来る![]()
2018/日本 上映時間134分
監督・脚本:中島哲也
原作:澤村伊智
脚本:岩井秀人、門間宣裕
製作:市川南
エグゼクティブプロデューサー:山内章弘
企画・プロデュース:川村元気
プロデューサー:西野智也、兼平真樹
制作プロデューサー:佐藤満
ラインプロデューサー:内山亮
撮影:岡村良憲
照明:高倉進、上野敦年
録音:矢野正人
美術:桑島十和子
装飾:西尾共未
スタイリスト:申谷弘美
チーフヘアメイク:山崎聡
音楽プロデューサー:冨永恵介、成川沙世子
キャスティングディレクター:元川益暢
VFXスーパーバイザー:柳川瀬雅英、桑原雅志
編集:小池義幸
記録:長坂由起子
助監督:高土浩二
制作担当:大塚健二
出演:岡田准一、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡、青木崇高、柴田理恵、太賀、志田愛珠、蜷川みほ、伊集院光、石田えり、西川晃啓、松本康太、小澤慎一朗
パンフレット:★★★(720円/東宝ステラっぽいパンフ。最後に、ラストシーンの写真を配置してある作りが好き)
(あらすじ)
恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。(以上、
映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
90点本作については、予告編を観る限りでは、僕が大好きな「霊能者が除霊するシーン」が入ってそうだし、何よりも
ジークンドーの技術で霊を制圧する岡田准一さんが観られるんじゃないかと思って、そこそこ楽しみにしてましてね。やっと仕事が落ち着いた今週、ちょうど愛聴しているラジオ番組
「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー
「ムービーウォッチメン」の課題作品になったということで、
新宿シネマカリテで
「アンクル・ドリュー」を観てから、
新宿ピカデリーで鑑賞いたしました。
大好物でしたYO!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!6番スクリーン、半分くらいは埋まってましたよ。
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内容を簡単に書いておくと、映画は「田原秀樹が香奈と結婚→娘・知紗が誕生するも、幼少期に接触していた謎の存在
“アレ”に襲撃されて、胴体が半分になって死ぬ」という第一部、「秀樹が死んでシングルマザーになった香奈が、労働と子育てに追い詰められた挙げ句、
“アレ”に襲われて、微笑みながら失血死する」という第二部、「ルポライター野崎と恋人の霊能力者・真琴が、その姉の“スゴ腕霊媒師”琴子 with 霊媒師軍団とともに
“アレ”の除霊に挑む」という第三部で構成されてましてね。オチを書いておくと、当初は知紗(3歳)もろとも祓う予定だったものの、野崎&真琴の必死の訴えによって、琴子は自らを犠牲にして“アレ”を祓う→野崎&真琴&知紗を救いまして。眠っている知紗は
オムライスの夢を見ていた…ってな調子で終わってたような気がします。
大変な目に遭った千紗ちゃん(3歳)でしたが、最後は野崎と真琴に育てられるムードでしたよ。
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内容が観る前に想像していたのと結構違っていたんですが、
予想外に好きな作品だったというか。たぶん中島哲也監督作で一番好きになったかもしれません。
その理由は4つありまして、箇条書きにしてみるとこんな感じでございます↓
<① イクメンブロガー・秀樹が良かった!>本作で妻夫木聡さん演じる秀樹は、第一部の主人公でして。結婚前の親戚との集まりや、奥さんが妊娠中のホームパーティーでの思いやりのなさから、
“調子が良いだけのスゲー薄っぺらい男”なのは観客に丸わかりなんですね。で、彼が娘の誕生とともに「子育てブログ」を始めて「自分を美化して都合の良いことだけブログで発信しつつ、実はまったく育児も家事も手伝わない」なんて様子を見せられると…。なんだろう、
とても胸が痛かった(突然、タメ口で)。僕もこのブログで「奥さんが大事ぃ〜 (`∀´)」「娘が大事ぃ〜 (`∀´)」なんて
Meltykiss級に口溶けなめらかな文章を投下しまくっているけど、「年間200本超の映画を観てブログを書いている」という趣味LOVEな男が、
本当に家族を大事にしているとでも?(突然、洋画の字幕口調で) つーか、ああん、ハッキリ書くと、本作の秀樹は鏡で“醜い己の姿”を見せられているようだったというか、
