過ぐる日のやまねこ
2014/日本 上映時間92分
監督・脚本:鶴岡慧子
プロデューサー:天野真弓
撮影:小川努
照明:跡地淳太朗
録音:中野弘基
美術:岡田匡未
編集:普嶋信一
音楽:中野弘基
助監督:栗本慎介
制作担当:和気俊之
出演:木下美咲、泉澤祐希、植木祥平、中川真桜、田中要次、西尾まり、田中隆三
パンフレット:★★★★(500円/公式サイトと内容がかぶるところはあるけど、この値段にしては内容が充実!)
(あらすじ)
ガールズバーをクビになった21歳の時子(木下美咲)は、ふと思い立ち、幼い頃に暮らしていた長野県の小さな田舎町を訪れる。彼女は絵描きの父と8歳までこの地で過ごしていたが、ある朝、父は山猫を探しに山奥へ行き帰らぬ人となったのだった。かつて住んでいた山小屋を訪れた彼女は、そこで高校生の陽平(泉澤祐希)と出会う。洋平は兄のように慕っていた和茂(植木祥平)が山で死体となって発見されたことをきっかけに心を閉ざし、生前の和茂に連れて行ってもらったこの山小屋で絵を描く日々を送っていた。それぞれ深い喪失感を抱える時子と洋平は、一緒に穏やかな時間を過ごすことで癒されていくが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
75点
※今回の記事は、映画の内容とは一切関係ない文章がほとんどなので、気をつけて!
「Mr.タスク」「アントマン」に次ぐ「“長野への旅”三部作」最後の作品…って、何が何やらですな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ 「都内で上映が終わってしまった『Mr.タスク』の前売り券を使う&『おおかみこどもの雨と雪』でそそられていた美味だれ焼き鳥をたらふく食べる」という崇高な目的のため、奥さんに出張だとウソをついて長野に向かったのは10月上旬の金曜日の夕方。予定した通り、長野駅近くの千石劇場で「Mr.タスク」を無事鑑賞すると、新幹線ですぐ上田に移動して、地元名物である美味だれ焼き鳥を大量摂取いたしました。
金曜の夜の僕の気持ちを代弁する刃牙の画像を貼っておきますね。
さて、その翌土曜日は軽く観光をしてから帰ろうかと思って検索してみたら、上田駅近くに2つの映画館を発見しましてね。都内以外の劇場に行く機会なんて滅多にないということで、午前中はTOHOシネマズ上田にて「アントマン」を鑑賞して、午後は上田映劇で「過ぐる日のやまねこ」を観てから帰宅することに決定。ホテルの部屋で午前4時ごろまで仕事→就寝→8時に起床して、スケジュール通りに「アントマン」を観ると、その足で上田映劇に向かったのでした。
レトロなムードが漂う上田の町並み。駅から徒歩5分ぐらい。
すると…「花やしき通り」がなんで長野にあるの!?
上田映劇のはずが「雷門ホール」に辿り着くとは… (`Δ´;) ヌゥ
上田の町を歩いていただけなのに、いつの間にか浅草に辿り着いてしまったなんて! これはもしかして…僕が無意識に瞬間移動したということなのか!? 物陰から見知らぬ男が出て来て「お前の“能力”がやっと覚醒したようだな… (`∀´) フハハハハハ」なんて言いだすんじゃないかとヒヤヒヤドキッチョしていたら(42歳の中年男性の文章)、実は映画「晴天の霹靂」のロケ地だったそうで。そういえば映画を観た時に買ったパンフレットにも書いてあったのに、アタシってほんとバカ (ノ∀`) ダメネ よくよく思い出せば、前日、美味だれ焼き鳥を食いまくっている時に近くを通ってるんですけど、夜中で暗かった&映画を観に来るつもりもなかったので、全然気付かなかったというね。
逆の角度から。せっかく長野から東京までの新幹線代が浮いたと思ったのになぁ(バカの文章)。
鑑賞料金1800円を支払って劇場内に入ると、良い具合にレトロな空間が広がってまして(大正時代に作られたそうな)。まぁ、僕は最新設備かつ座席が広いシネコンが大好きではあるものの、前日に行った千石劇場同様、この手の“昔ながらの雰囲気”にもジーンとしてしまうのが人情じゃないですか。ロビーに募金箱があったので、そそくさと1000円ほど募金したりしてね(恩着せがましい赤字)。で、適当に場内の写真を撮ってから映画を観たんですが、とても心に残りました (・∀・) ヨカッタヨ
入場者プレゼントとして、鶴岡監督直筆イラストの「やまねこステッカー」をいただきましたよ。
ロビー&通路を雑に撮影したので、gifを貼っておきますね。
ハッキリ言って、当ブログをよく読んでいる方ならわかると思うのですが(苦笑)、決して好きなジャンルの映画ではないんですよ。特に開始早々、ガールズバーで働く時子が客に絡まれてケガをするくだりは、① 時子のやる気がなさすぎる勤務態度 ② 時子のクビを切る女性オーナーの偉そうな態度 ③ 時子にケガをさせたクズすぎる客が何らかの制裁を受けた描写がないのもあって、凄まじくイライラしましてね。午前中に観た「アントマン」が最高だっただけに、「さっさと東京に帰れば良かったかな… (・ω・;)」と若干後悔するほどだったのです。
