Quantcast
Channel: 三角絞めでつかまえて2
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2570

パラサイト 半地下の家族(ネタバレ)

$
0
0
※本作については、間違いなくネタバレを知らないで観た方が面白いので、未見の人は観てから読んで!




パラサイト 半地下の家族



原題:기생충 Parasite
2019/韓国 上映時間132分
監督・脚本:ポン・ジュノ
製作:クァク・シネ、ムン・ヤングォン、チャン・ヨンファン
脚本:ハン・ジヌォン
撮影:ホン・ギョンピョ
美術:イ・ハジュン
衣装:チェ・セヨン
編集:ヤン・ジンモ
音楽:チョン・ジェイル
出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン、チョン・ジソ、チョン・ヒョンジュン、パク・ミョンフン、パク・ソジュン
パンフレット:★★★(800円/)
(あらすじ)
キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




95点


※本作に関しては、宇多丸師匠による監督&主演俳優インタビューとか宇多丸師匠の的確な時評やら伊藤聡さんの素敵なレビューやら町山智浩さんの解説(220円)やらをチェックすれば十分じゃないかしらん。

基本的には肉体系アクション映画を好む僕ですが、そりゃあソン・ガンホ主演×ポン・ジュノ監督作となれば観る気マンマンということで前売り券を購入。2019年12月27日からスタートしていた先行上映に関しては、ちくしょう、特別興行ということで前売り券が使えなかったため、ちぎれそうなほどに下唇を噛み締めてガマンしましてね… (ノДT) クヤシイ... 公開週の1月14日(火)、ユナイテッド・シネマとしまえんにて前売り券を使って1回目を鑑賞。その後、ちょうど愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、1月20日(月)、TOHOシネマズ錦糸町・楽天地にて1カ月フリーパスを使って2回目を観てきました(で、「ジョジョ・ラビット」「エクストリーム・ジョブ」をハシゴ)。「リスペクト!(゚∀゚)」と思ったり。


前売り特典は「パラサイトオリジナル付箋」でしたよ。


UCとしまえんの3番スクリーン、7割ぐらい埋まってました。


2回目の時は、ついイチゴタピオカミルクティーを購入。モチモチしてて甘い!


9番スクリーン、5割ぐらいの入りでしたよ。



最初にあらすじを雑に書いておきますと。事業に失敗しまくった過去のある父ギテク、元ハンマー投げ選手の母チュンスク、大学受験に落ち続けている息子ギウ、美大を目指すも予備校に通うお金もない娘ギジョンの“貧乏なキム一家”は、半地下で暮らしながら内職で糊口をしのぐ日々だったんですけれども。名門大学に通う友人ミニョクが留学することになり、彼の代わりにギウが受験勉強中の女子高生ダヘの家庭教師をすることになりましてね。“お金持ちのパク一家”もまた、IT企業社長の父ドンイク、ヤング&シンプルな妻ヨンギョ、娘のダヘ、ヤンチャな弟ダソンの4人構成でして。ギウったらヨンギョとダヘに気に入られると、ダソンに別の家庭教師を紹介するんですが、なんと妹ギジョンがまったくの別人設定でやってくるのです。その後は、策略によって運転手と家政婦ムングァンを追い出し、代わりにギテクとチュンスクがまた“別人”として雇用されまして。ダソンに「体臭が同じ」ということを指摘されつつも、なんとかパク一家に気付かれずに家族全員が仕事を得たんですけど、問題なのはここからじゃ ( ゚д゚) ミツナリ


こちらが全員無職のキム一家であり…。


こちらが寄生されるパク一家でございます。


なんとなく徳川光成の画像を貼っておきますね(「バキ」より)。



ダソンの誕生日祝いとして、パク一家がキャンプ旅行に出掛けたのに乗じて、キム一家は豪邸で勝手にくつろいでいたところ、前の家政婦のムングァンが来訪。忘れ物をしたというので中に入れると、屋敷の地下へ直行→秘密のシェルターがあり、そこでムングァンの旦那グンセが暮らしていたから、「マジか!Σ(゚д゚;(゚д゚;(゚д゚;(゚д゚;し」と。あーだこーだあって、キム家の策略がすっかりバレてしまったため、「新しく寄生し始めたキム家(半地下勢)vs 前から寄生していた夫婦(ガチ地下勢)」という醜い争いが勃発するものの、突然、大雨によりパク家の4人がキャンプを中止して帰宅してきたから、さぁ大変! とりあえずムングァンたちを地下に閉じ込めて、家政婦のチュンスク以外は何とか脱出するも、半地下の住宅は豪雨のせいで地獄のような浸水状態になっていたので、3人は絶望的な気持ちで貧困層が大量にいる避難所に泊まることになったというね… ('A`('A`('A`し ゲンナリ


