※今回の記事は、「サプライズ」のネタバレに触れているんですが、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いスリラー映画なのでね、未見の方は観てから読んで!
原題:The Hunt
2020/アメリカ 上映時間90分
監督・製作総指揮:クレイグ・ゾベル
製作:ジェイソン・ブラム、デイモン・リンデロフ
製作総指揮:ニック・キューズ、スティーブン・R・モレン、クーパー・サミュエルソン、ジャネット・ボルトゥルノ=ブリル
脚本:ニック・キューズ、デイモン・リンデロフ
撮影:ダーレン・ティアナン
美術:マシュー・マン
編集:ジェーン・リッツォ
衣装:デビッド・タバート
音楽:ネイサン・バー
出演:ベティ・ギルピン、ヒラリー・スワンク、アイク・バリンホルツ、ウェイン・デュバル、イーサン・サプリー、エマ・ロバーツ
パンフレット:なし
(あらすじ)
広大な森の中で目を覚ました12人の男女。そこがどこなのか、どうやってそこに来たのか、誰にもわからない。目の前には巨大な木箱があり、中には1匹のブタと多数の武器が収められている。すると突然、周囲に銃声が鳴り響く。何者かに命を狙われることがわかった彼らは、目の前の武器を手に取り、逃げ惑う。やがて彼らは、ネット上の噂に過ぎないと思われていた、セレブが娯楽目的で一般市民を狩る「マナーゲート」と呼ばれる“人間狩り計画”が実在することを知る。絶望的な状況の中、狩られる側の人間であるクリステルが思わぬ反撃に出たことで、事態は予想外の方向へと動き始める。そして次第にマナーゲートの全容が明らかになり……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
90点
世の中には「人間狩りムービー」というジャンルがありましてね。「人間が人間を狩る」というシチュエーションはそれだけで十分面白いということで、現在に至るまで相当数が作られているんじゃないかしらん(僕のイチオシはジャン=クロード・ヴァン・ダム主演×ジョン・ウー監督作の「ハード・ターゲット」だッ!)。作品によって「スリラー」要素が強かったり、「アクション」要素が強かったりするワケですが、なんにせよ僕的には大好物!(*゚∀゚)=3 ムッハー 公開規模から分析すると、所詮はシェフの気まぐれで日本公開されるB級映画なんでしょうけど(苦笑)、確実に70点ぐらいの満足度は得られるだろうと、わたしは女のように股まで濡らして待っていたーーって、どうでもいいですね (´Д`;) スミマセン
よくよく考えたら、普通に勃起して待ってればいいのに…という気がしないでもない松尾象山(「餓狼伝」第4巻より)。
とは言え、仕事だ家庭だ筋トレだ睡眠だと忙しい昨今、「公開してすぐには観られまいよ ( ´_ゝ`) シカタナシ」と思っていたんですが…。なんと愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、11月4日(水)、仕事帰りにダッシュして、TOHOシネマズ新宿にてポイントを使って無料鑑賞してきました。「ちょうどいい♪ (´ω`*) ホッコリ」と思ったり。
3番スクリーン、観客は12人でした。
鑑賞後の僕の気持ちを代弁するライムスターの名曲を貼っておきますね↓
最初にあらすじをザッと適当に書いておきますと。全米各地から“富裕層っぽい奴ら”に拉致された12人の男女が、武器を与えられた上で狩られていくんですが、元軍人で現在はレンタカー屋で勤務するクリスタル(ハンターたちに付けられた名前は「スノーボール」)だけはその卓越した戦闘力&サバイバル能力によって、逆に狩りまくり&殺りまくり!川 ゚д゚) ブッコロス! 罠をくぐり抜けて、敵陣に乗り込むと、拉致した奴ら&彼らを訓練した州兵(「『ティアーズ・オブ・ザ・サン』の軍事アドバイザーだった」という設定)をほぼ壊滅させるんですけれども。最後に残ったハンターのアシーナに「1年前に何があったのか?」が明かされるのです。
