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ジョジョ・ラビット(ネタバレ)

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ジョジョ・ラビット



原題:Jojo Rabbit
2019/アメリカ 上映時間109分
監督・製作・脚本:タイカ・ワイティティ
製作:カーシュー・ニール、チェルシー・ウィンスタンリー
製作総指揮:ケビン・バン・トンプソン
原作:クリスティン・ルーネンズ
撮影:ミハイ・マライメア・Jr.
美術:ラ・ビンセント
衣装:マイェス・C・ルベオ
編集:トム・イーグルス
音楽:マイケル・ジアッキノ
出演:ローマン・グリフィン・デイビス、トーマシン・マッケンジー、タイカ・ワイティティ、レベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャント、アルフィー・アレン、サム・ロックウェル、スカーレット・ヨハンソン、アーチー・イェーツ、ルーク・ブランドン・フィールド、サム・ヘイガース
パンフレット:★★★★(850円/FOXサーチライト関連の安定した良パンフ。ただ、アンネ・フランクの誕生日は6月12日みたいですが…)
(あらすじ)
第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちであるアドルフ(タイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※今回の感想は、無闇にダラダラと長くなってしまったので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いと思うの。
※本作については、映画評論家の町山智浩さんの「映画その他ムダ話」の解説(210円)がとにかくオススメなので、本作が好きな人は絶対聴くべし!m9`Д´) ビシッ


当ブログでは現在、勝手な「動物映画週間」ということで、3日前のワニ映画に引き続いて、本日はウサギ映画の感想をアップしておきますよ。昨日放送の「ムービーウォッチメン」の課題映画になった本作ですが、そもそもタイカ・ワイティティ監督の映画が好き&評判が良かったので、観る気マンマンでしてね(微笑)。1月20日(月)、TOHOシネマズ錦糸町 楽天地「パラサイト 半地下の家族」を観てから、TOHOシネマズ錦糸町 オリナスに移動して、1ヵ月フリーパスを使って1回目を鑑賞(その後、「エクストリーム・ジョブ」をハシゴ)。そして2回目は、「取引先との飲みが入ってチケット代を無駄にする」というとても悲しい出来事を経た2月13日(木)、新宿で「ティーンスピリット」を観てから、TOHOシネマズ新宿にて6ポイント無料鑑賞してきました。「優しい映画ダナー (iДi) カァサン...」と思ったり。


無料で観るのが悪くて、つい飲食物を買ってしまった小心者なアタシ。


オリナスの3番スクリーン、観客は30人ぐらいでしたよ。


TOHOシネマズ新宿で2回目を観た時は、40人ぐらい入ってました。


僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



最初にあらすじを適当かつ雑に書いておくと、時代は第2次世界大戦末期、舞台はドイツ。主人公のジョジョは、母親と2人暮らしであり、アドルフ・ヒトラーイマジナリーフレンドになるほどナチス・ドイツに夢中な10歳の男の子。青少年集団「ヒトラーユーゲント」の訓練に参加するも、ウサギを殺せずに「ジョジョ・ラビット」なんてあだ名を付けられまして。良いところを見せようとした結果、手榴弾で大ケガをしてしまいましてね。失意のジョジョは、「ヒトラーユーゲント」の事務局で奉仕活動をしていたんですが、しかし。ある日、自宅にて、亡くなった姉インゲの部屋に「隠し部屋」を発見→ユダヤ人の少女エルサを見つけてしまうのです。


ナチスに傾倒するジョジョ少年でしたが…。


ユダヤ人の少女が自宅に匿われていたことを知って、混乱するというね。



Jホラー風に登場したエルサったら「通報したら、アンタもママも協力者だと言うから、全員死刑YO!m9`Д´し ビシッ」などと脅してくるから、ジョジョは悩みまして。「ユダヤ人の秘密を教えるなら住んでもいい!(`Δ´)」などと交換条件をもちかけて、あーだこーだとコミュニケーションをとるうちに、すっかりエルサに恋をしてしまった…なんて、よくある話じゃないかー 川 ゚д゚) ヒヨシミミ その後は、秘密警察の捜索を受けてエルサが姉になりすましたり(そしてジョジョの恋心もバレる!)、密かにレジスタンス活動をしていた母親が吊されて泣いたり、クレンツェンドルフ大尉(a.k.a.キャプテンK)に命を助けられたりしつつ、やっと終戦を迎えまして。ジョジョは非常に悩むも、己の中のアドルフを蹴り飛ばすと、エルサを解放。彼女に終戦をストレートに伝えなかった代償としてビンタされるも、自由になった2人はダンスを踊るのでしたーー。


