万引き家族 2018/日本 上映時間120分
監督・脚本・編集:是枝裕和
製作:石原隆、依田巽、中江康人
プロデューサー:松崎薫、代情明彦、田口聖
アソシエイトプロデューサー:大澤恵、小竹里美
撮影:近藤龍人
照明:藤井勇
録音:冨田和彦
美術:三ツ松けいこ
装飾:松葉明子
衣装:黒澤和子
ヘアメイク:酒井夢月
音響効果:岡瀬晶彦
音楽:細野晴臣
助監督:森本晶一
キャスティング:田端利江
制作担当:後藤一郎
ラインプロデューサー:熊谷悠
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林、毎熊克哉、堀春菜
パンフレット:★★★★☆(800円/インタビューやコラムが充実。家の見取り図が好き)
(あらすじ)
東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝(樹木希林)の年金を目当てに、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子(佐々木みゆ)を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。(以上、
映画.com より)
予告編はこんな感じ↓
95点 ※今回の記事は、下品な下ネタが書かれている上に、ダラダラと長いので、そういう文章が苦手な人は読まない方がよござんす。 基本的に是枝裕和監督作は決して嫌いではないんですが、本作に関しては観る気が起きなくて。というのは
「万引き家族は日本人の発想じゃない」「”捏造”に近いです」 なんて心底どうでも良い的外れな反発を覚えたからではなく。「オレたちに盗めないものはないぜ!川`Д´)人(`Д´)人(`Д´)人(`Д´し」といった
痛快万引きムービー ならともかく、貧困家庭を描いたお話なんて、先日観た
「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」 が超ヘビーだったのもあって、まったく観る気がナッシング。そりゃあ、
カンヌでパルムドールを受賞したのはスゴい けどさ、別に
「うなぎ」 だって観てない&今後も観る予定はないし、他に観たい映画がたくさんあるということで、スルーするつもりだったんですが、しかし。愛聴しているラジオ番組
「アフター6ジャンクション」 の週刊映画時評コーナー
「ムービーウォッチメン」 の課題作品になったということで、「付き合いだしな (゚⊿゚) シカタネー」と偉そうな態度で
TOHOシネマズ新宿 で鑑賞いたしました。ちくしょう、
案の定、キツかったです… ('A`) ゲンナリ 「心の“逃走経路”」 として準備していた
「ランペイジ 巨獣大乱闘」 をすぐにハシゴ鑑賞して精神のバランスをとらなかったら、最悪、死んでいたかもしれませんな。
4番スクリーン、満席でした。
最初に雑なあらすじを書いておくと、東京の下町にある狭い平屋で、祖母っぽい初枝に、夫婦っぽい治と信代、その息子っぽい祥太、信代の妹っぽい亜紀の
5人家族(血縁関係はナシ) が働きながらも万引きしたりして暮らしてましてね。寒い冬の夜、治がマンションの外に放置されていた少女じゅりを保護してみると、体が傷だらけ→
モロに虐待されていたことがわかった ので、なし崩し的に
一緒に生活することに。 仕事の状況は厳しく、金はまったくないものの、そこそこ幸せに暮らしていたんですが、しかし。初枝が老衰で亡くなったことから少しずつ歯車が狂ってきまして。いつも万引きしていた小さな生活雑貨屋の親父から優しく諭されたことにより、祥太が
「もしかして悪いことをしてる!? Σ(゚д゚;)」 と疑問を持つようになった結果、
わざと警察に捕まってしまう のです。
万引きで食料をゲットした治と祥太がホクホク顔で帰宅していると…。
寒空の下、マンションの廊下にじゅりが放置されていたのです (´・ω・`) ヒドイ...