物憂げなムードでやる気のない女、時子。無計画で東京から長野にやってくる姿勢も好きになれない感じ。
で、もう1人の主人公の高校生・陽平は、“兄代わり”だった和茂を亡くしたことから立ち直れずに(自殺だったっぽい)、学校をサボって山の中の小屋で絵を描くダウナーなエブリデイを過ごしてまして。そんな時、小屋にやってきた時子と出会い、行動をともにすることでなんとなく救われていく…って感じ。陽平もなかなか面倒くさい子なんですけど、「和茂の思い出と過ごす」描写が心霊映画っぽくて面白い上に、彼を想う幼なじみのアキホ(中川真桜)が可愛かったりしたので(そして、そんな彼女を雑に扱う陽平に激怒!)、「やっぱり観に来て正解だったかな ( ´_ゝ`)」ぐらいに上方修正されたのでした。
絵を描くのが好きな陽平。思い出の中で和茂に「ヤマネコの絵を描いてみろよ」みたいなことを言われてましたよ、確か。
ダウナーな陽平を気に掛けてくれるアキホ。僕もこんな可愛い&健気な幼なじみがいる青春を送ってみたかった… (ノω・、) グスン
そんな中、村には「変な女(時子のこと)がウロウロしてる」なんてウワサが流れて、それを聞いた陽平の父親・正一(田中隆三)は「もしかして時子ちゃんじゃないか?Σ(゚д゚;) マサカ!」と13年前を思い出しまして。当時8歳だった時子は絵描きだった父親と一緒に山の中の小屋で暮らしていたんですが、「ヤマネコを探しに行こう!ヘ(゚∀゚*)ノ レッツビギン!」と父親に山の奥へ連れられていく→無理心中を図られて彼女だけ助かっていたのでした…。もうね、親に無理心中を図られるなんて、そんなに可哀想なことはないワケで。この事実が明らかになってからは、「面倒くせー女だな ( ゚д゚) カエレ」という気持ちが雲散霧消して、「時子ちゃん、頑張って!ヽ(TДT)ノ」とすっかり“自分の娘”目線で応援しながら観てましたよ。
時子ちゃんは「13年前に助けられた少女」だったのです。
正一役の田中隆三さん、スゲー良かったですな。
終盤の流れを書いておくと、結局、時子ちゃんは今でも父親の死を引きずっていて。昔、無理心中を図った場所に陽平と一緒に行くと、「地獄へ道連れ!川`Д´)人(`Д´) バイツァダスト!」とばかりに奈落に引きずり込もうとするんですけれども! なんとか踏みとどまってみれば、事態を把握した正一がすべての元凶と言える「小屋」を焼き討ち! 2人に「忘れることを怖がっちゃダメ絶対!m9`Д´) ビシッ」とパンチラインをかましたところ(誇張アリ)、彼らの視線の先にはヤマネコが!?ヽ(ФДФ)ノニャー! 翌朝、険がとれた2人はバス停で別れるとそれぞれの暮らしに戻ったのでした…って、すみません、凄まじく雑なあらすじになっちゃった気がするんですけど(汗)、ちゃんと伝わったでしょうか。
小屋が燃やされる場面、ちょっと低予算感がありつつも頑張ってました。
まぁ、気になったところを挙げると、わざとなんでしょうけど、水を掛け合うシーンとかはさすがに気恥ずかしかったですよ。あと、役者さんたちはかなりしっかりしているものの、画面から伝わってくる低予算感はいかんともしがたいので、スムースに人に勧められる作品ではないなぁと。ただ、どうにも好きなポイントが2つあって、クライマックスで正一が言う「もう忘れていい。忘れることを怖がっちゃダメだ」という台詞がスゲー沁みました。人間、どんなに大事なことだろうとも、それで生きることが苦しいのなら、忘れたっていいんですよね。それと田舎を美化せず、それでいて悪くも描いていないバランスも、なんか好感が持てました。
この水を掛け合うシーンは座席で悶絶しましたよ、マジで。
何はともあれ、『Mr.タスク』の前売り券が使えなかったのがキッカケとなって、長野の映画館に行くついでに上田へ立ち寄って美味だれ焼き鳥を食べたら、たまたま上田出身の監督が上田で撮った映画が上田の映画館で上映されていた…という鑑賞のタイミングもうれしくて。僕にとっては、正一の台詞とともにとても心に残る作品になりましたよ。なんか「アントマン」の娘キャシーに続いて、時子ちゃんも自分の娘と重なったこともあって、「ウソをついて旅行するなんて妻子に悪いことをした…」と反省したというか。備忘録にも書きましたけど、これからはもっと家族との時間を大切にしようと思います。おしまい (Ф∀Ф) ニャー
上田で撮影されていた劇団ひとり監督作。僕の感想はこんな感じ。
実は上田が舞台だった細田守監督作。大好きです。
なんとなく連想したアピチャートポン・ウィーラセータクン監督作。僕の感想はこんな感じ。
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過ぐる日のやまねこ(ネタバレ)
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