拉致された男女が次々と狩られていくという、お馴染みのパターン。
仕組んだのは、プライベートジェットを使える級の富裕層。ただ、この人たちにも「狩る理由」があったというね。
1年前、アシーナたちは“リベラルで意識高い系ビジネスマン”として金持ちライフを謳歌していたんですが…。1人のパソコンか何かからデータが流出したことによって、彼らの「“領地”で狩る」という内輪向けのジョークが、“貧乏ムード溢れる保守派支持層”によって「こいつら、人間狩りをしている!(°д°;)」「マナーゲートだ!m9`Д´) ビシッ」と陰謀論にトランスフォーム。そのせいで全員が職を失ってマジでムカついたので、「じゃあ、本当に狩ってやるよ!川`Д´)ノ キィィッ!」と、軍事アドバイザーの訓練を経て、クロアチアに狩り場を設定。ムカつくコメントをしていた12人(「安全に殺せる人数」とのこと)を拉致して、本当に人間狩りを実行してみた…ということで! 最後はクリスタルとアシーナが殺し合った結果、覚悟が勝ったクリスタルが勝利しまして。プライベートジェットに乗り込んで貴重なシャンペンを飲むと、「最高にイイ気分♪川o^-')b」ってな調子で終わってましたよ。
狩り合った結果、この人だけが生き残ってました。
いや〜、面白かったですねぇ…(しみじみ)。前述したように「人間狩り」というだけでもそれなりの楽しさが保証されているものですが、本作は「狩られる側に1人だけ並外れた強さを持つメンバーが混ざってた」という、脳汁がほとばしるほどストライクな味付けが施されていたから超旨ぇっ!m9・∀・) ビミ! 「住民が凌辱されるホーム・インベージョンムービーかと思いきや、女セガール映画だった!Σ(゚д゚;)」ということで大好きな「サプライズ」を思い出しましたよ。「この人が主人公かな」と思った人が次々と死んでいく序盤の展開も愉快だったし、ベティ・ギルピン演じるクリスタルがメインになってからの戦闘力を発揮しまくる展開も最高だったし、鑑賞中は「職場から急いで映画館に来て良かった… (ノД`) アァン」と心から思いましたよ。
エリック・ロバーツの娘のエマ・ロバーツがアッサリ死んだのは笑いました。「ヨガパンツ」という役名も酷い(褒め言葉)。
そして、トランプ大統領にバッシングされたことがキッカケになってアメリカでは未公開になってしまったという本作ですが、いわゆる「ネットで陰謀論を信じるような貧乏な白人たち」を小馬鹿にする…以上に、むしろ「意識高い系リベラル派」を揶揄する作品だったからビックリしたし、新しいなぁと。「マナーゲート」の由来とか諸々の詳細については、公式Twitterがツイートしている映画評論家の町山智浩さんのコラムを読んでいただければと思うんですが(手抜き)、「プライベートジェットで目覚めた男の首にペンを突き刺して、首が血に染まる→『レッドネックめ!(`Д´)』と侮蔑する」といった感じの底意地の悪いブラックな小ネタが人間狩りとともに連発されていって。もちろん“狩られる側の貧乏人”のダメなところも描いてましたが、それ以上に「意識高い系リベラル派」の面倒くさいところ「あるある」的な描写の方が目立っていた印象。
特にそう感じたのは、終盤のクリスタルとアシーナの問答ですよ。クリスタルの「人違いで拉致された」という台詞の真偽は置いとくとして(僕は動揺を誘うためのブラフだと思う)、「アンタたちが陰謀論を流すから、本当に『人間狩り』をしてやった!川 ゚д゚)」「いや、実際にやってたじゃない? (・ε・し」「だ〜か〜ら、アンタたちが陰謀論を流したからやったの!川`Д´) キィィィッ!」というやりとりは、クリスタルが話をわかっていないのではなく、「富を独占して超リッチな生活をノホホンと送ってること自体が『人間狩り』のようなものじゃんよ」という指摘だったんじゃないかと。ラスト、金持ちどもには“微妙に偉そうな対応”をされていたキャビンアテンダントに、クリスタルがキャビアをシェアするのも象徴的で、正直なところ、実際に本作を観たらトランプは気に入ったんじゃないかな…なんてね(ベストムービーの1本に「ブラッドスポーツ」を選ぶような男だし)。
