2020/日本 上映時間70分
出演:土佐和成、朝倉あき、藤谷理子、石田剛太、諏訪雅、酒井善史、中川晴樹、角田貴志、永野宗典、本多力
(あらすじ)
とある雑居ビルの2階。カトウ(土佐和成)がテレビの中から声がするので画面を見ると、そこには自分の顔が映っていた。画面の中のカトウから「オレは2分後のオレ」と語りかけられるカトウ。どうやらカトウのいる2階の部屋と1階のカフェが、2分の時差でつながっているらしい。「タイムテレビ」 の存在を知った仲間たちは、テレビとテレビを向かい合わせて、もっと先の未来を知ろうと躍起になるが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
70点
※本作については、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いのでね、ヨーロッパ企画のお芝居とかが好きな方は、こんな駄文を読まないで、さっさと劇場に足を運んだ方が良いです。
※本作については、カゲヒナタさんによる紹介記事(ネタバレなし)を読むと良いと思います。
正直なところ、まったくチェックしてなかったんですけど(汗)、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の「ムービーウォッチメン」のリスナー枠に監督自身が自薦してきたということで、観ることに決定。7月20日(月)、仕事が終わらなくて、せっかく買った「WAVES ウェイブス」のチケットを無駄にしつつ、シネマイレージ会員割引を利用して、TOHOシネマズ日比谷で鑑賞いたしました。「確かに面白かった…けれども… (´Д`;) アァン」と思ったり。
スクリーン7、観客は12人ぐらいでしたよ。
本作の詳細については、カゲヒナタさんによる紹介記事を読んでいただければ十分だと思うので、そちらをチェックしていただければと思うんですが、しかし。一応、自分なりに雑なあらすじを書いておくと、主人公カトウ(土佐和成)が経営するカフェのPCと2階の自室のPCが2分の時差でつながった→2分後の未来が分かるようになった→PC同士を合わせ鏡にすることでずっと先の未来も分かるようになった…ということで。女性店員や常連客、気になる近所の女性メグミ(朝倉あき)、さらにはヤクザまで巻き込んで、てんやわんやの大騒動になる…ってな調子。最後は、メグミがヤクザに拉致されるも、常連客から未来を教わることによって見事救出。時空の乱れを正すべく、未来から時空局の人間が記憶を消しにくるも、カトウとメグミが記憶消去薬みたいなのを飲まなかったことで、逆に彼らが消えましてね。最後は、2人が良いムードになって映画は終了。エンドクレジットではメイキングが流れて、最後には「このサイトでこの言葉を入力すると動画が観られますヨ (o^-')b ミテネ」的な画像が出てたような気がします、たぶん。
いや〜、非常に良く出来た映画じゃないでしょうか。雰囲気はモロに舞台っぽいんだけど、やっていることは映画ならではというか、ヨーロッパ企画テイストの上手い映画という印象。「モニターを通じて2分後の未来の自分とつながった」という設定だけでなく、そこからの展開が僕には全然思いつかなかったし(恥ずかしながら「ドロステ効果」という言葉も初めて知りました (*ノ▽ノ) キャッ)、何よりもこの「何分後に何が起こる」という辻褄を合わせなくてはならないという超複雑な脚本を全編「ワンカット風」に撮っているのが半端ではなくて。その発想力、その計算力、そしてそれらを映像にする労力などなど、もう考えるだけで気が遠くなるというか。本作はモロに低予算映画でもあるワケでさ、「よくぞここまで作り上げたなぁ (`Δ´;) スゲェ」と、エンドクレジットのメイキングを観ながら感心することしきりでしたよ。登場人物たちの台詞回しもさすが面白いし(「ナチュラルに金儲けの話になっちゃう」が好き)、間違いなく面白い映画だとは思うのです(どことなく奥歯に物が挟まった文章)。
鑑賞後の僕の気持ちを代弁する加藤清澄を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
ただ、率直な感想を書くと、すみません、人間の描き方のフィクション・ラインがスゲー合わなかったです。正直、「勝手に他人が自室に上がり込む」というのが何よりも嫌いな僕は、常連客が主人公の部屋にズカズカと入ってくる序盤からイラッとしたんですが、それはそれとして(そんなことを言い出したら話にならないし)。まず、ヤクザ絡みの展開に無理を感じてキツかったですね…。やっていることはスゴいから、心情的には映画に乗りたいんだけど、いくらコメディだとしても「なにこのヤクザ (゚⊿゚)」とバカバカしくなる自分も捨てきれなくて(“舞台設定のためだけの架空ヤクザ”感というか)、楽しみながらもイライラした…って伝わるでしょうか。
あと、クライマックス、主人公たちが記憶を消されるのを拒否したことで未来が変わった→時空局の2人が消えちゃうワケですが、あれって、ギャグとしても全然笑えないというか。時空局の奴らがぞんざいな雰囲気だからハッピーエンドっぽくなってましたけど、「人の未来を消しちゃったじゃん!Σ(゚д゚;)」と。そりゃあ主人公たちにしてみれば「未来は自分たちで決める」のだろうし「そんなの知ったことか」なのかもしれませんが、なんて言うんですかね、とはいえ「人が消えたことを良しとするオチ」にはモヤッとせざるを得ないじゃないですか…(ブラックコメディならともかくホンワカムードで終わるし)。僕的には、それまで積み上げてきた緻密さと真逆の雑な処理に感じて、ちょっと不快になった次第。
ということで、鑑賞後のもう1つの僕の気持ちを代弁する加藤清澄を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
って、文句を書いちゃいましたけど、これって映画だから違和感を感じた気がするんですよね。もし舞台だったら、役者との共犯関係によって細かいことが気にならず、スムースに飲み込めた気がするんですが、ただ、本作は「映像メディアだからこそできる表現」が一番の売りだしなぁ…。鑑賞後、カゲヒナタさんの紹介記事にあった“元になった短編”「ハウリング」を“UTAMARU-NEXTの付き合いで加入したU-NEXT”で観てみたら、これもまた非常に良く出来ていて。2013年制作→長編化するまで7年近くかかったとなると相当苦労されたんだなぁと思うし、決して嫌いにはなれないし、スゴい作品だとは思ってるんですが、なんとなく乗り切れずに70点というボンヤリした着地。いや、多くの人が絶賛されるのは分かるし、僕が合わないだけだと思うのでね、好きな人はこんなブログの駄文をあまり気にしないでくださいな。おしまい。
U-NEXTで配信中の元になった短編。メイキングも良かったです。