愛、アムール
原題：Amour
2012／フランス、ドイツ、オーストリア 上映時間127分
監督・脚本：ミヒャエル・ハネケ
製作：マルガレート・メネゴス、シュテファン・アルント、ファイト・ハイドゥシュカ、ミヒャエル・カッツ
撮影：ダリウス・コンジ
美術：ジャン＝バンサン・ピュゾ
衣装：カトリーヌ・ルテリエ
録音：ギヨーム・シャマ、ジャン＝ピエール・ラフォルス
編集：モニカ・ウィリ、ナディーヌ・ミューズ
出演：ジャン＝ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リバ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー、ウィリアム・シメル、ラモン・アジールアパルトマン、リタ・ブランコアパルトマン、キャロル・フランク、ディナーラ・ドルカーロワ、ローラン・カペルト、ジャン＝ミシェル・モンロック、シュザンヌ・シュミット、ダミアン・ジュイユロ、バリッド・アフキール
パンフレット：★★★（700円／良い出来）
（あらすじ）
音楽家夫婦のジョルジュ（ジャン＝ルイ・トランティニャン）とアンヌ（エマニュエル・リバ）は、パリの高級アパルトマンで悠々自適な老後生活を送っていた。しかし、ある日突然、妻のアンヌが病に倒れ、手術も失敗して体が不自由になってしまう。ジョルジュは病院嫌いな妻の願いを聞き、車椅子生活になったアンヌを支えながら自宅で暮らすことを決意。2人はこれまでどおりの生活を続けようとするが、アンヌの病状は悪化していき……。（以上、映画.comより）
予告編はこんな感じ↓
50点
※今回の記事は、備忘録的な意味合いが強いというか。映画の感想が始まるまでが長いし、基本的にまったくどうでも良い＆面倒臭い文章が無駄に垂れ流されているだけなので、「愛、アムール」のちゃんとした感想が読みたい方は、別のブログがオススメですよ。
※今回の記事には、残念な下ネタが書かれていたりするので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。
※今回の記事は、「ジェイコブス・ラダー」
超ゲッソリしました ('A`) これから僕自身のことを中心にダラダラとした文章を書きますが、ちゃんとした批評を読みたい方は間違いなく他のブログに行った方が良いですぞ。
なんとなく貼っておきますね↓
＜はじめに：ハネケ監督作と僕＞
自分のブログを検索してみたら書いてなかったんですけど、僕がハネケ監督作を観るようになったのは、実は宇多丸師匠の影響が大きくて。昔、たまたまお会いした際、なぜか「ファニーゲーム」
それからは少しだけチェックするようになって、今まで観たハネケ作品は５本（劇場で観たのは「白いリボン」
＜①：町山智浩さんの作品紹介＞
で、今年の１月。尊敬する映画評論家の町山智浩さんが、たまむすびで「愛、アムール」を紹介されてまして。ボンヤリと聴く限り、「ハネケにも心があったのか！Σ(ﾟдﾟ;)」「ハネケの映画を観て初めて感動した！ヽ(`Д´)ノ」「泣いた！ヽ(TДT)ノ」などと絶賛されており、「最後はホロッとさせる終わり方で救われます (▽∀▽) ﾆﾔﾆﾔ」な～んて作品なんだそうで。「あら、老老介護を扱っていて、その描写はリアルっぽいけど、基本的に感動作なのね (・∀・)」と思うと、逆に若干の興味を失うという下世話な心理。
念のため、貼っておきますね↓
それでも一応、ハネケ監督作なので、絶対観ようとは思ってましたけど、まぁ、他にも観たい映画はあるし、「来週、いや再来週あたりに観に行けばいいかな」な～んて思っていたら！ なんと今週のシネマハスラーの課題映画に選ばれたので、これ幸いと、3/12（火）の会員サービスデー、銀座テアトルシネマに行ってまいりました。
