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ロバマン(ネタバレ)

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ロバマン



2019/日本 上映時間68分
監督・脚本・プロデューサー:河崎実
脚本:木川明彦
撮影:松尾誠、佐々木雅史
音声:相田義敦、塩田康一
SE:川崎雄太
衣装:チバヤスヒロ
ヘアメイク:田部井美穂
特殊造形:梶康伸
編集:川崎雄太
音楽:石川修一、アサカコウギ
主題歌:吉田照美
ナレーター:秀島史香
メイキング:川崎雄太
パンフレット:なし
出演:吉田照美、小池美波、唐橋ユミ、熊谷真実、笑福亭鶴光、伊東四朗、中村愛、なべやかん、タブレット純、HEY!たくちゃん、福本ヒデ、山本天心、川島ノリコ、水谷加奈、國本鐘建、みうらじゅん、村上和成、小林さとし
(あらすじ)
定年を過ぎた68歳の吉村は、妻からは疎まれ、娘にも敬遠される孤独な毎日を送っている。世間を騒がす事件や事故についてラジオに投稿したり、ネットで叩いたりすることを生きがいにしているが、現実では行列の割り込みや騒ぐ客に直面しても注意すらできない。ある日、散歩の途中でUFOに遭遇した彼は、ロバそっくりな宇宙人に仲間と勘違いされてしまい……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




68満


※今回の記事は、いつも以上にダラダラしていて読みにくいので気をつけて!

「合う人」「合わない人」がキッパリ分かれることに定評がある河崎実監督作については、結構好きでしてね(微笑)。決して熱心に活動を追っているワケではなく、ハッキリ言って「上映されていることに気が付いたら観る」程度のファンでしかないんですが、近年の劇場公開作品は一応、ほぼ映画館で観ているんじゃないかな、たぶん、きっと。で、2月6日(木)、横浜シネマリン「サイゴン・クチュール」を観てから、シネマ・ジャック&ベティに移動して、「だれもが愛しいチャンピオン」とハシゴしてきました。「意外とイイ!Σ(゚д゚;) ナニィ!」とビックリしましたよ…(どことなく失礼な文章)。


スクリーン・ジャック、観客は男性一色で15人ぐらいいた記憶。グッズなどいろいろ売られてました。


鑑賞中の僕の気持ちを代弁する烈海王を貼っておきますね(「刃牙道」より)。



とりあえずあらすじを簡単に書いておきますと。ロバっぽい顔の吉村公三は、定年退職後、愛聴しているラジオ番組「吉田照美のやる気チンチン」にラジオネーム「ロバマン」として社会への不満を投書するエブリデイだったんですが、ある日、ロバに似たロバート星人に仲間だと勘違いされて、リフレッシュのために超人に変身できるブレスレットを渡されまして。吉村は「ロバマン」に変身すると、「ラーメン店の行列の横入り」といった世にはびこる悪人どもを制裁していく…ってな調子。で、最終的には、オールナイト星人が悪のバイブスを地球に撒き散らしていたことがわかったので、タフマンと協力して成敗! ロバート星人にブレスレットを回収されて変身能力は失ったものの(実は68回しか使えなかった)、列の横入りを注意できるぐらいの勇気が心に残ったのでしたーー。


最後はこんな事態に発展するのです。



河崎実監督の作風をザックリ言うと、「昭和特撮の雰囲気が漂う社会風刺ネタ多めの超低予算脱力系コメディ」といったところでしょうか。正直、ロバマンに扮した吉田照美さんがデカデカと映ったポスターを見ただけで、すでに「あぁ… (´Д`;)」と脱力させられるというか。大体、吉田照美さんの顔が長くて「ロバ」というあだ名を付けられていた&68歳記念から生み出されたキャラクターで、上映時間が68分であり、決め台詞が「ドンキー!」というのも、「気が利いてるぅ!(*゚∀゚)=3 ムッハー」と感心するよりは、やはり「あぁ… (´Д`;)」と脱力してしまう人が多いような気がします。いや、僕だって「吉田照美=ロバマン」という部分に面白さがまったく見出せなくて、今までの河崎実監督作の中でも最も期待値が低かったんですが、しかし。鑑賞後は、ついブロマイド(1100円)や主題歌CD(1800円)を買ってしまったりと、今までの河崎実監督作の中で最も好きな作品になったのだから、映画とは面白いもの、ですな(知った風な口で)。


