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サウルの息子(ネタバレ)

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サウルの息子

サウルの息子

原題:Saul fia
2015/ハンガリー 上映時間107分
監督・脚本:ネメシュ・ラースロー
脚本:クララ・ロワイエ
撮影:エルデーイ・マーチャーシュ
音響:ザーニ・タマーシュ
美術:ライク・ラースロー
編集:マチェー・タポニエ
音楽:メリシュ・ラースロー
出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レべンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン、ジョーテール・シャーンドル
パンフレット:★★★☆(600円/ちゃんと映画の時代背景を説明する解説記事があって、助かりました)
(あらすじ)
1944年10月、アウシュビッツ=ビルケナウ収容所。ナチスにより、同胞であるユダヤ人の死体処理を行う特殊部隊ゾンダーコマンドに選抜されたハンガリー系ユダヤ人のサウル(ルーリグ・ゲーザ)。ある日、ガス室で生き残った息子と思しき少年を発見したものの、少年はすぐにナチスによって処刑されてしまう。サウルは少年の遺体をなんとかして手厚く葬ろうとするが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点

※今回の記事は、くだらない下ネタや駄文が垂れ流されていて、この映画が好きな人はイヤな気分になるかもしれないので、読まない方が良いというか、そーす太郎さんはちごろうさんのブログとか、尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介ブログのネタバレ解説を読めば十分じゃないかな。

僕の名前はサウル。いたって普通の高校生なんだけど、最近困っているのは、ちょっとしたことでムスコが大きくなっちゃうことなんだよネーー。この映画のタイトルを耳にした時、心の中にそっと花開いたこのくだらない文章。こんなものを載せたら、多くの人がそっ閉じするに違いないと確信しながらも、当ブログは思いついたことはどれほど残念な内容でも残しておくという姿勢なのでね、書いてみました、ごめんなさい。

1月下旬の水曜日の話。この週で公開終了となる「モンスターズ 新種襲来」を観に新宿シネマカリテに行ったら、名物である水槽の展示がこの「サウルの息子」になってましてね。そういえば、ツイッターを斜めにザッと読んだ時、尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」の映画紹介の中で「今年のベスト!m9▽Д▽) ビシッ」と絶賛されたということで、相互フォローしている方たちの間で話題になってたなぁと。「2016年1月公開で観たい映画の覚え書き」では「○」を付けたものの、時間的に余裕がないのでスルー確定案件だったワケですが、まぁ、町山さんがそこまで言うなら観ようかなと(偉そうに)。とは言え、この日はそういう気分ではなかったので、「モンスターズ 新種襲来」の後は「リザとキツネと恋する死者たち」を観た…ってのは、それはそれとして。


シネマカリテの展示はこんな感じ。以前、アシパンでお会いした方が観に来られてました。
シネマカリテの展示

水槽の中は「黄色い魚」が集められていましたよ。いろいろ考えるね~。
水槽の展示

この日はちょうどホロコースト犠牲者を想起する国際デーだったというね。
ホロコーストの犠牲者を想起する国際デー


で、今週の話。ムービーウォッチメンの課題映画になったということで、早速、観に行くことにしましてね。仕事は2日まで地獄のようだったんですが、ちょうど3日の水曜日からラクになる感じでして。銀座方面で打ち合わせがあったので、その帰りにヒューマントラストシネマ有楽町に立ち寄ったら、ほぼ満席でビックリ。空いていた前列をなんとか確保すると、飲食物を購入して観たんですが、「物凄くイヤな映画!ヽ(´Д`;)ノ イヤーン」と思ったり。同じハンガリー製作でも「リザとキツネと恋する死者たち」とは180度違う内容でしたな…(そりゃそうだ)。


劇場入り口のポスターには…。
入口のポスター

ネメシュ・ラースロー監督のサインが入ってまして。
監督のサイン

横には劇場の人のコメントも書いてありましたよ。
劇場の人のコメント

記事の切り抜きもあったので、貼っておきますね。
記事の切り抜き

最近はなるべく飲食物を購入するということで、もっちりフォカッチャサンドのチキン&アボカドを食べちゃいました。
チキンアボガドサンド


「町山さんが絶賛した」ということは知っていたものの、音源はまだ聴いてなかった→具体的な内容は知らなかったので、ホロコースト絡みの映画なんだろうな」程度の認識でしてね。「ゾンダーコマンド」という言葉の響きはなんとなく特殊部隊っぽくてカッコイイし、ポスターの“布で顔を隠すヒーローっぽいビジュアル”から、「レジスタンスの話なのかな?」と。「収容所でナチスドイツの兵士が襲われる事件が頻発しており、その現場にはダビデの星の印とともに“サウルの息子”という言葉が残されていて…?」といった感じの物語かと思っていたんですが、しかし。実際はもっと地獄のような話だったからゲッソリいたしました ('A`) ゲッソリ まぁ、ホロコーストが題材の時点で、地獄が前提ではあるんですけどね。


これ、ヒーローが顔を隠しているのではなく、掃除のためでした。
サウル(ルーリグ・ゲーザ)


