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紙の月(ネタバレ)

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※今回の記事は、映画とは関係のない文章が大量に書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。
※今回の記事は、吉田大八監督や宮沢りえさん、小林聡美さんが好きな方や、下ネタが苦手な人は不快になる恐れがあるので、読まないで!
※この映画について、詳しい感想を読みたい方は、カゲヒナタさんのブログを読むと良いですぞ。
※今回の記事に関しては、原作小説「羊たちの沈黙」のネタバレにも触れているので、気を付けて!
※ムービーウォッチメンのリンクなどを追加しました(11/22)


<「なぜ僕はこの映画を観たくなかったのか!?」という前書き>

ハッキリ言って、まったく観る予定はなかったんです。一応、話題作はそれなりにチェックすることもありますけれども、僕が好きなのは格闘アクション系の映画でして(「導火線 FLASH POINT」とか)。実際に観たら面白いのかもしれませんが、人生は使える時間が限られていることもあり、興味がないものをわざわざ観に行く気はナッシングなワケですよ(既視感の強い文章)。

僕的に100点の映画である「導火線 FLASH POINT」の予告編を貼っておきますね↓(既視感の強い動画



というか、あの名作「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督作だから(それ以外の作品も好きだし)、一応、「観たい映画の覚え書き」では△を付けましたけど、ごめんなさい、今回の新作 「紙の月」に関してはマジで足を運ぶ気が起きなくて。吉永小百合さんに申し訳なくなって、つい「ふしぎな岬の物語」を観たりもしましたが、この約2カ月間、「サスペクト 哀しき容疑者」やら「イコライザー」やら「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」やら「サボタージュ」やら「泣く男」やら「ヘラクレス」やら、僕好みのアクション映画が公開されまくってテンションがガン上がりであり、今週末には待望の「ザ・レイド GOKUDO」が公開されるという今! ごめんなさい、「平凡な主婦がお金を横領しちゃった (ノ∀`し テヘ」なんて作品、まったく観たいと思わないのが人情じゃないですか(苦笑)。

「ザ・レイド GOKUDO」の100点の予告編を貼っておきますね↓ 作った人は天才!



例えば「導火線 FLASH POINT」の話。コリン・チョウ率いる悪党軍団がとにかく憎らしくて、観ていてストレスが溜まる…ストレスが溜まるのですけれども! その後にドニー・イェン兄貴がぶちのめしてくれることがわかっているからこそ、耐えられる。そして、実際、観客の願いに応えるかのように後半でドニー兄貴が暴力装置と化してくれるから留飲が一気に下がるワケですよ。

なんとなくテストステロンがムンムンなドニー兄貴を貼っておきますね。
ザ・半裸!

ただ、「紙の月」は違うじゃないですか。宮沢りえさんが更衣室で大島優子さん相手にアグレッシブな膝蹴りをかましてロッカーを破壊したりしないんでしょ? なんか「アタシ、このままでいいのかな…(´・ω・`し」みたいに漠然と日常に不満を感じていた普通の主婦が「平凡なハッピーじゃ物足りない!ヘ(゚∀゚*し レッツ、セックス!」ドンパッチライクに弾けた結果、捕まるだけの話でしょ?(乱暴な文章)

ちなみに公開前、新宿ピカデリーの1階ロビーにはバスタブが展示されてまして…。
バスタブが?

中にはお札っぽいチラシが大量に入っていたのでした。
本当の金じゃないのかよ

なんて言うんですかね、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」みたいにバカっぽく突き抜けたピカレスクロマンならまだしも、「ちょっと魔が差した主婦の転落人生絵巻」なんて、痛々しくて観ていられない感もあるワケですよ(少し「夢売るふたり」を思い出す感じ)。もうね、吉田大八監督には申し訳ないけど、「だったら7回目の『エクスペンダブルズ3』を観ますよ」ぐらいの心境だったんですが、しかし! 僕がそれなりに愛してるラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(略称:タマフル)」の人気コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になってしまったというね…。

正直、スゲー迷った。今、重かったり、辛気くさかったりする話が何よりも観たくない気分なのに、宇多丸師匠は「テメェも観ろ!m9▼Д▼) ビシッ」と言ってくる(※別に言ってません)。非常に悩んだ挙げ句、「まぁ、吉田大八監督はタマフルリスナーだし、仕方ないか」と、観ることを決意。先日、新宿ピカデリーに足を運んできました。

劇場の外には監督&出演者のサイン入りポスターが飾ってあったりして。
ポスターにサインが!