＜②：映画館に行くまで＞
僕は何かあると「いっそがしい！いっそがしい！( ﾟ∀ﾟ)o彡ﾟ」（「はじめの一歩」の「まっくのうち！」コール風に）とアピッてしまいがちな男なんですが、先日、「忙しい、忙しいと言っている人間は絶対に信用しないほうがいい」という杉作Ｊ太郎先生のお言葉に猛省。それ以来、“忙しいアピール”をしないように心掛けてはいるんですけど、ちくしょう、3/12（火）はスゲー忙しくて…。何よりも食べることが大好きな僕が「朝7時半に目覚めてプロテインドリンク＆野菜ジュース＆ヨーグルトを摂取してから、缶コーヒー以外、何も口にするヒマがなかった」と書けば、どれだけ仕事に追い詰められていたか、わかっていただけるのではないでしょうか。
ただ、１週間のスケジュールや金銭的なことを考えると、「愛、アムール」は“この火曜の夜に観るのがベスト”だったため、その時間を作ろうと、空腹に耐えつつ仕事に没頭。20時半に終えると、ダッシュで丸ノ内線に乗り込みまして。本当は何か食べたかったんですけど、21時15分から予告編なしで始まる予定だったので、コンビニに寄るのもリスキーだと思い、とりあえず劇場に直行。映画館に到着したのは21時ちょっと前くらいでした。
銀座テアトルシネマの看板。今年の５月に閉館しちゃうのは結構残念です。
劇場の中には記事の切り抜きがありまして。
もう１箇所にもありました。力が入ってますな～。
奥の方にはパネルも飾られてましたよ。
＜③：宇多丸師匠との出会い＞
劇場に入ってパシパシと写真を撮った後、お腹が空きすぎて死にそうだったので、パンフレットと一緒にミルクティー＆キャラメルポップコーン＆クッキーを購入。21時5分、前の回が終わってお客さんたちが出て来た→１秒でも早く座席に座って食べたくて仕方なかったんですが、開場まで数分待たなくてはならないため、「これだけじゃ絶対足らないから、高いけどマフィンも買っておこう」とあらためて売り場に並んでいたら…。なんと宇多丸師匠に声を掛けられたから超ビックリ！Σ(ﾟдﾟ;)
18時55分の回を観られてたそうですが、この予期せぬ出会いに恥ずかしながらテンションはガン上がり。僕が未見だったため、詳しい内容は聞かなかったものの、「今回のハネケは感動作らしいから、そういう意味では期待してるんですよぉ～ (´∀｀)」なんてバカ面全開で話しちゃったりしてね (*ﾉ▽ﾉ)ｷｬｯ つーか、こういう時って、いつも何を話して良いのか混乱しがちなので、とりあえず最近グッときた宇多丸師匠の仕事を褒めようと思って、
僕 ニューアルバム
宇 あ、そうなんですか…。そういえば少し痩せましたね (▼∀▼;) ﾀﾞ､ﾀﾞｲｴｯﾄ?
僕 うれしいこと言ってくれるじゃないの。ところで俺のキンタマを見てくれ。こいつをどう思う？ (・∀・)
宇 すごく……大きいです…… (▼Д▼;) ﾅﾝﾀﾞｺﾚ
って、僕を含めて誰も得をしないウソを書いてしまいましたな…すみません。その他、「今年の暫定ベスト１です！(｀∀´) ｵﾎﾎﾎﾎﾎ」なんて「キャビン」の話をしちゃったりして、宇多丸師匠的には相当面倒臭かったと思いますが、ごめんなさい、僕はスゲー楽しかった！ヽ(`Д´)ノ ｻｲｺｰ! とは言いつつも、すぐに映画が始まりそうだったので、後ろ髪を引かれつつも師匠と別れて自分の席に座りまして。買った食品をモリモリ食べようと思ったんです、がしかし！
＜④：誤算＞
すぐに始まった映画がスゲー静かだから、恐ろしいほど気まずくて食べられないの (´・ω・`) 序盤の音楽が流れてる場面はまだしも、日常生活シーンなんて本当に余計な音がしないから、ガサゴソと音を立てるのすら神経を使うというか、食事するなんて論外な環境だったんです…。これはね、本当に誤算でした。
