欲望のバージニア（ネタバレ）

欲望のバージニア

原題：Lawless
2012／アメリカ　上映時間116分
監督：ジョン・ヒルコート
製作：ダグラス・ウィック、ルーシー・フィッシャー、ミーガン・エリソン、マイケル・ベナローヤ
製作総指揮：ダニー・ウルフ、レイチェル・シェーン、ジェイソン・ブラム、スコット・ハンソン、カシアン・エルウィズ、ローラ・リスター、ロバート・オグデン・バーナム、テッド・シッパー、ランディ・マニス、ベン・サッシュ
原作：マット・ボンデュラント
脚本：ニック・ケイブ
撮影：ブノワ・ドゥローム
美術：クリス・ケネディ
衣装：マーゴット・ウィルソン
編集：ディラン・ティチェナー
音楽：ニック・ケイブ、ウォーレン・エリス
出演：シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ミア・ワシコウスカ、ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ガイ・ピアース、デイン・デハーン、ノア・テイラー
パンフレット：★★★（700円／解説コーナーとかあって、普通にタメになる感じ）
（あらすじ）
1931年、バージニア州。密造酒ビジネスで名を馳せたボンディランド3兄弟の次男フォレスト（トム・ハーディ）は、シカゴから来た女性マギー（ジェシカ・チャステイン）に心を奪われ、三男ジャック（シャイア・ラブーフ）は牧師の娘バーサ（ミア・ワシコウスカ）に恋をしたことから、兄弟の力関係に変化が起こり始める。一方、新しく着任した特別補佐官レイクス（ガイ・ピアース）は高額の賄賂を要求するが、兄弟はこれを拒否。するとレイクスは、脅迫や暴力によって兄弟の愛する女性や仲間たちに危害を加えていく。（以上、映画.comより）

予告編はこんな感じ↓

70点

今をときめくトム・ハーディが出ていて、1930年代のアメリカ南部を舞台にしたバイオレントな三兄弟vs悪徳取締官というお話も面白そうだったので、新宿バルト９で観て来ました。普通に面白かったです (・∀・) ﾖｶｯﾀ!

ロビーには画面付きの大きい展示物が飾られてました。

基本的にはシャイア・ラブーフ演じる三男ジャックの成長譚。マッドで暴力的な長男ハワードと物静かで暴力的な次男ジャックは、地元ではすでに“生きた伝説”と化しているんですけど、ジャックはヘタレなので、２人の兄に追いつけ追い越せと背伸びしまくる感じでしてね。イヤな奴にも程がある“腐った取締官”レイクスに暴力で心を折られたりしても、その若さは止められなくて。密造酒の売買で裏切られて殺されそうになったのを機転で切り抜けることで自信を持って、牧師の娘バーサにちょっかいを出したりと、イケイケだったんですが…。レイクスに相棒のクリケット（デイン・デハーン）を殺されることで、怒りが爆発！ヽ(`Д´)ノﾊﾞｸﾊﾂ!　レイクス率いる警察軍団が待ち受ける橋に殴り込むんです（大好きな展開）。

実在したというボンデュラント三兄弟。北斗三兄弟ほどの戦闘力はないが、余分三兄弟よりは遙かに強いぜ！（不要な文章）

三兄弟はかなり苦戦するものの、地元の仲間たちが駆けつけてくれた＆レイクスが暴走しすぎて警察の仲間から見放されちゃったので、ジャックとハワードが追い詰めて殺害して、めでたしめでたし。数年後、やたらと撃たれまくったジャックを含めて、全員家庭を持って幸せに暮らしてましてね。ラスト、ジャックは肺炎で死んでしまいつつも、「今はすっかり法律を守っているけど、オレたちボンデュラント兄弟は永遠だぜ！ﾍ(ﾟ∀ﾟ*)ﾉﾜｯｼｮｲ」って感じで終わってました（ウロ覚えな文章）。

地元住民が団結して権力側と戦うクライマックス！　男なら燃えること間違いなし！

何が素晴らしかったかって、トム・ハーディですよ。この人は今、何を演じてもカッコイイですな！(*ﾟ∀ﾟ)=3ﾑｯﾊｰ　冒頭、ブラスナックルでクズ野郎を凹るシーンとか最高だったのに、思ってたより三男の出番が多くて、あまり出てこなかったのが超残念でした…。上記の雑なあらすじでは省きましたけど、“都会から逃げてきた理由アリ女”マギーとの恋物語も実に好みであり、「好きな女性の方から裸でベッドに来てくれるっていいなー (･ε･)」と羨んだりもしましたよ（なにこの文章）。

