ピンクとグレー（ネタバレ）

ピンクとグレー



2015／日本　上映時間119分
監督：行定勲
原作：加藤シゲアキ
脚本：蓬莱竜太、行定勲
製作：堀内大示、長澤修一、藤島ジュリーK.
企画：菊池剛
プロデューサー：井上文雄、片山宣、千綿英久、小川真司
ラインプロデューサー：佐藤雅彦
撮影：今井孝博
照明：松本憲人
録音：伊藤裕規
美術：相馬直樹
編集：今井剛
音響効果：岡瀬晶彦
装飾：田口貴久
小道具：矢野浩加
衣装：高橋さやか
ヘアメイク：倉田明美
スクリプター：押田智子
音楽：半野喜弘
主題歌：ASIAN KUNG-FU GENERATION
音楽プロデューサー：北原京子
助監督：増田伸弥
制作担当：田辺正樹
VFXスーパーバイザー：進威志
振付：矢内原美邦
アートディレクター：手島領
フォトグラファー：杉山義明
出演：中島裕翔、菅田将暉、夏帆、柳楽優弥、岸井ゆきの、千葉哲也、マキタスポーツ、入江甚儀、橋本じゅん、篠原ゆき子、矢柴俊博、宮崎美子
パンフレット：★★★★（720円／ピンクとグレーの二部構成は良いし、ロケ地マップも好き）
（あらすじ）
人気俳優の白木蓮吾が急逝した。自殺か他殺かも判明しない中、彼の少年時代からの親友で死の瞬間にも立ち会った売れない俳優・河田大貴に世間の注目が集まるが……。（以上、映画.comより）

予告編はこんな感じ↓




60点


※この映画は、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、いつか観ようと思っている人はこのブログを読んじゃダメ！
※今回の記事は、この映画や事務所のために長年稼いでくれた所属タレントを公開処刑することで知られるジャニーズ事務所が好きな人は不快になる怖れがあるので、読まない方が良いです。
※今回の記事は、下ネタが書かれているので、そういう文章が苦手な人は読まない方が良いです。
※今回の記事は、「複製された男」や「ファイト・クラブ」、「マルホランド・ドライブ」のネタバレに触れているんですが、「ファイト・クラブ」と「マルホランド・ドライブ」はスゲー面白い映画なので、未見の方は観て！

基本的にはアクション映画を好む男ですし、行定勲監督にも特に惹かれないし…。ただ、原作を書いたのがタマフルリスナーであり、ずっと貢献してくれていた大切な所属タレントを死んだ目で謝罪させることで有名なジャニーズ事務所所属のタレントでもあるNEWSの加藤シゲアキさんの処女小説ということで、「観たい映画の覚え書き」では「△」を付けて、タイミングが合えば観ようかな程度の心境だったんですけれども。


ちなみにNEWSではこの歌が好きです。




今週のムービーウォッチメンの課題映画に選ばれたので、仕事が暇になる火曜日＝TOHOシネマズ会員デー＝1400円のチケットを押さえたところ、仕事でトラブルが勃発→観られなくて映画代を損したというね… ('A`) ｹﾞﾝﾅﾘ　もう悔しかったので今週は観なくても良いかなと思ったりもしたんですが、やはりムービーウォッチメンは対象作品を観てから聴いた方が10倍面白いので（※当ブログ比）、金曜日にTOHOシネマズ新宿にて、ポイントを使用＝タダで観て来ました。「スゲー惜しい！m9`Д´) ﾋﾞｼｯ」と思ったり。


５番スクリーン、満員でした。



基本的には面白かったですよ。宣伝では、なんか「開始62分の衝撃」なんて言ってましたが、ごめんなさい、僕はすっかり予想ができていて（苦笑）。以前、タマフルの中で小説の話題が出た時、確か「『ブラック・スワン』みたいな感じで～」なんてことを誰かが言ってたような気がしたので、『実は１人でした』映画だな！ (￣ー￣) ﾆﾔｯ」と看過しましてね。あの青年２人は同一人物の心の中を表していて、要は「複製された男」とか「ファイト・クラブ」のようなもの。それに「ブラック・スワン」を足して２で割ったような映画なのでしょう。だから、鑑賞しながら、「あらあら、こんな撮り方をしていたら、あとで開始62分後の種明かしの時に辻褄が合わないと思いますよ？ ┐(´ー｀)┌ ﾔﾚﾔﾚ」なんて行定勲監督に心の中でダメ出しをしながら観ていたら、全然予想と違ったからビックリ！Σ(ﾟдﾟ;) ﾅﾝﾃﾞｽﾄ!?　


