名もなき野良犬の輪舞
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原題:불한당:나쁜 놈들의 세상 不汗党 The Merciless
2017/韓国 上映時間120分
監督・脚本:ビョン・ソンヒョン
脚本:キム・ミンス
撮影:チョ・ヒョンレ
照明:パク・ジョンウ
音楽:キム・ホンジプ、イ・ジニ
編集:キム・サンボム、キム・ジェボム
美術:ハン・アルム
衣装:チョ・ヒラン
ヘアメイク:ソン・ウンジュ
視覚効果:イ・ドンフン
サウンド:パク・ヨンギ、パク・ジュガン
出演:ソル・ギョング、イム・シワン、チョン・ヘジン、キム・ヒウォン、イ・ギョンヨン、ホ・ジュノ
パンフレット:★★★(700円/葉真中顕先生のコラムが面白かった)
(あらすじ)
犯罪組織のトップに成り上がるという野望を抱くジェホは、刑務所で野心的な若者のヒョンスと出会う。周囲の人間を誰も信じずに生きてきたジェホだったが、ある時、ピンチを救われたことでヒョンスを信頼するようになる。出所後、チームを組み、犯罪組織を乗っ取ろうと企てるジェホとヒョンス。しかし、それぞれの動機が次第に明らかになっていき、そのことから信頼で結ばれた2人の関係が変化していく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
80点
確か「恋するシェフの最強レシピ」を観た時ですかね。劇場で「まだ話が途中っぽいのに、潜入捜査官が捜査対象に『オレは刑事だ』と告白する」という予告編を観て、「新しい!Σ(゚д゚;)」と感心。さらに最近、2パターン観た「殺人者の記憶法」のソル・ギョングが主演というのも縁を感じるし、そもそもこの手の潜入捜査官ムービーは高確率で面白いので、超観る気マンマンだった…にもかかわらず! なかなか観に行けなくて、6月上旬の上映最終週、日比谷で「モリーズ・ゲーム」を観てから移動→新宿武蔵野館で鑑賞いたしました。予想以上の面白さでしたヨ (´∀`) ウフフ
ロビーにはこんな大々的な展示があったのです。
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記事の切り抜きもありました。席は8割ぐらい埋まってた気がします。
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劇中の構成を無視して乱暴にストーリーを書いておくと、影で麻薬を密売している貿易会社「オセアン貿易」を探るべく、若手警官ヒョンス(イム・シワン)は組織のナンバー2であるジェホ(ソル・ギョング)に接近するため、囚人として刑務所に潜入。型破りな暴れん坊振りを見せて、スムースに気に入られましてね。さらに、大物ヤクザのソンハン(ホ・ジュノ)が入所してピンチに陥った時も助けることで、ジェホのハートをすっかりキャッチするんですけれども。病気の母親(a.k.a.唯一の肉親)が交通事故で死亡→ヒョンスは刑務所にいて何もできないため、海より深く絶望していたところ、ジェホの計らいで1日だけ外出が許可されて、葬儀をおこなえましてね…。すっかりジェホに「LOVEずっきゅん」になったヒョンスは「アニキ、オレは刑事だ (´・ω・`)」と正体を告白してしまうのです。
活きの良い若者ヒョンスを見て…。
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ジェホったら一目惚れして、2人の仲は急接近。
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そんな時、母親が事故で死亡! ヒョンスは刑務所から出られず腐っていたんですが…。
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なんとジェホが葬儀代を出してくれた上に、外出も1日だけ許可されまして。
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外出したヒョンスはスーツに着替えて「立ち喰いそば弁慶」に向かった…って、やだ、「ハンチョウ」
