※今回の記事は、なかなか心の狭い文章が垂れ流されていて、この映画が好きな方は不快になる可能性が高いので、読まない方が良いです。
2020/日本 上映時間75分
出演:小野莉奈、平井亜門、西本まりん、中村守里、黒木ひかり、平井珠生、山川琉華、目次立樹
(あらすじ)
夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のため、演劇部員の安田と田宮は野球のルールも知らずにスタンドにやって来た。そこに遅れて、元野球部員の藤野がやって来る。訳あって互いに妙に気を遣う安田と田宮。応援スタンドには帰宅部の宮下の姿もあった。成績優秀な宮下は吹奏楽部部長の久住に成績で学年1位の座を明け渡してしまったばかりだった。それぞれが思いを抱えながら、試合は1点を争う展開へと突入していく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
70点
※本作については、そーす太郎さんの感想に激しく同意なので、そちらを読んでくれたら良いと思います。
ハッキリ言って、「2020年7月公開で観たいと思っている映画の覚え書き」でタイトルすら挙げていないほどに興味がなかったんですけれども。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」にて、「映画秘宝」編集長の岩田和明さんが紹介されていた&「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、急遽観ることに決定。8月3日(月)の仕事帰り、渋谷のシネクイントにて、スタンプカードの無料サービスを使って鑑賞いたしました。とても…良い映画…でしたね… (´∀`;) ハハハ
当日のシネクイントのgif。2番スクリーンは20人ぐらいで、コーヒーを飲みながら観ました。
パンフが売り切れていたので、新宿シネマカリテに立ち寄って購入しましたよ ( ̄ー ̄) ニヤッ
あらすじを超雑に書いておくと、東入間高校が「夏の甲子園」1回戦に出場したということで、同校の生徒は甲子園まで来て応援することになりまして。アルプススタンドの端の方で、演劇部員の安田と田宮が野球のルールも知らないままに適当に観戦していたところ、元野球部員の藤野や、常に学年1位をキープしていたものの前回のテストでは吹奏楽部部長・久住のせいで2位になってしまった宮下などもやってきて、あーだこーだと揉めるうちに、万年補欠だった野球部員・矢野の活躍などのおかげで、試合は負けたものの、みんなの悩みが吹っ切れた!Σ(°д°(°д°(°д°(°д°し クワッ! 最後は数年後、矢野のプロデビュー戦を4人で観に来て、終わってたような気がします。
森直人さんによる城定秀夫監督のインタビュー動画を貼っておきますね↓
最初に、非常に良かったところを書いておきますと。「映画秘宝」編集長・岩田和明さんによる紹介を聞いていたのもありましたが、確かに「試合シーンを映さない野球映画」ってのは面白いなぁと。主要登場人物4人の位置関係や映し方を工夫したり、パンフに収録されていた高校演劇版のシナリオと比較すると「劇場用長編映画」として飽きさせないような追加要素を入れてたり(暑苦しい教師や吹奏楽部員の久住、矢野がプロデビューするエピローグなど)、製作者たちの様々な工夫が伝わってきて、「映画として」スゲー感心いたしました。それと、主要登場人物4人を演じた役者さんたちは、恥ずかしながらどの人も知らなかったんですけど(汗)、演技が素晴らしくて。僕的に本作はリアリティ面でまったく乗れなかったんですが、本作を楽しめたのは4人の魅力が非常に大きかったと思います(そして彼らを魅力的に演出した監督の力もあるんでしょうな)。
