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ヤクザと憲法(ネタバレ)

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ヤクザと憲法

ヤクザと憲法

2015/日本 上映時間96分
監督:圡方宏史
プロデューサー:阿武野勝彦
音楽:村井秀清
音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:中根芳樹
音声:野瀬貴弘
オーサリング:山口幹生
TK:河合舞
音響効果:久保田吉根
題字:山本史鳳
CG:松井裕哉
編集:山本哲二
法律監修:安田好弘
出演:川口和秀、山之内幸夫
パンフレット:★★★(500円/薄いながらもタメになる文章が載っております)
(あらすじ)
暴力団対策法、暴力団排除条例の施行以降、ヤクザや暴力団の構成員数が減少に向かっている。これまで以上の逆風の中で、彼らヤクザはどのような日常を送り、何を考えているのか。大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にカメラが入り、これまで見えなかったヤクザの現実を記録。「清勇会」会長は、カメラの前で「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語りはじめる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




95点


※この映画に関しては、VICEのこの記事この記事を読んでくださいな。
※今回の記事は、反社会的な文章が書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。
※今回の記事は、ヤクザが好きな人は不快になる恐れがあるので、読まない方が良いです。
※今回の記事は、グロ動画へのリンクが張られているので、気をつけて!
※今回の記事は、巨人のファンは不快になるので、読まない方が良いです。


「ヤクザの日常生活に密着した」という信じられない内容&製作はあの東海テレビということで、スゲー興味が湧きまして。評判が高い→上映期間が長かったので、すっかり後回しにしていたんですが(汗)、一昨日、やっとポレポレ東中野に行って参りました。「難しい話ですな… (`Δ´;) ヌゥ」と知恵熱が出ましたよ。


奥さん&娘が実家に帰っているので、日曜の夕方の回に行ってみたら、劇場はほぼ満席でした。
ポレポレ東中野

記事の切り抜きもありましたよ。「ふたりの死刑囚」は観る時間が作れないかなー。
記事の切り抜き


もうね、映画の中のヤクザは大好きでして。いわゆる「仁義なき戦い」「アウトレイジ」的なのも嫌いじゃありませんが、やっぱり一番好きなのはアメリカンにデフォルメされたヤクザ描写。もともと「忍者」と並ぶ“日本を代表する悪のキャラクター”なワケですけれども、「逮捕されると自ら頸椎を破壊して自決する」なんて勝手な掟が出てくる「リトルトウキョー殺人課」を筆頭に、「パニッシャー」「ヤクザはお前たちの先祖が羊飼いの頃から東洋では悪の貴族よ!川`∀´)」と言い放つ女組長レディ・タナカとか最高じゃないですか。近年では、プレデターの狩りの対象になるわウルヴァリンと新幹線で戦うわと、すっかりエスカレートしてましてね。これからもヤクザの“そういう活躍”には超期待しているのです。


首を捻って自決! ヤクザたる者、こういう潔い死にざまを見せてほしいものです。
三角絞めでつかまえて-ヤクザが自害!

白塗りが魅惑的なレディ・タナカ。かなり濃いキャラだった記憶。
三角絞めでつかまえて-レディタナカ

プレデターvsヤクザというミラクルな対決も実現! アメリカ人のこういう発想を愛してる。
プレデターvsヤクザ

「ウルヴァリン:SAMURAI」では、とうとうミュータント並みの戦闘力を有してました (o^-')b ナイス!
ヤクザと新幹線で!


で、今作の話。暴対法暴排条例によって追い詰められたヤクザたちが、取り締まりの対象となる武器を捨てて、素手喧嘩(ステゴロ)を磨くことで事態の打開を図った→ヤクザと拳法といった内容ではなく(残念なボケ)。東海テレビの人たちが「① 取材謝礼金は支払わない」「② 収録テープ等を事前に見せない」「③ モザイクは原則かけない」という取り決めの元、二代目東組二代目清勇会の事務所に密着取材をして、犯罪臭は漂いつつも意外とほのぼのした日常を映し出しながら、二代目清勇会の川口和秀会長や、山口組の顧問弁護士・山之内幸夫さんの話を聞いたりしましてね。


リスクしかないような取材条件を受け入れた川口和秀会長。
川口和秀会長

ちなみに「ヤクザと拳法」で思い出すのが、「ドーベルマン刑事」に出てきた空手ヤクザの当間達也…って、どうでも良いですな。
空手ヤクザ・当間達也


そんな中、暴排条例のせいで銀行口座が作れなかったり、子どもが幼稚園に通えなかったり、保険を請求しただけで詐欺扱いされたりと、ヤクザの方々の世知辛い事情が語られまして。ラストは、山之内幸夫さんは弁護士資格を失うっぽい状況に追い込まれてしまい、二代目清勇会は組員が保険金の請求で揉めたせいで事務所をガサ入れされまして。圡方宏史監督が「もうヤクザを辞めた方がいいんじゃないですか?」みたいなことを聞くと、川口和秀会長が「どこで受け入れてくれる?」と答えて、若い部屋住みの青年も「それでもヤクザを続けます」みたいなことを語って、映画は終わってました。


山之内幸夫さんが在宅起訴された時のニュース動画↓ 撮影中にこんなことになるって、奇跡のようなタイミング。




もうね、とにかくスゴかったですよ。観る前は舐めていたんですけど、劇中では「これって球界の紳士たちも嗜んでいる野球賭博のお金では…? (`Δ´;) ヌゥ」とか「もしかして球界の紳士たちも嗜んでいるアウトな薬物を売っている現場なのでは…?(`Δ´;) ヌゥ」といった映像が流れたりするから、こんなのを映して大丈夫なのかと(法律監修をした“死刑弁護人”安田好弘さんによるとセーフとのこと)。その反面、出てくるヤクザたちは気の良いおじさんっぽかったりする人ばかりで、妙にほのぼのしてましてね。特に部屋住みの2人は、年配の方は愛想の良い普通の人って感じだったし、若い人は地味で真面目そうだったし、そんな彼らを観ていると「ヤクザだって人間だもの。by みつを」って思っちゃいますよね、やっぱり。


なんだかダメなことをして稼いだお金っぽいのです。こんな場面が映るとは…。
野球賭博中!?

