グランド・ブダペスト・ホテル
原題:THE GRAND BUDAPEST HOTEL
2013/イギリス、ドイツ 上映時間100分
監督・脚本・発案・製作:ウェス・アンダーソン
発案:ヒューゴ・ギネス
製作:スコット・ルーディン、スティーヴン・レイルズ、ジェレミー・ドーソン
製作総指揮:モーリー・クーパー
共同製作:ジェーン・フレイザー
撮影監督:ロバート・イェーマン
プロダクションデザイン:アダム・ストックハウゼン
編集:バーニー・ビリング
音楽スーパーバイザー:ランドール・ポスター
音楽:アレキサンドル・デスプラ
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
アソシエイトプロデューサー:オクタヴィア・ペイセル
出演:レイフ・ファインズ、トニー・レヴォロリ、F・マーレイ・エイブラハム、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、ジェイソン・シュワルツマン、レア・セドゥー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、オーウェン・ウィルソン
パンフレット:★★★★★(820円/非常に良い出来。福田里香先生のフードコラムが載ってるのがナイス!)
(あらすじ)
1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。(以上、シネマトゥデイより)
予告編はこんな感じ↓
80点
尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介を聞いて面白そうだと思っていたところ、ムービーウォッチメンの監視対象に選ばれたので、角川シネマ新宿で観てきました。素晴らしい映画でしたな!(・∀・) ヨカッタ
角川シネマ新宿の4Fロビーにはこんな展示が。力が入ってますな~。
場面写真のパネルもありましたよ。ちなみにTCGカードを使って1300円で観ました (o^-')b オトク!
新宿シネマカリテの展示も撮影したので貼っておきますね。階段付近はこんな感じ。
ロビーの奥には水槽を使った展示がありました。スゲー凝ってるね。
中をのぞくとオオグソクムシがいたのです (´Д`;) キモイ... 映画と何の関係があるのかと思ったら…。
なんと関係ナッシング!Σ(゚д゚;) ナンデスト! シネマカリテ、大丈夫なのかな…。
記録として、新宿武蔵野館のロビー奥にあった展示も貼っておきますね。
いや、スゲー良い映画だと思いました。ウェス・アンダーソン監督の映画は今まで「ファンタスティックMr.FOX」と「ムーンライズ・キングダム」の2本しか観たことがないんですが、そのどちらよりも完成度が高くて、込められたメッセージも深かった印象。その脳内世界のクオリティの高さに感心するし、それが多くの人に受け入れられるモノになっているのもスゴイし、これだけの豪華スターが出演していながらビシッと100分に収まっているのも素晴らしい。「ウェルメイド」という言葉は彼の作品のためにあるような気がするほどであり、もうね、「極めてやがる… (`Δ´;) ヌゥ」としか言いようがないのです。
僕の気持ちを代弁する本部以蔵の画像を貼っておきますね。
町山智浩さんの紹介でも触れられているように(ブログでも書かれてますな)、シュテファン・ツヴァイクという作家がモデルになっていたりとか、“古き良き時代のハリウッド”のスクリューボール・コメディにオマージュが捧げられていたりとか、時代によってアスペクト比(画面比率)を変えていたりとか、100分の上映時間の中にいろいろな要素がギュッと詰め込まれていて。例えば、パンフレットに載っている監督インタビューを抜粋してみるとこんな感じ↓
ーーグスタヴがゼロと共に盗んだ絵画、「少年と林檎」の代わりに置いていく絵は、エゴン・シーレの作品を真似ていますね。あなた自身、シーレに代表されるあの時代のアール・ヌーヴォーやウィーン文化に愛着があるのでしょうか。
( ´_ゝ`)
「そうなんだ。だからこの映画はアール・ヌーヴォーやウィーン分離派(※19世紀末の画家グスタフ・クリムトを中心にしたグループ)のムーブメントからすごく影響を受けている。ビジュアル的なスタイルもね」
何が何やら!Σ(゚д゚;) ヒィィィ! 恥ずかしながら“学”のない僕ですよ、「ヌーヴォー」と聞いても美味しいエアインチョコか地獄先生を連想しちゃうし、「ウィーン分離派」なんて言われても「リサリサの脚を撫でるカーズ」ぐらいしか浮かばないのですが、まぁ、そんな感じでさまざまな要素が入っている様子。だからこそ作品解説がしっかり載っているパンフの存在が非常に助かるということでね(苦笑)、ぜひみなさんにも買ってほしいところでございます。僕的には宇野維正さんと福田里香先生のコラムがタメになりました (o^-')b オススメ!