あと、これはそーす太郎さんの感想に書かれていて激しく同意したポイントなんですが、「しょうがなさ」を描いたのが良かったなぁと。人間、「しょうがない」ことはたくさんあって、でも諦めないからこそ辿り着ける場所もあって。例えば、本作のプロデューサーである直井卓俊さんは出演者の加賀賢三さんが「童貞。をプロデュース」を上映してほしくないと訴えていたのに「しょうがない」と諦めさせていたことで知られる方ですが(どことなく意地悪な文章)、パンフ情報によると、本作については「しょうがない」と諦めることなく演劇として上演することで出資者をつのって長編映画製作にこぎつけているワケで。もちろん諦めることが必要な時はあるけれど、諦めないことってやっぱり大事なんだよなぁ…なんて思ったり思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ それと、僕自身、プロレスや格闘技の試合を観戦して勇気をもらったりしてきた人間なのでね、「応援することで自分も気力が湧いてくる」的な展開もスゲー好きでしたねぇ(つーか、何かのファンってそういうことだものね)。
とりあえず本作の製作事情やストーリーについては、グレート巽気分でしたよ(「餓狼伝」より)。
だがしかし。リアリティの面がかなりノイズでした… ('A`) 僕はプロ野球や高校野球には興味がないけど、あの場所がアルプススタンドじゃないのは分かりましたよ。正直、最初は「地方大会のスタンドも『アルプススタンド』って呼ぶんだっけ?」と思ったほど。パンフを読むと、甲子園で撮影したかったものの許可が下りなかったそうだし、何よりも低予算映画だから「しょうがない」んでしょうけど…。それに、やはり元になった高校演劇が「少人数でやる」というのが前提の「よくできた話」な分、商業演劇化→長編映画化するにあたっての追加要素が、その工夫に感心しつつも、取って付けた要素に感じてしまった部分もあって。あの熱い教師の「人生は空振り三振だ」とか「送りバントだ」といった説教がストーリーに絡んでくるのは良かったけどさ、その前に「あんな教師いないだろ (゚⊿゚)」とか冷める自分もいた…って、伝わるでしょうか。
つーか、登場人物を全肯定する作劇も良いんだけどさ、結構強引に感じました。あの性根の腐った吹奏楽部員が試合に負けて涙を流したからといって、宮下にイヤミを飛ばした罪はチャラにならないぞ…というのは目をつむるとしても。僕的にイラッとしたのが吹奏楽部部長の久住が「アタシだって大変なんだから!」みたいなことを言い出すシーンで、最近のフィクション作品は「スクールカーストの上の方だって苦労してる」的な話が多いし、実際そうなんでしょうが、とはいえ「ガチで“はしの方”にいた」ような人間からすれば、テメエの勝手な好意を受け取らなかったからって「なにいってんだお前 (゚Д゚) ハァ?」ぐらいにしか思えなくないですかね。
つーか、あのキャラの活躍が映画オリジナルというのは納得で、他の部分に比べて上手くない印象があって。例えば、試合中だって“交際している4P園田くん”とのLINEをチェックしたりと吹奏楽部としてのプライドとかが全然感じられなかったから、試合終盤、吹奏楽部員に檄を飛ばしても「お前は園田と付き合ってるからやる気あるんだろうけどさぁ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」としか思えないじゃん…って、47歳にもなってこんな文章を書いている僕ですが、人間はどうすれば心が広くなれるのでしょうね…(遠い目)。 あと、「矢野がプロに行く」「熱い教師の茶道部が全国大会に行く」といったエピローグを上手いアレンジと思うか、余計な足し算と感じるか。パンフに載っていた高校演劇版の脚本を読んだ僕はこう思いました↓
島本和彦先生による「蛇足」を貼っておきますね(「大熱言」より)。
その他、「田宮がインフルエンザに罹ったことの『しょうがなさ』が新型コロナに被る…」とか「園田が久住と付き合っていることを知った時に流れる宮下さんの汗が最高」とか「自分の恋心を抑えて『トランペットに負けんな!』と宮下を励ます藤野にグッときた(応援ってそういうことよね…)」とか「そもそも元野球部員の藤野は別としても、演劇で関東大会に行ったりとか、学年で常に一番の成績とか、お前ら“はしの方”じゃなくね?」とかとかとか。まぁ、文句が多めに感じるかもしれませんが、良いところがスゲー良いだけにどうしても不満点が出てきちゃった次第。ううむ、率直に書くと、この話ってやっぱり高校演劇で完成してたんじゃないかなと思うんですけど、それはそれとして。スゲー評判が良いし、たぶん僕が雑に指摘するリアリティ云々に勝る感動を得た人たちが多いからこそ評判が良くてヒットしていると思うのでね、こんなブログの文章なんざ気にせずに、未見の方はぜひ劇場に足を運んでみてくださいな。おしまい。