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散歩する侵略者(ネタバレ)

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散歩する侵略者

散歩する侵略者

2017/日本 上映時間129分
監督・脚本:黒沢清
原作:前川知大
脚本:田中幸子
製作:中山良夫、永山雅也、大村英治、大角正、薮下維也、三宅容介、大柳英樹、松田美由紀、桜井良樹
エグゼクティブプロデューサー:門屋大輔、千葉善紀、青木竹彦
企画プロデュース:石田雄治、藤村直人
プロデューサー:荒川優美、高嶋知美、飯塚信弘
アソシエイトプロデューサー:大瀧亮
撮影:芦澤明子
照明:永田英則
録音:渡辺真司
VE&DIT:鏡原圭吾
美術:安宅紀史
装飾:山田智也
スタイリスト:纐纈春樹
ヘアメイク:HAMA
編集:高橋幸一
音楽:林祐介
音響効果:柴崎憲治
音楽プロデューサー:和田亨
VFXプロデューサー:浅野秀二
VFXディレクター:横石淳
スクリプター:柳沼由加里
助監督:北野隆
制作担当:相良晶
出演:長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、長谷川博己、前田敦子、満島真之介、児嶋一哉、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史
パンフレット:★★★☆(900円/内容もコラムもデザインもラストの場面写真を最後に持ってきた構成も良いけど、少し高いのではないか)
(あらすじ)
数日にわたって行方がわからなくなっていた夫・真治(松田龍平)が、まるで別人のように優しくなって帰ってきたことに戸惑う妻・鳴海(長澤まさみ)。それ以来、真治は毎日どこかへ散歩に出かけるようになる。同じ頃、町で一家惨殺事件が発生し、不可解な現象が続発。取材を進めるジャーナリストの桜井(長谷川博己)は、ある事実に気づく。不穏な空気が町中を覆う中、鳴海は真治から「地球を侵略しに来た」という衝撃的な告白を受ける。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※本作は、オチを知らないで観た方が絶対面白いので、未見の方は「B級侵略系SF映画」というボンヤリした認識で、映画版もしくは舞台版を観てみてくださいな。
※本作は、「へんげ」のネタバレに触れているんですけど、「へんげ」はネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、未見の人は読まないで!
※今回の感想は、人間の顔が割れるグロ画像が貼ってあるので、そういうのが苦手な人は読んじゃダメ!


「黒沢清映画は絶対観る!」という主義ではないんですけど(苦笑)、本作の元になったイキウメの舞台が大好きだったので、「黒沢監督はあの芝居をどうやって映画化するのか… (`Δ´;)」と期待するところがあって。ちょうど愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(略称:タマフル)の映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったということで、木曜日の夜に舞台版のDVDを観て復習してから、昨日、新宿ピカデリーで鑑賞いたしました。「愛なのね… (ノω・、) グスン」と涙が止まらなかったです。


8番スクリーン、8割ぐらいの入り。珍しく、入り口の表示板(?)が故障してましたよ。
8番スクリーン


最初にあらすじを雑に書いておくと、ある日、浮気が発覚したばかりの夫・真治が別人のようになってしまったので、奥さんの鳴海は「なによ、もう!川`Δ´) ンモゥ!」とイライラしていたんですけれども。実は真治ったら<概念を奪う宇宙人>に乗り移られていましてね。妹や取引先の社長などが概念を奪われて別人のようになったりして迷惑を被るも、素直に自分を必要としてくれる&大事にしてくれるので、鳴海は「なによ…もう… (´Д`;し ンモゥ」というまんざらでもない気分であり、彼を拘束しようとする国家権力から守ろうとしたりするのです。


夫の真治がワケのわからないことばかり言うようになってしまって。
加瀬真治(松田龍平)

妻の鳴海はイライラしながらも彼の面倒を看るのですが、しかし。
加瀬鳴海(長澤まさみ)

実は人間を指先1つでダウンさせられる<概念を奪う宇宙人>になっていたのです!Σ(゚д゚) ナンデスト!
概念を奪う


一方、ジャーナリストの桜井は、一家バラバラ殺人事件の生き残りである女子高生立花あきらを取材しようとしていたところ。自ら<宇宙人>だと語る少年・天野と出会いまして。最初は「侵略するためにきた」なんて彼の言葉を半笑いで受け止めていたんですけど、病院に忍び込んで立花あきらと接触すると、彼女も<宇宙人>だったことが判明。彼らの言う<侵略>が徐々に真実だということに気づき、密着取材を申し入れながらも、地球側と宇宙人側の間で揺れる想いを体中で感じたりするというね。


