※今回の記事は、2009年公開のホラー映画「エスター」のネタバレに触れているんですが、とても面白い作品なので、怖い映画が大丈夫&「エスター」を未見の方は、ぜひ観てから読んでいただけるとうれしいです。
※今回の記事は、「エスター ファースト・キル」のネタバレに触れているんですが、もし「エスター」が好き&「エスター ファースト・キル」を未見の方は、ぜひ観てから読んでいただけるとうれしいです (o^-')b オネガイ
2022/アメリカ 上映時間99分
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
製作:アレックス・メイス、ハル・サドフ、イーサン・アーウィン、ジェームズ・トムリンソン
製作総指揮:ジェン・ゴートン、ジョーシー・リアン、ビクター・モイヤーズ、カイル・アービング、デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック、ダリル・カッツ、クロエ・カッツ、ポール・マルカッチョ
キャラクター創造:アレックス・メイス
原案:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック、アレックス・メイス
脚本:デビッド・コッゲシャル
撮影:カリム・ハッセン
美術:マシュー・デイビス
衣装:キム・H・ンゴー
編集:ジョシュ・イーザー
音楽:ブレット・デター
出演:イザベル・ファーマン、ジュリア・スタイルズ、ロッシフ・サザーランド、マシュー・アーロン・フィンラン
パンフレット:★★★☆(850円/氏家譲寿さんのコラムが「我が意を得たり!」って感じで良かった!)
(あらすじ)
裕福な一家、オルブライト家の一人娘で6歳のエスターが行方不明になってから4年の月日が流れた。ある日、エスターが見つかったという朗報が警察から届けられる。父、母、兄は数年振りの再会という奇跡にこの上ない喜びを感じ、10歳に成長したエスターを迎え入れる。再び4人そろって幸せな生活を送ることができる。家族の誰もがそう思っていたが、4年ぶりに戻ってきたエスターは何かが変わってしまっていた。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
230418
70点
2009年に公開された「エスター」は、なかなか評判の良いホラー映画であり、ジャウム・コレット=セラ監督&イザベル・ファーマンの出世作となったワケですが、私も大好きな作品でしてね (´∀`=) ウフフ 「この娘、どこかが変だ」という日本のキャッチコピーも良かったし、「意外と良かったホラー10本」を選ぶなら、確実にランクインする感じ。ただ、その前日譚を同じ主演で撮ったと聞いた時は、「そんなの作って面白いの?(゚Д゚)」程度にしか思えなくて。あまり期待してなかったものの、なんとなく不憫になってしまって、前売り券を購入。公開から約2週間ほど経った4月10日(月)、TOHOシネマズ新宿にて、「生きる LIVING」とハシゴ鑑賞いたしました。「こんな話があるか!(´∀`) ンモウ!」と思ったり。
ムビチケ&当日のgif。観客は30人くらいで、爽健美茶を飲みながら鑑賞いたしました。
まず、「エスター」について身も蓋もなくあらすじを書くと、「養子に迎えた9歳の孤児エスターがなんとなく邪悪なので調査してみたら、実は発育不全の33歳の女性殺人鬼だったー!Σ(゚д゚;し ゲェーッ!」って話であり、ラストは死闘の末、エスターは蹴りによって首を折られて冬の湖に沈んでいった…ってな調子。要は確実に「死んだ」感全開であり、「魁!!男塾」でもない限りは、さすがに「エスターを主演にした続編」を作るのは無理だったんですけれども。だからって、前日譚ってさぁ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ 前作の撮影当時、11歳だったイザベル・ファーマンは本当に本当に見事な演技を見せてくれましたが、23歳でまた同じ役(しかも時系列的には前作より若い!)を演じるなんて、どう考えても無理じゃないですかーー。そんな風に考えていた時期が俺にもありました(当ブログでありがちなパターン)。
なんとなく達観したムードの範馬刃牙を貼っておきますね(「バキ」新装版第15巻より)。