存在感だけでグッとくるトム・ハーディ。素敵だったけど、意外と活躍しないのはガッカリ (´・ω・`)

ジェシカ・チャステインの潔く全裸になる姿勢は100点であり、抱かれても良かったです。

それ以外の役者さんも良くて、腐った取締官を演じたガイ・ピアースのベタにゲスな感じは実に愉快でしたね～。本人も演じてて楽しかったのではないでしょうか。長男役のジェイソン・クラークも“ナチュラル・ボーン・粗暴”ってムードが好みのタイプであり、「この戦闘力をなぜ『ギャツビー』の時に発揮できなかったのか？」と悔しくなるほど（混同した文章）。シカゴのギャング、フロイド・バナーを演じたゲイリー・オールドマンもまた凄まじく渋くて、今さらですけどカッコイイ人だなぁと惚れ惚れしたり。

ガイ・ピアース、イヤな奴の役が本当に似合いますよね～。今回は、ちょっとヤリすぎな気もしました。

ゲイリー・オールドマンは激渋！　部下をスコップで殴打するシーンも良かったです。

まぁ、アクション的には“リアル寄りで普通”というか。僕的にはもっと派手だったりした方が好きなんですけど、「あの時代の銃撃戦はあんな感じなのかな～」的に楽しめたので、まぁ、許す（偉そうに）。フォレストがノドを切られたりとか、報復としてレイクスの手下の睾丸を切り取ったりとかするんですが、直接的な残酷描写を見せるのも良かったです。ハッキリ言って、敵が憎いのは当たり前としても、主人公側の兄２人も十分怖いというか、「アメリカ南部には絶対に行くまい… (;｀Δ´)」と強く思わされましたね。

そして、最も考えさせられたのが、シャイア・ラブーフについて。正直なところ、彼の印象ってあまり良くなくて…。「トランスフォーマー」

の時、「お前はどうでも良いから、もっとコンボイ

を見せろヽ(`Д´)ノ！」と心底思ったように、今回の映画でも「もっと長男と次男の活躍を見せろ！ヽ(`Д´)ノ」と結構イライラしちゃったんですよ。終盤、クリケットが殺されるのだって、コイツが浮かれてバーサを密造工場に連れて来ちゃうせいだしさぁ。銃撃戦の時の“フォレストからジャックが心を継承するかのようなムード”もあまり乗れなくて、そちゃさんと「amebaなう」でやり取りした時は「あの三男がちょっと苦手でしたが～」なんて書いていたんです…がしかし！　パンフレットを読んでみたら、

(´_ゝ`)
初めて構想の段階から参加して、２年間も関わってきた特別な作品なんだ
今まで演じたなかで最もリアルで、最も奥深いキャラクターで、
彼の性格の細部や成長していく過程に、かつてないほど気を配って演じた
今までは自分でなくても成立する大作が多かったけど、
今回は本当に最初から作品に関われて嬉しかったーー

な～んて熱がこもった発言をしていて、ちょっと胸を打たれたというか。僕のような心の狭い人間が「この刺身のツマ野郎！(｀∀´) ｹｹｯ」なんて罵っているのは重々承知していて、大作への出演に関して感謝をしつつも、もっと役者としての“高み”を目指していたーー。その心を知って、映画を振り返ってみれば、「レイクスに凹られて這々の体で帰って、兄貴たちに復讐してもらおうと思ったら、『お前自身がケツを拭け』と見透かされていてションボリする」場面とか、「フロイドとの取引が順調になってクリケットと一緒にはしゃぐ」場面とか、「フォードV8ロードスターを買って、『この車に乗ったら、君の人生が変わってしまうよ』とバーサを必死に口説く」場面とか、ああん、意外と頑張ってた！ヽ(TДT)ノ　まぁ、「もっとトム・ハーディが観たかった」という想い自体はまったく変わらないんですけど、シャイア・ラブーフに関して、今後は寛容になろうと思った次第。

今、思えば、目論見がはずれて説教されるシーンはなかなか良かったです。

劇場では「バーサの狂った叔父に殺されてしまえ！」と混同しながら観てましたけど、この２人の恋愛描写も悪くなかったような。

というワケで、役者さんたちは良いし、1930年代の南部の密造酒事情も楽しめるし、普通に面白い映画でしたよ。“権力側の人間を殺した実話”が伝説となって、しかも地元では三兄弟のミュージアムまであるというんだから、アメリカってのは自衛意識が本当に強い国なんだなぁと、感心しちゃいますよね～。まぁ、気になる人は劇場に足を運んでも良いと思いますぞ。

ジャックの孫のマット・ボンデュラントが書いた原作本。なかなか面白そう。