左からキャラメルポップコーン、ミルクティ－、クッキー、そして下がマフィンでございます。
とりあえずマフィンは体感時間3秒で平らげたものの、当然ながら「それだけじゃおなかがすくわ 川o^-')b」って感じ。しかも、劇中で老夫婦がステーキとか超美味そうに食うからさ、日々膨張する宇宙のように腹の減りは加速する一方で、どうにもガマンが出来なくて…。残りの食品を分析すると、クッキーは「箱に入ってる＆さらにビニールに入ってる→開ける音が響いてしまう」ため断念しつつも、キャラメルポップコーンは「最初から口が開いてる紙袋に入っている→それほど音を立てずに口の中に入れられる」ので、口の中で溶かすように食べてみることに。確か昔、タマフルミステリーメンに「音を立てずにモノを食べることが出来る能力」の持ち主がいましたが、その能力がこれほどほしいと思ったことは今までになかったです。
で、実際にやってみたら、そこそこ静かに食べられたんですけど、ポップコーンって、食感が大事な食べ物だからさ、全然楽しくなくて。中盤、家政婦っぽい人が掃除機をかけるシーンの時、思い切ってボリボリと食べてみたら、これがスゲー美味しくてね…（しみじみ）。「ああん、もっとうるさい映画を観れば良かった！ヽ(TДT)ノ」と本末転倒な後悔をしたりもしてみました。
＜⑤：感想１／心底ゲンナリ＞
ポップコーンなんて、所詮はおやつ。空腹状態は続いてたんですが…。実は映画を観てたら、全然気にならなくなったんです。なぜなら、あまりにハードな内容すぎて、心がそれどころじゃなくなったというか。聡明だった奧さんのアンヌが病気を発動→手術に失敗→どんどん衰えていく姿が容赦なくリアルなんです。私事ですが、昔、離婚した父親（大嫌い）が脳梗塞で倒れて半身不随になり、衰えた挙げ句に死んだんですが、その時の様子とスゲー似てて、凄まじくイヤな気持ちになりましたよ… ('A`)
まぁ、老老介護の描写がリアルってのは、キッチリと覚悟してたんですけどね。僕的にはずっと劇中の旦那と自分を重ね合わせてまして。昔よりも離婚率が高まっている昨今ですが、「試合に出る前に負けることを考えるバカはいない」ように、離婚前提で夫婦になる人なんかいないワケで。僕も当然ながら“長い結婚生活→お互いが老いても仲良く暮らす未来予想図”を描きながら結婚しているだけに、アンヌを介護する夫ジョルジュの姿を“未来の自分のシミュレーション”として観ていたんです。
なんとなく有名な動画を貼っておきますね↓
だから、アンヌがすっかり耄碌しても必死に介護するジョルジュにはスゲー胸を打たれて、「僕も頑張ろう」と。「自分の奧さんがこうなったら、このジョルジュのように頑張ってみよう」と思ってたら、言うことを聞かないアンヌに思わずビンタしちゃったりしてさ… (ﾉω･､) もう、自分が奧さんに暴力を振るったような不快感を感じつつも、「あそこまで追い詰められたら、そうなっちゃうかも…」なんて思ったりもする複雑な心境。だってさ、言うことを聞かない自分の娘を「んもう、仕方ないなぁ (･ε･)」と許せるのは「子どもは成長する」という希望があるからでさ。「今後、奧さんの具合は悪くなる一方」という“死ぬまで終わらない殿戦”のような状況で、人間はどれだけ耐えられるんだろう…。そう考えると超ブルーじゃないですか。
もうこの時点で、マジで観るのがイヤになってたんですけど、「最後はホロッとさせる終わり方で救われます (▽∀▽) ｹｹｯ」って町山さんが言ってたからさ。「最後はハッピーエンド、最後はハッピーエンド… (´Д｀;) ｶﾞﾏﾝｶﾞﾏﾝ」と耐えてたら、突然、ジョルジュがアンヌを枕で窒息死させるから、心の中で吐血 ( ﾟдﾟ)・:∴ｹﾞﾊｯ なんだよ、結局、相変わらずエゲツねーじゃんかYO！ヽ(TДT)ノ ﾊﾞｶﾊﾞｶ!