本作に出てくる「ゾンダーコマンド」、恥ずかしながら僕は全然知らなかったんですが(汗)、町山さんの話によると、「灰の記憶」という映画でも扱われたことがあって。絶滅収容所で同胞を処分する役目を負ったユダヤ人の囚人」のことなんだそうです。ナチスに代わって手を汚す役割を果たすことで生き延びられるんですけど、数ヵ月後にはやっぱり処刑されちゃうというから酷い話。ちなみに劇中ではユダヤ人を「部品」呼ばわりするんですが、731部隊が人体実験の被験者を「丸太」と呼んでいたのを連想した人は多いのではないでしょうか。


人体実験が大好きだったアミバは「木偶」と呼んでましたな(「北斗の拳」より)。だからどうしたと言われたら返す言葉もありません。
人体実験するアミバ


本作はそんなゾンダーコマンドのサウルが、“ガス室で何とか生き残りながらも窒息死させられる少年”を目撃→「オレの息子だ!Σ(゚д゚;)」(とは言え、本当の息子かどうかは怪しいムード)→ラビを見つけて正式に埋葬すべく、収容所内を右往左往する様子を描いているんですが…。こちらのインタビュー記事で監督が語っているように、カメラは常にサウルに寄り添っているんですけど、狭いスタンダード・サイズの画面に、深度の浅い映像を見せることで、サウルが見ているもの&見ないようにしているものを上手に表現していましてね。スゲー息苦しい上に、そこら中にボンヤリと裸の死体が転がっていたりするから、なかなか見事な地獄巡り映像が堪能できるんですよ。そういう”地獄巡り感”では、確かに監督も参考にしたという「炎628」っぽいとは思ったし、最近観た映画では「野火」をとか連想しましたね。


こんな感じでサウルの周囲はボンヤリ気味→彼の精神状態を表しているというね。
サウルの周囲はボンヤリ

同監督による短編「With A Little Patience(ちょっとのガマン)」もそんな風に撮られた作品。志誠館の片岡輝夫の名言みたいな内容でしたよ(眉唾な文章)。




とにかくスゴい映画なのは間違いないというか。サウルの「目を伏せて目立たないようにする歩き方」とか、不良だらけの中学校にいた時の自分を思い出したりして、「目を付けられない歩き方って世界共通なんだな」と感心した…というのはどうでも良いとして(不要な文章)。ゾンダーコマンドの立場になると少しは自由が利くとは言え、ナチスの胸先三寸で即死亡の世界なので、全編ハラハラしっぱなしでしたね。強制収容所の残酷かつ合理的な人体処分システムの流れとか、ゾンダーコマンドたちが記録を残そうとしていたりとか、そういう歴史的事実が学べる部分も良かったです。


雑に作られたADVのように「選択肢を1つ間違えたらゲームオーバー」という超ハードな世界なのです。
処刑されそうになるサウル


ただ、ごめんなさい、僕はこの映画、あまり好きじゃなかったです。「ゾンダーコマンドの立場を疑似体験できる」という社会的な意義のある作品であることは間違いなくて、多くの人が観た方が良いとは思うんですけど、主人公のサウルにはかなりイライラさせられたんですよね…。サウルのおかげで隠し撮りしているのがバレなかったりはしましたが、ギリシャ人のラビはサウルのせいで処刑されたし、死体をサウルが勝手に持っていったせいで解剖担当の医師は酷い目に遭っただろうし(たぶん)、何よりも武力蜂起のために必要だった火薬を落としちゃうしさぁ。

そりゃあ、少年を埋葬することで魂が救われる云々とか、深いメッセージがいろいろと込められているんでしょうけれども、僕は「こいつ、スゲー迷惑だな… (`Δ´;) ヌゥ」という気持ちの方が先に立っちゃって。ラスト、収容所から逃走したサウルたちはあえなく射殺されてしまうんですが…。その直前、森にいた少年と目があったサウルが微笑む場面は町山さんの記事に書いてあるような「未来に希望を託す」という意味だとしても、なんか乗れなかった…というのが正直な感想でございます。


このギリシャ人のラビ、サウルのせいで死んで可哀想でしたな。
ギリシャ人のラビ

途中からアントニオ猪狩を殴る刃牙のような気持ちになってましたよ(「グラップラー刃牙」より)。
いいかげんにしろ!


その他、「カポ(囚人たちの監視役)のビーダーマンが棍棒で生意気な他のカポを昏倒させる場面はスッとした」とか「サウルをからかうナチスの将校がムカついた!」とか「“穴”で処刑されそうになる場面は超ハラハラ!」とか「せっかく見つけたラビが、案の定、単なるヒゲ男だったのは少し笑った」とか、書きたいことはあるんですが、眠いので割愛! いろいろな意味で物凄くイヤな映画でしたよ ('A`) ゲンナリ 僕はもう2度と観ないと思います。でも、これほどまでに地獄が体感出来る作品はないと思うので、当ブログを読むような方はぜひ観に行ってくださいな。




ゾンダーコマンドの生き残りの証言集。ううむ、ヘビーそうですな…。



ゾンダーコマンドを描いたティム・ブレイク・ネルソン監督作。今度観ようかしらん。



ネメシュ・ラースロー監督の師匠タル・ベーラ監督の作品。観たけどサッパリでした



地獄巡りが堪能できる戦争映画として挙げられることが多いエレム・クリモフ監督作。








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