´) ドウヨ!」と、気まぐれにポンッと5億円くれないものか。そんなことを考えている42歳の残暑なのでしたーー。
スタニスワフ・レムによる原作小説。内容は結構違う様子。
アリ・フォルマン監督作。僕の感想はこんな感じ。
輸入盤のサントラがあったので貼っておきますね。
ロビン・ライトの映画デビュー作。アンドレが出ててスゲー好きでした (´・ω・`) アンドレ...
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コングレス未来学会議(ネタバレ)
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