女性限定のサービスキャンペーンも実施中。
ヨコドリクーポンだって

会員になってみたら、誕生月に割引クーポンが届いてビックリ。1100円で鑑賞いたしました (`∀´) オホホホホホ
1100円鑑賞クーポン!

















紙の月

紙の月

2014/日本 上映時間126分
監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
原作:角田光代
プロデューサー:池田史嗣、石田聡子、明石直弓
撮影:シグママコト
美術:安宅紀史
音楽:Little moa、小野雄紀、山口龍夫
音楽プロデューサー:緑川徹
主題曲/主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ
録音:加来昭彦
整音:矢野正人
照明:西尾慶太
編集:佐藤崇
衣裳デザイン:小川久美子
助監督:甲斐聖太郎
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、佐々木勝彦、天光眞弓、中原ひとみ、平祐奈、小林聡美、石橋蓮司
パンフレット:★★★★★(720円/デザインは良いし、インタビューとコラムが超充実!)
(あらすじ)
1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた……。(以上、Movie Walkerより)

予告編はこんな感じ↓




85点


スゲー好きな映画でしたねぇ…(しみじみ)。乗れる人と乗れない人が非常に分かれるような気がするので、無闇にはオススメできないのですが、ううむ、当ブログを定期的に読んでいるような方だったら、こんなブログのネタバレ全開の駄文を読む前に、ぜひ「騙された」と思って観ていただいて。もし本当に「騙された!ヽ(`Д´)ノ」と激怒した場合は、その怒りのパワーを筋トレにでも活かしていただければ幸いです。


なんとなく「ロッキー3」の名シーンを貼っておきますね↓




無駄な前置きに文字数をかなり消費してしまったので(苦笑)、感想は短めに書きますよ。まず、本当に役者さんたちが素晴らしい。特に主人公の梨花を演じた宮沢りえさんに関しては、ごめんなさい、「Santa Fe」とか、三井のリハウスのCMとか、ふんどしカレンダーとか、「ドリームラッシュ」とか、「Santa Fe」とか、「すったもんだがありました」とか、りえママとか、「とんねるずの番組によく出てた」とか、「Santa Fe」ぐらいのイメージしかなかったんですよ(いろいろと非道い文章)。

映画では「ぼくらの七日間戦争」が有名なんでしょうけど、世代的には「V・マドンナ大戦争」派なので、そんなに乗れなかったし。「たそがれ清兵衛」を観た時は「あら、良い女優さんになったわね~ (´∀`)」とは思ったりしつつも、その後の活動をチェックするほどではなかったので、まったく期待していなかったんですが、この映画の彼女はスゴかった!ヽ(`Д´)ノ 場面場面によって、年相応の疲れたオバサンに見えたり、若々しく見えたり、世間知らずに見えたり、大胆に見えたりと、さまざまな表情を見せていて、「これぞ女優!m9`Д´) ビシッ」という感じ。偉そうな文章になりますが、スゲー見直しましたね。彼女がいなかったら、この映画は成り立たなかったんじゃないかと思うほどでしたよ。


いつの間にか立派な女優さんになってたんですな…(知った風な口調で)。
梅澤梨花(宮沢りえ)


