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奪命金(ネタバレ)

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奪命金

三角絞めでつかまえて-奪命金

原題:奪命金/LIFE WITHOUT PRINCIPLE
2011/香港 上映時間106分
監督:ジョニー・トー
出演:ラウ・チンワン、リッチー・レン、デニス・ホー、ロー・ホイパン、ソー・ハンシェン、パトリック・クン、テレンス・イン、チョン・シウファイ、ミョーリー・ウー
パンフレット:★★★(500円/値段からすれば妥当な内容…かな)
(あらすじ)
銀行員テレサ(デニス・ホー)は落ち込んだ成績をアップさせるべく、リスクの高い金融商品の販売に明け暮れていた。刑事チョン(リッチー・レン)は、妻にせがまれているマンション購入の対応に苦慮している。気のいいヤクザのパウ(ラウ・チンワン)は、兄貴分の保釈金の工面に悩んでいた。そんな中世界的な金融危機が巻き起こり、テレサの顧客が殺害され金を奪われた事件を機に、3人の運命は交差していく。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




85点


※ごめんなさい、今回の記事は結構ダラダラと読みにくいので、そういう文章が苦手な人は読まない方が良いかもしれません。
※今回の記事は、「ドリーム・ホーム」のネタバレにも触れているので気をつけて!


一応、ジョニー・トー監督作はチェックしておきたいということで、初めて新宿シネマカリテに行ってきました。「何とも言えませんな… (・ω・;) ウーム」という気持ちになったり。


最初は迷って、なぜか東急ハンズの方まで行っちゃったんですが、新宿駅のすぐそばなのね。
三角絞めでつかまえて-シネマカリテ発見

新宿武蔵野館でCMが流れるNOWAビルの地下にあるのです。
三角絞めでつかまえて-地下にあります

階段を下りる途中にはこんな看板があって…。
三角絞めでつかまえて-こんな看板もありました

下りきったところには「最強のふたり」が! おのれ、人気者め!(;`Δ´) ヌゥ!
三角絞めでつかまえて-未だに人気があるとは...

キレイなロビーには記事の切り抜きが飾られてました。なかなか凝っております。
三角絞めでつかまえて-記事の切り抜きやら

新宿武蔵野館と同じく水槽の展示もあるというね。「キャビン」、早く観たいな~。
三角絞めでつかまえて-水槽の展示は「キャビン」


「映画秘宝 2013年 03月号」真魚八重子さんが、パンフレットではくれい響さんが書かれていたんですが、今回は「製作期間に何年も費やしながら、作家性にこだわって撮った」という“趣味映画路線”だそうで(「PTU」「スリ」がそれに当たるんだとか)。ジョニー・トー監督作では珍しく、金融危機を背景に3人のエピソードが“そこそこ絡み合う群像劇”でしたよ。とりあえず登場人物ごとにお話を書いてみますね↓ 


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<1人目:女銀行員テレサ>

「営業職ってイヤだなぁ… ('A`)」とつくづく思わせる女、テレサ。
三角絞めでつかまえて-銀行員テレサ(デニス・ホー)

表立って叱責はされないものの、営業成績が悪くて、職場に超居づらいムードのテレサ。頑張って残業してテレアポを繰り返すんだけど、「うるせーバカ ( ゚д゚)、ペッ」とぞんざいに扱われるのがデフォルトなので、観てるだけで胃が痛くなる感じだったりしましてね。やっと話を聞いてくれるおばちゃんがいたものの、あまりにバカっぽいので、それはそれで良心が咎めなくもないし…。でも、やっぱり契約を成立させたいので、相手の要領の悪さにイラッとしたりもするという、微妙な乙女心なのです。

テレサの話を聞いてくれる中年女性クン(ソー・ハンシェン)。「了解しました」の連呼が不気味で良し。
三角絞めでつかまえて-中年女性クン(ソー・ハンシェン)