ジャーナリストの桜井がバラバラ殺人事件の取材をしようとしていたら…。
桜井(長谷川博己)

怪しい少年・天野が登場して、宇宙人だなんて言い出すからビックリですよ。
天野(高杉真宙)

そして、立花あきらと接触してみれば、彼女も宇宙人だったから、口がアングリ。
立花あきら(恒松祐里)

結局、桜井は迷いながらも「独占取材」として2人に同行するというロードムービーっぽい展開に。
3人で行動


で、そんな真治と天野&立花あきらが一瞬だけ接触すると、通信機から電波を送れば、すぐ侵略が始まる状況になりましてね。真実を伝えようとしてもわかってくれない民衆を前にして、「もうどうにでもな〜れ」的な気分になった桜井は、立花あきらが車にはねとばされて活動停止する中、天野と一緒に通信機のセッティングを開始。国の秘密機関的な集団から襲撃を受けて、天野は死亡するんですが、桜井が1人で通信機を作動させまして。ドローン兵器と戦って、桜井も爆死してしまうものの、侵略がスタートだッ!m9`Д´) ビシッ


桜井ったら、道行く人たちに思い切って警告してみたけど、誰も聞く耳を持ってくれなくて。
警告する桜井

天野に協力してみれば、秘密機関とのバトルで死んじゃいましてね。
天野vs秘密機関

最終的には桜井が通信機を発動! ドローンと戦闘して爆死だッ!ヽ(`Д´)ノ ウォォォォッ
ドローンが!


そのころ、鳴海は真治と一緒に逃げていて、ホテルに入るんですが…。もう人類が滅ぶことが確定していることを知ると、自分から<愛>という概念を奪うことを提案。真治が仕方なく<愛>を奪ってれば、すっかり“いいやつ”にトランスフォームするわ、<愛>を知った宇宙人たちも侵略を止めてくれるわで、人類は滅亡を免れたんですけれども。逆に<愛>を奪われた鳴海は廃人のようになって入院してしまって、真治が病室で「僕がそばにいるよ ( ´_ゝ`)」ってな調子で終わってたんじゃないかな、確か。


愛を得た真治は海を観て感動するようになり、愛を失った鳴海は何もわからなくなるというね… (ノω・、) グスン
海を眺める2人


最初に書いておきたいのが、舞台版のこと。低予算&舞台という条件で、これほどまでに面白い侵略系SFを表現できるなんてスゲェなと心底思った…のは2011年の話。特に宇宙人たちの<概念を奪う>という能力と、奪われた人間の「ヒザから崩れ落ちる演技」が恐ろしくて、今回、久しぶりにDVDで観直してみましたが、感心するところしかないのです。来月、都内で上演するみたいだから、また観に行きたいなぁ…なんて思いつつも、9月上旬にカツサンドを食べ過ぎたせいで、脳内では織田裕二さんが妙なテンションで「OVER THE TROUBLE」を歌うほどにお金がないのでした… (´・ω・`) ザンネン


舞台版のDVD。興味がある方は公式サイトから通販でどうぞ
舞台版のDVD


で、映画の話。舞台版と比較すると、当然のことですが、わかりやすいエンタメ要素を強化しつつ、話を転がしにくそうな“長谷部くん要素”を抜いて(所有の概念を奪われる丸尾の親友で、映画版には登場しない)、黒沢監督流に着地を変えていて。なんて言うんですかね、同じイキウメの舞台を映画化した入江悠監督作「太陽」を観てからオリジナルの舞台版を観てみたら、入江監督のアレンジや挑戦がわかって後から感心したことがあったんですが、それの逆というか。舞台版を観ていただけに、最初から黒沢監督の意図や苦労がわかりやすくて、スゲー面白かった…って、伝わりますかね。


