オデッセイ(2D・字幕版)
原題:The Martian
2015/アメリカ 上映時間142分
監督・製作:リドリー・スコット
製作:サイモン・キンバーグ、マイケル・シェイファー、アディタヤ・スード、マーク・ハッファム
原作:アンディ・ウィアー
脚本:ドリュー・ゴダード
撮影:ダリウス・ウォルスキー
美術:アーサー・マックス
衣装:ジャンティ・イェーツ
編集:ピエトロ・スカリア
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・ペーニャ、ショーン・ビーン、ケイト・マーラ、セバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョフォー、ドナルド・グローバー、マッケンジー・デイビス、ベネディクト・ウォン、ニック・モハメッド、チェン・シュー、エディ・コー
パンフレット:★★★★☆(720円/タメになるコラムが載りまくっていて、映画の補完にピッタリ!)
(あらすじ)
火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)。乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を企て、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。(以上、シネマトゥデイより)
予告編はこんな感じ↓
70点
※今回の記事は、「ミッション・トゥ・マーズ」や「レッドプラネット」
、「インターステラー」
、「ウォッチメン」
などのネタバレに触れているので、知りたくない人は気をつけて!
※今回の記事は、「オデッセイ」が好きな人は不快になる恐れがあるので、読まないで!
※今回の記事は、映画とは関係のない文章がダラダラダラダラ書かれているので、カゲヒナタさんやくららがたったさん、ナイトウミノワさんのブログを読んだ方が良いです。
リドリー・スコット監督の最新作(しかもSF)であり、尊敬する映画評論家の町山智浩さんも「たまむすび」で絶賛されていたということで、観る気はマンマン。基本的に「特典が付かない前売り券は買わない主義」だったにもかかわらず、なぜか購入していたほどだったりしてね。さらに、今週のムービーウォッチメンの課題作品になったということで、TOHOシネマズ新宿で観て来ました。良く出来てて面白かったです。
「ザ・ウォーク」と一緒に購入していた前売り券。いつ買ったんだろう… (・ω・;) ウーン
9番スクリーン、結構混んでましたよ。人気あるんですかね。
簡単に書くと、火星に取り残された男が必死にサバイバルする映画でしてね。せっかく火星が舞台なのに、古代文明を発見することはないし、昆虫が襲ってきたり
もしないし、先住民族の亡霊に取り憑かれる
こともないし、謎のウィルスのせいでダッシュ系ゾンビになる
こともないし、アーノルド・シュワルツェネッガーが人を殺しまくる
こともないし、テイラー・キッチュが半裸を見せる
こともなければ、人型に進化したゴキブリと死闘を繰り広げることもない…。なんて書くと地味でつまらなく感じるかもしれませんが、これが実に面白いからビックリですよ。
事故により、火星に単身残された主人公ワトニー。科学を武器にサバイバルするのです。
要は「ロビンソン・クルーソー」の火星版というだけでなく、宇宙空間でのサバイバルを描いた「ゼロ・グラビティ」のように「一歩間違えたら即死」な状況下でもあって。まぁ、僕は「ゼロ・グラビティ」
のおかげで「宇宙空間では手をバタバタさせても前に進まない」ということを知ったレベルなのでね(って、「ゼロ・グラビティ」もおかしいところは多いみたいですが…)、科学考証云々についてはサッパリなものの、状況設定に映像、出てくるガジェットに話の展開などなど、実話ベースの映画「アポロ13」
のようにとにかく説得力があるので、恐ろしくハラハラさせられるのです。映画冒頭で「実話に基づくーー」なんて出ても違和感を感じなさそうというか、「これ、火星でロケしたんだぜ (`∀´) ケケッ」なんてウソをつかれても、「そうだと思った (゚⊿゚) ヤッパリ」なんて答えてしまいそうなほどでしたよ。
こういうことが実際にできるかどうかは知りませんが、スゲー説得力がありました。
その上、マット・デイモン演じるワトニーがユーモアに溢れたポジティブ野郎でしてね… (´Д`;) カッコイイ 「ダイ・ハード」や「ゼロ・グラビティ」
などの主人公たちもそういうところがありましたが、ピンチの時に元気を出せる人こそカッコいいじゃないですか。凡人なら頭を抱えて「うわー」なんて泣き叫びそうな状況に陥っても、すぐ冷静に状況を分析してジョークを交えながら困難を乗り越える姿には、憧れちゃったというか(たぶん僕だったら劇中で100回ぐらいは死んでる)。まぁ、今作はワトニーだけでなく、登場人物全員がカルカンを見つけた猫ライクに目標に向かってまっしぐらなところが気持ち良くて(多少の軋轢はあれど、変にウジウジ悩んだりしない)、こういう風に仕事ができる人間になりたいと43歳ながらに思ったり… (ノД`) テオクレ...