関係ありませんが、「リサリサの脚を撫でるカーズ」を貼っておきますね(JOJO第2部より)。
とは言いつつも、そういうネタの数々がわからずとも、絵本のような可愛らしい画面の中で繰り広げられる独特のユーモア溢れる演出を観ているだけでも十分楽しいから、ノー問題。特に、主人公であるコンシェルジュのグスタヴとロビーボーイのゼロのやり取りが非常に愉快で、それだけで顔がついほころんでしまうのです(香水を巡るくだりで、グスタヴが謝罪する展開は笑いながらも涙!)。僕的にグッときたのは、クライマックスの“スキーとそりのチェイスシーン”で、チープさも含めて見事にスリリングで愛らしい場面に作り上げていて、ちくしょう、「天才め!(`Δ´;) オノレ」とあらためて“天才認定”をせざるを得ませんでしたよ(なにこの文章)。
こういう場面の一つ一つが絵になる感じ。
見てよ、この画面のキュートさ! よくわからないけど死にたくなりますな。
この2人のやりとりもとにかく気が利いてて最高なのです。
一番良かったのは、クライマックスのチェイスシーン! 愛らしすぎて発狂しそうでした。
そして“紐切り空手”でお馴染みの鎬昂昇の画像を貼っておきますね。
念のため、覚え書きとして“最後の展開”を書いておくと、あーだこーだとドタバタした挙句、グスタヴの“マダムD殺し”の容疑が晴れて、普通にハッピーエンドになるかと思いきや! 「序盤と同じように列車内で軍人にゼロを侮辱されると、またキレたグスタヴが今度は射殺されてしまう」という悲劇的なオチを迎えちゃうから超ビックリですよ。ただ、その後、「その物語が今の時代の読者に届いて終わる」ということは、直接的ではないものの、「グスタヴの“志”は物語を通じて後世の人に伝えられていく」ってことじゃないですか、たぶん。というか、「この映画自体がツヴァイクの“想い”を世界に伝えるために作られた」と考えるなら、あえてこういう終わり方にしたウェス・アンダーソン監督の誠実さに胸を打たれます…って、間違った解釈だったらゴメンネ (ノ∀`) テヘ
序盤と同じ展開でグスタヴが殺されてしまったのは、「時代が変わった」ということでもあるんでしょうな…。
他の役者さんたちも最高で、こういう豪華スター出演映画って、上手くない人が撮るとこれ見よがしに見せて台無しになりがちなんですが、そこら辺のサジ加減も絶妙なのね (´∀`) スキヨ 僕的にスゲー良かったのが、ハーヴェイ・カイテル。囚人役で出てくるんですが、「“そのスジ”の方ですか?」と聞きたくなるような迫力があって100点でした。殺し屋役のウィレム・デフォーも素敵で、少しだけ「主演がレイフ・ファインズじゃなくてリーアム・ニーソンだったら、ド派手なタイマンが見られたかなぁ… (´Д`;) アアン」なんて勝手な想像をしてハァハァしましたよ。というか、この人、もっとアクション映画に出てほしいと思ったり。それと、僕にロリコンの気はありませんが(苦笑)、ケーキ職人アガサを演じたシアーシャ・ローナンがほとばしるほど可愛くて、もし!(RHYMESTERの「ラストヴァース」風に) 彼女が「僕に妻がいることを承知の上で付き合いたい」と強く訴えてくるのなら、しぶしぶ了承してもいい…。そんな白昼夢を見ました(残念な文章)。
まぁ、この人が出てきて全裸OR半裸になる作品にはハズレがない気がいたします(暴論)。
ウィレム・デフォーの殺し屋役って、予想以上にいいね!
