疾風スプリンター
原題:破風 To the Fore
2015/香港、中国 上映時間125分
監督・原案・脚本:ダンテ・ラム
製作:キャンディ・リョン、アルバート・リー、スン・チエン
製作総指揮:アルバート・ヤン
脚本:ラム・フォン、ハウ・ウィンハン
撮影:パーキー・チャン
音楽:ヘンリー・ライ
出演:エディ・ポン、ショーン・ドウ、チェ・シウォン、ワン・ルオダン、アンドリュー・リン、オーヤン・ナナ、カルロス・チャン
パンフレット:★★★(700円/薄めだけど情報量はそれなりに多め。絹代さんのコラムが良かった)
(あらすじ)
エースのジウォン(チェ・シウォン)率いる自転車ロードレースの強豪「チーム・ラディアント」にアシストとして所属することになったミン(エディ・ポン)とティエン(ショーン・ドウ)は、互いに切磋琢磨しながら友情を深め、チームの主力選手に成長していく。ライバルチームの妨害にも屈することなく台湾各地で連戦を繰り広げる彼らだったが、チームが資金難に陥ったことから、ジウォン、ミン、ティエンの3人はそれぞれ別のチームに移籍し、ライバルとして競い合うことになる。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
80点
※今回の感想は非常に適当かつ関係のない文章が書かれており、たぶんこちらの“自転車レースに詳しそうな方のブログ”がタメになるので(「松山有祐選手」のこととか)、読んでみて!
「世界三大ラム」といえば、ダンテ・ラム、リンゴ・ラム、アグネス・ラムなワケですけれども(定義によってはラム・シューが入る場合も!?)。一応、「最近日本で公開されたダンテ・ラム監督作はほぼ劇場で観ている」程度には好きなので、その最新作である本作も観たい気持ちはあったんですが…。今年こそ<新作映画は年間120本まで>という掟を絶対守りたいため、「自転車にはあまり興味がないから、今回はスルーしようかな… (;`∀´) エヘヘ」と思っていたところ! 愛聴するラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったということで、「運命なのね (´∀`)」と、新宿武蔵野館にて映画ファンサービスデーを利用して鑑賞いたしました。「爽やか青春映画!(°д°;) ヒィ!」と思ったり。
昨年11月にリニューアルした新宿武蔵野館。リニューアル後に来るのは初めて。
ロビーが見違えるほどキレイになっていて、ショーケースもちょっとオサレに (`Δ´;) ヌゥ
自転車が飾られていたりと、映画の展示に力を入れる姿勢は相変わらずですな。
オリジナルTシャツも売られていましたが、XXLサイズなんてないぜ。
記事の切り抜きもなんとなくオサレ。上映はスクリーン2で、満席でしたよ。
物語を雑に書いておくと、“スプリンター(平坦路が得意)”のミン(エディ・ポン)と”ヒルクライマー(上り坂に強い)”のティエン(ショーン・ドウ)は、自転車ロードレースの強豪チーム「ラディアント」で、“エース”のジウォン(チェ・シウォン)のアシストとして入団しまして。肺の病気になりながらも再起を目指す女性レーサーのシーヤオ(ワン・ルオダン)を巡って三角関係になりながらも、切磋琢磨しながらチームを盛り上げていくんですが、しかし。チームが資金難に陥って解散→ミンとティエンとジウォンは別のチームに入って、ライバルとして戦うことになるのです。
ミン役のエディ・ポンは「激戦」に続いてのダンテ・ラム監督作主演。
ティエン役はショーン・ドウ。「サンザシの樹の下で」で注目された人なんだって (゚⊿゚) ヘー
ジウォンを演じるのは、どことなく中村獅童さんに似ているチェ・シウォン(写真右)。
ヒロインのシーヤオ役はワン・ルオダン。そりゃあ、明るくて魅力的なミンとくっつくわな。
友情を育んだ2人は別のチームで戦うことになる…なんて、よくある話じゃないかー 川 ゚д゚) ヒヨシミミ
ところが、ミンは「アシストのせいで実力を発揮できずにジウォンに負ける→アシストに暴言を吐く→それを利用してジウォンの代理人がアシストを買収して罠にかけて敗北→激怒してアシストに暴力を振るっちゃいました… ('A`)」ということで出場停止処分が下っただけでなく、ヤケになって恋人のシーヤオにも八つ当たり。で、その晩につい金髪美女と浮気をしてみたら即発覚して、彼女にもフラれてしまいましてね(苦笑)。ティエンの方は「チームのエースになったものの、結果が出せずにジウォンとミンに劣等感を抱く→心拍数を上げるクスリをドーピングして見事優勝→発覚して失格… ('A`)」なんてことになり、ジウォンは「代理人がミンを罠に掛けたことを知り、プライドを傷つけられました… ('A`)」と、三者三様のゲンナリ模様なのでした (´Д`;)(´Д`;)(´Д`;) イヤーン
怒って暴力沙汰を起こすミン。短気は損気、ですな(知った風な口調で)。
そんな中、シーヤオが復帰レースでアキレス腱を切る大ケガをしたので、ミンったら自分の腱をスムースに提供して、それを知ったシーヤオと2秒で仲直りすると、一緒にリハビリするエブリデイですよ ( ´∀`)(´∀`し イチャイチャ さらにはどうしてもミンとレースで決着をつけたいジウォンが「ラディアント」の元コーチ(アンドリュー・リン)にお金をあげてミンとティエンのための新チームを創設! すっかりやさぐれたティエンは借金まみれになって韓国競輪で走っていたところ、アキレス腱提供が完治したミンが一緒にマディソンに出場&優勝することで自由になるというね。