いきなりのジョルジュの凶行にさすがの刃牙も度肝を抜かれてしまい…。
神心会のデンジャラス・ライオン、加藤清澄さんも激怒！ ハネケの目を抉れ！ヽ(`Д´)ノ
映画は“アンヌの死体が発見されるシーン”から始まるから、彼女が亡くなるのはわかってたけど、まさかこんな無惨な死に方だったなんて！ またその殺す場面の撮り方が無機質で残酷でさ…。ごめんなさい、ハネケ監督、死ねばいいのにって思っちゃいました。振り返ってみれば、僕が宇多丸師匠に「今回のハネケは感動作らしいですな！ﾍ(ﾟ∀ﾟ*)ﾉ」なんて言った時、師匠は何とも言えない表情をされていた気がします…（遠い目）。
＜⑥：感想２／良い映画ではある＞
いや、良い映画だとは思うのです。まず、役者さんがとにかく素晴らしくて。ジョルジュを演じたジャン＝ルイ・トランティニャン、多くを語らずとも妻を愛してるのがビンビン伝わってくる名演で、だからこそ、突然殺害するのがショッキングというか。アンヌ役のエマニュエル・リバに関してはボケた演技がとにかくスゴいし、いくら体を洗ってもらうシーンとはいえ、老いた裸体を躊躇なく晒す姿勢はマジでプロフェッショナルであり、「老婆の加齢臭はフェロモン！」と言い切る“還暦マニア”の方にも見逃せない場面であって…なんてゲスな文章を書いたことで、非常に多くの読者を失った気がしてなりません (´・ω・`) ｽﾐﾏｾﾝ 「ピアニスト」
お話的にも、確かにこれは「愛についての映画」であって。ジョルジュが奧さんを心から愛してて、経済状況がある程度裕福な設定なのは、逆に「これほどの夫婦でも、こういう状況になったら無理なんじゃないの？」的な問い掛けだと思って。ジョルジュはビンタをしてしまったことで、「これ以上、自分とアンヌの愛を壊したくない」と思ったからこそ、彼女を殺すしかないワケでさ（アンヌは生ける屍のような状態だし…）。
彼がその殺人を責められることなく、ラスト、「アンヌの幻影に導かれて家の外に出て行く」という救いを得られたのは（古くは「ジェイコブス・ラダー」
途中、ジョルジュがCDを聴きながら奧さんを思い出していたシーンとかもグッときましたね…。
＜おわりに：わかるわけにはいかん！＞
だけれども！ 僕的にはやっぱり「わかってはいるが、わかるわけにはいかん！」という心境。かなり考えさせられましたけど、あんな無惨なシーンには耐えられない。あの行為を“救い”とする姿勢は、やっぱり僕には受け入れられないです。そもそも「時折、理性が戻る瞬間があるのなら、『病院にはいれないで！ヽ川`Д´)ノ』という奧さんとの約束を違えることになってもさ、ちゃんとした施設に入れたりした方が良かったんじゃないの？」って思っちゃう。夫婦と親子の違いはあるけど、「ペコロスの母に会いに行く」
「無謀キャプテン」
ってことで、老老介護の話かと思ってフタを開けてみれば「愛ってなんだ？」という物語であって、「愛＝ためらわないこと」ではあるけれども、「ああいう時はためらえ、バカ ( ﾟдﾟ)､ﾍﾟｯ」って感想。ジョルジュの最後の判断がマイナスすぎて本来なら０点にしたいくらいなんですが、ちくしょう、好きなところも多いので、評価は50点。もうね、帰り道、空腹もすっかり忘れて、泣きながら電車に乗るほどダメージを受けたというか（「カラフル」の時以来）。ハッキリ言って、個人的には「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
ちなみに劇場で食べなかった「ブラウンシュガー バタークッキー」
おしまい！ヽ(`Д´)ノ ｷｨｨｨ!
ハネケ監督による問題作。タイトルでググったら、このブログがトップに出てくるのも問題な気が…（3/15現在）。
ファニーゲーム [DVD]
放送作家の古川耕さんのオススメ通り、読んだら涙で眼球が破裂した漫画（少しウソ）。「フロム・ヘル」
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