ブロマイドと主題歌CD(サイン入りポストカード付き)を買っちまったのさ…。


ちなみに主題歌CD、中はバンクシーをパロッたイラストが点在してて、結構良かったです (´∀`) ヨカッタワー



一応、吉田照美さんが歌う主題歌(作詞は湯川れい子さんで作曲は伊秩弘将さん!)を貼っておきますね↓




もうね、僕的に超ストライクだったのは暴力描写。いろいろな要素が絡み合って、奇跡的な面白さになっていたのです。まず、本作でロバマンがメインに制裁する“悪”というのは「セクハラ上司」とか「パワハラ上司」とか「店員に横柄な客」とか「ラーメン屋の行列に横入り」とか「路上にタバコをポイ捨て」とか、基本的には“庶民が日常で遭遇するレベル”なんですけど、ロバマンはとにかくボコボコに殴るんですよ。その描写は、僕が生涯ベスト級に愛している「スーパー!」クリムゾンボルトが振るう暴力ほどではないものの、あの吉田照美さんが容赦なく制裁する姿はどことなく“同じ狂気”が漂っていて(そもそも話も似てるしね)、面白いながらもなかなか怖かったというか。


ちなみに「スーパー!」はこんな映画でございます↓




というか、吉田照美さんが「自警団的なヒーロー」になるのがナイスアイデアだったと思ってて。吉田照美さんが悪い奴に扮した村上和成選手小林さとしさんを殴ったり蹴ったりするビジュアルだけでも愉快だし、その真面目な性格から「超人的な力を手に入れたらこんなことをしそう」に見えるし(失礼)、どう見ても運動神経が悪そうな上に68歳と高齢な分(失礼)、劇中で発揮する異常な攻撃力の高さがミスマッチで不気味に見えた…って、伝わりますかね。さらには、舞台挨拶での監督の話によると、本作は30分の予定だったのを「68」にちなんで約68分に長くした→尺を長くするのに苦労したそうなんですが、そのせいか、バンク映像のようにロバマンの暴力シーンが何度も何度も出てくるのが、妙なグルーヴ感を生み出していて、笑いつつも個人の雑な判断で行われる暴力が恐ろしくなってきた…ってのは、僕が寝不足で疲れているからなのカナー (ノω・、) ネムイヨゥ


最初にロバマンが制裁するのは、行列に横入りした村上和成選手。こんなバトルが観られるとは…。



いや、こんなふざけた作風だけど、監督は意識して撮っているんですよ。こちらのインタビューには、本作に影響を与えた作品が多く挙げられているのですが(「冒頭のナレーションは『豹マン』とか「『吉村公三』は「ウルトラマンA』のやや地味なTAC隊員から」とか「ロバマンが出没する『北川町』は『ウルトラセブン』の第8話『狙われた街』の舞台となった場所の名前」とか「ロバマンが耳からキーンと"悪の波動"を感じ取るのは『帰ってきたウルトラマン』の郷秀樹をイメージ」とかとか)、その中には藤子・F・不二雄先生が“個人の正義の暴走”を描いた名作短編「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」もあって。僕も鑑賞中、ラジオに社会への不満を投書するくだりを観て連想していたので、「我が意を得たり!Σ (°д° ) クワッ!」と。劇中でもちゃんと「WEBコミュニティでの賛否」を見せたりするし、「悪を倒して気持ちいい」だけでなく、ちゃんと「観客に“正義”を疑わせる作り」になっていたような気がしないでもないように思わなくもないかもしれません(煮え切らない着地)。


ロバマンをデザインしたのは加藤礼次朗先生。「エイトマン」をベースに「鉄人28号」「スーパージャイアンツ」「鉄腕アトム」「海底人8823」の要素が入っているそうな。



