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バクマン。(ネタバレ)

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バクマン。

バクマン。

2015/日本 上映時間120分
監督・脚本:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
製作:市川南
エグゼクティブプロデューサー:山内章弘
企画・プロデュース:川村元気
ラインプロデューサー:田口生己、小泉朋
撮影:宮本亘
美術:都築雄二
照明:冨川英伸
録音:渡辺真司
衣装:伊賀大介
ヘアメイク:梅原さとこ
装飾:西尾共未
キャスティング:おおずさわこ
VFXスーパーバイザー:道木伸隆
編集:大関泰幸
音楽・主題歌:サカナクション
記録:井坂尚子
助監督:神徳幸治
出演:佐藤健、神木隆之介、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、宮藤官九郎、山田孝之、リリー・フランキー、染谷将太
パンフレット:★★★★★(720円/単行本を模していて、内容も充実。エンドクレジットの単行本の背表紙もジックリ見られます)
(あらすじ)
優れた画力を持ちながら将来の展望もなく毎日を過ごしていた高校生の真城最高(佐藤健)は、漫画原作家を志す高木秋人(神木隆之介)から一緒に漫画家になろうと誘われる。当初は拒否していたものの声優志望のクラスメート亜豆美保への恋心をきっかけに、最高はプロの漫画家になることを決意。コンビを組んだ最高と秋人は週刊少年ジャンプ連載を目標に日々奮闘するが……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※この映画に関しては、YU@Kさんのブログ(原作の大ファン)が実に面白くてタメになったので、そっちを読めばいいんじゃないかな。
※今回の記事には、アダルトな商品へのリンクが張ってあるので、気をつけて!


漫画原作の実写版「るろうに剣心」で死闘を繰り広げた佐藤健さんと神木隆之介さんが、今度は別の漫画原作映画でタッグを組むということで。原作漫画&アニメは未見で思い入れはないし、そもそもアクション映画じゃないので積極的に見ようとは思わなかったものの、出演する役者に好きな人が多かったから、ちょっと気にはなっていたんですよ。大根仁監督の映画版「モテキ」は大嫌いでしたけど、オチが不快だっただけで劇中の演出の諸々自体は結構好きだったし、予告編も普通に面白そうだし、あの吉田豪さんも高評価だし…。で、今週のムービーウォッチメンの課題映画になったので、いそいそと新宿ピカデリーで鑑賞してきました。「大根仁監督はスゴいな!Σ(゚д゚;)」と思ったり。


8番スクリーンで鑑賞。劇場はほぼ満席でした。
8番スクリーン


まず、役者さんがスゴい。邦画で「この人はちゃんと演技ができる上に独自の存在感があるよな~」と思う人しか揃っていない感じ。主演の2人の素晴らしさについて書くのはもう当たり前すぎてアクビが出るのでスルーするとして(と書きつつも、新妻エイジの前で涙を流す佐藤健さんが100点だったことは書き残しておこう…という上から目線な文章)、編集者役の山田孝之さんとか見事すぎじゃないですか。で、そんな役者さんたちをズラリとキャスティングした監督もスゴいと思うのです。


まぁ、この2人を観ているだけでも楽しい映画なんですよね。
主演の2人

新妻エイジ役の染谷将太さんも面白かったです。
ライバル役の染谷将太さん

編集者役の山田孝之さんも良かったなぁ。この人、主役でも脇役でも何でもできるよね。
編集者役の山田孝之さん


しかも、演出もスゴい。「漫画を描く」という地味な行為をあそこまで映像的にわかりやすく面白く見せるなんて、マジで感動しましたよ。プロジェクションマッピングを使ったり、大きなペンを持たせてCGバトルを繰り広げたり…といった派手な部分だけでなく、出てくる漫画原稿のクオリティが高いとか(これ超大事!)、漫画を描くたびにサイコーの作画スキルが上がっていくとか(これも超大事!)、そういう細かい部分にもちゃんと気が配られていて。僕が一番好きだったのは、ネーム担当のシュージンが体育館でアイディアが浮かんでいく時にメガネにその内容が流れていくシーンで、とにかく「よく考えられている」し、それを「上手く映像化している」なぁと。


プロジェクションマッピングとは考えたなぁと。ちなみにRHYMESTERは4年前にLIVEに導入済み…ということは書いておきましょう(偉そうに)。
プロジェクションマッピング

ただ、「描いているうちにスタローン化する」という表現がなかったのは残念…って、違う漫画だった!Σ(゚д゚;) チガウ
三角絞めでつかまえて-スタローン化!


