※今回の記事は、かなり心の狭い文章が書かれていて、本作が好きな方は確実に厭な気持ちになるので、読まない方が良いです。
2020/日本 上映時間117分
監督:今泉力哉
原作:劔樹人
脚本:冨永昌敬
製作:鳥羽乾二郎、小西啓介、藤本款、吉田尚子、鈴木仁行、光岡太郎、嶺脇育夫
企画プロデュース:紀高久
プロデューサー:杉本雄介、高根順次、田坂公章
ラインプロデューサー:和田大輔
撮影監督:岩永洋
照明:加藤大輝
録音:根本飛鳥
整音:根本飛鳥
美術:禪洲幸久
装飾:中澤正英、龍田哲児
衣装:神田百実
ヘアメイク:寺沢ルミ
編集:佐藤崇
音楽:長谷川白紙
音楽ディレクター:山崎ごう
VFXディレクター:呉岳
サウンドミキサー:浜田洋輔
キャスティング:田端利江
助監督:窪田祐介
制作担当:狩野修吾、原田耕治
出演:松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウ、大下ヒロト、木口健太、中田青渚、片山友希、山崎夢羽、西田尚美
パンフレット:★★★(850円/キャストの座談会の和気あいあい感が好き。南波一波さんとSYOさんのコラムも面白かった)
(あらすじ)
大学院受験に失敗し、彼女もお金もなくどん底の生活を送る青年・劔(松坂桃李)。松浦亜弥(山崎夢羽)のミュージックビデオを見て「ハロー!プロジェクト」のアイドルに夢中になった彼は、イベントで知り合ったコズミン(仲野太賀)ら個性的な仲間たちとともに、くだらなくも愛おしい青春の日々を謳歌する。しかし時は流れ、仲間たちはアイドルよりも大切なものを見つけて離れ離れになっていく。そんなある日、コズミンがガンに冒されていることを知った劔は、かつての仲間たちと再会を果たすが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
40点
基本的に今泉力哉監督作は好きではあるものの、劔樹人さんの自伝コミックを原作に「『ハロー!プロジェクト』にハマッた人たちの青春を描いた」という触れ込みの本作に関しては、あまり食指が動かなかったんですよ。ただ、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題映画になったということで。2月22日(月)、ポレポレ東中野で「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」を観てから、間違って買ったチケットを優しい係の人に払い戻ししてもらったりしつつ、TOHOシネマズ新宿にてauマンデイ割引を使って鑑賞いたしました。僕には合わなかったです… (´∀`;) スミマセン 正直、かなり文句多めなので(汗)、本作を好きな方はそーす太郎さんのブログとか読むと良いザンス。
4番スクリーン、7割ぐらいは埋まってましたよ。
間違えて買ったチケットを払い戻ししてもらった件についてはこちらの記事を読んで…って、どうでもいいですかね。
最初に、あらすじを身もフタもなく超雑に書いておきますと。バンドマンの劔樹人さんが友人からもらった松浦亜弥さんの「♡桃色片想い♡」のミュージックビデオを観て一気に「ハロー!プロジェクト」のファンになりまして。「ハロプロ」イベントで知り合った人たちと仲間になって、演者側になったり、「恋愛研究会。」を結成したりして、楽しい日々を過ごすようになりましてね。で、時が経ち、劔さんは東京に出て「今が一番楽しいよ ( ´_ゝ`)」ってな調子で前向きに暮らす中、仲間のコズミンがガンで死亡。最後は、死ぬ間際のコズミンが“みんなの思い出の曲”「恋 ING」を聴きたがってたことが判明する→エンドクレジットで流れて、終わってましたよ、たぶん。
劔さんはこのMVを見て、松浦亜弥さんのファンになっちゃうのです↓