「僕もこういうところがあるのでは… (`Δ´;) ヌゥ」と身につまされたのです…。もうね、来年からは
「新作映画は年間120本まで」という掟を絶対守るから、赦してほしい。そんなことをそっとつぶやいたのでした。
※要出典 誰に?妻夫木聡さんの“薄っぺらい男”演技、見事でしたな。
<② シングルマザー・香奈が良かった!>第一部で秀樹が死んで、シングルマザーになった香奈については
「会社から死亡退職金は出ないのかな」とか「マンションを売ればいいじゃん」とか「生命保険は下りないのかな」とか思ったりはしたんですが、それはそれとして。もうね、第二部はシングルマザーの大変さをわかりやすく描いていて、非常にグッときましたよ。このパートを観れば、
子育てと仕事を1人の人間が背負う大変さがわかるのではないでしょうか。
監督から「下手くそ」となじられながらも頑張った黒木華さんの演技もスゲー良くてね、
涙なくしては観られなかったです… (ノД`) アァン
お母さんが必死に頑張る場面では涙が止まらなかったし…。
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心が折れてエロくなるくだりでは「僕で良かったら」という気持ちがなくはなかったです(奥さんに読まれたらアウトな文章)。
<③ 人物描写が良かった!>つーか、本作は、登場人物を多少オーバー気味に演出しながらも、
ダメな人の“良い部分”も描いているところが好きでした。例えば、秀樹はもうクズとしか言いようがない男だし、僕も来年からは
「新作映画は年間120本まで」という掟を絶対守るから赦してほしいんですけど、とは言え、彼の
「家族を守りたい」という気持ち自体はウソじゃないあたりに、“少しの救い”があって。例えば、伊集院光さんが見事に演じたスーパーの店長とか、「香奈を追い詰めているイヤな奴に見えるけど、彼なりに彼女の大変さは理解していて、
根は悪い人じゃないっぽい」といった風に描かれていたと思うし…。まぁ、実は邪悪な魔道符を持ち込んでいた“秀樹の親友”津田(青木崇高)は別としても、
悪者を悪者として単純に描かないバランスは好感が持てましたね。
秀樹はクズ野郎ですけど、クズなりに娘を愛する気持ちはあったと思うのです… (´・ω・`)
<④ 霊能者&除霊描写が良かった!>って、褒めまくっていますが、僕が本作で一番ハートをギュッと掴まれたのが、
霊能者&除霊描写。まず、小松菜奈さん演じるキャバ嬢兼霊能者・真琴のキャラクターが最高だし、その姉の“最強の霊能力者”琴子がまた好みのタイプ(松たか子さんというキャスティングが素晴らしい!)。そして、何よりも
柴田理恵さんが演じた逢坂セツ子が100点でしてね…(しみじみ)。最初に登場するネットの映像では「バラエティ番組でお笑い芸人を除霊する」的な愉快風味であり、その動画を観た秀樹ライクに客席にもヤレヤレ感が漂ったりしたんですが、しかし。中華料理屋で現れた本人は
“老いて片目を失ったビジュアル”だったから、
そのギャップ萌えで100点!m9`Д´) ビシッ シカモ、その中華料理屋での
“アレ”との攻防がなかなか凄まじくて、
アッサリと片腕をもがれる残酷描写にまた100点!m9`Д´) ビシッ まぁ、あのまま退場したんだろうなと少しセンチな気持ちになっていたら、終盤の除霊の儀式に
隻腕で参戦するからまた100点!Σ(゚д゚;) ダイジョウブ!? そして次々と仲間が倒れる中、最期まで奮闘する姿に(とは言え、死ぬ)、
ああん、100点だったというね… (ノДT) バカバカ... 失礼な話、僕は今までの人生で柴田理恵さんに興味を持ったことはどの角度からも一度もなかったんですが(汗)、本作の逢坂セツ子は
「好きな映画のキャラクター」の上位に永遠にランクインすることでしょうーー(偉そうに)。
キャバ嬢兼霊能者・真琴。「ここはアタシに任せて先に行け!」シーンでは泣きました。
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松たか子さんのこのビジュアルが文句ナシ。岡田准一さんをパンチ一発で昏倒させるシーンでは爆笑。
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だがしかし、本作の白眉は逢坂セツ子! この人のスピンオフ希望。
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で、終盤に繰り広げられる
