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殺人者の記憶法(ネタバレ)

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殺人者の記憶法



原題:Memoir of a Murderer
2017/韓国 上映時間118分
監督・製作:ウォン・シニョン
製作:ユ・ジョンフン
製作総指揮:ユ・ジョンフン
原作:キム・ヨンハ
脚本:ファン・ジョユン
撮影:チェ・ヨンファン
美術:イ・ジョンゴン
編集:シン・ミンギョン
音楽:キム・ジュンソン
出演:ソル・ギョング、キム・ナムギル、キム・ソリョン、オ・ダルス、ファン・ソクチョン、キル・ヘヨン、イ・ビョンジュン
パンフレット:★★★(600円/コラムなし。出してくれただけありがたい…って感じ)
(あらすじ)
かつて連続殺人を犯した獣医のビョンス(ソル・ギョング)は、いまはアルツハイマー病に侵され、記憶がおぼろげになっていく日々を送っていた。あやふやになる記憶への対処のため毎日の出来事を録音する習慣がついていたビョンスは、ある日、偶然出会った男テジュ(キム・ナムギル)の目つきに、テジュが自分と同じ殺人犯であるという確信を抱く。やがてテジュはビョンスのひとり娘ウンヒ(キム・ソリョン)のそばをうろつくようになり、ビョンスはひとりでテジュを捕らえようとするのだが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の記事は、「メメント」「手紙は憶えている」のネタバレに触れているんですが、どちらも観といて損はないレベルに面白いので、未見の方は読んじゃダメ絶対!

最初はあまり観るつもりはなかったんですけれども。2月半ばに「悪女」を観に行った時、「殺人者の記憶法 新しい記憶」のポスターを見つけましてね。「わざわざ違うバージョンまで公開されるなんて、面白い映画なのでは!Σ(°д° ) クワッ」と思って、急遽観ることに決定。2月下旬、なんとなく似たような設定の「手紙は憶えている」を観てから、シネマート新宿にて、本作を鑑賞いたしました(その後、「デヴィッド・リンチ アートライフ」をハシゴした)。なかなか愉快でしたな (・∀・) マァマァ


2月半ば、「悪女」を観るために新宿文化ビルを訪れたら…。


その右斜め下に「新しい記憶」のポスターが!


ということで、観に来た次第。等身大のキム・ナムギルや記事の切り抜きがありましたよ。



最初にお話をザックリと書いておくと、主人公のビョンスは元・連続殺人鬼。少年時代、自分と姉に暴行+性的虐待を加える父親を殺したことがキッカケで“処刑人(パニッシャー)”として目覚めて、クズのような人間を殺してきたワケですけれども。20数年前に“最後の殺人”を犯してからは、獣医師として一人娘のウンヒを育ててきたのです。ところが、アルツハイマーを発症して以来、周囲で若い女性を対象とした連続殺人事件が発生。「もしかして、ボケた自分のせいではないか?」と思い悩んでいたところ、追突事故の相手テジュの車に血痕を見つけて(テジュは「鹿の血」と弁明)、「コイツが殺人鬼では?→オレが倒さねばならぬ… (`Δ´;) ゴゴゴゴゴゴ」と思い立つというね。


映画は線路でたたずむビョンスの姿から始まり、本人のモノローグで話が進む…ってな調子。


ビョンス(元・殺人鬼)はテジュ(現・殺人鬼)とこんな風に出会うのです↓




とは言え、ビョンスのアルツハイマーは悪化する一方。実はテジュが警察官だったり、テジュとウンヒが恋仲になったりする中、ついつい娘の首を絞めてしまったりして、「オレがまた殺人を犯したのか?」なんて思い悩みつつも、テジュを倒すべく張り込みをしながら自分の尿を飲んでしまったりするエブリデイ。で、最終的には「尼僧になって慰めてくれた姉はとっくに自殺していた」とか「“最後の殺人”は自分の妻で、浮気された上にウンヒが自分の子じゃなかったから、殺してしまった」なんてことが発覚しつつ、やっぱりテジュが連続殺人鬼だったので、タイマンの末に勝利!ヽ(`Д´)ノ ウォォォォォッ! だがしかし、アルツハイマーがすっかり悪化したビョンスは、テジュを探して線路を歩いて行った…って感じだった気がするんだけど、本当にそんな内容だったのだろうかーー?(うろ覚え)。