名著「炎の転校生」で伊吹一番がこう言っていたように…。
苦しい時にもユーモアを忘れないのが男! 絶望的な状況でもジョークを飛ばすワトニー、さすがだぜ!
僕は「花山薫に憧れる柴千春」のような気持ちになりましたよ(「グラップラー刃牙」より)。
役者さんたちも良かったですね。マット・デイモンは「インターステラー」を観た人なら誰もが「同じような状況で最悪な行動をしまくったマン博士」役を思い出すワケですが、そういう部分でも面白いなぁと。同じく「インターステラー」
に出ていたジェシカ・チャステインもアレス3の船長役(元軍人)が似合っていて素敵でした。それと、アレス3の仲間マルティネスを演じたマイケル・ペーニャは相棒役が本当によく似合うというか、この人が出てくるだけでホッとしますな。その他、クリステン・ウィグとかジェフ・ダニエルズとかショーン・ビーンとかキウェテル・イジョフォーとか、みんな良い仕事をしていて、非常に良いキャスティングだったのではないでしょうか。
「卑怯者じゃない」という割には卑怯な行動を取りまくるマン博士。ただ、ワトラーが「のちのマン博士である」という可能性もなくはないような気がしないでもない。
クリステン・ウィグはコメディの印象が強すぎて、パンフを読むまで気付きませんでしたよ(「ブライズメイズ」より)。
なんとなく「Mr.ダマー」のジェフ・ダニエルズを貼っておきますね。続編、見逃しちゃったんだよなぁ。
それと、脚色も素晴らしかった。映画を見終わった後、早速、原作である「火星の人」のkinde版を購入して、今週はずっと読んでいたんですが、これがかなり面白い。映画のキャストたちを当てはめながら読めるのも良くて、正直、僕は映画よりも好きでしたね。で、小説を読んだことで、映画化するにおいて「どこを省いて、どこを変えたのか」がよくわかるワケですけど、それが非常に上手くいってた印象。ピンチの数を減らして圧縮しつつ、「ラストで宇宙服に穴をあけてアイアンマンのように飛ぶ」という風に映画的な見せ場も作り、さらに「独断でアレス3のクルーたちに情報を教えてしまったミッチ(ショーン・ビーン)が処分される(でも本人も納得している)」とか「『もう二度と宇宙には行けない』と言ってたけど、ラストにまた宇宙へ行くマルティネスが映る」なんて要素も加えていて、良く出来てるなぁと感心いたしました。
小説、読みやすくて面白かったですぞ。
あくまで「火星の人」であって「仮性の人」じゃないので気をつけて…という雑なボケ(「サルまん」より)。
一応、オチを書いておくと、火星に残されたワトニーは、苦しんだ挙げ句、ジャミラ化して地球に戻った…という公式ツイッターですら言及していたボケは置いとくとして(不要な文章)。作物を作ったり、前の探査に使われたものを利用して地球と通信を取ったりしたら、地球の人たちも助けてくれるようになりまして。すったもんだがあった挙げ句、アレス3がもう一度、火星に戻ってワトニーを助けることになって(クルーたちが躊躇なく救助を選ぶのが泣ける!)、いろいろなトラブルに見舞われつつも無事救助されて、めでたしめでたし。正直、僕は「ウォッチメン」などの「外敵が現れることで世界が1つになる」的な考えの方が乗れるタイプであって、今作の「人間は誰でも互いに助け合うのが基本であり本能」という思想なんかはちょっと飲み込みづらかったりもするんですが、たまにはその甘さも美味というか。非常に美味しい映画でございました (´∀`) ナンダソリャ
こんな展開になったらなったで、結構楽しかった気がしなくもない(「ウルトラマン」第23話「故郷は地球」より)。
その他、サントラが良かったとか、書きたいことはあるんですが、長くなるので割愛するとして。こんなにベタ褒めなのに70点の評価だったのは、超個人的な理由が3つあるためなのです。まず1つ目は、もっとDASH村っぽいのかと思ってた (´・ω・`) ネットを眺めれば、やたらと「火星DASH村」なんて文章が流れてたから結構期待していたら、ジャガイモを作るだけなんですもの…。いや、それだって大変なのは十分承知なんですけど(汗)、もっと蕎麦を打ったりするのかと思ってたし、例えば「燃料のヒドラジンはそのままでは猛毒だけど、イリジウム触媒を使うことでソース味になって…?」とか「火星の土と小麦粉を混ぜ合わせてパンケーキを焼いてみた」とか、そんな火星クッキングが見られるのかと勝手に思い込んでいただけに、ちょっと残念でした。
