15時17分、パリ行き
原題:The 15:17 to Paris
2018/アメリカ 上映時間94分
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作:ティム・ムーア、クリスティーナ・リベラ、ジェシカ・マイヤー
製作総指揮:ブルース・バーマン
原作:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、ジェフリー・E・スターン
脚本:ドロシー・ブリスカル
撮影:トム・スターン
美術:ケビン・イシオカ
衣装:デボラ・ホッパー
編集:ブル・マーレイ
音楽:クリスチャン・ジェイコブ
出演:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、ジェナ・フィッシャー、ジュディ・グリア、レイ・コラサニ、P・J・バーン、トニー・ヘイル、トーマス・レノン、ポール=ミケル・ウィリアムズ、ブライス・ゲイザー、ウィリアム・ジェニングス
パンフレット:★★★★☆(820円/インタビューにタメになるコラム6本、対談と盛りだくさん!)
(あらすじ)
2015年8月21日、オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男が無差別殺傷を試みる。しかし、その列車にたまたま乗り合わせていた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、未曾有の惨事を防ぐことに成功する。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
95点
「クリント・イーストウッド監督の最新作だから観なくっちゃ!(*゚∀゚)=3 ムッハー」なんて思ったワケではなく。予告編に興味深いシーンがあったのと、愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったこともあって、3月1日=映画の日、TOHOシネマズ新宿で2回観て来ました。なんで同じ日に2回も観たかと言えば、超感動したからだYO!ヽ(TДT)ノウワァァァン! いや、スゲー舐めてた分、予想外の大ダメージというか。たぶん今までに観たクリント・イーストウッド監督作の中でも1・2を争うぐらいに好きな映画になったのだから、映画鑑賞というのは面白いもの、ですな(知った風な口調で)。
午前中に5番スクリーンで観て…。
夜の最終回、同じスクリーンで2回目を観たのです。どちらもほぼ満席でしたよ。
お話を簡単に書くと、「幼いころから仲良しだった3人組が、すっかり大人になってヨーロッパへ旅行して、アムステルダムでハードに拷問された素敵な夜を楽しんでから“15時17分発パリ行きの高速国際列車タリス“に乗り込んでみれば、銃を乱射する男に出くわしたので、見事に制圧&人命救助して、みんなに褒められました (´∀`)(´∀`)(´∀`) ヤッタネ!」ってな調子。観る前は、「テロ事件当日の様子を様々な乗客の視点から描くのだろうよ… (`Δ´;)」などと思っていたんですが、そんなことはなく。銃を乱射することになる男アイユーブ・ハッザーニが列車に乗り込むオープニングから、途中途中で“事件”の映像も挿入されながらも、基本的には「仲良し3人組の青春模様」がずっと描かれるから、結構ビックリいたしました。
主人公は3人。1人目は、ミリオタのスペンサー。アメリカ空軍の救急救命士でして。
2人目は、州兵のアレク。スペンサーの隣の家に住んでいて、小学校からの親友なのです。
3人目は、大学生のアンソニー。タイトル後はこいつのナレーションが入ります。
この3人の幼いころから…。
アムステルダムのクラブでハメを外して、二日酔いになる姿まで見せられるというね。
だが、それがいい。本作は2015年8月21日に発生した「タリス銃乱射事件」を扱っているワケですが、予告編でも映る「銃を持つ犯人に向かってスペンサーが突進する」場面の後に起きたのは、「引き金を引いたら不良弾薬だったので発射されなかった」という“2000発に1つあるかないかの奇跡”でして。とは言え、これって普通に事件だけを描いている中で見せられたら、「へー、そんなことが起きたんだ (゚⊿゚) ヨカッタネー」ぐらいの気持ちだったと思うんですけれども。「幼いころからサバゲーなどを通じて銃に親しんでいた」とか「アレクとスペンサーが軍隊に入った」とか「ボールペンで立ち向かおうとした」とか「応急処置を学ぶシーンで“首を負傷した場合”について教官から『独創的な方法を考えろ』みたいなことを言われていた」とかとか、彼らの人生を観て来たがゆえに、あの“奇跡”がさまざまな積み重ねが呼んだ“必然”に見えた…って、伝わりますかね。
予告編を観るとスゲー気になるこの場面、不発というオチだったり。