が混ざっちゃった!(*ノ▽ノ) ワザトラシイ
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ヒョンスったらすっかり「ジェホ兄貴の味方だぜ!ヘ(゚∀゚*)ノ」気分になって、出所後は警察にニセ情報を流したりするありさまですよ(苦笑)。チンコゴルフが得意な“組織のナンバー1”のコ社長(イ・ギョンヨン)も排除されて、ジェホと順風満帆な犯罪者ライフを送れるかと思いきや! 潜入チームの上司チョン(チョン・ヘジン)から「母親を殺したのはジェホ」だということを教えられるから、超ショック!Σ(°д°;) エーッ! 実はヒョンスが告白する前にジェホは彼が刑事だということを部下から知らされていて、自分の仲間にするためにひき逃げ事故を仕組んだのです。で、人間不信になったヒョンスは、警察とジェホの狭間で揺れる想いを体中で感じまくりながら、ボンヤリと同士討ちを画策。最終的にはチョンを射殺して、ジェホを窒息死させたのでしたーー。
なんと、この“告白”はジェホに誘導されたものだったのです (´Д`;) ソンナァ
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それを知ったヒョンスは、ジェホにも警察にも超激怒!
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最後は、ジェホの継承者となったヒョンスだけが生き残った次第。
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もうね、本作の白眉はオープニング。チンピラっぽい2人が港で飯を食いながら「魚の目が苦手で食べられない」「人間は罪悪感があるから武器を進化させた」といった心底どうでも良さげな話をしているかと思ったら、いきなり1人が射殺されるから、「なんですと!Σ(゚д゚;)」と。しかも、殺された男が「妻子持ちの潜入捜査官」だったことが後でわかるわ、そこで語られた「人の殺し方」がクライマックスの「ヒョンスがジェホを窒息死させること」の意味を暗示しているわ、直後のタイトルの出方もラストと呼応しているわと、スゲー考えられて作られていた印象。そこからの本編もよく出来ていて、そりゃあ潜入刑事モノなんてやり尽くされた感があるワケですが、「現在パート」と「過去パート」を交互に進行したり、劇中の描写を少しカリカチュアすることで(特にアクションシーンは派手め&勢い重視なムードで愉快)、独自の魅力を生み出していたんですよね。なんて言うんでしょうか、非現実的な雰囲気が「少しコメディ要素が入った超ハードなノワール」という不思議な案配のストーリーに妙なリアリティを与えていたような気がしないでもないのです (゚⊿゚) ドッチダヨ
ビョンガプがダラダラと語るオープニングに様々な伏線が張られていたというね。
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僕的にグッと来たのが油を使った拷問シーン。ホ・ジュノのリアクションも最高!(ノ∀`) キャー!
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で、役者さんたちはとにかく素晴らしくて、ソル・ギョングは「殺人者の記憶法」と同じ人とは全然思えなくて、さすがは「カメレオン俳優」だなぁと。ヒョンス役のイム・シワンも少年っぽさがありながらも艶っぽさもあって、ジェホが惚れるのも納得でしたよ。「アジョシ」
で超憎たらしいクソ兄役だったキム・ヒウォンが演じたビョンガプも、残酷な割には気の良さがあり、バカっぽく見えて意外と頭がキレたりと、絶妙なスパイスになっていたし、警察側のチーム長チョンを演じたチョン・ヘジン、コ社長役のイ・ギョンヨン、拷問死する大物ヤクザ・ソンハン役のホ・ジュノなども、本当に良い仕事をしたんじゃないでしょうか。