しかも、本作の何が素晴らしいって、単に暴力の賛否を問うだけでなく、最終的には「市民の小さな勇気が世の中を変える」という正統派な着地で終わる部分でしてね…(しみじみ)。それこそが昭和特撮から語られてきたメッセージであり、思わず涙が出たというか。まさか河崎実監督作で泣く日が来るとは思わなかったし、やっぱり僕は疲れているのかもしれないな… (ノω・、) ネムイヨゥ その他、お馴染みのザ・ニュースペーパーによる物真似政権批判が観られたのもうれしかったです。つーか、いくらコメディとはいえ、現政権のトップに暴力を振るうシーンはレアなのもあってかなり愉快だったものの、ちょっとだけ「大丈夫かな… (・ω・;)」と思ったり。


吉田照美さんがアノ人とアノ人を制裁するという、いろいろな意味で面白いシーン。


僕はすっかりこの本部以蔵気分でしたよ(「刃牙道」より)。



あと、吉田照美さん人脈で出演者が豪華かつ数多くのラジオネタが盛り込まれていたのも好きでした。まぁ、僕がラジオにハマッたのは「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」からであり、吉田照美さんのラジオはまったく聴いたことがない→思い入れはゼロなんですけど、たぶん期待値が低めだった上に吉田照美さんにそれなりの好感を持っていたからか、「なべやかんさんと作品内リアリティを無視して延々とアドリブトークをする」といった「内輪ノリ」もスムースに飲み込めた感じ。とはいえ、映画としてはこういった部分がノイズになる人が多いだろうとは思いますがー(僕に「矢島美容室 THE MOVIE 〜夢をつかまネバダ〜」が合わなかったように)。


本人役として出演した中村愛さんはラジオ番組で吉田照美さんのアシスタントを務めてたとか。


ラスボスもラジオ繋がりで登場! 笑福亭鶴光師匠、最後は「ねらわれた学園」の峰岸徹さんみたいになってました。



その他、思ったところを書いておくと、「熊谷真実さんの奥さん演技が好き」とか「カセットでラジオを録音するシーンにグッときた」とかHEY!たくちゃんという芸人さんの吉田照美さんの物真似が超似ててビックリした」とか「吉田照美さんの走り方が良い意味でダサイ!」とか「タブレット純さんが唄う『ロバマンの歌』(ポイントなんていらねぇ、後ろ足で蹴ってやる!)に爆笑」とか「アロン星人(國本鐘建)との早送りアクションがバカバカしい」とか「笑福亭鶴光師匠の『日本はしんぞう部分が弱い』といった時事ネタを交えた演説が面白かった」とか「エンドクレジットで丸屋九兵衛さんが出てたのに気づいた(どのシーン?)」とかとかとか。それと、予告編をチェックしてなかったので、伊東四朗さんがタフマン役で出て来たのは素直に驚いた上に、「地底人」という設定だったのを初めて知りましたよ… (`Δ´;) ソウナンダ...


あのタフマンを劇場のスクリーンで観られただけでも映画代分の価値があった気がしないでもないです。



念のため、「タフマン」のCMを貼っておきますね↓




ううむ、読みにくい駄文をダラダラと垂れ流しちゃいましたな…。何はともあれ、考え的に合わない部分もありましたけど(例えば「学生が横一列に歩いているのぐらい、そんなに怒らなくても…」とか思うし)、予想外に吉田照美さんが可愛かったし、思ってた以上に真っ当な特撮ヒーロー映画だったし、意外と好きな作品でしたヨ (´∀`) ウフフ ハッキリ言って、間違いなく万人にはオススメできないと思うんですが(汗)、でも、しかし、河崎実監督作では観やすい方な気がするので、興味がある方はいきなりビンタされても「どうしたの?(・ε・) ナニカアッタ?」と相手を気遣える級の優しさを胸に抱いて、劇場へ足を運んでみてくださいな。おしまい!ヽ(`Д´)ノ ドンキー!




主演の吉田照美さんが歌う主題歌のデジタル盤。CD盤もあります。



2016年に観た飯伏幸太選手主演×河崎実監督作。僕の感想はこんな感じ。



非常に連想したジェームズ・ガン監督作。僕の感想はこんな感じ。













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