それに、昨今は「アメリカで軍隊に入るのは低所得者」というイメージがあって、いわゆる“頭が良い方々”にバカにされがちじゃないですか(って、これ自体が“僕の偏見”でもあるんですが…)。ただ、スペンサーやアレクを幼いころから描いて見せることで「軍人だって“普通の若者”」ということがよく伝わってきたというか。スペンサーの部屋に「フルメタル・ジャケット」や「硫黄島からの手紙」
という「軍隊、最高!ヘ(゚∀゚*)ノ イエーイ!」とはほど遠い作品のポスターが貼ってあったのは、「銃器や戦争に興味があっても、それはそれ!m9`Д´) ビシッ」という監督のメッセージだと思うんですよね。
部屋のポスターが「硫黄島からの手紙」だったことには意味があると思うのです、たぶん。
ううむ、ごめんなさい、何を書きたいのか混乱してきましたけど(汗)、要は、3人の幼いころや日常を見せられたことで、「事件というのは、誰もが突発的に巻き込まれるもの」という現実をあらためて自覚しただけでなく、「誰もが“良いこと”ができる可能性を持っている」ということを思い出させられたというか(いや、もちろん軍人が2人いたから制圧できたとも思いますが、軍人としての彼らはドジッ子だったり、落ちこぼれだったりと、決して優秀じゃない)。作品の毛色は違うけど、先々月に「8年越しの花嫁 奇跡の実話」を観た時の気持ちに少し近くて、「大切なのは“良く生きること”なんだな… (ノω・、)」なんて思わされてね、深く感動した次第。
ちなみに、パンフを読むと犯人側の事情も興味深かったんですが、話がブレるので描かないのは仕方なし。
それにしても、イーストウッド監督はスゴいですな。オリジナル脚本より企画が通りやすいからなのか、イーストウッド監督作に限らず、昨今は実話ベース映画が増えている印象でして。とにかくラストに本人映像が流れる演出が多くて、それが「世界まる見え」っぽく感じられて辟易することも少なくなかったんですけど、とうとう「自分自身を演じさせる」という究極の再現ドラマに足を踏み入れるとは… (`Δ´;) ヌゥ とは言え、スペンサーはちょっと変わった人だし、アレクは寡黙なキャラだし、アンソニーは気が利いた男だったりした上に、3人とも自分自身を演じるからなのか、演技は実に自然であって。しかも、鑑賞後にパンフを読んだら、撃たれた人まで本人が演じていたから、「そこまでやるか!Σ(゚д゚;)」と感心いたしました(その奥さんも本人)。もう87歳だそうで、ここに来てこんなチャレンジングな映画作りをするなんて、マジで尊敬するというか。次回作が非常に楽しみだと思ったり。
ラストは実際の表彰&パレード映像が流れてましたが、本編とまったく違和感がなくて面白かったです (・∀・) ソリャソーダ
一応、気になった部分を書いておくと、「そのすぐ後にパリ同時多発テロ事件が起きたことを考えると微妙に興を削がれる」といったことだけではなく。正直、「予告編で期待したこと」が描かれなかったのは残念だったなぁと。というのは、僕は「銃を持つ犯人に向かってスペンサーが突進する」場面を観た時、「素手の人間がどうやって銃弾を防ぐのか?」が観られると思ったのです。僕ら人間は銃器に対してあまりにも無力ですけど、だがしかし。軍人なら“何らかの対処法”を学ぶのではないか? 僕的には「振り上げた右腕を盾にして防ぐのでは?」と考えたものの、犯人が持っている銃器を見る限り、それは無理っぽい(腕がちぎれそう)。で、実際に観てみたら“単なる不発”だったので、結構ガッカリした…なんて、驚くほどどうでも良い文章を書いてゴーメンナサイヨ!( ゚д゚) ゴーメンナサイヨ!
福本伸行先生によると、手によって銃弾を防ぐことは不可能ではないとか(「銀と金」より)。
となると、ストーンはこの右手で弾丸を防いだのではないか?
さらに半身で急所を隠して念能力を使えば、もはや銃では止められない…って、すみませんでした(「HUNTER×HUNTER」より)
何はともあれ、「シングルマザーの家庭」「大男」「坊主頭」「罰で腕立てをさせられる」「柔術が好き」などの要素により、スペンサーにスゲー感情移入しちゃったのもあって(訓練シーンも良かった!)、微妙に長い観光シーンの数々も「お前ら、ハメ外しすぎだゾ (´∀`) ンモウ!」と楽しんじゃったぐらいに、自分でも不思議なほど大好きな映画だったというか。なんかね、「良く生きよう」と思わされましたよ。まぁ、「テロリストに立ち向かう」のは無理だと思いますが(汗)、「困っている人がいたら助ける」ぐらいは心掛けられたらいいのにな、そうだったらいいのにな (・ε・) オシマイ
事件を取り上げたノンフィクションでございます。読もうかなぁ。
クリント・イーストウッド監督の前作。僕の感想はこんな感じ。
スペンサーの部屋に貼ってあったポスターの映画、その1。
スペンサーの部屋に貼ってあったポスターの映画、その2。
そして現在、僕の部屋に貼ってあるポスターの映画…って、関係ないな!Σ(゚д゚)
↧
15時17分、パリ行き(ネタバレ)
↧