ソル・ギョング演じるジェホ。ヒョンスに「こうなりたかった青年時代の自分」を重ねたのかしらん。
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イム・シワン、話が進むに連れてドンドン荒んでいく演技が良かったです。
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ある意味、一番のクズに見えるチョンチーム長も良い味を出してましたな。
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原題の「不汗党」とは「乱暴者」や「無頼漢」、英題の「Merciless」は「無慈悲」という意味だそうですが、本作の邦題「名もなき野良犬の輪舞」も悪くないと思っていて。こちらの記事に名付けた経緯が書かれているんですが、登場人物たちの哀れな踊らされっぷりに合っていたと思うのです(一番はヒョンスだけど、他の人たちも感情や状況、組織などに踊らされて、五十歩百歩かと)。唯一、最後の廃墟での展開&バトルが若干グダグダに見えて残念だったんですが、基本的にはとても面白かったですヨ (´∀`) ウフフ 潜入捜査官モノが好きな人や腐女子の方は要チェックの逸品ですぞ。
最後に、なんとなく松任谷由実さんの「輪舞曲」を張っておきますね↓
おしまい。
輸入盤のサントラでございます。
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ビョン・ソンヒョン監督の前作。まぁ、観ないでしょうな。
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韓国産潜入捜査官ムービー。僕の感想はこんな感じ。
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ソル・ギョングが愉快だった映画。僕の感想はこんな感じでこんな感じ。
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原題:불한당:나쁜 놈들의 세상 不汗党 The Merciless
2017/韓国 上映時間120分
監督・脚本:ビョン・ソンヒョン
脚本:キム・ミンス
撮影:チョ・ヒョンレ
照明:パク・ジョンウ
音楽:キム・ホンジプ、イ・ジニ
編集:キム・サンボム、キム・ジェボム
美術:ハン・アルム
衣装:チョ・ヒラン
ヘアメイク:ソン・ウンジュ
視覚効果:イ・ドンフン
サウンド:パク・ヨンギ、パク・ジュガン
出演:ソル・ギョング、イム・シワン、チョン・ヘジン、キム・ヒウォン、イ・ギョンヨン、ホ・ジュノ
パンフレット:★★★(700円/葉真中顕先生のコラムが面白かった)
(あらすじ)
犯罪組織のトップに成り上がるという野望を抱くジェホは、刑務所で野心的な若者のヒョンスと出会う。周囲の人間を誰も信じずに生きてきたジェホだったが、ある時、ピンチを救われたことでヒョンスを信頼するようになる。出所後、チームを組み、犯罪組織を乗っ取ろうと企てるジェホとヒョンス。しかし、それぞれの動機が次第に明らかになっていき、そのことから信頼で結ばれた2人の関係が変化していく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
80点
確か「恋するシェフの最強レシピ」を観た時ですかね。劇場で「まだ話が途中っぽいのに、潜入捜査官が捜査対象に『オレは刑事だ』と告白する」という予告編を観て、「新しい!Σ(゚д゚;)」と感心。さらに最近、2パターン観た「殺人者の記憶法」のソル・ギョングが主演というのも縁を感じるし、そもそもこの手の潜入捜査官ムービーは高確率で面白いので、超観る気マンマンだった…にもかかわらず! なかなか観に行けなくて、6月上旬の上映最終週、日比谷で「モリーズ・ゲーム」を観てから移動→新宿武蔵野館で鑑賞いたしました。予想以上の面白さでしたヨ (´∀`) ウフフ
ロビーにはこんな大々的な展示があったのです。