ジョジョはエルサと仲良くなるうちに「ユダヤ人も自分たちと一緒では?」と気づきまして。


最終的には「悪い人じゃない!」なんて言い出すんだから、まったくなっとらんよ!(突然、アドルフ側の視点)



ううむ、本作に関しては、尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「映画その他ムダ話」の解説(210円)とにかくオススメというか。原作小説「Caging Skies」との比較(ジョジョの年齢が18歳&コメディ要素ゼロ&映像化されたのは中盤までの展開など)から、タイカ・ワイティティ監督が撮ってきた作品の考察、当時のドイツに詳しい人ならではの指摘の数々など、本当にタメになるので本作が好きな人はまず聴いてほしいし、僕も「これを聴けばもう十分じゃないかな (´∀`)」と思うんですけれども。「あまり乗れなかった派」の町山さんに対して、僕は2回観に行く程度には「大好き派」ということでね(苦笑)、一応、自分なりの感想を垂れ流しておきますよ。


なんとなく高橋由美子さん「だいすき」を貼っておきますね↓




もうね、最初に褒めるところを書いておくと、ビートルズの曲を流しながら当時の若者たちがどれほどヒトラーに熱狂していたかを描くブラックユーモア全開のオープニングが最高でしたよ(キャンプファイヤーのように焚書を見せたのも見事)。そして、ローマン・グリフィン・デイビス演じるジョジョがスゲー可愛い。マチズモに傾倒したガキなんていくらでも憎たらしく描けるワケですけど、10歳にしては小柄だし、周囲からバカにされている&父親が不在ゆえにナチスに傾倒しているのがわかるし、ウサギを殺せなかったり、エルサをニセ手紙で傷つけるとすぐにフォローしたりする優しさも見せているから、「ナチスに染まったクソガキ」というよりも「ナチスごっこをしているだけの10歳の子ども」にちゃんと見えるというか。ローマン・グリフィン・デイビス、子どもながら非常に良い仕事をしたと思います。


ローマン・グリフィン・デイビス、将来が楽しみですな。



他の出演者たちも良くて、モロにアンネ・フランク(ジョジョの姉インゲの誕生年が一緒)がモデルになっているエルサを演じたトーマシン・マッケンジーは「お姉さんだけど、まだ子どもでもある」というバランスの演技が素晴らしかったし、母ロージーを演じたスカーレット・ヨハンソンは、そりゃあ「ゴーストワールド」でグダグダしていたころから彼女を観てきたワケですから、「こんなに立派なお母さんになって… (ノД`)」と感心することしきりでしたよ。タイカ・ワイティティ監督自身が演じるイマジナリーフレンドのアドルフもブラックで面白かったし、何よりもジョジョの“2番目の親友”であるヨーキーが超可愛くてね…(しみじみ)。ジョジョと会う度にいちいち抱き合う姿に萌えるし、どこか達観した台詞回しが愉快だし、バズーカ暴発ギャグは「コマンドー」に並ぶ面白さでしたよ。