大規模な除霊の儀式がまた大好物でした。僕は「悪霊がいるなら、それに対抗する人や技術も存在してほしい」派なので(
平成ライダーでは「昔から妖怪がいるなら退治する専門家もいる」という設定の
「仮面ライダー響鬼」![]()
が一番好き)、霊能力者のネットワークが存在して、政府とも影で連携しているっぽい
本作の世界観は超ストライクだったのです。さらに「除霊に失敗して霊能力者が吐血」といった描写も大好きということで、そんなシーンが目白押しの
クライマックスは夢のよう。「現場に向かう霊能者たちが事故に遭う→それを察した他の霊能者たちが別行動をとる」というシーンも良くて、僕は中島哲也監督と霊能者描写の好みがジャストフィットなのかもしれません。なんかね、本作の除霊の儀式を別角度から
「プロジェクトX」風に撮ったスピンオフとかマジで観たいです、マジで ( ゚д゚) ツクレ!
“アレ”を祓うために、地域一帯を封鎖して、大規模な儀式がスタート。
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こういったいかにもな“本格的な人たち”もいれば…。
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女子高生もいるというセンスの良さ。この子たちも最期まで命懸けで頑張るのです… (ノω・、)
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ちゃんと科学的なアプローチもしているという、かゆいところに手が届く仕様。
そして奏でるJO-REI 2 U! その時、“アレ”が来るマンションの一室では…。
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「飲め〜!」と法柳先生がお清めの水を飲ませていた…って、やだ、
「貞子vs伽椰子」![]()
が混ざっちゃった!(*ノ▽ノ) キャッ
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僕が本作を好きな理由はこんな感じでございます。そりゃあ、不満がないワケではなくて、「野崎を儀式の部屋から追い出さなかった琴子の判断はどうなの?(「妹を救うためだった」なら仕方ないとは思いますが)」とか「ラストの知紗ちゃんの『オムライスの国』描写はやりすぎでは」といった部分は良いとしても、岡田准一さん演じるルポライター・
野崎が弱かったのが残念でしたね…。いや、僕も映画ファンのはしくれですよ(苦笑)、そういう役じゃないことぐらいはわかってる。ただ、例えば、病院のシーン。琴子が野崎の心をのぞいた時、
「あなた、昔は警察の特殊部隊にいたのね」的な展開になっていたのなら!? 野崎のトラウマが「子どもを堕ろさせた」ではなく
「凶悪犯から子どもを守れなかった」的な設定だったのなら!?
全身にお経を書いてフンドシ一丁姿の野崎がジークンドーの技術で“アレ”に挑むーー。そんなクライマックスが観たかったのは僕だけじゃないと思うのですが、あなたはどう思いますか?(唐突な問い掛け)
岡田准一さんが素手で霊と戦うシーンが観たかった…観たかったよぅ…(あまり共感を呼ばなさそうな願望)。
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な〜んて、誰にも相手にされなさそうな文章を書いちゃいましたが(苦笑)、僕は
原作小説![]()
が読みたくなるくらい、
予想外に好きな作品でしたYO!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ! ストレートに「怖い!(°д°;) ヒィッ!」というよりは
エンタメホラーって感じなので、興味がある人は観ると良いザンス。そして、来年からは
「新作映画は年間120本まで」という掟を絶対守るので、赦していただけると幸いです。おしまい。
澤村伊智先生による原作小説。スゲー興味あります。
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サントラがあったので、貼っておきますね。
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中島哲也監督の前作。僕の感想は
こんな感じ。
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思い出した白石晃士監督作。僕の感想は
こんな感じ。
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