記事の切り抜きもありました。席は8割ぐらい埋まってた気がします。

劇中の構成を無視して乱暴にストーリーを書いておくと、影で麻薬を密売している貿易会社「オセアン貿易」を探るべく、若手警官ヒョンス(イム・シワン)は組織のナンバー2であるジェホ(ソル・ギョング)に接近するため、囚人として刑務所に潜入。型破りな暴れん坊振りを見せて、スムースに気に入られましてね。さらに、大物ヤクザのソンハン(ホ・ジュノ)が入所してピンチに陥った時も助けることで、ジェホのハートをすっかりキャッチするんですけれども。病気の母親(a.k.a.唯一の肉親)が交通事故で死亡→ヒョンスは刑務所にいて何もできないため、海より深く絶望していたところ、ジェホの計らいで1日だけ外出が許可されて、葬儀をおこなえましてね…。すっかりジェホに「LOVEずっきゅん」になったヒョンスは「アニキ、オレは刑事だ (´・ω・`)」と正体を告白してしまうのです。
活きの良い若者ヒョンスを見て…。

ジェホったら一目惚れして、2人の仲は急接近。

そんな時、母親が事故で死亡! ヒョンスは刑務所から出られず腐っていたんですが…。

なんとジェホが葬儀代を出してくれた上に、外出も1日だけ許可されまして。

外出したヒョンスはスーツに着替えて「立ち喰いそば弁慶」に向かった…って、やだ、「ハンチョウ」

ヒョンスったらすっかり「ジェホ兄貴の味方だぜ!ヘ(゚∀゚*)ノ」気分になって、出所後は警察にニセ情報を流したりするありさまですよ(苦笑)。
なんと、この“告白”はジェホに誘導されたものだったのです (´Д`;) ソンナァ

それを知ったヒョンスは、ジェホにも警察にも超激怒!

最後は、ジェホの継承者となったヒョンスだけが生き残った次第。

もうね、本作の白眉はオープニング。チンピラっぽい2人が港で飯を食いながら「魚の目が苦手で食べられない」「人間は罪悪感があるから武器を進化させた」といった心底どうでも良さげな話をしているかと思ったら、いきなり1人が射殺されるから、「なんですと!Σ(゚д゚;)」と。しかも、殺された男が「妻子持ちの潜入捜査官」だったことが後でわかるわ、そこで語られた「人の殺し方」がクライマックスの「ヒョンスがジェホを窒息死させること」の意味を暗示しているわ、直後のタイトルの出方もラストと呼応しているわと、スゲー考えられて作られていた印象。そこからの本編もよく出来ていて、そりゃあ潜入刑事モノなんてやり尽くされた感があるワケですが、「現在パート」と「過去パート」を交互に進行したり、劇中の描写を少しカリカチュアすることで(特にアクションシーンは派手め&勢い重視なムードで愉快)、独自の魅力を生み出していたんですよね。なんて言うんでしょうか、非現実的な雰囲気が「少しコメディ要素が入った超ハードなノワール」という不思議な案配のストーリーに妙なリアリティを与えていたような気がしないでもないのです (゚⊿゚) ドッチダヨ
ビョンガプがダラダラと語るオープニングに様々な伏線が張られていたというね。

僕的にグッと来たのが油を使った拷問シーン。ホ・ジュノのリアクションも最高!(ノ∀`) キャー!

で、役者さんたちはとにかく素晴らしくて、ソル・ギョングは「殺人者の記憶法」と同じ人とは全然思えなくて、さすがは「カメレオン俳優」だなぁと。ヒョンス役のイム・シワンも少年っぽさがありながらも艶っぽさもあって、ジェホが惚れるのも納得でしたよ。「アジョシ」
ソル・ギョング演じるジェホ。ヒョンスに「こうなりたかった青年時代の自分」を重ねたのかしらん。

イム・シワン、話が進むに連れてドンドン荒んでいく演技が良かったです。

ある意味、一番のクズに見えるチョンチーム長も良い味を出してましたな。

原題の「不汗党」とは「乱暴者」や「無頼漢」、英題の「Merciless」は「無慈悲」という意味だそうですが、本作の邦題「名もなき野良犬の輪舞」も悪くないと思っていて。こちらの記事に名付けた経緯が書かれているんですが、登場人物たちの哀れな踊らされっぷりに合っていたと思うのです(一番はヒョンスだけど、他の人たちも感情や状況、組織などに踊らされて、五十歩百歩かと)。唯一、最後の廃墟での展開&バトルが若干グダグダに見えて残念だったんですが、基本的にはとても面白かったですヨ (´∀`) ウフフ 潜入捜査官モノが好きな人や腐女子の方は要チェックの逸品ですぞ。
最後に、なんとなく松任谷由実さんの「輪舞曲」を張っておきますね↓
おしまい。
輸入盤のサントラでございます。
ビョン・ソンヒョン監督の前作。まぁ、観ないでしょうな。
韓国産潜入捜査官ムービー。僕の感想はこんな感じ。
ソル・ギョングが愉快だった映画。僕の感想はこんな感じでこんな感じ。