トーマシン・マッケンジー、張りつめていてどこか脆そうな雰囲気が良かったです。


スカーレット・ヨハンソン、良い母でしたな… (iДi) イイハハダナー



そして多くの人類を萌え狂わせたヨーキー役、アーチー・イェーツの動画を貼っておきますね↓ か、可愛い… (´Д`;) ハァハァ




あと、(たぶん)ゲイであるがゆえに厭世的なムードが漂う「キャプテンK」がカッコ良かった! 僕が観てきたサム・ロックウェル史上、最もグッときた役柄だったというか。映画冒頭、「サイボーグ」のジャン=クロード・ヴァン・ダムと同じナイフの抜き方をしたのに好感が持てたし、何よりもラスト、体を張ってジョジョを逃がすシーンは「キャプテンは君だッ!m9TДT) ビシッ」と感動したし、今も心の中でザ・リリーズ「好きよキャプテン」が流れているほどなのです。それと、キャプテンKの部下兼恋人(たぶん)のフィンケルがまたキュート。演じたのは「ゲーム・オブ・スローンズ」のシオン役で株を上げたアルフィー・アレンなんですが、「シェパードを連れて来い」という命令にガチの羊飼いたちを連れてきて怒られる→「バカでした (´・ω・`)」と真面目に反省した時の顔は、それを見てすぐにキャプテンKがフォローする気持ちがわかるほどに僕もキュンときた(47歳の文章)。ゲシュタポのディエルツ大尉役のスティーブン・マーチャントも死に神のようだったし、ミス・ミーム役のレベル・ウィルソンもバカバカしくも恐ろしかったし(子どもをサラリと自爆させようとするのが怖ぇ!)、本作の配役はマジで文句ナシじゃないでしょうか。


このカップル、最高でした。


秘密警察役がピッタリなスティーブン・マーチャント。不法侵入を「ゴルディロックス」で例えてたのが好き。


なんとなく「ナイフを抜くヴァン・ダム」のgifを貼っておきますね(「サイボーグ」より)。



明るく牧歌的かつシンメトリーを意識した美術もまた素晴らしくて(ちょっとウェス・アンダーソン監督の作品っぽい)、非常に上手く「10歳のジョジョが見ている世界」を表現していた印象。後半、ジョジョの意識が変わって軍服を脱いだあたりで街が荒廃しているのは、もちろん戦争が末期だからというのもありますが、ジョジョがエルサと接することで現実に目を向け始めたから…ってことでもあるんじゃないかと思ったり、思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ その他、音楽の使い方も気が利いてたし…って、ここまででかなり褒めてきましたけれども、ふふっ、本当に褒めるのはこれからだッッ!(なんだこれ)


僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



僕が本作でハートを掴まれたのは、何よりも「優しい愛の映画」だったから。10歳の子どもがナチスの思想に染まっていたら、その子がバカというより環境や社会が100パーセント悪いワケでさ。だから、本作の母ロージーやエルサは頭ごなしに理詰めで追いつめたりはせず、ガマン強く諭そうとするんですよね。特にロージーは、食事シーンでの「エルサのために残そうとした料理を食べる生意気なジョジョ」に対してさすがにブチ切れた…かと思いきや、ユーモアと愛で包むワケで。甘やかすことと優しいことが違うのはもちろんのこと、頭ごなしに怒ることが教育ではないんだよなぁと。

本作でロージーがジョジョに伝える「愛」は「靴ひも」と「ダンス」に象徴されていて。結局、ジョジョは愚かで臆病な10歳のガキでしかなく(とはいえ、10歳の子どもなんて実際はそんなものですよね)、本作でイマジナリーフレンドとして登場するアドルフがバカっぽく描かれているのは、単に「コメディ映画だから」というだけでなく、「ジョジョの脳内で考えられる範囲のことしか言えないから」ということでもあって。「ウサギとして出し抜け!」なんてアドルフ(というかもう1人の自分)に言われてたけど、戦場では隠れてビクビクするしかないんですよね(それこそウサギのように)。でも、ラストの「エルサを解放する」という彼の選択は、そりゃあ大人だったら「さっさとやれよ (゚⊿゚) クソガ」って話ですが(汗)、「たかが10歳の子どもが独りぼっちになってしまう状況を自ら選ぶ」ってことなんだから、本当に大変なことじゃないですか。