ううむ、途中までは大好きだったのです。特に映画序盤、松坂桃李さん演じる主人公が松浦亜弥さんのMVを観てからファンになるくだりの演技と演出は本当に素晴らしくて。「何かを好きになる時って、ああいう感じだよなぁ… (ノω・、) ワカルー」と共感しまくりの名シーンでしたよ。イベントに行って仲間ができて愉快な日々を過ごすあたりは、例えばラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」がキッカケになって、リスナー仲間や映画仲間や飲み仲間ができたりしたことを連想したし、今はなき「アシッドパンダカフェ」のイベントに通ったこととかも思い出しましたねぇ…(しみじみ)。それから、主人公が演者側になって参加したユニット「恋愛研究会。」の仲間感については、今でも年に2〜3回は飲み会を開く「テーブルトークRPGをやってた中学時代からの友だちグループ」を重ね合わせたりと、まぁ、「何かにハマりがちな男性」として共感するところがいくつもあって、普通に楽しめたんですよ、途中までは。もうね、ここからは「この人の心はなんて狭いのだろう…まるで猫の額のようだ… (ΦΔΦ;) ニャー」と思われそうな不快指数高めの文章を垂れ流すので、本作を好きな人は読むのをやめていただければと思います。
ちなみに僕が一番好きな松浦亜弥さんの曲は「ドッキドキ!LOVEメ-ル」でございます。
さて。僕の勝手な勘違いやら好みやらの問題ではあるんですけど(汗)、話が進むにつれて、全然乗れなくなりました。まず「勝手な勘違い」の部分なんですが、雑誌「BUBKA」で吉田豪さんが連載されている「証言モーヲタ~彼らが熱く狂っていた時代~」を楽しんでいる身としては、もっと「ハロプロ」オタクとしての「どうかしているエピソード」が連発されると思い込んでいただけに(常軌を逸したロケ地巡りとかアップフロントの前で抗議の座り込みとか)、途中からは「仲間の連帯」が重視されて「ハロプロ」とかオタク感とかがあまり関係なくなるから、肩透かしを食ったというか。要は「スターウォーズ」のマニアを描いた「ファンボーイズ」的な作品を期待しちゃってた分、失望したんですよね…。大学でトークイベントをやるくだりとか、西田尚美さん演じるオタク教師との触れ合いエピソードとかはグッときただけに、もうちょっとああいうのが観たかった…ってのは、こっちの勝手な要望なんですけどねー (´∀`;) スミマセン
「ファンボーイズ」の予告編を貼っておきますね↓
で、「恋愛研究会。」のネットでのトラブルとか色恋沙汰とかイベント描写に関しては、スゲーつまらなかったです。ネットでのトラブルに関しては、原因も経過も着地もよくわからなくて、あの土下座させるクソ女も土下座するコズミンにも1ミリも笑えなかったですね(彼のヘタレ振りを楽しんでください的な展開なんでしょうけど、ああいうのは生理的に苦手)。色恋沙汰についても、マジどうでも良かったというか。仲野太賀さん演じるコズミンのクソっぷりを「人間くささ」として楽しむところだとは思うんですが、あまりに女性を「物」としか見てなさすぎて、不快指数の方がはるかに上回る感じ。その後の「コズミンのクソ発言を録音してイベントで披露した主人公」も気持ち悪かったなぁ(松坂桃李さんのブリーフ姿は眼福でしたが…)。
そもそも「イベントでハロプロと関係ないことしてるのかよ ( ゚д゚)」とガッカリしたというか(例えば、高橋ターヤンさんと高橋ヨシキさんと多田遠志さんとてらさわホークさんのイベントに行ったのに、映画の話をしないで「ターヤンさんが誰かにサインして調子に乗ってたから罰ゲーム」みたいなことをやってたら、百年の恋も冷めると思う)。なんて言うんですかね、僕は「愛する対象のことを語るオタクやマニア」が大好きなので、別に自分語りが入っても、的外れだろうとも、愛を込めて語ってくれるならOKなんですよ。でも、本作に登場する「恋愛研究会。」はその部分の描写が序盤しかなくて、内輪向けのイベントになっていくから(あくまで映画としての描写であり、実際はそんなことなかったと思いますが)、オタクに見えなくなってきて。となると、そんな「普通のオッサンたち」の内輪描写にはあまり興味が持てない…ってのは意地悪な文章ですかね。ハッキリ言って、そんな彼らの恋愛トラブルを「楽しいでしょ?」と見せられるのは、なかなか苦痛でした。いや、監督的には「オタク振りを延々と描いても… (´Д`;)」ってことなんだろうし、僕の勝手な好みの部分なのでどうでも良いんですがー(じゃあ書くなよ)。