職場の先輩・隅より子を演じた小林聡美さんも良かったですね~。最近は、なんとなく漂う超熟オーラに無闇な反感を覚えることが多かったんですが、その存在感には圧倒されました。寝取り大学生・光太役の池松壮亮さんもボンヤリとモテそうなオーラに嫉妬したし(大人げない文章)、同僚の相川を演じた大島優子さんも小悪魔的なムードが良かったし…。スゲー感心したのが、金持ち老人・平林役の石橋蓮司さんで、最近の邦画での出演率の高さには若干辟易していたんですが(「25 NIJYU-GO」にも「ふしぎな岬の物語」にも出てきた)、色仕掛けで迫る梨花をたしなめる場面とか、あらためて良い役者さんなんだなぁと思ったりしましたよ。


後述しますが、終盤の梨花との会話シーンは「ファングメモリ」のCM級にゾクゾクしましたよ。
隅より子(小林聡美)

母性本能をくすぐるタイプのイケメンとは、こういう人なのでしょうか… (´・ω・`) ウラヤマシイ
光太(池松壮亮)

たぶん大島優子さんの演技は初めて観たんですが、非常に良かったです。
相川恵子(大島優子)

石橋蓮司さん、さすがでした。この人にムカついた方は「アウトレイジ」を観ると溜飲が下がりますぞ。
独居老人・平林(石橋蓮司)


パンフを読んだら、吉田監督が『グッドフェローズ』を意識した」とおっしゃってたんですが、確かに機材を導入して横領システムを作り上げてバリバリ騙していく様子は、非道いんだけど、どことなく面白かったりもして。「これ受け取ったら、なにか変わっちゃうよ?」なんて言っていた光太が実際に増長していく流れも良かったし、職場の先輩・隅が「梨花の良心=ロー」であり、同僚の相川が「梨花の欲望=カオス」を象徴しているっぽい人物配置にも「なるほどなぁ」と。その他、僕がどれだけ理解できたかはわかりませんが(苦笑)、各々の台詞や描写にはちゃんと意味が込められていて、非常に良く出来ている映画だとは思ったのです。

ただ、ハッキリ言って、終盤までの内容はまさに予想通りだったというか。梨花が初めて犯罪に手を染める場面では「うわぁ… ('A`)」と嫌な気持ちになって、そこからは「ああん、そんなこといつまで続けるのよ…(´Д`;) ドキドキ」とずっとハラハラさせられっぱなしであり、案の定、座席で悶絶しまくり。隅に追い詰められた梨花が、焦りから金持ち老人・平林に色仕掛けで迫ってやんわりと拒絶させるくだりの気まずさとか最悪で、「良く出来た映画だけど、やっぱり観なければ良かった… ('A`) ゲンナリ」と心底思ったのですけれども!


なんとなく自信満々なシコルスキー画像を貼っておきますよ(「バキ」17巻より)。
三角絞めでつかまえて-予想通りだ


クライマックス、犯行が発覚した後の梨花vs隅が超良くて。ずっと「不倫はするわ、横領はするわ、どうしようもねー女だな ( ゚д゚)、ペッ」と軽蔑しながら観ていたハズだったのに、「梨花の良心」の象徴的な存在かと思っていた隅が“彼女の行動への憧れ”を口にした瞬間、「実はアタシも少し羨ましかった!ヽ(TДT)ノ マネー!」と僕自身も“己の本音”に気付かされたのです。台詞の応酬が長すぎる感もあるんですが、この時の隅は「桐島、部活やめるってよ」で東出昌大さんが演じた宏樹を連想いたしました。

ブログの中では無頼を気取りながらも、正直、日常から逸脱することのない、つまらない人生を送っている男ですよ。セックスレスだなんだと嘆きながらも不倫に踏み出すこともできなければ(相手もいないしね!)、「捕まったらイヤだから…(´・ω・`)」と違法行為に手を染めたこともない。「お金なんかそんなにいらないよ」なんてうそぶきつつ、確かに「高級ホテルのスイートルームに泊まりたい」的な欲求はゼロとしても、例えば“「エクスペンダブルズ3」の限定コラボモデル”がほしくないと言えばウソになるじゃないですか。