すっかり「刃牙のリアルシャドーの跡を見た範馬勇次郎」気分…って、昨年も同じ画像を貼っていた進歩のないアタシ。
ずいぶん苦戦しやがったな、黒沢のヤツ


つーか、宇多丸師匠は黒沢監督の前作「クリーピー」評「黒沢清のいままでのフィルモグラフィー上の中でも、エンターテイメント性とのバランスが、言っちゃえば万人にすすめやすいバランス。トップクラスにいい1本なんじゃないかなと思います」と語っていましたが、黒沢弱者の僕的には本作はさらに飲み込みやすかったというか。いつもだったら「あんな雑な秘密機関はないだろ!( ゚д゚) キーキー」とか「あのドローンとの対決はなんだ!(`Δ´)」とか、キーキー文句をつけるところなんですけど、今回は原作の舞台を観ていたこともあって、あえて“チープなB級侵略系SF”を見せているのがよくわかって(銃声のわざとらしさとか)。立花あきらが家族を皆殺しにして、ダンプが横転するオープニングから「そうきたか!Σ(゚д゚;)」と驚かされたし、実相寺昭雄監督っぽい演出とかも良かったし…。正直、それでも「何がしたいんだろう… (`Δ´;) ヌゥ」と戸惑うところはあったけど(例えば、立花あきら役の恒松祐里さんのアクション自体はスゲー良かったけど、児嶋一哉さんと戦う場面の無駄な長さとか)、全体的にはとても楽しかったです。


このオープニング、テンションが上がりました。
オープニングシーン


それと、本作が非常にストライクだったのは、夫婦の話でもあったから。「本当に相手を思うなら、いつだってやり直せる」的な受け止め方ができる部分も好きなんですが、それ以上に「『vs 世界』となった時、愛する人を愛し続けられるか」という話としてグッときたというか(要は「神田うのを守れるか」的な)。なんとなく「へんげ」を思い出して、後半は鳴海に感情移入して泣きながら観てましたよ。つーか、本作で鳴海役を演じた長澤まさみさんは、僕が観た彼女の中ではベストであり、良いキャスティングをしたなぁって思ったり。


蹴られたボーイズほどではないですけど(苦笑)、この場面、僕もこんな風に殴られたいって心から思いました。
バカバカバカ

関係ありませんが、「怪しい彼女」のシム・ウンギョンによる龍虎乱舞も貼っておきますね。
龍虎乱舞


あと、ラストもスゲー好き。「愛を奪わせる」という展開は舞台と一緒ですけど、「その結果、侵略が止まる」というオリジナル展開は、実は僕も舞台を観た時に「愛という概念を知った宇宙人たちは侵略を止めるのでは?」と少し思ったので、「我が意を得たり!(°д°) クワッ!」という気分になった…というA-TO-DU-KE!m9`Д´) ビシッ つーか、マッチョな発言とか態度とか、それだけで自分が強くなった気分になれるから、とてもとても気持ちが良いものですけれども(汗)、結局、そういうのって根本的な問題は解決できないものね。なんかね、本作の「愛なんだ (´∀`)」オチは非常に素敵だなと思う44歳なのでした。


なんとなく「愛・おぼえていますか」を貼っておきますね↓ アタシ、忘れてた!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン!




その他、役者さんはみんな素晴らしくて、「仮面ライダー鎧武」の高杉真宙さんが頑張ってたのはうれしかったし、恒松祐里さんの身体能力には今後も注目したいと思ったし、桜井役の長谷川博己さんも飄々とした感じが楽しかった(天野に「地球、なめんなよ」って言ったシーンは吹いた)。つーか、パンフでは「カート・ラッセルみたいに」と言われたそうで、どこにその要素があったのかはわかりませんでしたが(汗)、今まで観た長谷川博己さんの中では本作の桜井役が一番好きかもしれません。唯一の不満が、牧師役の東出昌大さんで、絶対宇宙人だと思っていただけに拍子抜けした…って、これは監督の思惑通りなのかもしれませんな… (`Δ´;) オノレ


東出昌大さん、最近は「東出スマイル」が話題になっていただけに…。
牧師(東出昌大)

顔が割れたりするのかと思った…って、「寄生獣」が混ざっちゃった!Σ(゚д゚;) ワザトラシイ
寄生獣で顔が割れる東出さん


ううむ、「とは言え、本当の夫の心は眠らされたままなんだよな…」とか思うところもあるんですが(ちょっと「ミッション:8ミニッツ」にも通ずる問題)、僕が観た限りでは、黒沢監督作で一番好きでしたヨ (´∀`=) ウフフ こんなに良かったのは、芝居を観てから映画を観たせいなのか、そうでもないのかが自分でもわからないので、本作を観た人の話を聞きたいなぁなんて思ったりしてね。何はともあれ、興味がある方は、どちらでも良いから観ておくと良いとザンス。おしまい。




黒沢清監督の前作。僕の感想はこんな感じ



サントラ。デジタル盤もあります。



黒沢清監督のインタビューなどが詰まった一冊みたい。



前川知大さんによる小説版。舞台版のノベライズっぽい。



鑑賞中、非常に連想した入江悠監督作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく連想した大畑創監督作。僕の感想はこんな感じ








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