で、連れ帰ってみれば、6人家族が出来上がり。
だがしかし、自分の存在意義が揺らいだ祥太は、あえて無謀な万引きをして、逮捕されるというね。
息子を見捨てて逃げようとした家族が警察に逮捕されると、取り調べの過程で、夫婦は偽名でどちらも前科があったりとか、初枝が亜紀の両親から金を引っ張っていたことを亜紀が知ってショックを受けたりとか、
いろいろと発覚。 じゅりは虐待親の元に戻り、祥太は施設で暮らすこととなり、信代は男気全開で誘拐や死体遺棄の罪を被って刑務所に入りまして。その後、一人で暮らしている治のところに祥太が遊びに来たので、治は見捨てようとしたことを謝りましてね。バスに乗って去っていく祥太を治が走って追いかけたり、マンションの外に放置されたじゅりが
また誰かが迎えに来てくれることを期待するような顔 をしたりして、映画は終わってましたよね、たぶん。
祥太を見捨てて逃げようとしたら、アッサリ捕まっちゃいまして。
ラスト、治をバスから振り返る祥太は何を思ったんでしょうかね…。
「巣鴨子供置き去り事件」 をモチーフにした
「誰も知らない」 から始まった
是枝裕和映画の集大成的作品 …なんて評価については、僕は
「誰も知らない」 を観てないので、よくわかっていないんですけれども(だってキツそうなんだもの)。
まぁ、とにかくキツかった。 もうね、全員が芸達者揃いな上に子役たちもマジ素晴らしくて。
是枝演出 なんて言われますが、よその家を覗き見ているような感覚に陥るほどの自然かつ温かいドラマが繰り広げられていて、本当に
ホッコリ させられるんですが…。観客はもちろんのこと、登場人物たちもどこかで
「こんな生活が続くワケがない」 (息子は学校に行かせていないし、誘拐した子を育て続けられるワケもないし、祖母の元には民生委員が定期的に訪れているし)と薄々自覚していて、
その刹那感が作品の根底をずっと流れている ため、幸せそうな場面がバンバン繰り広げられる分、後の悲劇を連想してずっと涙が止まらない感じ。例えば、みんなで海水浴に行くシーンは、その幸福な空気に心が温かくなりながらも、
「この後は下り坂」 というムードが確実に漂ってたため、
「止めて…ッッ (ノДT)」と愚地夏恵気分になった というね。
この海のシーン、幸せの絶頂感がムンムンすぎてスゲー怖かったというか。
僕の気持ちを代弁する愚地夏恵…って、
最近も貼りましたな。 つーか、やっぱり先日観た
「フロリダ・プロジェクト」 っぽくて(仲が良い風の同僚が、生活が苦しくなりそうになると「じゅりをダシに脅す」くだりとか、友人に縁を切られたシーンを連想した)。特に、宇多丸師匠が
「人、もしくは人の生き方を、ジャッジしない視線」 と評したあたりが似てるなぁ…と思いながらも、本作はそこに是枝監督の
「社会への怒り」がプラスされていた印象。 とは言え、彼らを善とも悪とも描かず、虐待や貧困、家族のあり方、教育、年金不正受給問題、
車内に子どもを置き去りにする事件 、前科者の更正(あの夫婦がちゃんとした仕事に就けなかったのは、前科がネックだったのでは?)などなど、さまざまな社会問題を盛り込んで、
判断を観客に投げるグレーな着地 は、本当に
大人な映画 であって。最近は、すぐに右だ左だって両極端になるけどさ、
1かゼロで即解決できる問題なんて滅多にない し、
ナチスだ なんだと最低な発言ばかり目立ってクズっぽく見える高須院長だって
ちゃんと寄付や慈善活動をしたりと 決して悪い人ではないんだよなぁ…ということで聴いてください、
RHYMESTER で
「グレイゾーン」 (突然、ラジオパーソナリティ風に)。
杉作J太郎監督作
「任侠秘録人間狩り」 のテーマソングだったりするのです↓
【任侠秘録人間狩り】予告編 あと、そりゃあ役者さんには褒めるところしかなくて。入れ歯を外して撮影に臨んだ