これ、僕はモロに衝撃を受けちゃいました。



なんと中盤までは映画の撮影＝劇中劇だったというね。少し違いますけど、「マルホランド・ドライブ」を思い出しましたよ。だから首吊り死体とか、あんなにキレイだったんだなぁと。で、ユニークなのが、その劇中劇は「親友・河田大貴から見た鈴木真吾（a.k.a.白木蓮吾）の自伝」なんですが、前半で白木蓮吾を演じていた中島裕翔さんが後半では河田大貴を演じていて、その演技が、前半で菅田将暉が演じた河田大貴っぽかったりして、なかなか面白い。というか、この前半に出てきた人を後半では別の人が演じたり（後半の白木蓮吾役の柳楽優弥さんがカッコ良かった！）、前半では河田大貴としてバカ全開だった菅田将暉さんがこれまたメフィストフェレス的な役になったりとか、そういう部分はスゲー楽しかったです。

あと、前半ではおとなしいサリーを演じてた夏帆さんが、後半では「ザ・ビッチ！m9`Д´) ﾋﾞｼｯ」って感じのキャラになったのも、やりすぎ感はありましたが、愉快でしたね～。特に、濡れ場において「乳首は見えていないけれども、それほど隠そうとはしていない」という姿勢には感心したし、絶対実話誌が扱っているだろうと思ったら、案の定、「アサ芸」が記事にしていて。ぜひリンク先を読んでいただきたいんですが、「カメラが背中ヌードを映す中、少し前かがみになった瞬間、推定Fカップの下乳が見え、その存在感をアピールした」「観る側が幸せになる艶技」「アクションのたびに激しく揺れまくる胸にどよめきが起こっていました」「ぜひとも次回作で「ピンクとグレー」な「乳首とヘア」解禁を期待したい」とか、こんなゲスな文章を書ける男になりたいと思ったり思わなかったり。


僕の心境を代弁するコラを張っておきますね（「ジョジョ」第一部より）。



正直なところ、劇中劇パートが終わったら、後半の現実パートはもっとリアルになるのかと思いきや、モノクロ画面になって、まだ非現実の中のいるように見せているのもユニークだったなぁと。あれは、主人公の河田大貴がずっと白木蓮吾の影に囚われている＝自分の人生を生きていないことを暗示してるんですかね。ちょっと前半とのメリハリがつかないとは思いましたが、「結局、状況が変わっても地獄」という感じが出ていたのではないかと。ラスト、モノクロからカラーになる演出、結構好きでした。

まぁ、話を雑に書いておくと、白木蓮吾が死んだおかげで仕事がドンドン入るようになった河田大貴は、それはそれでイライラするエヴリデイだったんですけど、己の脳内の白木蓮吾に「実は僕ったら超シスコンで、ダンス発表会の時に自殺した姉を真似て、同じ日に自殺してみました (ノ∀｀) ﾃﾍ」みたいなことを聞かされて、超スッキりす。白木蓮吾にもらったデュポンのライターを投げ捨てる→「しょーもな」とつぶやいて、映画は終わりまして。その吹っ切れた雰囲気がまた爽やかで、良い映画だと思ったし、鑑賞後は「RAKERU ラケル」か「一蘭」で食事をしようかと悩んだ挙げ句、「博多天神」で１杯目と２杯目はそのままに→３杯目と４杯目は辛ダレを投入→５杯目から高菜をプラス→６杯目と７杯目で満を持して紅ショウガと、替え玉を６回するほどだったのです（何が何やらなアピール）。