ジャガイモだけでなく、もっといろいろ植えるのかと思ってました。
もう「オデッセイ」が好きな人はすでにブログから去ってしまったと思いますが、2つ目は、とても恥ずかしい思いをしたから。正直に告白すると、あまりにリアルな内容だったから、映画を見終わった直後は「人類もいつの間にか火星に行ってたんだな」とカン違いしてまして…。残念な話ですけど、「日本のトップアイドルが雇用主に奴隷のように公開処刑された」とか「球界の紳士が違法薬物を嗜んでいた」とか、その手のゴシップは「バラいろダンディ」などでよくチェックするものの、一般のニュースにはハリーとトント疎い僕ですから。「知らない間にNASAの人とかロシアの人とか誰かが火星に降り立っていた→それを参考に話を膨らませたのだろう」と思い込んでいたというね。で、帰宅してトイレに入りながらパンフを読んだら、まだ人類は火星に到達してなかったから驚いた…って、伝わりますかね。自分のあまりの頭の悪さに愕然として、スゲー恥ずかしくなった次第 ('A`)
僕の気持ちを代弁する「いつかティファニーで朝食を」第8巻の佐藤麻里子を貼っておきますね (ノω・、) マリチャン...
多くの人がここにたどり着くまでに当ブログをそっ閉じしたと思いますが、3つ目の理由は、実害があったから。今週木曜日、仕事で水戸に行きまして。夜は取引先の方と飲んだんですが、つい盛り上がってしまって、東京への終電を逃した→水戸に取り残されてしまったのです。
夜の水戸駅を貼っておきますね。
急遽、ビジネスホテルに宿泊したのですが、そうなると娘のマナ子(仮名/4歳)を保育園に送ることはできない…。奥さんにメールを送ろうと思ったものの、今週月曜日に「台所に置くコップは1人2つまで」という些末にもほどがある理由で揉めて大きなケンカに発展してまして。備忘録で「正直、バカらしくなってきました」なんて文章を書きながらも、妻を愛しているのでね(苦笑)、翌日にはすぐに仲直りをしようと画策しても、まったく口を利いてくれず木曜日に至っていただけに、どういう文面にした方が良いのかなぁと。そこで思いついたのが、ユーモアですよ。
映画の補完にピッタリのパンフに載っていた添野知生さんのコラムが「ユーモアは最高のサバイバル・スキルなのだ」というタイトルだったように、僕も「オデッセイ」で一番学んだのは、どんなツラい時でもユーモアを忘れないという姿勢。ちょうど原作小説を読み終わった直後だったこともあって、若干、影響された文体で、月曜日のことを謝罪しながら、現状を自虐したりして。同棲期間も入れれば約13年間付き合っているワケですから、彼女の笑いのツボを十分押さえたであろうメールを送ったんですが、しかし。彼女の返信は憤怒に包まれていたから口がアングリ状態になりました。
奥さんのメールの文面を範馬勇次郎で表すとこんな感じ(「刃牙道」より)。
謝罪する時にふざけるのはアウト。仕事で何度もクレームを処理してきたハズなのに、ここにきて初歩中の初歩を忘れるなんて… (ノДT) アタシッテホントバカ おかげさまで今も気まずい状態が続いているということで、前述の2つの理由と合わせて-30点の70点という着地。いや、基本的には非常に良く出来てて面白い映画なので気になる人はぜひ観てほしいんですが、今の僕は火星よりも家庭でサバイバルする方法が知りたいです(上手いことをいった風なドヤ顔を添えてーー)。
宇宙繋がりで貼ってみたリドリー・スコット監督作。実はこっちの方が好き (´∀`;) エヘヘ
原作小説の上巻。kindle版もあります。
歌だけのサントラ。スコアが一緒になったバージョンもありますぞ。
今年1月にDVDリリースされたスペイン製のSFドラマ。面白いんでしょうか。
アサイラムによる便乗映画もありましたよ。
↧
オデッセイ(2D・字幕版)(ネタバレ)
↧