樹木希林さんの凄まじさ は言うまでもないんですが、
一番グッときたのは安藤サクラさん。 中年のイイ女に見えたり、母に見えたり、裸が超エロかったり、本当に人を殺しそうに見えたりと、
サクラ祭りでワッショイ状態 であり、あらためて彼女のスゴさを見せつけられたというか。フフフ…突然下品なカミングアウトをすると、昨年の4月に僕は彼女と夢の中で会って、45歳にもなって夢精してましてね…(遠い目)。現在、僕の中では一番の
「抱かれたい女優」 かつ
「素麺を一緒に食べたい女優」 であって、もし柄本佑さんに会ったら「良い女性と結婚しましたな ( ´∀`)σ)Д`) コイツゥ」なんて馴れ馴れしい口を叩いてブッ飛ばされそうな気がする…ということを書き残しておきましょう(偉そうに)。
樹木希林さん、ちょっとブラックな雰囲気は
「歩いても 歩いても」 を連想しました。
安藤サクラさん、良い女優さんですよねぇ…(しみじみ)。
僕の安藤サクラさんへの気持ちを代弁する範馬勇次郎を貼っておきますね(
「グラップラー刃牙」 より)。
な〜んて褒めつつも、唯一の不満が
「JKリフレ」 の描き方。まぁ、詳しいことはわかりませんが(苦笑)、ハッキリ言って、松岡茉優さんのような女性の方から客に積極的なアプローチをしてきて最終的には付き合うことになる…なんてのはさ、
あまりにファンタジーがすぎる というか。まだ
「パシフィック・リム アップライジング」 の天才少女が単独でイェーガーを作っちゃったことの方が飲み込める級のリアリティじゃないですか。もちろん、そういうことも「なくはない」のかもしれませんが、
自己を発狂寸前までに追い込む荒業を条件に発動できるレベルの奇跡 なんじゃないの? なんて言うんですかね、若者の教育的にもスゲー良くなくて、
「夢見させるようなことを言うな!!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン!」 と思った…って、面倒くさいですな。
僕の気持ちを代弁する
木暮公延 を貼っておきますね(
「スラムダンク」第8巻 より)。
その他、思うところを書くと
「子どもたちの台詞とリアクションが信じられないくらいリアル」とか「近作では吉永小百合さんに欲情していた毎熊克哉さん が出演されていてうれしかった」とか「誰かの『是枝監督作の樹木希林はMCU のサミュエル・L・ジャクソンっぽい』 といったツイートに笑った」とか「柄本明さん演じる店主が見て見ぬ振りをしていた展開がスゲー好き」とか「“世間一般の正論”をぶつける刑事を演じた高良健吾さんと池脇千鶴さんのキャスティングは、虐待を扱った『きみはいい子』 から?」とか「『勝手にふるえてろ』 の影響で松岡茉優さんがヨシカにしか見えない→エロいシーンが痛々しく感じてしまう」とか「『店の物を盗む』という理屈で万引きを正当化していたのに『人の物を盗む』車上荒らしに手を出すことで治が信頼を失う脚本に感心」とか「リリー・フランキーさんの走り方が情けなくてイイ!」 とかとかとか。何はともあれ、
“じゅりちゃんのその後” とか思うと胸が痛くて死にたくなるので、ううむ、観なければ良かった感もなくはないんですけど、トータルすれば
助成金があーだこーだ とかどうでも良くなる
超素晴らしい映画 でしたよ… (iДi) イイエイガダナー 興味がある人はぜひ劇場に足を運んでみてくださいな。
リリー・フランキーさんが父親役で登場した是枝裕和監督作。僕の感想は
こんな感じ 。
デジタル盤のサントラがありました。
是枝監督自身による小説版。kindle化されたら読もうかなぁ。
巣鴨子供置き去り事件 から着想された是枝監督作。未見なのです… (´・ω・`) ウーン
ちょっと思い出した呉美保監督作。僕の感想は
こんな感じ 。