僕が「博多天神」を好むのは、替え玉対応が早いから。


この後、仕事の打ち合わせがあったので、ニンニクは未使用であり、「太るのでスープは飲まない」という鉄の掟。



だがしかし、微妙に感じるところもあって。「実際にそこそこ美人な姉が２人いて、人として好きではあるけど、ああいう関係になるなんて１ミリも想像できないので、個人的にシスコン話にはあまり乗れない」というのは置いといて。なんて言うんですかね、前半の劇中劇での白木役の河田大貴の演技は普通に上手いし、一冊の本を書く能力もあるワケだから、「お前、能力高いじゃん」って。後半の「白木蓮吾の影が～！ヽ(;`Д´)ノ ｶﾞｰ!」という苦悩にあまり共感できなかったんですよね…。

それと「本当の白木はワルだったんだぜ？(｀∀´) ｹｹｯ」といった、芸能界のダークサイドに踏み込んでいくくだりにドキドキしていたら、オッパイパブと美人局だけだったのが残念だったなぁと。もっとトップアイドルなのに全国に生放送で恥をかかされた人たちの事情とか、そういう“真に黒い部分”が見たかった…というのは贅沢でしょうか。なんか「親友の影から逃れられない苦悩」と「親友の本当の姿」のどちらも中途半端になっちゃってた印象でしたよ。ただ、ジャニーズタレントが出ている映画に会員制オッパイパブが出てきたのは斬新だったし、光る乳首は…なんか…良かったです… (´Д｀;) ﾊｧﾊｧ


なんとなくオッパブシーンを観た時の僕の状態を代弁する愚地独歩の画像を貼っておきますね。



ストレートに不快な場面もあって、序盤に「ダダ」と呼ばれる女子高生が出てくるところ。いや、僕だって若いころはブサイクな女子生徒をイヤなあだ名で呼んだことはあったし、その逆もまたあったりするワケですけど（僕は「巨神兵」って呼ばれてました…）、いろいろと表現に気を遣うのが普通になっている現在、宇宙人っぽい演出のダサさも合わさって、アレはないと思いました。それと男同士の友情がメインの話だからある程度は仕方ないとは思いますが、サリーの記号的な感じも苦手というか、「いきなり自宅に河田が→サリーを無理矢理押し倒す→受け入れる」という都合の良さ、好きじゃなかったですね。まぁ、すべて劇中劇のこと→登場人物が「つまらない映画」とも言っているので、あえてそうした部分もあるのかもしれませんが…。


一応、三面怪人ダダのMAD動画を貼っておきますね↓




で、映画鑑賞後、このブログを書くにあたって、やっぱり原作小説も読んでおこうと。「本の置き場所がないので、小説はkindle版だけを読む」という最近の自分ルールを破って文庫本を購入したら、面白かった！∑(ﾟДﾟ) ﾋﾞｯｸﾘ　ごめんなさい、正直、「芸能人の余技」的なものかと舐める部分もあったんですが（汗）、あっという間に読んじゃうほどでしてね（そして、確かに『ブラック・スワン』感もあった）。その上で映画を振り返ると、物語の構成をかなり変えている上に（「開始62分の衝撃」なんてない）、「観客の興味を惹く映画」として映像化するにあたって上手い改変だと感心したところがかなりありましたよ（主人公２人とサリーの関係性とか、高卒にして河田の状況をより厳しくしたりとか、芸能界の暗部要素とか、諸々）。同監督による同じ小説の映画化作品「パレード」の時より全然良かったと思いました。

とは言え、その改変部分が前述した僕の不満要素にも繋がってたりするし、結局、監督が目指した着地は上手くいってなかった気がするので、スゲー惜しいなぁという印象。まぁ、画面の雰囲気や役者さんの演技、物語自体は面白かったから、気になる人は観ても損はしないと思うし、観た後になんか納得いかなかった人は原作小説で補完すると良いかもしれませんな。おしまい。




加藤シゲアキさんによる原作本。非常に良い青春小説でしたよ。



藤崎みお先生による小説のコミカライズ。これはこれで面白そう。



唯一観ている行定勲監督作。そんなに好きではないです。



なんとなく思い出したデヴィッド・リンチ監督作。大好きでございます。町山智浩さんの解説（200円）がわかりやすくてオススメ！