あと、主人公の達観振りも好きになれなかった。もちろん「楽しかった『あの頃。』」に拘泥せず「今が一番楽しいよ ( ´_ゝ`)」的な台詞を言える人は素晴らしいし、有名オタのサムライさんや貴族さんとかが口にするなら「凄み」を感じるフレーズですが、実際の劔樹人さんの経歴を知っていると、ごめんなさい、「そりゃアンタは今が一番楽しいだろうよ (゚⊿゚)」としか思えなくないですかね。それと、コズミンの描き方も不快でした。この人、実在してたんですよね? 「この映画はフィクションです (o^-')b」ってことだから全然OKなんでしょうけど、本作の彼は最低な人間にしか見えなかっただけに、僕が死後にあんな描き方されたらマジでキツいなぁと。「恋愛研究会。」の関係性も苦手で、本作の彼らは仲間なら何をしても信頼関係があるし面白いから問題ナシで笑い飛ばせる人たちみたいですが、例えば「病状が悪化して体が全然動かせない状態になったコズミンが『食べるラー油』を顔に近づけられるくだり」とか、僕だったらマジで殺したいと呪うんじゃないカナー(観てて嫌だった)。
つーか、あまりホモソーシャルだなんだって部分を責めたくはないんですよ、僕にもそういうところは多々ありますから。今どきは「アップデート!アップデート!( ゚∀゚)o彡゚」と言うけれど、とはいえ、現時点では「ボーイズはボーイズ」的なコミュニティにとりあえず救われている人もかなりいるワケで(女性もまたしかり)、すべてを1か0に分けて糾弾するってのは無理じゃないですか。でも、「モロに女性を物としか見てないコズミン」が好きなのが「アイドル」と「AV」と「風俗」と「露出度高めのアニメキャラのフィギュア」であり、それらを一直線で結んで見せられると「男性による女性の性的搾取」感が強調されてキツかったなぁと(「アイドル」も「アニメ」も大好きな杉作J太郎先生にそういった「やだみ」が感じられないのは「風俗」がないからでしょうな)。結局、本作はコズミンの話に着地していて、「しょうもない人の人生だって愛しいんだよ、人間だもの ( ´_ゝ`) ミツヲ」みたいな良い話ムードを漂わせて終わってましたが、ここまで「性」にこだわる男を肯定するなら、多少は「女性を消費する行為」についての客観的な目線もほしかった…って、文句が多めでゴーメンナサイヨ!( ゚д゚) ゴーメンナサイヨ!
ということで、鑑賞後は松尾象山気分だった次第(「餓狼伝」第24巻より)。
うーん、松坂桃李さんや仲野太賀さん、松浦亜弥さんを演じた山崎夢羽さんとか、役者さんたちは本当に素晴らしかったし、ディテールもしっかりしてたし(僕は「ハロプロ」オタクではないので、気付いてない部分もあるかもしれませんが)、松浦亜弥さんを好きになったシーンは100点だったし、瀕死のコズミンが「恋 ING」を聴きたかったことがわかる終わり方自体は嫌いじゃないし、好きな人は好きな作品だと思うんですよ。実際、そーす太郎さんのブログとか読むと、本作を肯定的に観る人の気持ちもわかるしね。ただ、昔、杉作J太郎先生の忘年会イベントに行った時、カラオケ大会になって。その中で「ハロプロ」オタクの貴族さんが踊りながら℃-uteの「大きな愛でもてなして」を熱唱するのを目の当たりにして、「この人はこの歌をこんなに好きなんだな!」とマジで感動して大好きな曲になったということがあったんです(もう1つのブログ「三角絞めでもてなして」の名前の由来)。本作は、僕的にそういう「オタクの熱量による奇跡的な瞬間」が観られるんじゃないかと、勝手かつ過剰に期待しちゃった分、厭な部分がやたらと目に付いちゃったのかなぁ… (´・ω・`) ウーン 何はともあれ、この映画が気になる人は、ぜひ自分の目で確かめてくださいな。
ということで、℃-uteの「大きな愛でもてなして」を貼っておきますね↓
おしまい。
劔樹人さんによる原作コミックでございます。
昨年観た今泉力也監督作。僕の感想はこんな感じ。
BUBKAのコラムパック。お値段も手頃で超オススメ!