部屋住みのヤクザが暮らす部屋。本棚には裏社会系だけでなく「犬と私の10の約束」といった癒やし系の本もあったりしてね。
部屋住みの人たちが暮らす部屋


つーか、川口会長も山之内幸夫さんも実に人間的な魅力に溢れている人たちでして。川口会長の方はカリスマ性と色気があって、話を聞いているだけで男気が漂ってくるというか。映画に出てくるカッコいいヤクザみたいなんですね。山之内幸夫さんの方も話は面白いし、言ってることはもっともな気がしてくるし…。「悲しきヒットマン」の話をする時とか、可愛らしさまで感じたほど。観ていると、ヤクザ社会の人たちにほだされそうになるのは確かです。


とにかくカッコいいオーラが漂っている川口会長。
カリスマ性がある!

僕は思わず「グレート巽と出会った丹波文七」のような気持ちになりましたよ(「餓狼伝」より)。
まぶしい


まぁ、僕のことを書くと、元警官だった時代、体格だけは良かったので、よくヤクザの事務所のガサ入れ要員に駆り出されましてね(苦笑)。当時のことはいろいろとトラウマになっているんですが、アグレッシ部なチンピラの方に延々とメンチを切られたりした時は、平静を装いながらも「早く家に帰りたいよぅ… (´Д`;) イヤーン」なんて思ったものですよ…(遠い目)。というか、今作でもガサ入れシーンがあるんですけど、大阪府警の方々のヤクザっぷりには驚いたというか。僕が立ち会った時の刑事の対応は“普通”でしたが、関西と関東はカラーが違うんですな。

でね、当時扱ったヤクザ絡みの案件も少し思い出しました。この映画でも部屋住みの若い子をドアの向こう側でしばくシーンがあるんですが、基本的にはもっとバイオレントじゃないですか。至極当たり前のことを書くと、「カタギには手を出さない」なんてのはファンタジーであって、球界の紳士だって恐喝されてるし、ヤクザの理不尽な“暴力”にさらされた人なんて腐るほどいて(肉体的なものだけでなく)。百歩譲って、川口会長とか本作に出演した方たちはそういうタイプじゃないのかもしれないけどさ、平松伸二先生が描くようなヤクザもわんさかわんさなんですよね、残念ながら。


因縁をつけて暴行したり…。
因縁をつけて暴行

ノミ行為で法外な金を取り立てるのは日常茶飯事。
ノミ行為

酷いのになると、女性を集団で暴行した挙げ句…。
女性を暴行

なんと球界の紳士たちも嗜んでいることで知られるシャブを打つ!
シャブを打つ!

そして、女性はすっかりシャブ漬けに…って、酷すぎるYO!ヽ(TДT)ノ
シャブなしではダメな体に

そんな奴らには法を無視してでもこんな目に遭ってほしいのが人情ですよね。以上、すべて「ブラック・エンジェルズ」からの引用でした m9`Д´) マストバイ!
理想の刑事・松田鏡二さん


だからね、ごめんなさい、どうしても「知ったこっちゃねーよ (`∀´)」って意地悪く思う部分はある。ただ、「昔はカタギとして子どもと暮らしていたけど、いろいろあってダメになった時、兄貴しか助けてくれなかった」みたいなことを語るヤクザの人とかは、僕だって1つ間違えばそういう状況になるかもしれないと思ったりもして。社会からドロップアウトした人の居場所的な役割を果たしていたりするんですよね。しかも暴排条例のせいで、足を洗っても数年は規制対象になったりと、辞めた後に生きるのも大変だったりするし…。さすがに追い詰めすぎな気もしてくるという複雑な気持ち。

というか、パンフで青木理さんが書かれていて頸椎を痛めるほどにブンブンと頷いたんですが、確かに暴排条例から連想するのはニーメラー「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」ですよね。なんかね、テロリストへの拷問の是非にも通じる話ですが、いくら反社会的な人たちだろうと、人権を無視してまで追い詰めて良いのかと。それで憲法の意味があるのかと。最近観た映画では「ブリッジ・オブ・スパイ」を連想したというか、僕たちは原理原則を守ってこそ“国”という存在を信用できるのではないかーー。


ここまでの僕の文章を読んだ方の心境を代弁する「六三四の剣」の審判を貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-浅い!2


と、知った風な文章をここまで書いた時点で、知恵熱で頭部が「スキャナーズ」ライクに爆裂しそうなので、もう止めておきますよ… (ノД`) イタイヨゥ 何はともあれ、社会的な問題を考えさせられるだけでなく、「ヤクザの人たちの暮らし」という普段はなかなか見られない映像の数々を堪能できる→モンド映画のような魅力もあるということで、僕はスゲー面白かったです。ハッキリ言って、この日本に暮らす人なら観といた方が良いんじゃないかしらん。東海テレビの他のドキュメンタリーのように、たぶんDVD化はされないと思うので、今のうちにどうぞ~。




白竜さんの主演作。ネタでなんとなく貼っただけなのに、スゲー観たい自分がいます。



鈴木智彦さんによるノンフィクション。面白いです。









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