この問答シーン、本作においてとても重要な意味を持つと思ったり、思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ
あと、アシーナが負ける理由がしっかり描かれていたのもグッときました。ハッキリ言って、本作のクリスタルほどの戦闘力を持つ相手に素人がわずか8ヵ月間訓練をしただけで勝てるワケがないんですが、それ以上にキモだったのが、クリスタルが貴重なシャンパンを投げた時、割れないように必死にキャッチしたこと。序盤のジェットでの会話が伏線となって、ギャグ的な効果があっただけでなく、彼女がこの戦闘を「生還を前提としたもの」と捉えていたことがわかるんですよね。要は「殺そうしているのに自分の命を差し出していない」時点でクリスタルとは覚悟がまったく違うワケで(逆にクリスタルは己の腹部に刺さったカッターを利用するほど!)、あの時点で「アシーナ、敗れたり!m9`Д´) ビシッ」と宮本武蔵ライクに指摘しそうになった次第(どことなく面倒くさい観客)。
アシーナ的にはマホメド・アライJr.気分だったんでしょうけど…(新装版「バキ」第18巻より)。
そんな奴に勝利はつかめないのです…って、伝わりますかね(新装版「バキ」第18巻より)。
その他、思ったことを書いておくと、「暴れた男の目にヒールのカカトを突き刺すアシーナの登場シーンが素敵」とか「葉の上に針を乗せて方角を知るクリスタルの登場シーンも素敵」とか「クリスタル役のベティ・ギルピンの出世作『GLOW: ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』を観なくちゃ!」とか「アシーナ役、最初はヒラリー・スワンクって気付かなかった!」とか「ゲリーが列車に飛び乗るシーン、あらためてマッスルアップの重要性を感じた」とか「ウサギとカメの話に『勝負の晩、負けたウサギがカメの家を襲って家族を皆殺しにした』という続きがあったとはな…」とか「もうちょっとゴア描写を見せてくれてほしかったカナー」とか「脚本、ドラマ版「ウォッチメン」の人なのねー」とか「クリスタルが『動物農場』を知っていたくだり、『低所得層をバカにすんなよ』ってことですかね」とかとかとか。
まぁ、アクション演出的にはそれほど新鮮な場面はなかった気がするし、「人間狩り」の設定もいろいろと雑だし、ごめんなさい、何よりも僕的には揶揄云々ナシの「もっとストレートにクソ金持ちをブチ殺す“人間狩り”映画」が好きなので(例えばヴァン・ダム主演×ジョン・ウー監督作の「ハード・ターゲット」のようなーー)、本当は75点ぐらいの満足度だったんですが、しかし。こういうジャンル映画が公開されるのはうれしいし、鑑賞後に同じ回を観ていた映画仲間の下手の縦好きさんと久しぶりに話ができたのも良かったし、このぐらいの(僕的に)「ちょうどいい」ジャンルムービーが観られた喜びが非常に強かったので(僕の気分的には今年観た「透明人間」に近い感じ)、90点という乱暴な高評価。興味がある方はぜひ観に行ってみてみて!(°∀°)b オススメ!
劇中で引き合いに出される小説。非常に嫌な気持ちになるので、読んでみて!
何気に観ていたクレイグ・ゾベル監督作。僕の感想はこんな感じ。
モロに連想したホーム・インベージョンムービー。僕の感想はこんな感じ。
宇多丸師匠が大好きな人間狩りムービーの傑作。監督はメル・ギブソンですぞ。
ヴァン・ダム主演×ジョン・ウー監督による人間狩り映画。ビンタされても笑顔を保てる級の優しさで観て!(o^-')b オススメ!