中央にいるのが家政婦ムングァン。彼女と旦那が「地下の夫婦」として「半地下の家族」に牙を剥くのです。


グンセが登場した時の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



で、大雨の翌日、パク家はダソンの誕生日のやり直しとして、急遽ホームパーティを開催することになりまして。被災したキム家の3人もそれぞれ行くことになるんですけど、買い出しに付き合ったギテクはヨンギョに己の体臭を気にされてイライラするのです。そんな中、ギウったらパーティー中に地下夫婦の殺害を企てたものの、前日のいざこざでチュンスクに階段から蹴落とされたムングァンが死亡したことで復讐鬼と化したグンセの襲撃に遭い、逆に昏倒。地下から解き放たれたグンセは庭で包丁を振り回してギジョンを刺殺すると、憎きチュンスクとバトルするも返り討ちにされまして。さらに、ドンイクがグンセの臭いに鼻をつまんだところをギテクが目撃して激怒→刺殺! あーだこーだあって時は経ち、ギテクは行方不明のままだったんですが、モールス信号により「地下のシェルターで暮らしている」ことを知ったギウは、お金を稼いであの家を買うことを決意するのでしたーー (´・ω・`) トウサン...


クライマックス、このホームパーティーが惨劇の舞台になるのです。


最後まで観た僕はこの李海王のような顔になってました(「バキ」より)。



もうね、本作に関してはさまざまなレビューがアップされているので、今さら僕が書くことなんてないというか(苦笑)。特に尊敬する映画評論家の町山智浩さんの解説(220円)が「僕が書きたかったことのほとんど」を語っていたから、むしろそっちを聴いてくれれば十分なんですけれども。まぁ、一応、備忘録的に感想を垂れ流しておくと、スゴい映画でしたよ… (`Δ´;) ヌゥ 貧困要素は「スノーピアサー」、仲良し家族要素は「グエムル 漢江の怪物」あたりを連想しましたけど、本作は同監督の今までのフィルモグラフィーの中でもとにかく完成度が高い。脚本やら撮影やら美術やら音楽やらが無駄なく完璧な仕事をしていて、何が凄まじいって、それなのにスゲーわかりやすくてスゲー面白いのです(バカっぽい文章)。


鑑賞中の僕の気持ちを代弁する引木記者を貼っておきますね(「餓狼伝」より)。



映画の中でいろいろなメタファーを散りばめられたり、技巧を凝らしたショットを展開されたりしても、恥ずかしながら、そういうのって“その意味”や”スゴさ”がわからなかったりもするじゃないですか(つーか、僕はよくある…)。ところが本作は、例えば、2つの家族の「家の高低差」が「身分差」を象徴していることはもちろんのこと、桃アレルギーを利用して家政婦を追い出すくだりにて、ピザに赤いソースをかける場面から始まってティッシュにそのソースをかけて終わる一連のモンタージュの見事さとか、富裕層側の服選びと避難所での服選びの対比とか、シーン自体が見事な上にスゲーわかりやすいんですよね。


この「桃アレルギー計画」のモンタージュ、撮影も編集も音楽も素晴らしいのです。



しかも、物語が面白い上にいろいろと考えさせられるから、またスゴい。「金持ち一家が“白人に土地を奪われたインディアン”にハマッている」という設定で彼らの無神経さを表したり、ドンセがギテクと同じ商売を失敗している→本当は仲間になれるハズなのに争ってしまう展開が「弱い者たちが夕暮れ、さらに弱い者を叩く」的なモロに現代の縮図になっていたりとか、本当に上手いと思いましたよ。ギウが父親を救出する計画を立てるラストも「でも、半地下からそれができるの?」と肯定できない絶望感が漂ってて何とも言えない気持ちにさせるしさぁ…。劇中でドンイクを尊敬するドンセがやたらと「リスペクト!(゚∀゚)」と叫んでましたけど、正直、僕も本作を観て、あらためてポン・ジュノ監督に対して尊敬の念を抱いた次第。