過去の大量殺人は発覚しながらも、なんとかテジュを倒しましてね。


オープニングに繋がって終わるのでした、たぶん、きっと。



鑑賞後、一番感じたのは、「記憶障害を持つ人を主人公にしたミステリー」の難しさ。鑑賞しながら、超有名なクリストファー・ノーラン監督作「メメント」や、観たばかりの「手紙は憶えている」と比較しちゃったんですが、「メメント」は時系列を逆にして見せつつ「マッチポンプだった」というオチであり、「手紙は憶えている」は捜査行自体が主人公への罠だったりと、言葉が悪くてすみませんが(汗)、基本的には「役立たず」として描いているんですよね。ただ、本作は2作品と似たようなシーンを見せながらも(「前後関係を忘れてペットボトルの尿を飲む」とか「目的を忘れて映画に爆笑する」とか)、「自力で問題を乗り越えるクライマックス」を用意した分、記憶を失うにせよ、思い出すにせよ、「作り手に都合が良いアルツハイマー」に見えてしまったのは否めないんじゃないかと。ツッコミどころは非常に多くて、本格的な謎解きモノを期待すると拍子抜けするんじゃないかしらん。


「メメント」のように汚いものを飲んじゃったり…。


「手紙は憶えている」のような「アニメで爆笑だぁ!」シーンがあったりするのは「アルツハイマーあるある」なのかな。



ただ、韓国映画によくある「勢い重視の猟奇サスペンス」として観れば、普通に満足いたしました。特にスゴいなぁと感心したのがソル・ギョングで、観終わってパンフを読むまで、「力道山」「シルミド」の人だとは気がつかなくて。老人っぽく見せるために10キロ以上減量して、その体重を維持すべく毎日2時間、1万回以上の縄跳びを実施したというのだから、ビックリですよ(テジュ役のキム・ナムギルは逆に増量したとか)。彼の演技を観ているだけでも、十分面白かったです。それと「『“最後の殺人”が妻で、ウンヒは自分の子じゃなかった』という事実を忘れたいと強く願ったかったから、運命が記憶障害にした」的な見方ができるのも良いなぁと。つーか、原作となった小説を読んでみたら、主人公の語り口は同じなんですけど、内容はかなりエンタメ寄りに構成されていて(例えば、小説のビョンスは“快楽殺人者”であり、観客に感情移入させるため“処刑人”にしたそうな)、見事な脚色だと思ったり。その他、「元殺人鬼がアルツハイマーになったことで殺人を再開してしまう」という発想は、不謹慎ですけど、「バーン・ガニアが97歳の男性を投げ殺した事件」を思い出して、しんみりしましたね… (´・ω・`) シンミリ


公式コメント動画のソル・ギョング。“カメレオン俳優”の異名通り、まったくの別人ですな… (・ω・;) スゴイ


キム・ナムギルも捉えどころがないムードが良かったです。


みんな大好きなオ・ダルズも出演。小説の要素を取り入れたオリジナルキャラを演じてました。



なんて言うんですかね、僕が一部で評判の良い「黒く濁る村」に乗れなかったように「乗れる or 乗れない」がクッキリ分かれる作品な気がするし、そもそも僕自身も本作の前にレンタルで観た「手紙は憶えている」が超良い出来だっただけに厳しい目で観た部分もあるんですが、トータル的にはなかなか愉快でしたヨ (・∀・) マァマァ で、3月上旬には別バージョンの「新しい記憶」を観たんですけど、それはまた別のお話。




キム・ヨンハによる原作本。変な小説でしたよ… (`Δ´;) ヌゥ



ウォン・シニョン監督作。僕の感想はこんな感じ



ソル・ギョング主演の力道山ムービー。好きだった気もするが、思い出せない…。



記憶障害のある人ミステリー、その1。ノーラン監督作で一番好きかも。



記憶障害のある人ミステリー、その2。僕の感想は、ここの1本目








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