でも、母が「靴ひも」を結んでくれていたから、ジョジョは死んだ母とエルサの靴ひもを結んであげれたし、母が一緒に踊ってくれていたから、解放したエルサと一緒に「ダンス」を踊れたんだなと(まぁ、エルサも「(自由になったら)踊るわ」って答えてましたけど)。で、トータル的にはそんな「母の愛」にキャプテンKとエルサの存在も加わって、ジョジョは最後の最後に成長できたんだな…って勝手に思ってね、エンドクレジットでは「うわんうわん」と泣いてしまって、その泣き声を聞いた映画館の近所の住人たちが一睡もできなくなり、そのエピソードは「妖怪うわん」として鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に記されているというーー(なにこの着地)。


一緒にダンスを踊ったり…。


何度も靴ひもを結んでもらったりしていたジョジョ(この時は罠でしたが)。


最後のエルサへの対応は「母の優しさへの解答(こたえ)」だったと僕は思うのです(「範馬刃牙」より)。



まぁ、僕だって気になるところはありました。正直、「姉の死を誰も知らない」ってよくわからないし(そんなことあるの?)、ロージーがレジスタンス活動に力を入れすぎて10歳の息子を残して死んでしまったのはどうかと思わなくもないし、母親がレジスタンスだとバレて死んだのならその息子もただでは済まない気がするし(キャプテンKはゲシュタポのガサ入れの時も助けに来てくれたから、その後も陰で守ってくれていたのかもしれませんが)、母亡き後のジョジョが1人で食事を調達するのはハードルが高そうだし(残飯を漁ってはいたけど)、何よりも何よりも、これは町山智浩さんが指摘されていましたが、「ユダヤ人の知人は近所に住んでなかったの?」というのは僕もスゲー思ったし…(確かに「10歳はまだ子ども」だけど、さすがに脳内が子どもすぎでは)。それに、なんて言うんですかね、「第二次世界大戦中のドイツ人の子どもの成長譚」は確かに面白いものの、同時期に「ホロコースト」という凄まじく酷い状況が繰り広げられていた…って考えると、あのハッピーエンドムードを無条件に受け入れづらくもなった…って、伝わりますかね。


いくら寓話だとしても、こんな愚地独歩気分になる人がいるのもわからなくはないのです(「刃牙道」より)。



ただ、それでもやっぱり本作は素晴らしいと思うのです。僕的にこの映画は「ナチス・ドイツに傾倒する少年」を描くことで「愛の大切さ」「ヘイトのバカバカしさ」を伝えるのが一番の目的であって(だと思う)、それには十分成功していると思うのです。例えば、この映画を観ると、当時のユダヤ人差別がどれだけ愚かだったかがわかる以上に、ネットなどにはびこる差別発言や陰謀論がよりアホらしく感じられるというか(このブログを読む方は「在日コリアンの人たちが日本を牛耳ってる」とか信じてませんよね?)。ジョジョに「ユダヤ人の住処を書け」と言われたエルサが「ジョジョの頭」を描くシーンがありましたけど、「そんなのお前の脳内にしかいねぇよ」って話じゃないですか。

でも、そういう人を頭ごなしに否定するのではなく、優しく諭してあげるのが平和への道なのかな…10歳児ならともかく年配の方とかでもそうするしかないのかな…なんてね。うーん、自分でもこの駄文の着地をどうすれば良いのかわからなくなってきましたが(涙目)、何はともあれ、トロント国際映画祭で観客賞を受賞するほどにポップでキュートでユニークかつ感動的な映画なので、興味がある方はぜひ観てみてくださいな。本当に僕も本作には影響を受けたというか、ジョジョ曰く、最強なのはミサイルで、2番目はダイナマイト、そして3番目が筋肉ということでね、とりあえず自分ができる範囲として筋肉を鍛えようと思います…って、なんだそりゃ ( ゚д゚)、ペッ


ごめんなさい、最強は愛でした。



おしまい (´∀`) アイナンダ




デジタル盤のサントラ。国内CD盤輸入CD盤アナログ盤もあります。



タイカ・ワイティティ監督作で一番好きなのはこれです。僕の感想はこんな感じ



クリスティン・ルーネンズによる原作小説。洋書なので注意!



久しぶりに読もうかと思ったけど、財団の著作権云々の主張が不快なのでやめました。お金儲け、頑張って!









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