ということで、僕のポン・ジュノ監督への気持ちを代弁する範馬勇次郎を貼っておきますね(「バキ」より)。



役者さんたちは全員素晴らしくて、1人1人褒めていたらキリがないレベルなワケですが(ソン・ガンホがスゴいなんて当たり前すぎるし)、ギウ役のチェ・ウシクはとぼけた感じが最高だったし、ギジョン役のパク・ソダムはカッコ良かったし(下水が噴き出す便器に座って一服する佇まいが100点!)、ヨンギョ役のチョ・ヨジョンの“騙されやすい人”演技も愉快だったし、愛撫サレテイルトキ「時計回リ」ヲ要求スル場面ハ…トテモイヤラシカッタデス…(つい興奮してカタカナに)。ムングァン役のイ・ジョンウンもあの哀れみを誘う演技の破壊力が凄まじかったし、何よりもグンセ役のパク・ミョンフン、ちょっと江頭2:50さんぽいムードがコミカルながらもスゲー不気味であり、切なくもあって。死にかけているムングァンのために頭から血を流しながら電灯のスイッチを連打するシーン(モールス信号で外部に助けを求めた)の鬼気迫る貌はスゴいとしか言いようがなかったです。


パク・ミョンフンを観た時の気持ちを代弁する松本梢江を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



韓国の社会状況やら「半地下」やらについては裴誠准(ベ・ソンジュン)さんの解説記事を読んでいただくとわかりやすいんですが、心底ヒデェ話だし、そりゃあ日本にも通じるテーマですよね(というか、カンヌ映画祭のパルム・ドールが貧困を描いた「わたしは、ダニエル・ブレイク」「万引き家族」→「パラサイト 半地下の家族」という流れなのは世界的なテーマでもあるんでしょうな…って、みんなわかっていることですがー)。何が恐ろしいって、僕は高校時代、服の臭いで金持ちの同級生にバカにされたことがあったので、そりゃあ「半地下家族」目線で観ていたワケですけど、とはいえ、パク一家のように無自覚に鼻をつまんだり、人の心を踏みにじったりもしているんだろうし、とはいえ、いつ「地下夫婦」のような立場になるかわからないし、まったく他人事じゃないというか。例えば、本作のグンセのように台湾カステラ商売が失敗して返せないレベルの借金を抱えたりしたら、実人生から目を逸らすために、マッチョな発言を垂れ流す有名人や金持ちを「リスペクト!(゚∀゚)」と尊敬したり、ネットで差別発言を連発するようになったりするのかな…と考えるとマジで怖いなぁと。って、まぁ、あまり考えると知恵熱が出てくるのでこのぐらいにしておきますかな(どことなく偉そうに)。


北朝鮮からの攻撃を想定した防空壕を住宅に改造した「半地下」。便器が上にあるのは本当だとか… (・ω・;) ウーン


パク・ソダムが言うように、語りがいのある作品なのは間違いないです。



ううむ、ダラダラと駄文を書き連ねちゃいましたが、何はともあれ、スゲェ映画でしたよ… (`Δ´;) ヌゥ ただ、観た直後は100点だと思ったものの、結局、95点にしてしまったのは、「ボーイスカウト設定が出てくるとモールス信号が絡んでくるよな」とか「いくらコメディだとはいえ、地下でキム一家が家族だとバレて撮影されるシーンは、あまりにバカすぎるのでは」といったところが気になったから…ではなく。ポン・ジュノ監督作なのに飛び蹴りが出てこなかったからーー。監督的にはもう出さないのかもしれませんが、僕的にはジョン・ウー監督作の白い鳩のように、常に出してほしかった…常に出してほしかったのでした…。


ポン・ジュノ監督作で一番好きな飛び蹴りは「殺人の追憶」の取り調べ中の一発ですかね。
殺人の追憶の飛び蹴り2


おしまい!(゚∀゚) リスペクト!




デジタル盤のサントラ。輸入CD盤もあります。



非常に連想したポン・ジュノ監督作、その1。僕の感想はこんな感じ



非常に連想したポン・ジュノ監督作、その2。ソン・ガンホも出ております。大好き。



本作に確実に影響を与えたというキム・ギヨン監督作。未見なのです…。



つい貼りたくなっちゃうロバート・ロドリゲス監督作。それなりに愉快だった記憶。









Viewing all articles
Browse latest Browse all 2570

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>