そんな僕にとって、自分の横領を「道場通いの10倍はスリリングだったぜ!川`∀´)」と言い放ち(誇張表現あり)、部屋のガラスを椅子で破壊し、ハイヒールなのに2階からいつのまにかスムースに着地→逃走するというくノ一のような梨花の姿はね(色仕掛けもしてたし)、清々しく見えてしまってーー。まぁ、チリ人妻アニータ事件とか、リアルに考えると「2人とも死ねよ ( ゚д゚)、ペッ」としか思えないのは確かなんですけど、逸脱できない隅の気持ちがスゲー染みたというか、あらためて身の程を知った次第。


偉そうに豪語する神心会の加藤清澄の画像を貼っておきますね。
10倍はスリリングだったぜ

梨花がダッシュする場面、「テルマ&ルイーズ」のラストに通ずる爽快感がありましたよ。
明日へダッシュ!

なんとなく勝手に作ったコラを貼っておきますね。
横領とはそういうものだ


ただ、微妙に感じたのが“その先”の展開。梨花が逃亡先のタイで「昔、施した男」に偶然会いまして。彼にリンゴをもらってから、雑踏に姿を消して終わるんですよ(ちょっと「羊たちの沈黙」のラストっぽい)。原作小説の後書きによると、吉田監督は当初、「梨花が武装警察を突破して~」みたいな構想を考えていたそうなので、どうしてもタイに逃亡した梨花を描きたかったんだろうし、パンフでも大澤真幸さんが考察されていた「施しとは何か?」的な問いかけも良いとは思うんですが…。その直前の梨花のダッシュが素晴らしかっただけに、ごめんなさい、あれが現実だろうと梨花の脳内のことだろうと、僕は蛇足に感じちゃいました。


公式動画があったので、the Velvet Underground & Nicoの「Femme Fatale」を貼っておきますね↓




ちなみに映画を見終わった後、スゲー気になってしまったので、原作小説を読んでみたら、これまた面白かったんですけど、構成が全然違うのでビックリ。隅とか相川とか出てこないし、梨花以外の人たちのエピソードが多く描かれているし、終盤の展開も違っていて(犯行が発覚する場面は描かれないし、逃亡先のタイで捕まるっぽい)。よくこんな風に脚色したもんだと。脚本を書いた早船歌江子さん、実に良い仕事をしたのではないでしょうか。


原作では、この夫が結構クズだったり。
夫(田辺誠一)


その他、「セックス中に乳首を隠すくらいなら、濡れ場を入れるな!」と思ったりもしたんですが、そこは「Santa Fe」で補完するとして(クズの文章)。僕は「逸脱」や「お金」について非常に考えさせられて面白かったです。安っぽい先入観にとらわれて「観ず嫌い」だった自分を恥じたというか、“出来る監督”の映画はチェックしないとダメだと反省しましたよ。正直、不倫&横領シーンはイヤな気持ちになるので、万人にオススメできる気はしないんですけど、興味がある人は劇場に行ってみて!


なんとなく僕の気持ちを代弁する天内悠の画像を貼っておきますね。
僕が間違ってました


おしまい (´・ω・`) マネー

宇多丸師匠の的確な時評がアップされたので、ぜひ聴いて! あと、僕的に書き忘れたことを追記すると、梨花はジェーン・スーさんのこの本とかこの本を読んでたら、いろいろと思い止まったんじゃないかなぁと思ったりしましたよ (・ε・) オススメ




角田光代先生による原作小説。これはこれでスゲー面白かったです。



映画のサントラでございます。



原田知世さん主演のテレビドラマ版。ちょっと興味があります。



映画のシナリオが掲載されているっぽい。



吉田監督作で一番好きなのはやっぱりこれですな。インスタントビデオもあります。



連想した西川美和監督作。こっちはあまり乗れなかったんだよなぁ。



宮沢りえさん×篠山紀信さんによる写真集。当時、一家に一冊、常備されていたという…(勝手なデマ)。








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