
原題:Tully
2018/アメリカ 上映時間95分
監督・製作:ジェイソン・ライトマン
製作:メイソン・ノビック、ディアブロ・コーディ、シャーリーズ・セロン、ベス・コノ、A・J・ディックス、ヘレン・エスタブルック
製作総指揮:ジェイソン・クロス、アンディ・ポラック、ポール・テニソン、デイル・ウェルズ、スタン・トーマス、ロン・マクレオド、ジェイソン・ブルーメンフェルド
脚本:ディアブロ・コーディ
撮影:エリック・スティールバーグ
美術:アナスタシア・マサロ
衣装:アイーシャ・リー
編集:ステファン・グルーブ
音楽:ロブ・シモンセン
音楽監修:トリシア・ハローラン
出演:シャーリーズ・セロン、マッケンジー・デイビス、マーク・デュプラス、ロン・リビングストン、アッシャー・マイルズ・フォーリカ、リア・フランクランド
パンフレット:★★★(720円/コラム2本の解説が良い感じでした)
(あらすじ)
仕事に家事に育児にと何でも完璧にこなしてきたマーロだったが、3人目の子どもが生まれて疲れ果ててしまう。そんなマーロのもとに、夜だけのベビーシッターとしてタリーという若い女性がやってくる。自由奔放でイマドキな女子のタリーだったが、仕事は完璧で、悩みも解決してくれ、マーロはそんなタリーと絆を深めることで次第に元の輝きを取り戻していく。タリーは夜明け前には必ず帰ってしまい、自分の身の上を語らないのだが……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
70点
※本作は、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いので、観ようと思っている方はこの感想文を読んじゃダメ!m9`Д´) ビシッ
本作を観たのは愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題作品になったから…ではなく(余計な前書き)。ジェイソン・ライトマン監督×シャーリーズ・セロン主演作の「ヤング≒アダルト」
前売り特典は「タリーと私のランチトート」でございます。

スクリーン3、半分ぐらいの入りだったような。

最初にほとばしるほど野暮な文章を書くと、「ナイトシッター(夜間専門のベビーシッター)のタリーの正体は?」という予告編でも流される謎に関しては、まぁ、勘の良い方ならすぐ気付くと思いますが(苦笑)、僕も「これはオルターエゴだな ( ̄ー ̄) ニヤッ」と即看破しましてね。パンフによると音楽遣いなどで伏線を張ったりもしているそうで、それにはまったく気付かない体たらくでしたが、中途半端に登場した元友人(ルームメイトだった)、朝はマーロに会わずに去るタリー(ちょっと「小人とクツ屋」っぽい)、馴れ馴れしい冷蔵庫利用、夫ドリューに会わない、不自然なコスプレ3P展開、タリーのルームメイト云々相談などにより、「実は本人の別人格が助けてくれているのでは?」というのは薄々勘づいていたから、最後にマーロが「タリーが26歳のころの自分だったと気付くシーン」でも驚かなかった…って、偉そうですかね (´∀`;) スミマセン 一応、オチを書いておくと、事故を起こしたことで「タリーはマーロの旧姓(?)であり、すべてマーロが無理して頑張ってたことが発覚→夫ドリューが反省して彼女に無理をさせないことを決意→息子ジョナに諭されて、彼のためにやっていたブラッシングを止める」といった感じで終わってたんじゃないかしらん。
ハードな日々にマーロがキレて、ナイトシッターを呼ぶことにしまして。

タリーが来てくれるんですが、実は若いころのマーロ自身だったというね。

僕の気持ちを代弁するシコルスキーを貼っておきますね(「バキ」

ただ、本作のキモは別にあって。「家事や子育てを女性だけが一手に引き受けることの大変さ」をわかりやすくポップに描いているところが素晴らしい。ダーレン・アロノフスキーのヒップホップモンタージュを想起させる加速する「ワンオペ育児」描写は、面白いながらもその苦労がビンビン伝わってくるので、「専業主婦は楽だよな!(`∀´) ケケッ」なんてほざいている御仁も「こんなの無理ですわ… (`Δ´;) スミマセン」と即反省するのではないでしょうか。さらにマーロを演じたシャーリーズ・セロンの18キロ増量して挑んだという役作りもまた良くて、「モンスター」
見事な増量! この肉体を観られただけでも前売り券を買った甲斐がありました。