物語のバランスも絶妙でしたね。ライバルの新妻エイジがスゴすぎるだけで、主人公たちだって週刊連載がトントン拍子で決まる凄まじい天才なので、ハッキリ言って「ちょっと鼻につく人たち」なワケですよ。でも、周囲に苦労している登場人物たちを配置して、ちゃんと彼らへの文句を言わせたりしているし、「昔、『少年ジャンプ』に連載していた川口たろうの話」も描くことでアンケート至上主義の残酷さも見せているから、相対化されてそれほどイヤな気分にはならないというか。ヒロインに関してはあまりに非現実的というか、最初は“トロフィー感”が強くてイラッとしましたが、後半にキッチリと挫折するから「ああ、こうなっちゃうのかぁ… (´・ω・`) カワイソウ」と逆に切ない気持ちになったりもしてね。もともと原作コミックがそうなのかもしれませんけど、そういうバランス感覚には感心いたしました。


このヒロインの現実感のなさには驚きましたが、あの苦い着地(でも、希望もなくはない)は良かったなぁ。
声優を目指すヒロイン(小松菜奈)


その他、オープニングの「『少年ジャンプ』の説明シーン」とか、エンドクレジットの「漫画風の紹介→実際にあった漫画の背表紙を模したスタッフ紹介」とか、素晴らしいのひと言でして(最近、「ピクセル」とか「カンフージャングル」とかエンドクレジットがグッとくる映画が多いけど、今作のアレは白眉だと思う)。一応、オチを書いておくと、みんなの協力を得て、巻頭カラーを飾って連載作品は見事1位をゲットするも、燃え尽きて打ち切り。卒業式の日に『今度はこういう漫画を描こうぜ!』なんて盛り上がって(大根監督がインタビューでおっしゃっていたように「キッズ・リターン」っぽい)、エンドクレジットに突入してましたが、僕が観た回では席を立つ人が皆無でしたよ、確か。


この終わり方、スゲー爽やかでした。
次はこんな漫画を描こうぜ!

そしてこの背表紙に口がアングリ。スタッフの役割と作品をちゃんと合わせているのがまたスゴいのです。
単行本の背表紙が!


で、最後に映し出される漫画のコマには「打ち切り」に付きものである「○○先生の次回作にご期待ください」的な文章が書かれていたワケですが、いつも切なさしか感じなかったあの一文をあそこまでポジティブかつ爽やかに見せたのも、やっぱりスゴい。この映画って、① 実力のある俳優を起用して、② 役に合ったキャスティングをしていて(原作ファンがどう思っているかはわかりませんが)、③ アイディアが細部まで練られている上に、④ それらを見事に映像化しているから、文句のつけようもないというか。全世界に誇れる級のエンタメ作品であり、今、日本で一番多くの人が楽しめる映画を撮れるのは大根仁監督なんじゃないかと思いました(それこそジャンプの漫画家がかぶる感じ)。


サカナクションが歌う主題歌のタイトルも「新宝島」と、とにかく漫画オマージュまみれでしたな。




好きな部分はいろいろとあるんですが、僕が最もグッときたのは、宮藤官九郎さん演じる川口たろう先生絡みの描写。あのコミックスの折り返し部分がサイコーへのメッセージになるくだりとか、天才的だなと。宮藤官九郎さんの演技自体もスゲー良くて、川口たろうが出てくるたびに涙が噴出するほど。今までまったく観る気はなかったものの、「ゲゲゲの女房」とかレンタルしようと思ったり思わなかったり(どっちなんだよ)。何はともあれ、ああいう「消えた漫画家」的な話ってマジで切ないというか。唐突ですけど、自分が好きだった漫画を盛り上げて実写映画化までした小栗旬さんはマジでファンの鑑だなぁとあらためて尊敬したし、僕も「変態忍者ミヤマ」や「豪血寺一族」などを描かれていた貴城輝先生を応援すべく、あくまで支えるためとして、kindle版のエロ劇画を買っておこうと決意した次第(アダルトなリンク)。