この仲直り展開の駆け足感にはビックリしました。
クライマックス、ミン&ティエンとジウォンは“砂漠のレース”で対決すると、「自分のためじゃなくチームのために勝ちたい」と思うようになったミンがティエンのアシストをすることで見事勝利!ヽ(`Д´)人(`Д´)ノ ウォォォォ! 1年後、自分を見つめ直したティエンは心肺能力をあげるためにスイスあたりの山岳地帯を走り、ティエンとジウォンは本場イタリアのレースに出場する…といった感じで映画は終わりまして。エンドクレジットでは過酷な撮影風景が流れてましたよ。
最後はミンがティエンを助けてゴールさせるのでした。
本作の何が素晴らしいって、自転車のレースシーン。僕は自転車競技に興味がないので、どれだけ楽しめるか不安だったんですが、杞憂に終わったというか。とにかく迫力があってスゴかったですねぇ…(しみじみ)。パンフによると、役者さんたちは全員ノースタント&ノーCGで挑んだせいで、主演を含むキャストやスタッフ80人がケガをして、そのうち5〜6人は骨折するなどの重傷を負ったのだとか。競技用の衣裳を考えると、肘や膝を保護できないだけに、本当に大変だったんだろうなぁと。それだけでも観る価値はあると思ったり。
レースシーン、迫力がありましたぞ。
それと“熱い人間ドラマ”も好みでした。そもそもダンテ・ラム監督作でドラマが熱くなかった試しがないんですが、主人公3人とヒロインだけでなく、例えばジウォンと元コーチの友情描写(ジウォンのために10万キロを一緒に走った)とか、ちょっと泣いちゃいましたよ。一番グッときたのが、序盤から語られる「ウサギとカメ」の伏線で、クライマックス、ミンがティエンをゴールに向かわせるためにアシストする場面で「そういうことだったのか… (ノω・、)」と。たぶんウサギはカメのことが好きだったんですよね。だからこそ、自ら憎まれ役になって負けることで、カメをフックアップしたものの、兎十二神将からは「我らウサギ目の名誉を貶める行為!m9`Д´) ビシッ」と裏切り者の烙印を押されてしまってーーって、すみません、着地を間違えました (´Д`;) ナニガナニヤラ
というか、「カメは無策すぎ!m9`Д´) ビシッ」ということで、RHYMESTERの名曲を貼っておきますね↓
だがしかし、ちょっと乗れなかったところを書くと、これまたダンテ・ラム監督作によくあることなんですけど、ドラマや要素を詰め込みすぎたせいで、全体的に駆け足感が強い印象。シーヤオとミンのリハビリ展開の速さはまだしも「チームメイトへの暴行→外国人女性(ジャッキー映画に出て来そう)との浮気→発覚→別れ」までのくだりをわずかで1日で処理するから結構驚いたというか。そこがダンテ節とも言えますが、さすがに乱暴に感じましたよ。少しドラマを削って、逆に自転車レースのトリビア的な描写を増やしてほしかったかなぁ。それと、ダンテ・ラム監督は「TV Bros.」の記事で「『激戦』では中年層に向けた人生再起を、そして今回は、若年層に向けた夢に向かう奮闘をテーマに脚本を書きました」なんて仰有ってたんですけど、僕は中年層&前作の「激戦」が超ストライクだっただけに、ごめんなさい、本作は少しだけコク不足に感じちゃった次第。
ティエンがシーヤオを励ますバンジージャンプとか、微笑ましかったけど「必要かなぁ」とも思ったり。
あと、これを書くと身もフタもありませんが、やっぱり自転車に興味がなくてーー (ノД`) ダイナシ そもそも僕は今まで自転車に乗っていて3回ほど交通事故に遭っていて(そのうち1回はバスに跳ねられてる)、奥さんが自転車に乗るのも反対したほどでしてね。別に自転車が嫌いというワケではないし、乗ろうと思えば普通に乗れるものの、微妙に相性の悪さを感じていたりもするのです。つーか、「普段は『タマフル TBSラジオクラウド』や音楽を聴きながら移動したい」ということもあって、たぶんもうマイ自転車を所有することはないだろうなと思っております。ちなみに「カミーユ、恋はふたたび」とか「NERVE ナーヴ」とかには「主人公が音楽を聴きながら自転車で移動するシーン」がありますけど、危なすぎるので絶対やらないように!(`Δ´) キケン!
「SLAM DUNK」第3巻の流川楓のように音楽を聞きながら自転車に乗ると…。
こんなハードな事故に遭う可能性があるので、気をつけて!(°д°;) アブナーイ
その他、「原題の『破風』は、エースの前で走って風を受けるアシストのニュアンスを込めたダンテ・ラム監督の造語であり、東アジアに広く分布する屋根の妻側の造形のことではないのね」なんて思ったりしましたが、どうでも良いザンス。何はともあれ、ダンテ・ラム監督にしては実に爽やかな青春スポーツ映画で、非常に楽しく観られました (´∀`) ヨカッタ! 役者さんたちは魅力的だし、レースシーンは見事だし、足早なドラマ展開もそれはそれで愉快でもあるので、気になる人は観てみてくださいな。
ダンテ・ラム監督の前作。僕の感想はこんな感じ。
宇多丸師匠の生涯ベスト級作品。素晴らしい青春映画でございます。
高坂希太郎監督による自転車レース映画。恥ずかしながら未見なんですが、評判良いですよね。
自転車漫画というと、「弱虫ペダル」よりもこっちを連想しちゃう感じ。もう20年以上前なのね…。
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疾風スプリンター(ネタバレ)
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