いや、「無理はあった」と思います。正直、最初はCGでなんとかするのかと思ったんですが、そんな予算はなかったようで。なかなか情報量多めなパンフによると、メイクを工夫したり、「ロード・オブ・ザ・リング」のように遠近法を駆使したり、周囲の人が厚底靴を履いたりと、アナログで頑張っているんですが、ううむ、やっぱり不自然感は拭えなかったです。序盤、エストニアの精神病院から脱走するリーナ(エスターの本名)を長回しで撮ったりしてるんですが、後ろを向いているカットについては、「ここで子役に代わったな」ムードが全開だったし…。
そもそも「23歳のイザベル・ファーマンがエスターを再び演じる」以前の問題として、ストーリーに無理がありすぎる。精神病院から脱出したリーナは、ネットで行方不明の児童を検索して、「行方不明になったアメリカ人の少女エスター」を発見。「アメリカで誘拐されてこっちまで連れて来られた」という設定で、エスターになりすますんですが…。2000年代が舞台の話において、誘拐された子が4年後に見つかったら医師の診察やら取り調べやらDNA鑑定やらは、さすがにマストじゃないでしょうか。じゃあ、百歩譲ってDNA鑑定はしないにしても、アメリカに照会する際、指紋や歯の記録は調べるんじゃないかなぁ。いくらホラーにしたって、リアリティ・ライン的におかしすぎるというか。こんなの全然乗れないーー。そんな風に考えていた時期が俺にもありました(2回目)。
すみません、もう一度貼っておきますね(「バキ」新装版第15巻より)。
私的に本作のイザベル・ファーマンはまったく9歳に見えなくて不自然だったんですけど、その不自然さが不気味で逆に良かったんですよ。その上で、頑張ってイザベル・ファーマンを9歳に見せようとする監督&スタッフ&俳優たち…。そんなみんなの一生懸命さにグッときたというか。だから、先ほど「『ここで子役に代わったな』ムードが全開だった」なんて書きましたが、決して失望したのではなく。実は「おっ、ここで子役に代わったな (´∀`) ナルホドネー」と笑顔になっていた…って、伝わりますかね。
ストーリーについても、もちろんリアリティ的に相当無理があるのは確かなんですけど…。他人になりすまそうとする割には計画が杜撰なリーナにドジッ娘的なキュートさがあるし、話が進むと、「実は本物のエスターは4年前に兄グンナーが殺してしまい、母トリシアが隠蔽したものの、父アレンがションボリしていたたため、なりすましているのを承知でリーナをエスターとして引き取った」ことが判明し、エスター(なりすまし)&母と息子(犯罪者)&父(何も知らない)による奇妙な共同生活が始まるから、「なんとファンタスティックな… ( ´_ゝ`) ハハ」とドリアン気分。前作とは別ジャンルになってしまったものの、人殺し同士の駆け引きバトルムービー(とはいえ駆け引き自体は杜撰)として楽しめた次第。
鑑賞中の私の気持ちを代弁するドリアン海王を貼っておきますね(「バキ」新装版第2巻より)。
つーか、私的に本作で何よりも良かったのは、リーナのキャラクターを掘り下げたこと。なんて言うんですかね、彼女はその正体を知った母&息子から「フリークジラ」「フリーク」だなんだと罵られたりしてさぁ…。もちろん普通に邪悪な人ではあるけれど(渡米前の時点で何人も殺してる殺人鬼だし)、とはいえ、前作以上に不憫さを感じさせられたというか。アレンと一緒に楽しく絵を描くシーンとか、「彼女にはこういう可能性もあったのカモ… (´・ω・`) シンミリ」的に思わされて、とても良かったです。ちなみに最後は燃える屋敷で母&息子と殺し合って勝利するも、自分の正体を知ってしまったアレンも死んでしまって。リーナは「エスター」として孤児院に引き取られて、映画は終わってましたよ(で、前作に続く感じ)。
前作のビックリ要素だったブラックライトアート、実はアレンから学んでいたというね。
その他、「椅子の上に立ったリーナに頭部を壁に叩きつけられて死ぬ人、頭柔らかすぎだろ(ホラーあるある)」とか「自宅まで乗り込んで刑事を殺すリスク…」とか思ったりしましたが、それはそれとして。ハッキリ言って、「ふざけんな ( ゚д゚)、ペッ」と怒る人もいそうな気がしますし(汗)、私的にもいろいろと乱暴に感じる映画でしたけど、勢いに呑まれてしまったというか。別に上手い前日譚とは思いませんが、「こんな話があるか!(´∀`) ンモウ!」って感じで前売り券代分は満足いたしました。めでたしめでたし。
ジャウム・コレット=セラ監督の出世作となった1作目。大好きです。
デジタル盤のサントラを貼っておきますね。
ウィリアム・ブレント・ベル監督の前作。面白いのかな。