シアーシャ・ローナン、凛々しくてキュートなのです (〃∇〃) ウフフ
ということで、聞いてください。RHYMESTERで「ラストヴァース」(ラジオパーソナリティ風に)。
その他、「前作でも動物が無残に死んでたなぁ」とか「愛猫の死骸をゴミ箱に捨てるなんて、里美ちゃんに嫌われちゃうぞ(「寄生獣」
」より)」とか「切断された指を見せるとは!」とか「脱獄囚VS刑務官のナイフのサクサク感が良かった!」とか「首チョンパにはビックリした!(お姉さんには悪いけど、アガサじゃなくてホッとした)」とか思ったことはあるんですが…。
一番考えさせられたのはグスタヴの「老女キラー」振り。もともと彼は何度もゼロに「口説かないで!」と念を押されていたように「老女に限らず何でもOK!(o^-')b」な“豪の者”のようですが、その趣味と実益を兼ねる姿勢には同じ男として少し憧れちゃうというか。逆パターンでは過去に細木数子さんが問題になったりしましたが、年老いて誰からも構われなくなった人に対して優しくしてあげるのは、それこそWin-Winなのではないか? とは言え、リアルに自分を置き換えてみれば、41歳の身でも84歳の壁は果てしなく高くーー。ごめんなさい、なんかスゲーどうでも良くなってきました ┐(´ー`)┌ バカネ
この老女キラー振り、見習いたいものです。
ごめんなさい、もう一度、「リサリサの脚を撫でるカーズ」を貼っておきますね(JOJO第2部より)。
な~んて絶賛しつつも80点に落ち着いているのは、僕自身の精神状態のせいでして。ウェス・アンダーソン監督の「自分の好きなものを伝える映画」に感動したのならば、僕自身もそうすべきなのではないかと。例えばこのブログ、そこそこアクセスを稼げるようになり、訪れる人が増えている今こそ、こんな良質な映画を観て「全米が泣いた!ヘ(゚∀゚*)ノ」なんて記事を書くのではなく。むしろジャンル映画のファンとして、例えば「ハイキック・エンジェルス」を観に行ったりしつつ、ジェイソン・ステイサム主演の良作「ハミングバード」や、ゲイリー・ダニエルズ主演のDVDスルー作品「ワイルド・ファイトX」を優先的に取り上げるべきなのではないかーー。そう思うとね、エンドクレジットで踊るコサックおじさんには胸を奪われながらも、なんとなく乗り切れない自分がいた…って、意味通じてますかね (´∀`;) エヘヘ
と言いながらも、「ワイルド・ファイトX」はそんなに面白くなかったりするから、人生って難しいね (´・ω・)(・ω・`)ネー
そんなワケで、ダラダラと駄文を書き連ねてきましたが、完成度が高くて面白い映画なのは間違いないのだけれども! ハッキリ言って、ここは同じ豪華スター出演映画でも、「エクスペンダブルズ」や「エクスペンダブルズ エクステンデッド・ディレクターズ・カット」、「エクスペンダブルズ2」に100点を付けるようなブログなのです。確かにウェス・アンダーソン監督の作品は素敵ですが、僕は違う道を歩かねばならないと強く思った次第。
ということで、僕が2000年代で最も好きな曲の1つを貼っておきますね↓
おしまい!ヽ(`Д´)ノ ナニコノオチ
スゲー好きなウェス・アンダーソン監督作。僕の感想はこんな感じ。
超良さげなサントラ。輸入盤もあります。
「ユリイカ」で特集が組まれたみたいですな。
町山さんのブログの続きが読めます。買わなくては…。
モデルとなったシュテファン・ツヴァイクの有名な著作。読むことはなさそうな予感!
ここからはパンフに載っていた作品を貼っておきますね。監督はこの本と「心の焦躁」を読んで、ツヴァイクの虜になったとか。
監督が参考にしたというエドマンド・グールディング監督作。面白いのかしらん。
ルーベン・アムーリアン監督作。「頂戴ナ」のカタカナが素敵。
あの「ベン・ハー」のウィリアム・ワイラー監督作。フランク・モーガンの演技を参考にしたとか。
エルンスト・ルビッチ監督作。とりあえず生きてみたらいいんじゃないですかね(無責任な文章)。
同じくエルンスト・ルビッチ監督作。それ以外にもベルイマンの「沈黙」も参考にしたんだって。
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グランド・ブダペスト・ホテル(ネタバレ)
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