搾乳シーンに関しては「マッドマックス FR」のこのシーンを連想して複雑な気持ちになったりもして。

なんとなくロック様にどうかと思う提案をするファルコンの画像を貼っておきますね(「ペイン&ゲイン」

公式の特別映像があったので、貼っておきますね↓ これは大変だわ… (・ω・;) ウーン
それと、僕的にグッときたのは「現状の不安や苛立ちを受け入れていく映画」でもあったこと。己の人生を振り返ってみれば、全体的に若いころの方が「良いことがなかった」イメージが強いので、本作の主人公マーロの「20代のころは良かったわ… (´・ω・`し ションボリ」的な心境って、理解はできるけど共感はできなかったりするんですが、しかし。なんて言うんですかね、彼女のように僕にも大切な奥さんと娘がいて十分幸せなハズなのに、結局、何かにあがいてしまう部分があるので、どことなく他人事とは思えなかったというか。タリーが指摘する「家族がいる“今”が夢を叶えた状態」というのは「Exactly(そのとおりでございます)」でグウの音も出ないんだけどさ、それでも“何か”が納得できなくて (・ε・) グゥ でもその“何か”を諦めたり、飼い慣らしたりしていくことが人生であり、成長なのかもしれない。そんなことを考え始めるとね、知恵熱が出て具合が悪くなる45歳なのでしたーー ('A`) アタマイタイ
タリー=“26歳の自分”からの指摘はごもっともなのです。

まぁ、こういうことなんですよね(「テイク・ディス・ワルツ」

その他、「デカフェにもカフェインが入ってるとクソリプするババア」とか「ブルックリンを目指すシーンでのシンディ・ローパーのアルバム
ハッキリ言って、夫ドリューの設定がクソすぎるというか。“1人目の子ども”だったらまだ現実味があるけどさ、“手が掛かる2人目を経ての3人目”であの無関心振りなのに、さらに「理解がある良い夫」なんてキャラ設定は今どきあり得なくないですかね?(いくらマーロが「自分で何でもこなせる完璧な主婦になりたい願望”を持っていた→彼に何もやらせないようにしていた」としても!) 最後に反省して善人ヅラするけどさ、それまでがあまりにも異常すぎたから、ごめんなさい、「お前、バカなの?(゚Д゚)」と呆れちゃいましたよ。それとマーロがジョギングするシーン、若い子と張り合って負けた後、「これからハードトレーニングに打ち込んで肉体を鍛え上げるのか!(*゚∀゚)=3 ムッハー」とスゲー期待したので、そのまま「もうアタシも若くないのね 川´_ゝ`)」なんてボンヤリと終わったのは少し残念でしたね。例えば、「バラクーダ」を流しながらドッグフードを担いで走る…なんて演出は無理な注文でしょうか(間違いなく無理な注文)。
正直、この「冷凍ピザ」発言を聞いた瞬間…。

僕の脳内ではこんなイメージで殴ってました(「グラップラー刃牙」

このシーンも決して悪くはないんですが…。

僕はこんな特訓が観たかったなぁ…という勝手な要求(「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」より)。

そんなワケで、100パーセント乗れたワケではないんですが、「僕ももっと協力すれば良かったなぁ」と娘が生まれた時を思い出したりしたし(でも、実家で育てたりしたし、お義母さんが来てくれたりもしたし、家事は僕が担当してたんですヨ…というI-I-WA-KE!m9・∀・) ビシッ)、笑えるシーンも結構あったし、トータルするとシャーリーズ・セロンが堪能できて楽しかったです (´∀`=) ヨカッタワ- 何はともあれ、間違いなくワンオペ育児の大変さがビンビン伝わってくる作品なのでね、女性の方が高確率で共感できると思いますが、男性も観ておくと良いような気がします。おしまい。
ちょっと良さげなサントラ(デジタル盤)。アナログ盤
ジェイソン・ライトマン監督×シャーリーズ・セロン主演作。僕の感想はこんな感じ。
シャーリーズ・セロン主演作で一番好きなのは、これでございます (´∀`=) ウフフ
「自分の人生、これでいいのか」話を観ると思い出しがちな映画。僕の感想はこんな感じ。
久しぶりに聴きたくなりましたよ。