そんな中、客の1人である高利貸しのユン(ロー・ホイパン)がやって来るんですが、「人に金を貸すために1000万HKドル(1HKドル=10円ぐらい)を引き出す→そいつが条件を満たせなかったため、500万HKドルだけ貸すことにする→残った500万HKドルをテレサに戻す→地下駐車場で強盗に襲われて死亡」という事件が発生。「その戻した500万HKドルは入金伝票を書いていない→強盗が1000万HKドル盗んだことにすれば、500万HKドルはテレサのもの!ヘ(゚∀゚*し ヤッタワ!」ということになりまして。ギリシャ危機によって株が暴落→顧客から散々責められるという“ハードだけど自業自得な経験”をしたのもあって、テレサは会社を退職するというね…(辞表を渡すテレサにまったく興味がない上司が面白い)。社会で働くことのネガティブな面を集めたようなパートだと思いましたよ。

ロー・ホイパンは、金に汚そうな下品なオヤジを好演してましたな。
三角絞めでつかまえて-高利貸しユン(ロー・ホイパン)



<2人目:ヤクザ・パウ>

かわいいよラウ・チンワンかわいいよ… (´Д`;) ハァハァ
三角絞めでつかまえて-ヤクザのパウ(ラウ・チンワン)

パウは、親分の金をチョロまかそうとするなんて考えたこともない気の良いヤクザ。逮捕された兄貴分のワー(チョン・シウファイ)のため、愚直に保釈金を集めようとする姿勢には、笑いながらも感心させられました(古紙回収業者を手伝おうとして台無しにするシーンが愉快)。この一連の流れでワーを“イヤな奴”として描いてるから、余計にパウの“イイ奴感”が引き立つんですよね~。

で、保釈金を集めるために、同郷のロン(パトリック・クン)を訪ねたら、投資会社を経営してすっかり成功。彼にワーの保釈金を払ってもらって、めでたしめでたし…と思いきや! 「ギリシャ危機によって株が暴落→マフィアに損をさせてしまい、追い詰められたロンは当座の金を得るために高利貸しのユンをおびき出す→パウに金を奪わせようとする」んです(ここで「テレサのパートでユンが金を貸そうとしていたのはロンだった」のが明らかになる)。

登場時は超羽振りが良かったロンですが、株の暴落で窮地に…。
三角絞めでつかまえて-投資会社経営者ロン(パトリック・クン)

その時、たまたま他の人間(ユンの部下の女とその彼氏)がユンを襲って同士討ちになり、パウは漁夫の利で500万HKドルをゲット。2人で大陸マフィアのソン(テレンス・イン)のところに行くと、ロンは胸を刺されて重傷を負い、「全額返せ!」と脅されまして…。指数先物でイチかバチかの勝負に出て、株価が上昇→大金をゲットするんですが、ロンは死亡。パウはロンが好んでいた葉巻をふかしながら街を歩いて、終わってました。

パウのエピソードは、こんな感じで終了してましたよ。
三角絞めでつかまえて-ロンの葉巻をふかすパウ

何が素晴らしいって、パウ役のラウ・チンワン! やたら瞬きをする奇妙なキャラで、残念ながら“少し頭が弱い人”に見えちゃうんですが、とにかくキュートとしか言いようがないんです。今後、僕も瞬きの数を意識的に増やそうかと思うほどというか…。大陸マフィアの前で戦おうとしてドタバタするシーンとかも最高で、あらためてスゴい役者さんだなぁと思ったり。

一見、カッコ良さげですが、これ以上ないほどの“見事な空回り”を見せてました。
三角絞めでつかまえて-カッコ良さげに見えますが...