おじさんのドテラなどをサイコーが引き継いでいくのも良かったです… (ノД`)
川口たろうと幼いころのサイコー

小栗旬さんが実写化に尽力した映画の予告編を貼っておきますね↓ これも「少年ジャンプ」連載作品でしたな。




って、超絶にべた褒めな割に80点なのは、終盤の展開が合わなかったから。「サイコーがハードワークで倒れる→仲間の漫画家たちが助ける!」という展開は、ちばてつや先生の「トモガキ」を読んだ大根監督が、トキワ荘要素に「少年ジャンプ」の友情・努力・勝利を融合させた実に美しいストーリーであり、「編集者は漫画家の味方をしろ」なんて台詞もキッチリ活かされるし、「新妻エイジに勝っても最終的には打ち切られる→アンケートで1位を取ることがすべてではない」という着地なのも好感が持てるし(アンケート至上主義は好きじゃないし)、基本的には泣きながら観たんですけれども。ごめんなさい、どうしても「アシスタントを雇うのでは?」って思ってしまう僕もいたのです…。


大根監督は「まんが道」が大好きということで、川口たろうの机にこのコマが飾られてました。
おれの恋人はまんがや!

ちなみに僕が好きなのは「ンマーイ!」のコマ…って、どうでもいいね。
ンマーイ!


大根監督のパンフ&「映画秘宝」のインタビューを読むと、意図的に省いた要素があって。「ビー・バップ・ハイスクール」に親が出てこないように、主人公たちの親や学校の同級生、アシスタント云々などの要素は物語の推進力やドラマの盛り上がりを優先するためにわざと省略して、テンポ良く2時間にまとめたワケですよ。「サイコーの親が反対する」とか「クラスメイトが『この漫画に載ってるの、ウチの学校じゃね?』と絡んでくる」といった展開を入れたら無駄に長くなるので、そういう判断は大正解だと思うんですけど、そのフィクションラインの設定が僕には合わなかったというか。

「高校生が学校に通いながら週刊連載をする」となったら、さすがに周囲の人間はあそこまで無理をさせないだろうし、特に編集部の人たちが人格者として描かれれば描かれるほど、「アシスタントをつけたり、適度に休載させるといった対応をすべきじゃないかなぁ」って。そういう映画じゃないのは理解しつつも、なんだかスゲー気になっちゃったんですよね。ううむ、娘が出来て“親目線”が強くなったせいでしょうか。その他、正直なところ、友人に漫画家を目指して挫折した人が何人かいて、そのうち1人は心を病んでいるだけに、どことなく醒めた目で観てしまったところもある…という映画の出来とは一切関係のない話 (・ε・) ナンダソリャ


高校生の子どもが吐血して倒れるのを観て、「一体、指導者は何をやっとるんだ」と安西先生ライクに思った…という面倒くさい文章。
吐血してダウン


そんなワケで、少し乗れないところもありましたが(苦笑)、スゴい作品だと思った&面白かったです (・∀・) ヨカッタ! 原作ファンの気持ちはわかりませんけど、基本的には誰が観ても損はしないんじゃないかしらん。日本の映画界には、こういう「しっかりと面白いエンタメ映画」を撮れる人が少ない気がするので、大根仁監督には大作をドンドン撮ってほしいなぁと思っております。おしまい。




原作漫画のkindle版。もう完結しているそうです。読もうかなぁ (`Δ´;) ウーン



劇中に登場した描き下ろし原稿が収録されているそうな。読み物も充実していて、ちょっとほしい。



映画のノベライズも貼っておきますよ。



今作の前に撮った大根仁監督作。スゲー評判良いんだけど、なかなか観る気が起きないんですよね…。



サカナクションが歌う主題歌の限定盤仕様でございます。



アニメ版。結構人気あったんですよね?



初めて漫画を描く人へのお試しセット。まぁ、最近はデジタルで描く人も多そうですが。



パンフに気持ち悪く便乗すると、僕の「思い出の一冊」はこれなのです。



唐突ですが、大好きだったドラマ。岡田斗司夫が手塚治虫先生を演じてなければBlu-rayを買ったのに! 買ったのに!ヽ(TДT)ノ







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