<3人目:刑事チョン>

金に一番無関心なキャラでしたな。
三角絞めでつかまえて-チョン警部補(リッチー・レン)

刑事チョンのパートは、彼の奧さんのコニー(マイオリー・ウー)や、扱う傷害事件(生活が困窮して犯罪に走ってしまった老人)を通じて、香港の経済状況に翻弄される一般市民を描いてる感じ。僕的にはマンションを買いたがるコニーの姿が自分の奧さんと重なって、なんとなく切ない気持ちになったりもして。あと30年もローンが残ってるけど、僕はそれまで働けるのかしら… (´・ω・`) ナンダソリャ

マンションを買うため、コニーは旦那に黙って手付け金(100万HKドルでしたっけ?)を払っちゃうんですけど、「ギリシャ危機で株が暴落→融資が受けられない→手付け金が無駄に!? Σ(゚д゚;し ヒィィ!」なんてことになって、超アタフタ! 川;´Д`)ノ アタフタ さらに「傷害事件の容疑者がガスボンベを持って立て籠もった→旦那が事件解決のために一緒にエレベータの中に→死んじゃうかも!? Σ(゚д゚;し ソンナ!」って状況になっちゃったので、「アタシの人生、もうオシマイでガース!(゚∀゚し ドウニデモナーレ」という絶望的な気持ちになっていたんですが…。結局、旦那は助かって&株価も戻って、「あのマンション、高値で売れそうよ!川´∀`) ヨカッタワネ」なんてハッピーエンドを迎えてましたよ。なんかオチが真逆だった「ドリーム・ホーム」を思い出したり。

旦那にイライラした挙げ句、勝手に行動したら、大変なことになってしまって、涙目の奧さん。
三角絞めでつかまえて-妻コニー(マイオリー・ウー)

旦那が無事でホッとする奧さん。やっぱり「本当に大事なのはお金じゃない」んでしょうな…。
三角絞めでつかまえて-旦那に抱きつくコニー


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僕的にスゲー心に残ったのは、ラストの展開。特に刑事のパートはハッピーエンドに見えるんですけど、“その程度のこと”(あえて書きますが)で一喜一憂したり、人生に絶望したりすることの“奇妙さ”を描いているように思えたというか。上手く書けないんですけど、ブラックな後味がして何とも言えない気分になったんですよね… (・ω・;) ウーム あまり考えると知恵熱になりそうなので止めておきますが、「僕は一生、株なんてものに手を出すことはないだろうなぁ」と思ったりしつつ、「この株を買っておけば儲かりますヨ (`∀´) オススメ!」と上手く言われたら「娘の学費とか心配だし、思い切って投資しちゃおうかしら… (・∀・;) ゴクリ」なんてことになったりするような気もする40歳の冬なのでしたーー。


唐突にRHYMESTERの名曲「続・現金に体を張れ」を貼っておきますね↓ 「メイド イン ジャパン~THE BEST OF RHYMESTER~」収録だヨ。




正直、刑事のパートだけ話が上手く絡んでない気がしなくもないし、父親の隠し子を引き取るエピソードとかよくわからなかったりしましたけど、最後まで引き付けられる映画でしたよ。ジョニー・トー監督、さすがですな。ちなみにパンフレットのくれい響さんのコラムによると、中国公開版だとパウとテレサが自首して終わるそうで、「日本版はそんなことにならなくて良かった~ (´∀`)」と心底ホッとしたり。何はともあれ、香港映画が苦手じゃないなら、ぜひ劇場に行ってみてくださいな。




ジョニー・トー監督の“趣味映画”。味わい深い名作でございます。
三角絞めでつかまえて-スリ(香港)
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昨年観た株絡みの香港映画で、主演の1人がラウ・チンワン。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-盗聴犯 死のインサイダー取引
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上の作品の姉妹編というか、監督&主演俳優が同じという株絡み映画。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-盗聴犯 狙われたブローカー DVD
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なんとなく思い出した18禁スリラー。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-ドリーム・ホーム
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本来は「ヤクザが誘拐して~」的な話になる予定で、そのプロットはこの映画に受け継がれたそうな。僕の感想はこんな感じ
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くれい響さんがコラムで書いてた“香港で公開されて大ヒットした邦画”。DVD、出ないんですかね。
三角絞めでつかまえて-木村家の人びと
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